有価証券報告書-第93期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/16 13:13
【資料】
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【項目】
114項目

研究開発活動

連結財務諸表提出会社の研究開発は、経営戦略に基づいた生産性向上と商品開発及び基礎技術開発を目的として商品開発に必要な各種設備の整備も行い、また、JFEスチール株式会社との共同研究等の連携も行いながら推進しており
ます。
当連結会計年度の主な研究開発の内容は次のとおりであり、研究開発費の総額は61百万円であります。
(1)素形材関連開発
平成26年3月に開発した究極のゼロ膨張材LEX-ZERO(レックス ゼロ)をプレス発表した結果、広範囲で注目を浴び、半導体・液晶露光装置を始め、精密加工機械、計測機器など先端産業分野で採用あるいは適用検討が行われております。また、同年11月には本技術開発に対し日本素形材センタ―より「素形材センタ―会長賞」を受賞いたしました。
このような背景から、平成26年度は、当社素形材商品の中で競争力が高く、かつ将来の発展性が期待される、超精密分野向けの低熱膨張材商品「LEX」の拡販を目的とした開発テーマに資源を集中いたしました。テーマは二つに分類され、一つは客先ニーズに応えるための高機能化に向けた材料開発であり、もう一つは鋳造品品質の向上や商品の
多様化のための製造プロセス開発であります。
1. 材料開発
客先ニーズに応えるため、高機能の各種LEX材の開発を進め、以下の成果が得られました。
①高ヤング率(剛性)LEX材の開発
ヤング率を当社比約30%向上した高ヤング率LEX材を開発し、弾性変形による精度低下を抑えることが可能
になりました。
②高温用高強度LEX材の開発
高温(600℃)でも低熱膨張でかつ高温強度の大きい高温用LEX材を開発いたしました。
本材料はエネルギー分野への適用が期待されております。
③低温安定化超低熱膨張LEX材の開発
LEX-ZEROの低温側適用温度範囲を拡げたLEX材の開発を行い、ほぼ目標に近い材料が得られました。これによって曝露温度制限が0℃から-50℃に緩和いたしました。
2. 製造プロセス開発
商品の高度化、多様化を図るため、各種製造プロセス開発を行い、以下の成果が得られました。
①LEX-ZEROの製造安定化技術の確立
ゼロ膨張を実現するには厳密な成分設計と高度な製鋼・精錬技術ならびに鋳造技術が必要となります。安定した製品を客先に提供するため、溶解・精錬技術を始め、鋳造・熱処理技術の改善を行いました。
②鋳造品の無欠陥化技術の開発
適正な条件で鋳造素材を熱間鍛造することにより、製品内部の欠陥を皆無とすることができました。
これにより、先端分野での適用が可能となりました。
③圧延加工商品の開発
圧延加工により、LEX-ZEROの板材、箔材、棒材、線材の試作に成功いたしました。鋳造品に加え、各種圧
延品の商品化が可能となりました。
(2)エンジニアリング関連開発
利用者サイドに立った提案を念頭におき、既存商品の高機能化、高付加価値化を主体とした研究開発を推進いたしました。また、平成26年度に当社が参加しました霞橋が土木学会の「田中賞」を受賞いたしました。当社は、100年以上前に製作された支承リフレッシュ工事で参加いたしました。これからは、老朽化する橋梁が増え維持管理技術が重要視される時代になることが予想されることから、老朽化する橋梁の維持管理や耐震の技術開発にも積極的に推進
してまいります。
① 機能分離型支承による免震・制震設計
当社を含む民間8社と独立行政法人土木研究所との共同研究の成果品である『すべり系支承を用いた地震力遮断機構を有する橋梁の免震設計法マニュアル(案)』が発刊されたため、機能分離型支承の受注が増加いたしました。更なる適用拡大の研究やコストダウンの研究を実施し、当社の機能分離型支承の拡販を図ります。
機能分離支承の商品ラインナップを充実化させるため、新たに、摩擦材の開発及びゴム系以外のダンパー材の開発を実施しております。橋梁用制震部材として低降伏点鋼を使用したLENS型せん断パネルダンパーを商品化しておりますが、更に、制震部材としてシリンダー型ダンパーを商品化しました。今後も、顧客ニーズにあった新商品開発に努めてまいります。
② 高減衰ゴム支承(商品名:HDR-S)
価格優位性、高機能性を武器として、比較設計によりHDR-S支承の提案に努め、堅実な受注成果をあげまし
た。更なる適用拡大の研究やコストダウンの研究を実施し、HDR-S支承の拡販を図ります。
③ Disk Rubber Bearing(商品名:DRB支承)
固定可動形式橋梁に適用するコンパクト化したゴム支承の商品を開発し、新たにラインナップに加え、受注
成果をあげました。今後、更なる適応拡大の研究やコストダウンの研究を実施し、拡販を図ります。