有価証券報告書-第154期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は2019年に創立100周年を迎え、グローバルに展開する多様なグループ会社や従業員、さらには広くステークホルダーに当社創業の精神と存在目的を示すため、「NGKグループ理念」を見直しました。
私たちの使命
「社会に新しい価値を そして、幸せを」
私たちが目指すもの
「人材 挑戦し高めあう」
「製品 期待を超えていく」
「経営 信頼こそが全ての礎」
この理念を実現するための基本方針は以下の通りです。
選択と集中により他を凌駕する技術を確立し、各々の分野においてトップクラスの地位を占める新規事業、新商品を創出します。(戦略的成長)
連結主体の事業運営を基本に、グループ会社ごとの機動性と独自性も活かして効率的な経営を行い、企業価値の向上を目指します。(高効率体質)
株主・投資家及び広く社会に適時かつ積極的に情報を発信するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)を念頭に置いて、環境保全、人権の尊重、安全・快適な職場環境の提供などの社会的責任を果たし、地域、社会の発展に貢献します。(良き企業市民)
(2)主要な経営指標と資本政策
当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、これと関連性の高い投下資本利益率(ROIC)を社内管理指標に採用して、資本効率を重視した経営を推進しております。中長期の観点でROE10%以上の水準を意識し、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合した資本政策を展開します。株主・投資家との適切なコミュニケーションで資本コストの引き下げに努めるとともに、資本コストを上回る収益性確保に向けて事業計画の立案や設備投資の意思決定プロセスにROICを活用し、経営資源をコア事業の拡大・コストダウンや開発・新規事業に効率的に投入してまいります。また、配当性向及び純資産配当率等を参照して積極的な株主還元に努めます。これらにより財務健全性との両立を図りつつ、ROEを構成する利益率、資本回転率、財務レバレッジを事業戦略と整合した健全な水準に維持することを目指します。
(3)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上、財務上の課題
2020年の世界経済は、新型コロナウイルスの世界的流行に伴う経済活動の停滞によって深刻な景気後退に陥る可能性があります。一方、中長期の観点では、排ガス規制の強化やCO2削減など社会・環境課題からの要請や、IoT、AI、5G等の技術革新を背景とする事業では機会が拡大すると期待されます。
このような状況の下、当社グループは、足元の需要減に機動的に対応してマイナス影響を最小限に抑えつつ、エネルギー、エコロジー、エレクトロニクスのトリプルEの事業領域において社会の期待を超える新製品を創出し、グローバルに成長し続ける企業を目指します。
その中で、2020年度は以下の施策に取り組んでまいります。
① 既存事業の収益力強化-新・ものづくり構造革新
② 新製品・新規事業の創出-Keep up 30
③ ESGとコンプライアンス意識の向上
④ 人権の尊重と従業員の多様性(ダイバーシティ)の推進
⑤ リスクの見直しと対策
① 既存事業の収益力強化-新・ものづくり構造革新
当社グループは、新・ものづくり構造革新として、技術先進性をベースにした製品価値の向上と革新製造プロセスによる生産性向上に取り組んでおります。主要な工場では総合設備効率(OEE)を指標に総合的な生産性を計測し、新規設備投資についてもROICを意識して実施するなど、確実に成果につなげてまいります。
セラミックス事業については、足元では世界的な乗用車販売台数の減少に伴い自動車排ガス浄化用触媒担体(ハニセラム®)を中心に生産調整を余儀なくされているものの、中長期では排ガス規制強化に伴い、乗用車向けのGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)やトラック・オフロード車向けのDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)の物量増が期待されるほか、既存製品についても高付加価値品の比率が高まるなど、成長の機会があると考えています。こうした状況に対応し、最新鋭で高効率なグローバル生産体制の構築を進めるとともに、既存ラインのOEE改善や高難度品の生産性改善に取り組み、収益力向上を目指します。さらに新規の排ガス規制や自動車の電動化進展に対応した製品開発にも重点的に取り組み、事業の競争力強化と持続的な成長につなげてまいります。
プロセステクノロジー事業については、5Gの導入やIoTの進展により半導体市場の成長が見込まれる中、2019年10月に稼働した半導体製造装置用製品の新工場(岐阜県多治見市)の一貫ラインを最大限に活用し、生産性改善と需要拡大への対応を両立します。また、次世代製品の開発・投入に取り組み、トップサプライヤーとして技術・性能面での顧客の高い要求に対応してまいります。産業プロセス事業では、需要の高まる原子力発電所向けの低レベル放射性廃棄物処理装置にも注力してまいります。
エレクトロニクス事業については、モバイル通信の高速化やデータセンターの投資拡大を背景に、当社の高性能SAWフィルター用複合ウエハーやハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーターの需要増を見込んでおり、増産対応を進めております。また、自動車の電動化に対応し、車載用パワーモジュール向けの絶縁回路基板の拡販に注力します。新製品及び新規用途の開発を推進し、研究、製造、営業が一体となって事業拡大を図ってまいります。
エネルギーインフラ事業(※)については、国内外で電力会社の設備投資抑制が継続する中、がいしは不採算製品の撤退、大幅な人員スリム化やコストダウンとともに製品価格の見直しを進め、早期黒字化を目指します。エナジーストレージ関連では、NAS®電池の本格的な需要拡大に暫く時間を要すると見ており、ドイツの総合化学メーカーBASF社(本社:ルートヴィッヒスハーフェン)との提携による共同開発や販路拡大に努めるとともに、亜鉛二次電池(ZNB®)の早期事業化を推進し、事業基盤の構築と将来の需要拡大に向けた足場固めを行ってまいります。
(※)2020年4月1日付の組織変更で電力関連事業を「エネルギーインフラ事業」に改称しました。既存の電力系統向けがいしやNAS®電池に、需要家向けのZNB®を加えることでラインナップの拡充を図り、電力系統・蓄電分野におけるインフラ事業を総合的に強化してまいります。
② 新製品・新規事業の創出-Keep up 30
当社グループは、売上高に占める新製品比率30%以上を継続する「Keep up 30」を全社目標に掲げ、新製品・新規事業の創出による成長力確保を目指しております。2019年4月に事業化した小型・薄型で高容量なチップ型セラミックス二次電池「EnerCera®」シリーズは、IoTモジュールの本格普及の妨げとなる電源確保の課題を解決する蓄電デバイスとして高い評価を受けており、2019年10月の「CEATEC 2019」においてデバイス&テクノロジー部門のグランプリを受賞しました。また、亜鉛二次電池(ZNB®)では、米国の第三者安全科学機関であるUL(本社:イリノイ州ノースブルック)による「UL9540A」規格に基づく試験を行い、熱暴走や発火が不発生である高い安全性能が実証された結果、蓄電池分野で世界初のUL検証マークを取得しました。その他、全固体電池や窒素ガリウム(GaN)ウエハー「FGAN®」(高周波デバイス用、パワーデバイス用)をはじめ有望な開発テーマに対しては重点的に資源を投じ、当社独自のセラミック技術を用いて次の新製品・事業化製品を創出してまいります。
③ ESGとコンプライアンス意識の向上
当社グループは、海外20ヵ国に44のグループ会社を展開し、うち20社において製造を行っております。海外でのビジネスが拡大する中、経営の透明性と自律性を高めており、NGKグループで働く全員が公正な価値観や国際的な水準の判断基準にしたがって行動できるよう環境整備を進めます。経営レベルでは、2019年4月に「ESG会議」を設け、E(環境)・S(社会)・G(企業統治)に関する重要な課題について幅広く議論を行っております。また、全グループ構成員が持続可能な社会の実現、人権尊重、コンプライアンスを実践できるよう、様々な対話の機会を設けて「NGKグループ企業行動指針」の周知徹底を図っております。
環境経営の観点からは、2016年度からスタートした第4期環境行動5カ年計画が2020年度で最終年度を迎えるにあたり、引き続き環境負荷低減に寄与する製品・サービスの開発・普及や環境負荷を低減する生産技術の開発・導入に注力し、目標達成を目指します。また、当社グループは2020年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明いたしました。持続可能な社会の実現に当事者として取り組むとともに、関連する情報の開示とその充実に努めてまいります。
競争法及び海外腐敗行為防止法などの法令遵守については、継続的な経営トップのメッセージ発信、ハラスメント等の防止を目的にした国内外グループ会社の役員・従業員向けのコンプライアンス教育、国際的な水準に沿った競争法遵守プログラムの運用、「競争法遵守ハンドブック」の活用などにより徹底を図っております。
品質コンプライアンスについては、2018年に判明したがいし等製品の受渡検査に関する不整合の反省を踏まえ、引き続き経営トップによる品質活動や品質委員会の直接指導の実施など仕組みを強化するとともに、経営層及び従業員に対する品質教育の徹底など企業体質の改善に取り組みます。また、労働環境の安全面では、国内外グループ会社のリスクアセスメントの推進による重大災害リスクの特定と未然防止対策の強化に加え、グループ全体の現場マネジメント力の強化を図り、業務災害リスクの低減に取り組んでまいります。
コーポレートガバナンスについては、経営の透明性を確保し取締役会の監督・監視機能を強化するため、社外役員を過半数として構成する指名・報酬諮問委員会や、役員等が関与する不正及び法令違反等への対応を取り扱う社外役員を主要な構成員とする経営倫理委員会を設置し、取締役会への答申または報告、勧告等を行うこととしております。また、これらの不正・法令違反に歯止めをかける仕組みとして、従業員からの相談・報告を受けるヘルプライン制度とは別に経営倫理委員会に直結する内部通報制度「ホットライン」を設置し、近々基準化されるISOに準拠できるよう規定・運用を見直すなど、コンプライアンス体制を充実させております。
こうした取り組みを通じて、より一層グローバル経営を支えるコンプライアンス意識の向上、リスク低減、ガバナンス体制の強化・充実を図ってまいります。
④ 人権の尊重と従業員の多様性(ダイバーシティ)の推進
当社グループは、人権に関する国際的な規範を遵守するとともに、人種、国籍、性別などの従業員の多様性を尊重し、雇用の安定と機会均等を基本方針に多様な人材を登用しております。当社では、豊富な経験や高い専門性を持った従業員が安心して活躍できるように65歳定年制を導入済みです。2020年4月には、より人権を尊重した企業活動やグループ全体で対処すべき人事課題を横断的に議論する組織として「HR委員会」を設置するとともに、ダイバーシティ推進部を新設するなどグループ経営重視、個の尊重の観点から機能強化を図っております。
また、女性社員の活躍推進については、育休復職者研修、キャリアデザイン研修などを実施しているほか、育休からの早期復職支援制度や在宅勤務も導入し活用を推進しております。障がい者雇用については、グループ会社が特例子会社認定を取得し、雇用拡大に取り組んでおります。
⑤ リスクの見直しと対策
当社グループは、グローバルに事業が拡大する中、多様化する事業リスクの影響を最小限にとどめるため、リスクマネジメントの強化に取り組んでおります。2019年4月に設置した、前述の「ESG会議」において、経営レベルの視点から重要と考えるリスクを事業環境、戦略、内部要因に分類し継続的に見直しを行っております。また、アンケートの実施や内部統制プロセスにおける特別リスクの評価などを通じてリスク分析を行い、各委員会や各担当部門が中心となって事案ごとにリスクの回避・予防に努めております。
足元の新型コロナウイルスの感染防止にあたっては、特別危機管理事案として位置づけ、BCP(事業継続計画)対策本部が情報を集約し、従業員の安全確保を最優先に事業継続に向けた各種対策を進めております。
当社グループは、こうした取り組みを通じて経営基盤の更なる強化に努め、持続的な成長と企業価値の向上を実現し、資本効率重視、株主重視の経営を継続してまいります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は2019年に創立100周年を迎え、グローバルに展開する多様なグループ会社や従業員、さらには広くステークホルダーに当社創業の精神と存在目的を示すため、「NGKグループ理念」を見直しました。
「社会に新しい価値を そして、幸せを」
私たちが目指すもの
「人材 挑戦し高めあう」
「製品 期待を超えていく」
「経営 信頼こそが全ての礎」
この理念を実現するための基本方針は以下の通りです。
選択と集中により他を凌駕する技術を確立し、各々の分野においてトップクラスの地位を占める新規事業、新商品を創出します。(戦略的成長)
連結主体の事業運営を基本に、グループ会社ごとの機動性と独自性も活かして効率的な経営を行い、企業価値の向上を目指します。(高効率体質)
株主・投資家及び広く社会に適時かつ積極的に情報を発信するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)を念頭に置いて、環境保全、人権の尊重、安全・快適な職場環境の提供などの社会的責任を果たし、地域、社会の発展に貢献します。(良き企業市民)
(2)主要な経営指標と資本政策
当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、これと関連性の高い投下資本利益率(ROIC)を社内管理指標に採用して、資本効率を重視した経営を推進しております。中長期の観点でROE10%以上の水準を意識し、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合した資本政策を展開します。株主・投資家との適切なコミュニケーションで資本コストの引き下げに努めるとともに、資本コストを上回る収益性確保に向けて事業計画の立案や設備投資の意思決定プロセスにROICを活用し、経営資源をコア事業の拡大・コストダウンや開発・新規事業に効率的に投入してまいります。また、配当性向及び純資産配当率等を参照して積極的な株主還元に努めます。これらにより財務健全性との両立を図りつつ、ROEを構成する利益率、資本回転率、財務レバレッジを事業戦略と整合した健全な水準に維持することを目指します。
(3)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上、財務上の課題
2020年の世界経済は、新型コロナウイルスの世界的流行に伴う経済活動の停滞によって深刻な景気後退に陥る可能性があります。一方、中長期の観点では、排ガス規制の強化やCO2削減など社会・環境課題からの要請や、IoT、AI、5G等の技術革新を背景とする事業では機会が拡大すると期待されます。
このような状況の下、当社グループは、足元の需要減に機動的に対応してマイナス影響を最小限に抑えつつ、エネルギー、エコロジー、エレクトロニクスのトリプルEの事業領域において社会の期待を超える新製品を創出し、グローバルに成長し続ける企業を目指します。
その中で、2020年度は以下の施策に取り組んでまいります。
① 既存事業の収益力強化-新・ものづくり構造革新
② 新製品・新規事業の創出-Keep up 30
③ ESGとコンプライアンス意識の向上
④ 人権の尊重と従業員の多様性(ダイバーシティ)の推進
⑤ リスクの見直しと対策
① 既存事業の収益力強化-新・ものづくり構造革新
当社グループは、新・ものづくり構造革新として、技術先進性をベースにした製品価値の向上と革新製造プロセスによる生産性向上に取り組んでおります。主要な工場では総合設備効率(OEE)を指標に総合的な生産性を計測し、新規設備投資についてもROICを意識して実施するなど、確実に成果につなげてまいります。
セラミックス事業については、足元では世界的な乗用車販売台数の減少に伴い自動車排ガス浄化用触媒担体(ハニセラム®)を中心に生産調整を余儀なくされているものの、中長期では排ガス規制強化に伴い、乗用車向けのGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)やトラック・オフロード車向けのDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)の物量増が期待されるほか、既存製品についても高付加価値品の比率が高まるなど、成長の機会があると考えています。こうした状況に対応し、最新鋭で高効率なグローバル生産体制の構築を進めるとともに、既存ラインのOEE改善や高難度品の生産性改善に取り組み、収益力向上を目指します。さらに新規の排ガス規制や自動車の電動化進展に対応した製品開発にも重点的に取り組み、事業の競争力強化と持続的な成長につなげてまいります。
プロセステクノロジー事業については、5Gの導入やIoTの進展により半導体市場の成長が見込まれる中、2019年10月に稼働した半導体製造装置用製品の新工場(岐阜県多治見市)の一貫ラインを最大限に活用し、生産性改善と需要拡大への対応を両立します。また、次世代製品の開発・投入に取り組み、トップサプライヤーとして技術・性能面での顧客の高い要求に対応してまいります。産業プロセス事業では、需要の高まる原子力発電所向けの低レベル放射性廃棄物処理装置にも注力してまいります。
エレクトロニクス事業については、モバイル通信の高速化やデータセンターの投資拡大を背景に、当社の高性能SAWフィルター用複合ウエハーやハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーターの需要増を見込んでおり、増産対応を進めております。また、自動車の電動化に対応し、車載用パワーモジュール向けの絶縁回路基板の拡販に注力します。新製品及び新規用途の開発を推進し、研究、製造、営業が一体となって事業拡大を図ってまいります。
エネルギーインフラ事業(※)については、国内外で電力会社の設備投資抑制が継続する中、がいしは不採算製品の撤退、大幅な人員スリム化やコストダウンとともに製品価格の見直しを進め、早期黒字化を目指します。エナジーストレージ関連では、NAS®電池の本格的な需要拡大に暫く時間を要すると見ており、ドイツの総合化学メーカーBASF社(本社:ルートヴィッヒスハーフェン)との提携による共同開発や販路拡大に努めるとともに、亜鉛二次電池(ZNB®)の早期事業化を推進し、事業基盤の構築と将来の需要拡大に向けた足場固めを行ってまいります。
(※)2020年4月1日付の組織変更で電力関連事業を「エネルギーインフラ事業」に改称しました。既存の電力系統向けがいしやNAS®電池に、需要家向けのZNB®を加えることでラインナップの拡充を図り、電力系統・蓄電分野におけるインフラ事業を総合的に強化してまいります。
② 新製品・新規事業の創出-Keep up 30
当社グループは、売上高に占める新製品比率30%以上を継続する「Keep up 30」を全社目標に掲げ、新製品・新規事業の創出による成長力確保を目指しております。2019年4月に事業化した小型・薄型で高容量なチップ型セラミックス二次電池「EnerCera®」シリーズは、IoTモジュールの本格普及の妨げとなる電源確保の課題を解決する蓄電デバイスとして高い評価を受けており、2019年10月の「CEATEC 2019」においてデバイス&テクノロジー部門のグランプリを受賞しました。また、亜鉛二次電池(ZNB®)では、米国の第三者安全科学機関であるUL(本社:イリノイ州ノースブルック)による「UL9540A」規格に基づく試験を行い、熱暴走や発火が不発生である高い安全性能が実証された結果、蓄電池分野で世界初のUL検証マークを取得しました。その他、全固体電池や窒素ガリウム(GaN)ウエハー「FGAN®」(高周波デバイス用、パワーデバイス用)をはじめ有望な開発テーマに対しては重点的に資源を投じ、当社独自のセラミック技術を用いて次の新製品・事業化製品を創出してまいります。
③ ESGとコンプライアンス意識の向上
当社グループは、海外20ヵ国に44のグループ会社を展開し、うち20社において製造を行っております。海外でのビジネスが拡大する中、経営の透明性と自律性を高めており、NGKグループで働く全員が公正な価値観や国際的な水準の判断基準にしたがって行動できるよう環境整備を進めます。経営レベルでは、2019年4月に「ESG会議」を設け、E(環境)・S(社会)・G(企業統治)に関する重要な課題について幅広く議論を行っております。また、全グループ構成員が持続可能な社会の実現、人権尊重、コンプライアンスを実践できるよう、様々な対話の機会を設けて「NGKグループ企業行動指針」の周知徹底を図っております。
環境経営の観点からは、2016年度からスタートした第4期環境行動5カ年計画が2020年度で最終年度を迎えるにあたり、引き続き環境負荷低減に寄与する製品・サービスの開発・普及や環境負荷を低減する生産技術の開発・導入に注力し、目標達成を目指します。また、当社グループは2020年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明いたしました。持続可能な社会の実現に当事者として取り組むとともに、関連する情報の開示とその充実に努めてまいります。
競争法及び海外腐敗行為防止法などの法令遵守については、継続的な経営トップのメッセージ発信、ハラスメント等の防止を目的にした国内外グループ会社の役員・従業員向けのコンプライアンス教育、国際的な水準に沿った競争法遵守プログラムの運用、「競争法遵守ハンドブック」の活用などにより徹底を図っております。
品質コンプライアンスについては、2018年に判明したがいし等製品の受渡検査に関する不整合の反省を踏まえ、引き続き経営トップによる品質活動や品質委員会の直接指導の実施など仕組みを強化するとともに、経営層及び従業員に対する品質教育の徹底など企業体質の改善に取り組みます。また、労働環境の安全面では、国内外グループ会社のリスクアセスメントの推進による重大災害リスクの特定と未然防止対策の強化に加え、グループ全体の現場マネジメント力の強化を図り、業務災害リスクの低減に取り組んでまいります。
コーポレートガバナンスについては、経営の透明性を確保し取締役会の監督・監視機能を強化するため、社外役員を過半数として構成する指名・報酬諮問委員会や、役員等が関与する不正及び法令違反等への対応を取り扱う社外役員を主要な構成員とする経営倫理委員会を設置し、取締役会への答申または報告、勧告等を行うこととしております。また、これらの不正・法令違反に歯止めをかける仕組みとして、従業員からの相談・報告を受けるヘルプライン制度とは別に経営倫理委員会に直結する内部通報制度「ホットライン」を設置し、近々基準化されるISOに準拠できるよう規定・運用を見直すなど、コンプライアンス体制を充実させております。
こうした取り組みを通じて、より一層グローバル経営を支えるコンプライアンス意識の向上、リスク低減、ガバナンス体制の強化・充実を図ってまいります。
④ 人権の尊重と従業員の多様性(ダイバーシティ)の推進
当社グループは、人権に関する国際的な規範を遵守するとともに、人種、国籍、性別などの従業員の多様性を尊重し、雇用の安定と機会均等を基本方針に多様な人材を登用しております。当社では、豊富な経験や高い専門性を持った従業員が安心して活躍できるように65歳定年制を導入済みです。2020年4月には、より人権を尊重した企業活動やグループ全体で対処すべき人事課題を横断的に議論する組織として「HR委員会」を設置するとともに、ダイバーシティ推進部を新設するなどグループ経営重視、個の尊重の観点から機能強化を図っております。
また、女性社員の活躍推進については、育休復職者研修、キャリアデザイン研修などを実施しているほか、育休からの早期復職支援制度や在宅勤務も導入し活用を推進しております。障がい者雇用については、グループ会社が特例子会社認定を取得し、雇用拡大に取り組んでおります。
⑤ リスクの見直しと対策
当社グループは、グローバルに事業が拡大する中、多様化する事業リスクの影響を最小限にとどめるため、リスクマネジメントの強化に取り組んでおります。2019年4月に設置した、前述の「ESG会議」において、経営レベルの視点から重要と考えるリスクを事業環境、戦略、内部要因に分類し継続的に見直しを行っております。また、アンケートの実施や内部統制プロセスにおける特別リスクの評価などを通じてリスク分析を行い、各委員会や各担当部門が中心となって事案ごとにリスクの回避・予防に努めております。
足元の新型コロナウイルスの感染防止にあたっては、特別危機管理事案として位置づけ、BCP(事業継続計画)対策本部が情報を集約し、従業員の安全確保を最優先に事業継続に向けた各種対策を進めております。
当社グループは、こうした取り組みを通じて経営基盤の更なる強化に努め、持続的な成長と企業価値の向上を実現し、資本効率重視、株主重視の経営を継続してまいります。