有価証券報告書-第171期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/19 14:55
【資料】
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【項目】
176項目
②戦略
当社グループでは、国際エネルギー機関(IEA)等が提示する社会シナリオ、(一社)日本鉄鋼連盟や(一社)日本アルミニウム協会等の業界団体が策定・公表している長期ビジョンや、国のエネルギー政策等を考慮し、中長期的な気候関連のリスクと機会の分析を進めています。また、その分析により、当社グループ実行項目の適正性を評価しています。
<気候関連リスク>今後、カーボンプライシング導入をはじめとする気候変動に関する環境規制の強化等が当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を与える可能性があります。また、近年、洪水・台風に関する被害が激甚化する傾向にあり、気候変動による災害の増加により、生産量低下、サプライチェーンの混乱等が予想されます。<気候関連機会>気候関連問題の国際的な関心の高まりを背景に、CO₂排出量が少ない製品・サービスへの需要が増加しており、自動車軽量化やMIDREX®プロセスといった当社グループのCO₂削減貢献メニューの需要が中長期的に増加することが期待されます。

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③リスクと機会への対応(研究開発)
(ⅰ)生産プロセスにおけるCO₂削減
製鉄プロセスのCO₂削減に向けて、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する事業に鉄鋼他社とともに参画し、実用化に向けて技術開発を推進しています。その一つ「製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」は国の「グリーンイノベーション(GI)基金事業」に採択されており、2050年のカーボンニュートラルに向けた取組みを推進しています。
(ⅱ)技術・製品・サービスによるCO₂排出削減貢献
既存の削減貢献メニューである自動車軽量化に貢献する素材・部品、ヒートポンプ等では、更なるCO₂削減効果の追求を目的として、継続的な技術開発を進めています。また、新たなCO₂削減貢献技術・製品・サービスの開発にも積極的に取り組んでおり、MIDREX H2™(100%水素直接還元)等の開発を進めています。
④シナリオ分析
将来の気候関連のリスクと機会を把握するため、中期(2030年)及び長期(2050年)におけるシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析にあたっては、国際エネルギー機関(IEA)が公表する2℃シナリオ(SDS)、1.5℃シナリオ(Net Zero by2050)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書の4℃シナリオを用いており、それに加えて(一社)日本鉄鋼連盟や(一社)日本アルミニウム協会等、当社グループ所属の業界団体が公表する長期ビジョンも参照して分析・評価を実施しています。なお、電力事業については、日本国のエネルギー政策と密接に関係するため、日本政府のエネルギー政策をベースとしてシナリオ分析を実施しています。また、外部環境の変化も踏まえ、定期的にリスクと機会の分析・評価の見直しを行っています。
(ⅰ)ビジネスへの影響
当社グループのCO₂排出量の90%以上は製鉄プロセスに由来するため、鉄鋼業の中長期的な動向は当社グループのビジネスに最も大きな影響を与えます。(一社)日本鉄鋼連盟の「長期温暖化対策ビジョン『ゼロカーボン・スチールへの挑戦』」によると、経済成長と1人当たりの鉄鋼蓄積量には一定の相関があり、また人口が増えれば鉄鋼の蓄積総量は拡大することが示されています。したがって、今後、世界の経済成長と人口増加により鉄鋼の需要は増加し続けると予測されます。
鉄鋼の生産は、天然資源(鉄鉱石)からの生産(主に高炉、直接還元鉄)と、スクラップの再利用(主に電炉)による生産に大別することができ、(一社)日本鉄鋼連盟の予測によれば鉄鋼の蓄積総量の拡大によりスクラップの再利用が大きく増加することが見込まれています。一方で、スクラップの再利用だけでは鋼材需要を満たすことはできず、天然資源(鉄鉱石)からの生産も引き続き現在と同程度必要となることが予測されています。
気候変動への対応やその情報開示に対する関心が高まる中、鉄鋼業においてもCO₂削減への取組みの重要性は今後も高まることが見込まれています。そのため、政府・地方自治体の皆様、投資家様、お客様等のステークホルダーの皆様から、自社設備からのCO₂排出量の削減への取組みと、CO₂削減貢献メニューの拡販に対する関心等がさらに増加するものと予測しています。
(ⅱ)リスクと機会
当社グループは、主力事業の一つとして鉄鋼製品の生産・販売を行っており、エネルギー多消費型の素材産業に該当します。当社グループのCO₂排出量は15.6百万t(2022年度、Scope1,2)であり、日本の製造業の中でも上位に位置しています。そのことから、カーボンプライシングをはじめとする将来の気候変動に係る政策、法令・規制の動向は、経営に重大な影響を与える可能性がある移行リスクと認識しています。
また、物理的リスクとして地球温暖化の進行により、大気中の水蒸気が増加することで降水量が増加し、大雨や台風による被害が激甚化する傾向があることが各種研究機関や気象庁等から報告されています。当社グループでも、近年の台風や大雨の激甚化による生産停止やサプライチェーン混乱のリスクが顕在化しつつあり、気候変動に伴う台風や洪水等の自然災害の激甚化は、生産活動の停止につながる経営に重大な影響を与える可能性があるリスクと認識しています。
当社では、全社のリスク管理規程上、「気候関連規制」と「自然災害への備え、復旧」を事象発生時の影響が特に重大と予想されるリスクである「トップリスク」に位置付け、リスク管理の強化を図っています。
一方で機会に関しては、気候関連問題の国際的な関心の高まりを背景に、CO₂排出量が少ない製品・サービスへの需要が増加しており、自動車軽量化に貢献する素材・部品やMIDREX®プロセスといった当社グループのCO₂削減貢献メニューの需要が中長期的に増加することが期待されます。

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