有価証券報告書-第190期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 15:19
【資料】
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【項目】
159項目

対処すべき課題

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、耐火物の製造・販売及び窯炉の設計・築炉工事等のエンジニアリングサービスの提供を通じて、産業の発展と豊かな社会の実現に貢献します。
そのため当社は、創造性と実行力に富む人材を開発し、優れた技術力、高い収益力と強固な財務基盤の確立を追求することにより、
①世界トップクラスの総合耐火物メーカーとしての地位確立
②お客様のニーズに応えるための対応力の強化
③株主、お取引先、地域社会など当社を支える皆様方からの高い信頼の獲得
④従業員にとって魅力に富み働きがいのある職場環境の創造
を目指します。
(2)経営戦略及び対処すべき課題等
2024年度の事業環境につきましては、世界的な金融引締め、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東地域をめぐる情勢などにより、世界経済・国内経済共に不安定な状況が継続すると見込まれます。また、当社グループの主要なお客様である国内の鉄鋼業界においては、前年度より自動車向け鉄鋼需要が回復しているものの、全体の粗鋼生産量は前年度比横ばいの見通しであり、高炉メーカーによる生産体制の再編も本格化しています。
当社グループにとりましても国内耐火物需要やエンジニアリング工事の減少、社会情勢に応じた賃金改善による人件費の上昇など事業環境の変化への対応が求められる状況ですが、持続的な成長を成し遂げていくために、国内外での拡販を行うと同時に、コストダウンの徹底、適正な製品価格の設定と販売構成の改善によるスプレッドの確保に努めてまいります。また、調達面では、原材料のコスト低減と調達リスクへの対応として、リサイクル原料を含めた代替原料への置換、調達ソースの多様化等を引き続き推進いたします。さらに、海外においては、オーガニックな成長だけでなく、M&Aや事業提携を積極的に行い、さらなる事業の強化・拡大を推し進めてまいります。
こうした環境下において当社グループが持続的成長を果たしていくため「ビジョン2030」及びそこからのバックキャスティングによる「第6次中期経営計画(2024年度~2026年度)」を2024年5月に公表いたしました。以下の「ビジョン2030 基本方針」を基に、事業成長と気候変動対策などの社会課題解決への取組みを表裏一体の活動として追求してまいります。
「ビジョン2030 基本方針」
「事業成長と社会課題解決への取組みを表裏一体として追求」
○グローバルな事業成長
・グローバルマーケットにおいて、トップグループの一員としてのプレゼンスを確保
・グローバル展開を支える国内拠点の整備と技術開発力の強化
○成長分野への進出
・各セクターにおける事業ポートフォリオの拡大
・ROICを重要指標とした事業投資・設備投資の展開
○サステナビリティへの対応(気候変動対策及び人的資本戦略の実行)
・お客様の脱炭素化に貢献する熱ソリューションを提供
・「人材獲得」、「人材定着」、「人材・組織開発」を軸とした経営基盤の確立
第6次中期経営計画の初年度にあたる2024年度においては、国内のアルミ業界を始めとする非鉄・工業炉分野への業容拡大、海外では2024年7月からの事業開始を予定しているインドネシア合弁会社(名称:PT. Shinagawa Refratech Perkasa)を拠点としたアセアン地域への事業拡大、さらにグローバルマーケットにおける新たなM&A案件を模索してまいります。また、中長期的な成長が見込まれる半導体製造装置関連への事業展開を加速するため、新たに獲得した半導体製造装置の組立・検査事業と当社グループの既存事業との連携を強化し、半導体製造装置業界に向けた一層の浸透と事業拡大を図ってまいります。
また、これらの成長戦略と共に気候変動への対応として、当社はリサイクル原料を一定量活用した製品を「Green Refractory」とし、製品開発や生産・販売を強化する取組みを開始しました。リサイクル原料の代替活用は、新規の耐火物原料製造時に発生するCO2排出量の削減に寄与し、資源の有効活用にも繋がる取組みとなります。現在推進中の耐火物技術、断熱材技術、さらに築炉エンジニアリング技術を融合させたお客様の高温プロセスにおける熱ロス低減へのソリューション提供と併せ、「Green Refractory」の浸透を図り、当社のみならずお客様やサプライチェーンを通じたCO2排出量削減に貢献いたします。さらに、人的資本を充実させ、事業成長とサステナビリティへの取組みを表裏一体として推し進めてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの主たる経営指標といたしましては、売上高経常利益率(ROS)及び自己資本利益率(ROE)を使用しております。これらに加え、収益性と効率性を図る経営指標として第6次中期経営計画の初年度である2024年度より投下資本利益率(ROIC)とEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)を導入いたします。国内外の経済環境が大きく変化する中で、当社グループは事業規模の拡大と経営の効率化を目指しております。