有価証券報告書-第130期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

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2020/03/19 14:56
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注記事項-金融商品、連結財務諸表(IFRS)

※27 金融商品
(1) 資本管理
当社は資本のうち、親会社の所有者に帰属する持分を自己資本として扱っております。
当社は長期安定的な企業価値の向上を経営の最重要課題としております。企業価値の持続的な向上を図るため、収益力の強化に向けて資本を十分に活用すること、将来の事業拡大を支えるのに足りる水準の資本を保持すること、株主還元の一層の充実を図ることを資本政策の基本方針としております。
当社はこの基本方針に基づき、内部留保については健全な経営の維持と将来の経営環境への対応を考慮の上、その使途を決定しており、利益配分については安定的な配当の維持及び向上を行っております。
なお、当社が適用を受ける重要な資本規制(会社法等の一般的な規定を除く)はありません。
(2) 信用リスク
当社の営業債権、契約資産、長期売掛金及び金融債権は相手方が債務を履行できなくなることにより、財務的損失を被る信用リスクにさらされております。
これらの信用リスクを軽減するため、営業債権及び契約資産については顧客の格付、取引内容、財務内容に応じた与信限度額を設定し、継続的にモニタリングを実施しております。また、営業保証金及び不動産担保の取得、保証契約等の保全措置も講じております。金融債権及び長期売掛金については契約時に外部機関または内部データベースに基づく信用情報調査を行っております。取引開始後は期日管理を行っており、期日経過日数に応じて督促、訪問、当社製品の回収等の措置を講じております。
連結財政状態計算書に表示されている金融資産の減損後の帳簿価額が当社の金融資産の信用リスクエクスポージャーの最大値です。なお、これらの資産は多数のディーラーまたは小口の最終ユーザーに対するものであり、特定顧客との取引に著しく集中する状況にはありません。
また、余剰資金の運用のために保有している金融資産及び為替リスクを軽減するために利用しているデリバティブは発行体の信用リスクにさらされております。
これらの信用リスクの発生を未然に防止するため、安全性の高い債券を中心に資金運用を行うとともに、高い格付を有する金融機関に限定して取引を行っております。
① 営業債権、契約資産及び長期売掛金に係る信用リスク測定
長期売掛金は日本において、主に個人の最終ユーザーに対し当社の農業機械を直接販売することにより生じるものです。
営業債権、契約資産及び長期売掛金は常に全期間の予想信用損失をもって貸倒引当金を算定しております。これらの資産については、信用リスクの特徴が類似する資産ごとにグルーピングし、過去の貸倒実績に現在の状況及び将来の経済状況の予測を考慮して予想信用損失を測定しております。信用減損金融資産については、個別債権ごとに予想信用損失を測定しております。信用減損金融資産に該当しているか否かは、債務者の重大な財政状態の悪化、長期の回収期日経過、債務者の破産等の客観的証拠により判断しております。なお、契約資産に関する予想信用損失に重要性はありません。
営業債権及び長期売掛金のリスク分類別の帳簿価額(貸倒引当金控除前)は次のとおりです。
(単位:百万円)
常に貸倒引当金を
全期間の予想信用損失
に等しい金額で測定
している金融資産
信用減損金融資産合計
前年度(2018年12月31日)696,7533,403700,156
当年度(2019年12月31日)720,1713,159723,330


貸倒引当金の増減は次のとおりです。
(単位:百万円)
常に貸倒引当金を
全期間の予想信用損失
に等しい金額で測定
している金融資産
信用減損金融資産合計
2018年1月1日2,7045753,279
再測定△279403124
回収△3△8△11
償却△232△232
その他△837△76
2018年12月31日2,1079773,084
再測定296184480
回収△167△56△223
償却△120△16△136
その他△12142
2019年12月31日2,1041,1033,207

② リース債権に係る信用リスク測定
当社は主にタイにおいて、ファイナンス・リースを提供しております。リース債権は個人及び法人の最終ユーザーに対する当社の農業機械等のリースに関連しております。これらの債権は最低リース料総額とリース資産の見積残存価額の合計額から未稼得金融収益及び貸倒引当金を控除した金額で評価しております。
リース債権は常に全期間の予想信用損失をもって貸倒引当金を算定しております。リース債権は地域及び回収期日経過日数でグルーピングした上で、過去の貸倒実績等を勘案し、予想信用損失を測定しております。一方、信用減損金融資産については、個別に予想信用損失を測定しております。信用減損金融資産に該当しているか否かは、長期の回収期日経過、債務者の破産等の客観的証拠により判断しております。回収期日経過があった場合でも、その原因が一時的な資金需要によるものであり、債務不履行のリスクが低く、近い将来に契約上のキャッシュ・フローの義務を履行する能力を有しているものと判断された場合には信用減損金融資産として取り扱っておりません。なお、信用減損金融資産に係る信用補完として当社製品を前年度2,047百万円、当年度4,864百万円有しております。
リース債権のリスク分類別の帳簿価額(貸倒引当金控除前)は次のとおりです。
(単位:百万円)
常に貸倒引当金を
全期間の予想信用損失
に等しい金額で測定
している金融資産
信用減損金融資産合計
前年度(2018年12月31日)224,69616,734241,430
当年度(2019年12月31日)279,38819,950299,338

リース債権の年齢分析は次のとおりです。
(単位:百万円)
30日内
経過
31~60日
経過
61~90日
経過
90日超
経過
期日経過
債権合計
未経過合計
前年度(2018年12月31日)8,4973,9502,61812,74127,806213,624241,430
当年度(2019年12月31日)19,2764,8322,78210,84637,736261,602299,338


貸倒引当金の増減は次のとおりです。
(単位:百万円)
常に貸倒引当金を
全期間の予想信用損失
に等しい金額で測定
している金融資産
信用減損金融資産合計
2018年1月1日5,75314,81320,566
再測定1,407691,476
償却△2,649△48△2,697
その他△129△147△276
2018年12月31日4,38214,68719,069
再測定3,7072,0605,767
償却△70△4,069△4,139
その他5759701,545
2019年12月31日8,59413,64822,242

③ 小売金融債権に係る信用リスク測定
当社は主に北米地域において、ディーラーを通して当社の農業機械等を購入した顧客に対して小売金融を提供しております。小売金融債権は個人及び法人の最終ユーザーに対する製品の提供に関して、当社とディーラーで交わされた契約により生じたものです。当該債権は償却原価から貸倒引当金を控除した金額で評価しております。
小売金融債権は当初認識以降に信用リスクが著しく増大していない場合は12ヶ月、信用リスクが著しく増大している場合は全期間の予想信用損失をもって貸倒引当金を算定しております。小売金融債権については、主として回収期日経過日数でグルーピングした上で、報告期間の末日時点の信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、過去の貸倒実績に現在の状況及び将来の経済状況の予測を考慮して、12ヶ月の予想信用損失を測定しております。
信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合は、過去の貸倒実績に現在の状況、将来の経済状況の予測及び当社製品の差押えによる回収可能価額等を勘案し、全期間の予想信用損失を測定しております。信用減損金融資産に該当しているか否かは、主として一定の期日経過情報に基づいて判断しておりますが、債務者の破産等のその他の客観的証拠も考慮しております。なお、信用減損金融資産に係る信用補完として当社製品を前年度1,587百万円、当年度1,553百万円有しております。
小売金融債権のリスク分類別の帳簿価額(貸倒引当金控除前)は次のとおりです。
(単位:百万円)
貸倒引当金を12ヶ月
の予想信用損失に
等しい金額で測定
している金融資産
貸倒引当金を全期間の予想信用損失に
等しい金額で測定している金融資産
合計
信用リスクが当初
認識以降に著しく
増大したが、信用
減損金融資産では
ない金融資産
信用減損金融資産
前年度(2018年12月31日)665,8831,0771,807668,767
当年度(2019年12月31日)715,0401,5481,958718,546

小売金融債権の年齢分析は次のとおりです。
(単位:百万円)
30日内
経過
31~60日
経過
61~90日
経過
90日超
経過
期日経過
債権合計
未経過合計
前年度(2018年12月31日)38,4333,5427011,27943,955624,812668,767
当年度(2019年12月31日)45,7604,0621,1211,84352,786665,760718,546


貸倒引当金の増減は次のとおりです。
(単位:百万円)
貸倒引当金を12ヶ月
の予想信用損失に
等しい金額で測定
している金融資産
貸倒引当金を全期間の予想信用損失に
等しい金額で測定している金融資産
合計
信用リスクが当初
認識以降に著しく
増大したが、信用
減損金融資産では
ない金融資産
信用減損金融資産
2018年1月1日1,0582341411,433
再測定48788751,370
償却△33△3△860△896
その他726473
2018年12月31日1,5192412201,980
再測定5851811,3842,150
償却△45△5△1,344△1,394
その他△2694△265
2019年12月31日1,7904172642,471

(3) 流動性リスク
当社は債務の履行が困難になるという流動性リスクにさらされております。
当社は適切に剰余金を維持し、キャッシュ・フローの計画と実績をモニタリングすることにより、流動性リスクを管理しております。
金融負債の期日別残高は、次のとおりです。
前年度(2018年12月31日)(単位:百万円)
帳簿価額契約上の
キャッシュ・
フロー
1年以内1年超
5年以内
5年超
営業債務306,759306,759306,759
その他の金融負債59,18759,20255,8853,3161
社債及び借入金839,265866,625360,751505,874
デリバティブ2,9422,9421,5191,423

当年度(2019年12月31日)(単位:百万円)
帳簿価額契約上の
キャッシュ・
フロー
1年以内1年超
5年以内
5年超
営業債務293,774293,774293,774
その他の金融負債99,995100,66672,84223,8623,962
社債及び借入金902,981933,126400,614532,512
デリバティブ9,1129,1126,7632,3481


(4) 市場リスク
① 為替リスク
主として国際的な事業活動に係る外貨建資産及び負債が外国為替レートの変動リスクにさらされており、このリスクを軽減するために先物為替契約、通貨スワップ契約及び通貨金利スワップ契約を行っております。
当社が報告期間の末日に保有する外貨建金融商品について、日本円が1%円高になった場合に連結損益計算書の税引前利益が受ける影響は次のとおりです。なお、下表には円建の金融商品並びに在外営業活動体の資産、負債、収益及び費用を円貨に換算する際の影響は含んでおりません。また、算定に使用した各通貨以外の通貨は変動しないことを前提としております。
(単位:百万円)
前年度
(2018年12月31日)
当年度
(2019年12月31日)
米ドル△528△351
ユーロ△228△115
タイバーツ△2△19
中国元△77△64

② 金利リスク
当社は固定金利及び変動金利の債務を有しており、主としてこれらの債務が金利リスクにさらされております。このリスクをヘッジするために、金利スワップ契約及び通貨金利スワップ契約により固定金利と変動金利の変動に対応しており、金利リスクは当社のキャッシュ・フローにとって重要ではありません。
(5) デリバティブ及びヘッジ会計
「※3 重要な会計方針 (3) 金融商品 ③ デリバティブ及びヘッジ会計」に記載のとおり、当社はヘッジ会計を適用しておりません。
(6) 金融商品の公正価値
① 公正価値で測定する金融商品
公正価値で測定する金融商品の公正価値は次のとおりです。
(単位:百万円)
前年度(2018年12月31日)
レベル1レベル2レベル3合計
金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する
金融資産
負債性金融資産15,72315,723
資本性金融資産108,4843,025111,509
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
デリバティブ
先物為替契約1,1711,171
金利スワップ契約5555
通貨金利スワップ契約1212
124,2071,2383,025128,470
金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
デリバティブ
先物為替契約9696
金利スワップ契約422422
通貨金利スワップ契約2,4242,424
2,9422,942


(単位:百万円)
当年度(2019年12月31日)
レベル1レベル2レベル3合計
金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する
金融資産
負債性金融資産8,1808,180
資本性金融資産106,2182,632108,850
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
デリバティブ
先物為替契約6464
通貨スワップ契約1414
114,398782,632117,108
金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
デリバティブ
先物為替契約2,2312,231
通貨スワップ契約100100
金利スワップ契約1,2151,215
通貨金利スワップ契約5,5665,566
9,1129,112

レベル1に区分した負債性金融資産及び資本性金融資産は活発な市場における同一資産の市場価格を用いて評価しております。
デリバティブは主要な国際的金融機関による提示相場を用いて評価しているためレベル2に区分しております。
レベル3に区分した資本性金融資産は非上場株式であり、EBIT倍率(1.9~11.5倍)を用いた類似企業比較法等により公正価値を測定しております。なお、EBIT倍率が上昇(下落)した場合、公正価値は増加(減少)します。
レベル間の振替は振替のあった報告期間の末日に認識しております。当年度においてレベル間の重要な振替が行われた金融商品はありません。
レベル3に分類された金融商品の当年度における変動は次のとおりです。
(単位:百万円)
前年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
当年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
期首残高8,1233,025
利得または損失(注)△4,422△369
取得22501
売却△698△525
期末残高3,0252,632

(注) 利得または損失は前年度末及び当年度末時点で保有する非上場株式に関するものであり、連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動」に含めております。
② 償却原価で測定する金融商品
償却原価で測定する金融商品の帳簿価額及び公正価値は次のとおりです。
(単位:百万円)
前年度
(2018年12月31日)
当年度
(2019年12月31日)
帳簿価額公正価値帳簿価額公正価値
金融債権小売金融債権666,787640,184716,075699,687
リース債権222,361251,150277,096316,736
長期売掛金67,54772,62566,86371,829
社債及び借入金839,265829,736902,981901,316

金融債権、長期売掛金、社債及び借入金の公正価値は、将来のキャッシュ・フローを現行の市場利子率によって割引いた現在価値により表示しており、レベル2に分類されます。なお、上記長期売掛金には連結財政状態計算書の営業債権に含まれる、1年以内に回収予定の長期売掛金を含めております。
現金及び現金同等物、営業債権(1年以内に回収予定の長期売掛金を除く)、その他の金融資産(公正価値で測定する負債性金融資産、資本性金融資産及びデリバティブを除く)、営業債務及びその他の金融負債(デリバティブを除く)については満期までの期間が短いため、公正価値は帳簿価額と近似しております。なお、これらの公正価値は現金及び現金同等物がレベル1、それ以外はレベル2に分類されます。
(7) 金融資産と金融負債の相殺
強制可能なマスターネッティング契約または類似の契約の対象のうち、金融資産と金融負債の相殺の要件の一部または全部を満たさないため相殺していない金額に重要性はありません。
  • 有価証券報告書-第130期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)