有価証券報告書-第87期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/30 9:20
【資料】
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【項目】
117項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や所得・雇用環境の改善に支えられ、緩やかな回復基調で推移しましたが、中国をはじめとした新興国経済の減速に加え、英国のEU離脱問題や米国新政権の政策動向など世界経済の不確実性の増大により、景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。
当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)が属するステンレス鋼線業界では、建材関連の需要が期を通じて堅調に推移したことに加え自動車関連の需要が好調であったため、業界出荷数量は前期比増加となりました。また、LMEニッケル価格は期前半に底入れし、その後緩やかながら上昇基調となりました。
このような状況の中、当社グループでは、連結経常利益40億円以上、連結経常利益率(ROS)10%以上などを経営目標とする『第13次中期計画(SR17)』(最終年度平成30年3月期)の達成に向け、収益の一段の向上に鋭意取り組んでまいりました。
売上高は、金属繊維部門は前期比増収となりましたが、主力のステンレス鋼線部門が、販売数量は増加したもののニッケル価格変動に起因する販売価格下落の影響などにより前期比減収となった結果、当期の売上高は317億99百万円(前期比1.1%減)となりました。損益につきましては販売数量の増加に伴う工場操業度の改善などにより営業利益25億60百万円(同3.6%増)、経常利益25億35百万円(同0.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億71百万円(同9.2%増)と前期比増益となりました。
事業部門別の業績は、次のとおりであります。
①ステンレス鋼線
SR17の重点施策である高機能・独自製品の拡販に加え、建材関連需要が期を通じて堅調に推移したことや自動車関連需要が好調であったことなどにより販売数量は増加しました。一方、期前半にニッケル価格は底入れしたものの、販売価格の低迷が長期化し増収には至りませんでした。
この結果、ステンレス鋼線の売上高は264億23百万円(前期比2.3%減)となりました。
②金属繊維
ナスロンフィルターは、設備投資案件が国内外とも低調に推移したため減収となりましたが、超精密ガスフィルター(ナスクリーン)は韓国や台湾での半導体メーカーを中心とした設備投資が好調に推移したため大幅な増収となりました。
この結果、金属繊維の売上高は53億76百万円(前期比5.3%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高の相殺消去前の金額を記載しております。
①日本
主力のステンレス鋼線部門では、販売数量は増加しましたが、販売価格の低迷が長期化し売上高は減収となりました。
一方、金属繊維部門は、ナスロンフィルターは低調となりましたが、超精密ガスフィルター(ナスクリーン)が好調に推移した結果、売上高は増収となりました。
これらの結果、売上高は304億15百万円(前期比2.0%減)と前期比減収となったものの、ステンレス鋼線の販売数量増加に伴う工場操業度の改善などにより、セグメント利益は24億90百万円(同3.6%増)と前期比増益となりました。
②タイ
ステンレス鋼線の販売数量が増加した結果、売上高は29億24百万円(同3.1%増)となりましたが、製造コストの悪化などによりセグメント利益は1億35百万円(同26.8%減)となりました。
③中国
中国国内向けが堅調に推移したことなどにより、現地通貨ベースでは僅かに増収となりましたが、円高現地通貨安の影響により売上高は2億98百万円(同8.3%減)、セグメント損失は0百万円(前期は37百万円の損失)となりました。
なお、上記記載金額には消費税等は含まれておりません。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、仕入債務の増加や長期借入れによる収入などにより、前連結会計年度末に比べ26億39百万円増加の122億31百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は37億94百万円(前期比23.9%増)となりました。これは主として、仕入債務の増加などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は12億36百万円(同17.7%減)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出が減少したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は67百万円(前期は15億12百万円の使用)となりました。これは、前期に発生した自己株式の取得による支出がなくなったことや長期借入れによる収入があったことなどによるものであります。