有価証券報告書-第130期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

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2020/03/19 14:56
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注記事項-重要な会計方針、連結財務諸表(IFRS)

※3 重要な会計方針
(1) 連結の基礎
① 子会社及びストラクチャード・エンティティ
子会社とは、当社が支配を有している事業体をいいます。支配を有しているとは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動にさらされ、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を及ぼす能力を有している場合をいいます。当社は、議決権または類似の権利の状況や投資先に関する契約内容、取締役の過半数が当社から派遣されている役員及び従業員で占められているか等、支配の可能性を示す諸要素を総合的に判断して支配の有無を決定しております。
連結子会社の財務諸表は、支配獲得日から支配喪失日までの間、当社の連結財務諸表に含まれており、連結子会社が適用する会計方針が当社の適用する会計方針と異なる場合には、当該子会社の財務諸表を修正しております。連結財務諸表の作成に際して、連結会社間の債権債務残高、内部取引高及び未実現損益は消去しております。支配の喪失を伴わない連結子会社に対する所有持分の変動については、資本取引として会計処理しております。一方、支配の喪失を伴う連結子会社に対する所有持分の変動については、支配を喪失した時点の公正価値で残存する持分を測定した上で、支配の喪失から生じた利得及び損失を純損益として認識しております。
ストラクチャード・エンティティとは、議決権または類似の権利が支配の有無の判定において決定的な要因とならないように設計された事業体をいいます。当社は、証券化による資金調達に際し、金融債権の一部を新たに設立したストラクチャード・エンティティに譲渡しておりますが、譲渡後も金融債権に対する回収延滞や不履行を管理し、ストラクチャード・エンティティの残余持分も保有しております。そのため、当社はストラクチャード・エンティティの経済実績に最も重要な影響を与える活動を指図する能力を有し、潜在的に重要な損失を負担する義務を有することから、当該ストラクチャード・エンティティを連結しております。
② 関連会社及び共同支配企業
関連会社とは、当社がその財務及び営業方針に重要な影響力を有しているものの、支配または共同支配は有していない事業体をいいます。当社は投資先の議決権の20%以上50%以下を直接または間接的に保有する場合、重要な影響力がないことが明確に証明できない限り、投資先に対して重要な影響力を有していると推定しております。
共同支配企業とは、当社を含む複数の当事者が共同支配の取決めに基づき、それぞれの当事者が投資先の純資産に対する権利を有している場合の当該投資先をいいます。共同支配とは、契約上合意された支配の共有であり、関連性のある活動に関する意思決定に支配を有している当事者全員の一致した合意を必要とする場合をいいます。
関連会社及び共同支配企業に対する投資は、投資先が関連会社または共同支配企業に該当すると判定された日から該当しないと判定された日まで、持分法で会計処理しております。関連会社または共同支配企業に該当しなくなり、持分法の適用を中止した場合については、連結子会社に該当することとなる場合を除き、残存する持分を公正価値で測定した上で、持分法の適用中止から生じた利得及び損失を純損益として認識しております。
また、関連会社及び共同支配企業に対する投資が減損している可能性を示唆する客観的な証拠が存在する場合には、当該関連会社または共同支配企業に対する投資全体を単一の資産として、減損テストを実施しております。
(2) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は取引日における為替レートまたはそれに近似するレートにより機能通貨に換算しております。
報告期間の末日における外貨建貨幣性項目は報告期間の末日の為替レートで、公正価値で測定される外貨建非貨幣性項目は当該公正価値の測定日の為替レートで、それぞれ機能通貨に換算しております。当該換算及び決済により生じる換算差額は純損益として認識しております。
② 在外営業活動体の財務諸表
在外営業活動体の資産及び負債は報告期間の末日の為替レートで、収益及び費用は報告期間の平均レートでそれぞれ換算しております。当該換算により生じる換算差額はその他の包括利益として認識しております。
在外営業活動体を処分し、支配または重要な影響力を喪失する場合には、当該在外営業活動体に関連する為替換算差額の累計額は、処分に係る利得または損失の一部として当該在外営業活動体が処分された報告期間において純損益に振替えられます。
(3) 金融商品
① 金融資産(デリバティブを除く)
(当初認識)
営業債権及び金銭債権はこれらの発生日に、その他の金融資産は当社が当該金融資産の契約当事者となった時点(取引日)に、公正価値(直接帰属する取引コストを含む)で当初認識しております。ただし、重大な金融要素を含まない営業債権は取引価格で測定しております。
(分類及び事後測定)
金融資産は、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産のいずれかに分類しております。
償却原価で測定する金融資産
金融資産は、次の要件をともに満たす場合に実効金利法による償却原価で事後測定しております。具体的には、当初認識時に測定された金額から元本の返済を控除し、当初の金額と満期金額との差額の実効金利法による償却累計額を加減するとともに、貸倒引当金を調整しております。
・当社のビジネスモデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有している場合
・契約条件により特定された日に元本及び元本残高に係る利息の支払のみによるキャッシュ・フローを生じさせる場合
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
金融資産は、次の要件をともに満たす場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に分類しております。
・当社のビジネスモデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方を目的として保有している場合
・契約条件により特定された日に元本及び元本残高に係る利息の支払のみによるキャッシュ・フローを生じさせる場合
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
資本性金融資産については公正価値の変動をその他の包括利益で認識するという選択を行っております。
資本性金融資産の認識を中止した場合、または公正価値が取得原価より低くなり、その価値下落が一時的ではないと判断された場合、当該金融資産に係る公正価値の純変動の累積額は利益剰余金に振替え、純損益では認識しておりません。
なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産からの受取配当金については、投資の払い戻しであることが明らかな場合を除き、金融収益として純損益で認識しております。
(認識の中止)
金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、または金融資産のキャッシュ・フローを受取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済的便益のほとんどすべてが移転した場合に、当該金融資産の認識を中止しております。
(償却原価で測定する金融資産の減損)
償却原価で測定する金融資産について、報告期間の末日に回収状況、過去の貸倒実績、経済状況の趨勢、債務者の支払能力や現担保価値等を考慮して予想信用損失に係る貸倒引当金を評価して認識しております。報告期間の末日時点で信用リスクが低いと判断される場合、当該金融資産に係る信用リスクが当初認識時以降に著しく増大していないと評価し、12ヶ月間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。回収期日経過日数が30日を超えた場合、合理的な反証がない限り、信用リスクが当初認識以降著しく増大していると評価し、全期間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。ただし、営業債権、契約資産、長期売掛金及びリース債権については常に全期間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。予想信用損失または戻入れの金額は、販売費及び一般管理費に含めて純損益で認識しております。合理的な回収見込みがないと判断された債権については、当該金融資産の総額での帳簿価額を直接減額しております。なお、当社は債務不履行を「支払能力の喪失」と定義しております。
② 金融負債(デリバティブを除く)
(当初認識)
金融負債は契約の当事者になった時点(取引日)に、公正価値(直接帰属する取引コスト控除後)で認識しております。
(分類及び事後測定)
金融負債は償却原価で測定する金融負債に分類しております。当初認識後は実効金利法を用いた償却原価により測定しております。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得及び損失は、純損益として認識しております。
(認識の中止)
金融負債に係る契約上の義務の履行等によりこれが消滅した場合に、金融負債の認識を中止しております。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当社は、為替リスクや金利リスクをヘッジするために、先物為替契約、金利スワップ契約等のデリバティブを利用しておりますが、ヘッジ会計の適用要件を満たしていないためヘッジ会計を適用しておりません。これらのデリバティブは、契約が締結された日の公正価値で当初認識し、当初認識後は公正価値で再測定しております。デリバティブの公正価値の変動はすべて純損益で認識しております。
④ 公正価値の測定
公正価値は測定に使用するインプットに応じて、次の3つのレベルに分類されます。
レベル1-活発な市場における同一資産・負債の市場価格
レベル2-レベル1以外の直接的または間接的に観察可能なインプット
レベル3-観察不能なインプット(企業自身の仮定から得られるインプット及び合理的に入手可能なインプットまたは多くの市場参加者が合理的だとして用いているインプット等)
(4) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(5) 棚卸資産
棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のうちいずれか低い方の金額で測定しております。取得原価には、購入原価、直接労務費、直接経費、正常生産能力に基づく製造間接費及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のすべてのコストを含めております。取得原価は主として移動平均法に基づいて算定しております。正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成までに要する原価の見積額及び販売に要するコストの見積額を控除して算定しております。
(6) 有形固定資産
有形固定資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で表示しております。取得原価には、資産の取得に直接起因するコスト、解体・除去及び原状回復のコスト、並びに資産計上の要件を満たす借入コストを含めております。
土地及び建設仮勘定以外の有形固定資産は、それぞれの見積耐用年数にわたって主に定額法により償却しております。主要な有形固定資産の見積耐用年数は、建物及び構築物10~50年、機械装置及びその他の有形固定資産2~14年です。なお、減価償却方法、耐用年数及び残存価額は少なくとも報告期間の末日に見直しを行い、変更が必要な場合は会計上の見積りの変更として将来に向かって調整しております。
(7) 無形資産
無形資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で表示しております。耐用年数が限定されない無形資産は取得原価から減損損失累計額を控除した金額で表示しております。
開発活動における支出は、次のすべての要件を満たす場合に限り無形資産として認識しております。
(ⅰ)使用または売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
(ⅱ)無形資産を完成させ、さらにそれを使用または売却するという意図
(ⅲ)無形資産を使用または売却できる能力
(ⅳ)無形資産が蓋然性の高い将来の経済的便益を創出する方法
(ⅴ)無形資産の開発を完成させ、それを使用または売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
(ⅵ)開発期間中の無形資産に起因する支出を信頼性をもって測定できる能力
なお、上記の要件を満たさない開発活動に関する支出は、発生時に費用として認識しております。
耐用年数が限定される無形資産は、それぞれの見積耐用年数にわたって定額法により償却しております。主要な無形資産の見積耐用年数は、自社利用ソフトウェア主として5年、資産計上した開発費(以下「開発資産」)5年です。なお、償却方法及び耐用年数は少なくとも報告期間の末日に見直しを行い、変更が必要な場合は会計上の見積りの変更として将来に向かって調整しております。
(8) リース
当社は2019年1月1日(以下「適用開始日」)よりIFRS第16号「リース」を適用しております。当社はIFRS第16号の適用にあたり、すべてのリースに関して適用開始日に累積的影響を認識する方法を選択しており、比較情報については従前の基準であるIAS第17号「リース」を適用しております。
なお、IFRS第16号における貸手の会計処理に関する要求事項はIAS第17号における貸手の会計処理に関する要求事項を実質的に引き継いでいるため、当社の貸手の会計方針についてはIFRS第16号の適用前後で重要な変更はありません。
(借手)
比較情報に適用している会計方針は次のとおりです。
リース取引のうち、資産の所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合はファイナンス・リースとして分類し、それ以外の場合にはオペレーティング・リースとして分類しております。
ファイナンス・リースに係る資産及び負債は、リース開始日に算定したリース物件の公正価値または最低リース料総額の現在価値のいずれか低い金額で当初認識しております。当初認識後、当該資産については見積耐用年数またはリース期間のいずれか短い方の期間にわたって定額法により減価償却しております。最低リース料総額は負債の返済部分と金融費用に配分され、金融費用は負債残高に対して一定の期間利子率となるようにリース期間にわたって純損益で認識しております。なお、リース資産は連結財政状態計算書の有形固定資産に、リース負債は連結財政状態計算書のその他の金融負債(流動)及びその他の金融負債(非流動)に含めて表示しております。
オペレーティング・リースに係るリース料は、リース期間にわたって定額法により費用として純損益で認識しております。
当年度の会計方針は次のとおりです。
当社はリースの開始日において使用権資産及びリース負債を認識しております。
ただし、リース期間が12ヶ月以内であるリース(以下、「短期リース」)及び原資産が少額であるリースについては、使用権資産とリース負債を認識せず、リース期間にわたって定額法により費用として純損益で認識する方法を選択しております。
使用権資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で連結財政状態計算書の有形固定資産に含めて表示しております。使用権資産の取得原価には、リース負債の当初測定の金額、リースの開始日以前に支払ったリース料、借手に発生した当初直接コスト、原資産の原状回復の際に借手に生じるコストの見積りを含めております。使用権資産は見積耐用年数とリース期間のいずれか短い方の期間にわたって定額法により減価償却しております。
リース負債はリースの開始日において支払われていないリース料を同日現在の借手の追加借入利子率を用いて割引いた金額で測定しております。リース料には固定リース料、変動リース料のうち指数またはレートに応じて決まる金額、購入オプションの行使価格、リースの解約に対するペナルティの支払額を含めております。リースの開始日後は、リース負債の残高に対して毎期一定の率となる金利費用を純損益で認識し、当該金利費用及び支払われたリース料を反映するように測定しております。なお、リース負債は連結財政状態計算書のその他の金融負債(流動)及びその他の金融負債(非流動)に含めて表示しております。
リース期間は、リースの解約不能期間に、行使することが合理的に確実な延長オプションまたは行使しないことが合理的に確実な解約オプションの期間を加えて決定しております。
リースの開始日後においてリース期間の変化及び原資産を購入するオプションについての判定に変化があった場合、改訂後のリース料を改訂後の割引率で割引くことによって、リース負債を再測定しております。
なお、当社は実務上の便法として、原資産のクラスごとに、非リース構成部分をリース構成部分と区別せずに各リース構成部分及び関連する非リース構成部分を単一のリース構成部分として会計処理することを選択しております。
(貸手)
リース取引のうち、資産の所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合はファイナンス・リースとして分類し、それ以外の場合にはオペレーティング・リースとして分類しております。
ファイナンス・リースに係る債権は、正味リース投資未回収額で当初認識しております。ファイナンス・リースに係る収益は、正味リース投資未回収額に対して一定の期間利益率となるようにリース期間にわたって純損益で認識しております。
(9) 非金融資産の減損
棚卸資産及び繰延税金資産を除く非金融資産については、報告期間の末日において、資産または資金生成単位で減損の兆候の有無を評価し、兆候が存在する場合は当該資産または資金生成単位の回収可能価額を見積っております。
のれん、耐用年数が限定されない無形資産及び未だ使用可能ではない無形資産については、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生または状況が変化した時点で減損テストを実施しております。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額としております。使用価値は、資産または資金生成単位から将来発生すると見込まれるキャッシュ・フローを見積り、貨幣の時間価値、及び当該資産または資金生成単位に特有のリスクを反映した税引前の割引率を使用して現在価値に割引くことで算定しております。
資金生成単位は、他の資産または資産グループからのキャッシュ・インフローとは概ね独立したキャッシュ・インフローを生成させるものとして識別される最小の資産グループの単位であり、個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を算定しております。
全社資産は独立してキャッシュ・インフローを発生させないため、全社資産に減損の兆候がある場合は、当該全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額に基づき、減損テストを実施しております。
資産または資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該金額を減損損失として純損益で認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、当該資金生成単位内の各資産の帳簿価額に基づき、比例的に各資産に配分しております。
過年度に認識したのれん以外の資産または資金生成単位の減損損失については、報告期間の末日において当該減損損失の戻入れの兆候の有無を判定しております。戻入れの兆候が存在する場合は、当該資産または資金生成単位の回収可能価額を見積り、回収可能価額が帳簿価額を上回る場合は減損損失の戻入れを行っております。減損損失の戻入れは、過年度において当該資産または資金生成単位について認識された減損損失がなかったとした場合の償却または減価償却控除後の帳簿価額を上限とし、純損益で認識しております。
(10) 引当金
過去の事象の結果として現在の法的または推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に引当金を認識しております。
引当金は、報告期間の末日における現在の債務を決済するために要する支出に関する最善の見積りで測定されます。また、貨幣の時間的価値の影響が重要な場合には、引当金は債務の決済に必要と見込まれる支出の現在価値で測定されます。
(11) 退職後給付
当社は従業員の退職給付制度として確定給付制度及び確定拠出制度を設けております。
(確定給付制度)
親会社及び主に国内における大部分の連結子会社は、確定給付企業年金制度または退職一時金制度を採用しております。確定給付負債または資産の純額は、確定給付制度債務の現在価値と制度資産の公正価値の差額で算定されます。
確定給付制度が積立超過である場合は、制度からの返還または将来掛金の減額という利用可能な将来の経済的便益の現在価値を資産上限額としております。
確定給付制度債務は、その制度ごとに予測単位積増方式により算定され、その現在価値は将来の見積給付額を割引いて算定されます。割引率は給付支払の見積時期及び金額を反映した報告期間の末日時点の優良社債の市場利回りに基づいて決定しております。
給付水準改訂等の制度変更により生じる過去勤務費用は、発生時に全額純損益として認識しております。
また、確定給付負債または資産の純額の再測定は、発生時にその他の包括利益で認識し、直ちに利益剰余金に振替えております。
(確定拠出制度)
親会社及び一部の連結子会社では確定拠出年金制度を有しております。当該制度への拠出は、従業員が労働を提供した期間における要拠出額を従業員給付費用として純損益で認識しております。
(12) 収益認識
① 顧客との契約から生じる売上高
販売金融収益を除く顧客との契約から生じる売上高について、次の5ステップアプローチに基づき認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する
ステップ5:履行義務を充足した時点で(または充足するに応じて)売上高を認識する
当社は注記「※1 報告企業」のとおり、多種多様な製品・サービスの提供を行っております。
製品販売については、製品に対する物理的占有、所有に伴う重大なリスク及び経済価値の顧客への移転状況といった支配の移転に関する指標を勘案した結果、製品に対する支配を顧客に移転して履行義務を充足するのは製品の引渡時点であると当社は判断し、当該時点で売上高を認識しております。
また、当社は工事請負契約を顧客と締結しております。当該契約については、当社の履行により他に転用できる資産を創出せず、かつ、現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利を当社が有していることから、資産の支配を一定の期間にわたって顧客に移転していると考えております。このため、報告期間の末日において測定した履行義務の充足に係る進捗度に基づき、工事期間にわたって売上高を認識しております。なお、当社は、総工事原価の妥当な積算を行うこと、及びこれらの契約に係る進捗度を合理的に見積ることが可能であることから、進捗度の測定についてはインプット法の使用が適切であると考えており、契約ごとの見積総原価に対する発生原価の割合を用いております。
売上高は顧客との契約において約束された対価から値引き、購入量に応じた割戻し等を控除した金額で測定しております。変動性がある値引き、割戻し等を含む変動対価については、過去、現在及び予想を含む合理的に利用可能なすべての情報を用いて当社が権利を得る対価の金額を見積り、重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ売上高を認識しております。
契約に複数の履行義務が識別される場合は、主に観察可能な独立販売価格の比率でそれぞれの履行義務に取引価格を配分しております。
② 販売金融収益
当社は、ディーラーを通して当社の農業機械等を購入した最終ユーザーに対して小売金融またはファイナンス・リースといった販売金融サービスを提供しております。
販売金融サービスから生じる金融債権に係る金利収益は契約期間にわたって実効金利法により認識しており、連結損益計算書の売上高に含めて表示しております。
(13) 法人所得税
法人所得税は当期税金及び繰延税金から構成されており、企業結合に関連するもの及びその他の包括利益または資本に直接認識される項目を除き、純損益で認識しております。
当期税金は報告期間の末日において制定または実質的に制定されている税率及び税法を用いて、税務当局に納付または税務当局から還付されると予想される金額で測定しております。
繰延税金は資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との差額である一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して認識しております。
繰延税金資産は将来減算一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除を利用するのに十分な課税所得を稼得する可能性が高い場合にのみ認識し、繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異に対して認識しております。
ただし、連結子会社、関連会社及び共同支配企業に対する投資に関する将来加算一時差異については、当該一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合は、繰延税金負債を認識しておりません。また、連結子会社、関連会社及び共同支配企業に対する投資に関する将来減算一時差異については、当該一時差異からの便益を利用するのに十分な課税所得があり、予測可能な将来において実現する可能性が高い範囲でのみ繰延税金資産を認識しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、報告期間の末日における制定または実質的に制定されている税率及び税法に基づき、資産が実現する期間または負債が決済される期間に適用されると予想される税率を用いて測定しております。
繰延税金資産の帳簿価額は報告期間の末日において見直し、繰延税金資産の一部または全部の税務便益を実現させるのに十分な課税所得の稼得が見込めないと判断される部分について、繰延税金資産を認識しておりません。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、当期税金資産及び当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税企業体に対して課されている場合に相殺しております。
また、税務当局が当社の税務処理を認める可能性に不確実性が存在する場合、関連する課税所得等を決定する際に当該不確実性を反映しております。
(14) 1株当たり利益
基本的1株当たり親会社の所有者に帰属する当期利益は、報告期間における発行済普通株式の加重平均株式数で親会社の普通株主に帰属する当期利益を除して算定しております。希薄化後1株当たり親会社の所有者に帰属する当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しております。
(15) 会計方針の変更
当社は適用開始日よりIFRS第16号「リース」を適用しております。
IFRS第16号は従前、IAS第17号「リース」で規定されていたファイナンス・リースとオペレーティング・リースの分類を廃止し、借手のリースについて、リース開始日に使用権資産及びリース負債を認識することを要求しております。
当社はIFRS第16号の適用にあたり、すべてのリースに関して、適用開始日に累積的影響を認識する方法を適用しております。
(リースの定義)
当社は従前、契約締結時にIAS第17号及びIFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断」に基づいて、契約がリースであるか、またはリースを含んでいるかを判断しておりました。IFRS第16号では、契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか、またはリースを含んでいるものとされます。
IFRS第16号への移行にあたり、当社は取引がリースであるか否かに関する従前の判定を引継ぐ実務上の便法を適用することを選択しました。従前IAS第17号及びIFRIC第4号のもとでリースとして識別されていた契約にのみIFRS第16号を適用し、リースとして識別されなかった契約については、リースであるか否かの見直しは行っておりません。
従って、IFRS第16号に基づくリースの識別は適用開始日以降に締結または変更された契約にのみ適用しております。
(借手の処理)
当社は適用開始日時点での残存リース料を同日現在の借手の追加借入利子率を用いて割引いた金額でリース負債を測定しております。
使用権資産はリース負債と同額で計上しております。
また、当社は従前、IAS第17号を適用してオペレーティング・リースに分類していたリースにIFRS第16号を適用する際に次の実務上の便法を適用しております。
・一部の原資産クラスに関して、特性が合理的に類似したリースのポートフォリオに単一の割引率を適用する。
・減損レビューの代替として、適用開始日直前におけるIAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」を適用して不利であるかどうかの評価に依拠し、認識した不利なリースに係る引当金の金額で使用権資産を調整する。
・適用開始日の使用権資産の測定から当初直接コストを除外する。
・延長または解約オプションが含まれている契約のリース期間を算定する際に、事後的判断を使用する。
また、当社は従前、IAS第17号を適用してファイナンス・リースに分類していたリースについて、適用開始日の使用権資産及びリース負債の帳簿価額をIAS第17号を適用して測定した同日直前におけるリース資産及びリース負債の帳簿価額で測定しております。
(財務諸表への影響)
IFRS第16号への移行にあたり、当社は期首の有形固定資産、その他の金融負債(流動)及びその他の金融負債(非流動)をそれぞれ39,472百万円、13,856百万円、25,616百万円計上しております。
なお、適用開始日の連結財政状態計算書に認識したリース負債を測定する際に適用した加重平均利子率は0.7%です。
また、適用開始日直前である前年度においてIAS第17号を適用して開示した解約不能なオペレーティング・リース契約(割引後)と適用開始日の連結財政状態計算書において認識されたリース負債との調整表は次のとおりです。
(単位:百万円)
金額
解約不能なオペレーティング・リース契約 (2018年12月31日)10,769
ファイナンス・リース契約に係るリース負債 (2018年12月31日)1,957
解約可能なオペレーティング・リース契約26,007
行使することが合理的に確実な延長オプション3,545
その他△849
適用開始日において認識されたリース負債 (2019年1月1日)41,429

(16) 未適用の新たな基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに公表されている新設または改訂が行われた主な基準書及び解釈指針のうち、適用が強制されないため、当年度において適用していないものは次のとおりです。
基準書基準名強制適用時期
(以降開始年度)
当社適用年度新設・改訂の内容
IFRS第17号保険契約2021年1月1日2021年12月期保険会計についての首尾一貫した会計処理を策定

IFRS第17号の適用による当社の連結財務諸表への影響は検討中であり、現時点で見積ることはできません。
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