有価証券報告書-第151期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/28 11:59
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115項目

業績等の概要

(1)業績
①当連結会計年度の状況
当連結会計年度(平成28年4月1日から平成29年3月31日まで)におけるわが国の経済は、一部に改善の遅れも見られますが、緩やかな回復基調が続きました。また、世界経済はアジア新興国等において弱さが見られるものの、全体としては緩やかな回復が続きました。
このような事業環境の中、当社グループは引き続き、創立100周年を迎える平成29年(2017年)に向けた長期経
営計画「TOTO Vプラン2017(以下Vプラン2017という)」及び、平成26年度からスタートした4ヵ
年の中期経営計画に基づき、「日本」「中国・アジア」「米州・欧州」の3つの事業で構成される「グローバル住
設事業」と「セラミック」「環境建材」で構成される「新領域事業」の2つの事業軸で活動を推進しました。
その結果、当連結会計年度の業績は、売上高が5,738億1千9百万円(前期比1.0%増)、営業利益が4
85億7千1百万円(前期比5.3%増)、経常利益が493億8千1百万円(前期比5.6%増)、親会社株主
に帰属する当期純利益が338億3千9百万円(前期比5.3%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。なお、セグメントの売上高については、外部顧客への売上高を
記載しています。
②セグメントの状況
■グローバル住設事業
当連結会計年度の業績は、売上高が5,514億9千1百万円(前期比0.7%増)、営業利益が524億7千2百万円(前期比5.1%増)となりました。
a.日本住設事業
当連結会計年度の業績は、売上高が4,233億1千万円(前期比0.7%増)、営業利益が291億4千9百万円(前期比2.1%増)となりました。
当社グループにおいては、リモデルは前年並み、新築は前年を上回る実績となりました。商品面では、特に「ネ
オレスト」を中心としたウォシュレット一体形便器やユニットバスなどの売上が順調に推移しました。
TOTO、DAIKEN、YKK APでは、快適性と環境配慮を両立するリフォーム「グリーンリモデル」を引き続き推進しています。
当連結会計年度においては、TOTO、DAIKEN、YKK APによるコラボレーションショールームを金
沢、熊本、高松、新潟にオープン(熊本、新潟はTOTO、YKK APの2社)し、コラボレーションショール
ームは全国で12ヶ所となりました。各社が連携した充実の空間展示とコンサルティングで、環境に配慮しながら快
適な暮らしを実現する「グリーンリモデル」を提案し、暮らしの価値を高めるリモデルをお客様に提供していきま
す。
また、増加している訪日外国人観光客の目に触れるトイレの提案強化をすることで、ウォシュレットの訴求機会を増やし、国内だけでなく海外での購買につなげる活動を強化しています。
b.中国・アジア住設事業
<中国>当連結会計年度の業績は、売上高が632億9千9百万円(前期比1.2%増)、営業利益が157億7千3百万円(前期比4.2%増)となりました。
当社グループにおいては、一級都市をはじめとする都市部を中心に、市場環境や消費者の購買行動の変化などに
注視しつつ、高級ブランドとしての強みを活用し、事業活動を推進しています。
また、中国国内の長期的な市場成長による需要増に対応するため、効率的な生産・最適な供給体制の構築を進めています。
これらの活動に加え、ウォシュレットの新商品投入や積極的なプロモーションが奏功し、売上が着実に伸びています。
<アジア・オセアニア>当連結会計年度の業績は、売上高が306億2千8百万円(前期比0.3%増)、営業利益が59億3千1百万
円(前期比11.4%増)となりました。
アジア・オセアニア地域では、世界の供給基地としてベトナム、タイでの生産体制を充実させると共に、新興国
市場での販売力を強化しています。台湾、ベトナムでは、高級ブランドとしての認知が確実に進んでおり、その強
みを活かした事業活動を推進しています。
・ベトナムでは、市場の成長に合わせて、5スターホテルや高級コンドミニアムなどの著名物件や、個別散在物件
の受注強化のため、販売網の強化やアフターサービス体制の整備に取り組んでいます。
平成28年11月、ベトナム最大都市ホーチミンに直営ショールームをオープンしました。ベトナム南部エリアでの更なるブランド発信と売上拡大に努めていきます。
・タイでは、新たな販売及び生産体制のもと、高付加価値商品の提案を軸とする販売網を構築し、著名物件への採
用活動強化により、高級ブランドのイメージ浸透を図っています。
平成29年3月、タイのバンコクに専門家向けショールーム「TOTO テクニカルセンターバンコク」をオープン
しました。テクニカルセンターを活用した物件への採用活動強化により、タイにおける高級ブランド地位確立
を目指します。
・台湾では、新築住宅着工に依存しない販売体制確立に向け、積極的なプロモーションの展開により、ウォシュレ
ットの普及に努めています。
c.米州・欧州住設事業
<米州>当連結会計年度の業績は、売上高が304億7千3百万円(前期比0.3%増)、営業利益が24億6千3百万
円(前期比43.7%増)となりました。
当社グループにおいては、中高級市場におけるトップメーカーとしての商品優位性や価値伝達によって、ブラン
ド価値を高め、競合他社との差別化を図っています。
・高い節水性能(洗浄水量3.8L)の節水便器や住宅向け水栓など、新商品の投入や、販売代理店の店頭におけ
る展示の拡充を進めています。ウォシュレットについては、ショールーム展示やホームページ情報の充実、広告
宣伝などのプロモーションを実施しました。これにより、水まわり空間におけるTOTOブランドの存在感を高
めるべく、拡販を図っています。
・平成28年9月、米国の旗艦ショールームとなる「TOTO Corporate Gallery」をニューヨークにオープン、平
成29年3月にはサンフランシスコショールームをオープンいたしました。海外直営ショールームを通し、TOTO独自の技術を広く世界のお客様に発信してまいります。
<欧州>当連結会計年度の業績は、売上高が37億7千9百万円(前期比3.8%減)、営業損失が8億4千4百万円
(前連結会計年度は営業損失7億6千5百万円)となりました。
欧州では、ドイツ、フランス、イギリスを中心に事業展開し、販売チャネルの構築を進めており、代理店のショ
ールームでは、当社の商品の展示が進んでいます。また、「ネオレスト」などの節水性能とデザイン性の高い商品
を市場投入することによって他社との差別化を図り、著名なホテルや商業施設に納めることでTOTOブランドの
存在感をアピールしています。
・平成29年3月、ドイツ・フランクフルトで開催された世界最大規模の住宅設備機器の国際見本市「ISH2017
(International Sanitary and Heating 2017) 」に出展し、革新的なテクノロジーで暮らしを新しく豊かに進化
させる商品・技術を提案しました。
■新領域事業
当連結会計年度の業績は、売上高が220億6千3百万円(前期比10.9%増)、営業利益が5億6千1百万円(前連結会計年度は営業利益2千8百万円)となりました。
当社のオンリーワン技術を活かした「セラミック事業」、環境浄化技術「ハイドロテクト」による建材や塗料などを展開する「環境建材事業」を「新領域事業」として、事業活動を推進しています。
<セラミック事業>当連結会計年度の業績は、売上高が130億8千8百万円(前期比22.9%増)、営業利益が12億5千2百万円(前期比24.4%増)となりました。
新型メモリ向け静電チャックと有機ELパネル向け構造部材が牽引し、前年比で売上が増加しました。お客様基点の体質強化の効果と共に利益改善が進み、黒字基盤が強固になっています。
オンリーワン技術を活かした構造部材、静電チャックや光通信部品などの高機能・高精密セラミックス部品に特化し、全社横断の革新活動「デマンドチェーン革新」を推進することにより、最適な生産体制の整備を進めています。
<環境建材事業>当連結会計年度の業績は、売上高が89億7千5百万円(前期比3.0%減)、営業損失が6億9千1百万円(前連結会計年度は営業損失9億7千8百万円)となりました。
住宅会社向け外壁商品の取引先住宅着工の減少に伴い、減収となりましたが、戦略商品である内装防汚陶板「ハ
イドロセラ」の売上伸長、及び生産体制強化による利益改善などが進み営業損益は改善しました。
「ハイドロテクト」は、光触媒を利用して光や水の力で地球も暮らしもきれいにする環境浄化技術であり、技術
ブランドです。既に多くのお客様にご活用いただいており、建物の外壁から室内の壁や床まで様々な製品に利用さ
れています。また、事業戦略も国内中心から海外へと拡大させ、業種を越えたパートナーシップをグローバルに広
げ、「ハイドロテクト」の普及と共に環境貢献を進めています。
■その他
<全般>TOTOミュージアム累計来館者14万人突破
創立100周年記念事業として平成27年8月にオープンした「TOTOミュージアム」では、TOTOが受け継いできた創業の精神やものづくりへの想いと共に新しい生活文化を創造してきたその歴史と進化を紹介しており、累計で14万人のお客様をお迎えいたしました。
今後もお越しいただくお客様、地域の方々、及びお取引先様との接点の場として、また創立の地「小倉」から世界へTOTOブランドを発信するランドマークとして魅力ある施設を目指します。
「初代ユニットバスルーム」が「建築設備技術遺産」に認定
TOTOミュージアム所蔵の「初代ユニットバスルーム」が、一般社団法人建築設備技術者協会より、平成28年
度「建築設備技術遺産」に認定されました。
<社外からの評価について>「FTSE4Good Index Series」(フッツィ・フォー・グッド・インデックス・シリーズ)に初選定
平成28年8月、社会的責任投資(SRI)の世界的指数である「FTSE4Good Index Series」の構成銘柄に初めて選定されました。
「DJSI World Index(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックス)」に6年連続で選定
平成28年9月、世界的な社会的責任投資の指標である「Dow Jones Sustainability Indices (DJSI)World」に6年連続で選定されました。平成28年度は、世界の大手企業約2,500社の中から316社(うち日本企業は当社を含む26社)が組み入れられています。
第7回日本でいちばん大切にしたい会社大賞「経済産業大臣賞」受賞
「人を大切にする経営学会」(会長:坂本光司 法政大学大学院教授)・「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞実行委員会(実行委員長:清成忠男 元法政大学総長)が主催する第7回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞において、離職率の低さや障がい者雇用への取り組みなどが評価され、経済産業大臣賞を受賞しました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は983億8千4百万円となり、前連結会計年度末の940億8千9百万円に比べ、42億9千4百万円の資金増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により637億3千8百万円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益487億4千5百万円、減価償却費192億9百万円等の収入と、法人税等の支払額109億3千7百万円等の支出によるものです。前連結会計年度と比較すると、50億4千3百万円の収入増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により359億4千4百万円の支出となりました。これは、有形固定資産の取得320億2千3百万円、無形固定資産の取得34億7千万円等の支出と、有形固定資産の売却21億6千2百万円等の収入によるものです。前連結会計年度と比較すると、59億9千2百万円の支出増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により189億5千3百万円の支出となりました。これは、長期借入金の返済200億9千7百万円、コマーシャル・ペーパーの償還120億円、配当金の支払額115億1百万円等の支出と、短期借入金の増加166億円、コマーシャル・ペーパーの発行90億円等の収入によるものです。前連結会計年度と比較すると、38億9千9百万円の支出増加となりました。