有価証券報告書-第122期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/22 13:29
【資料】
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【項目】
141項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、社名の由来でもある「Value & Quality」をスローガンとして、創業以来、価値ある製品の研究、開発、信頼を生む品質の高い製品の提供に努力してまいりました。そのなかで企業理念として「THE VALQUA WAY」を制定し、それを全グループ社員が共有したうえで、それぞれの業務における指針としております。
(2)経営戦略等
当社グループは、次期を開始年度とする2か年中期経営計画“New Frontier 2023”(NF2023)で掲げた基本方針、
《激変する世界情勢の中、「THE VALQUA WAY」のもと顧客の信頼に応え、
H(Hard)&S(Service)の両輪で新たな価値を創造し続ける企業を目指そう》
1.大胆なM&Aや業務提携の加速による新素材・新市場・新事業への参入
2.地政学リスクの増大に対応したサプライチェーン改革の断行
3.継続的な顧客価値を生み出すAI/ITソリューションの事業確立
4.新たなビジネス領域へ展開するための研究開発と人材育成の加速
5.既存事業をより強化するための設備投資の増強と販売チャネルの拡充
のもと、さらなる業容の拡大を強く意識し、諸戦略を着実にかつ迅速に推進いたします。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、創業100周年を展望する時期を迎えるにあたり、社員一人ひとりが改めてこの開拓者精神に立ち未知の領域を切り拓いていく必要があると考え、以下の通りに2027年3月期におけるありたい企業像と達成をめざす長期経営目標を設定いたしました。
創業100 周年(2027年)のありたい企業像
未来と未知に挑むチャレンジングな企業
―人類の豊かさと地球環境に貢献するために ―
1.あくなき成長戦略の追求とモニタリング
2.成長をゆるぎないものにする経営基盤の強化
3.より良き地球市民として「環境・社会・企業統治」への積極的な取り組み
2027年3月期経営目標
・連結売上高 800億円
・連結ROE 15%

(4)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に一定の歯止めがかかったものの、行動制限の影響や変異株による再拡大への懸念に加え、物価上昇への警戒も高まり、個人消費の戻りは限定的な水準にとどまりました。
当社が属する製造業においては、資本財を中心に好調な生産動向を示したものの、半導体などの部品の不足や物流の停滞等により一部の業界では生産に支障が生じ、さらには原材料などの価格上昇が企業収益を圧迫する状況となりました。
一方海外経済は、先進国を中心に個人消費や企業の生産活動は改善に向かったものの、物流コスト及び資源価格の上昇並びに変異株による感染の再拡大が重石となり、加えてロシアによるウクライナへの侵攻など地政学的リスクが顕在化したこともあり、回復の勢いは期末にかけて鈍化しました。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
次期に向けて当社周辺においては、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢など、世界全体の経済回復に向けた動きに影響を与え得る多くの不透明要素が存在しております。
このような事業環境下、当社グループは、(2)経営戦略等に掲げた方針を進めてまいります。
<事業展開について>シール製品事業につきましては、既存基盤の選択と集中による収益力の強化を進めるとともに、新規・高成長領域においても製販技の連携を強化し、顧客視点でのQCDSをさらに向上させ、当社独自のシールエンジニアリングサービスの提供を行います。今後も成長が期待される先端産業市場につきましても、高機能シール製品のソリューション展開・開発および生産体制の強化をグローバルに鋭意推進することで、飛躍的な拡大を目指します。
機能樹脂製品事業につきましては、新素材展開と事業の高付加価値化を積極的に展開することで、事業のスケールアップと収益力の強化を図ってまいります。
シリコンウエハーリサイクル事業他につきましては、“NF2023”の基本方針のひとつである「継続的な顧客価値を生み出すAI/ITソリューションの事業確立」のもと、収益力向上および成長につながる投資を確実に実行いたします。
また、これまで培ってきた「コア技術」を新製品開発および既存事業へ応用するとともに、新たな成長分野へ展開するための研究開発の積極投資と開発体制の強化を行ってまいります。
海外における事業展開につきましては、地政学リスクへの対応を含めたサプライチェーン改革の断行を含むさらなるリスク管理体制拡充を図り、H&S事業を基軸とした差別化戦略遂行と新市場への事業拡大を進めてまいります。
<サステナビリティ活動の推進と人材開発の強化>当社グループにおけるサステナビリティとは、企業理念である「THE VALQUA WAY」のもと、健全で持続的な成長と持続可能な社会を実現することであり、事業活動を通してサステナビリティ活動を推進し、世界中のステークホルダーに貢献していくものであると考えております。
人材開発につきましては、世界が未曾有の危機に直面している環境の中、改めてビジョナリー経営の強化へ立ち返り、「THE VALQUA WAY」の現場浸透を図ることで、新たな価値を創造し続けるコア人材の開発にも積極的に取り組んでまいります。
“NF2023”の推進にあたりましては、発想の転換と大胆なCX(コーポレートトランスフォーメーション)で、創業100周年に向けて新たな成長の土台作りにチャレンジいたします。また、リスクマネジメントとコンプライアンス遵守のためのグループ体制づくりの強化を図るとともに、社会の劇的変化に柔軟に対応しながら、戦略の完遂に向けて、グループ一丸となって果敢に挑戦してまいります。