有価証券報告書-第3期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 13:12
【資料】
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【項目】
127項目

業績等の概要

(1)業績
当期の世界経済は、米国や欧州においては緩やかな景気回復が持続したものの、新興国においては中国やアセアン諸国等の経済成長の鈍化が表面化してきました。足元では中国の景気減速が一段と鮮明になり、世界の株式・為替市場に大きく影響を与え、また中東をはじめとする地政学的リスクも依然有り、景気の先行き不透明感が高まっております。
我が国の経済は、資源安や第3四半期までの円安の背景はあったものの、個人消費や企業の設備投資が伸び悩みました。
このような環境の下、当期の当社グループの業績につきましては、販売量の増加や為替換算の影響等があったものの、昨年5月以降の急激な地金価格下落による影響を受け、売上高は575,735百万円(前期比0.6%増)と、ほぼ前期並となりました。一方、損益面におきましては、地金価格下落に伴う棚卸評価関係による悪化や、昨年8月より一貫生産を開始したタイ王国の板圧延工場立ち上げコストの増加等の影響により、営業利益は15,212百万円(同35.8%減)、経常利益は12,010百万円(同43.7%減)となり、前期を下回る結果となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期に発生したTri-Arrows Aluminum Inc.の製造委託先であるLogan Aluminum Inc.での設備故障による損失等に対する受取保険金を特別利益として計上したものの、5,105百万円(同41.0%減)に留まり、前期を下回りました。
セグメント別の状況については、以下のとおりであります。
アルミ圧延品事業
国内アルミニウム圧延品業界の需要については、板・押出合わせた圧延品合計で前年比微減ではありましたが、2年連続で200万トンの大台を突破いたしました。板類は、缶材でコーヒー缶用需要の伸長が継続しました。また、自動車材ではトラック・バス関連需要の堅調に加え、アルミ外板を採用している人気車種のモデルチェンジにより需要増等が見られました。これらが箔地や輸出のマイナスを補い、板類総量では前年比プラスの実績となりました。押出類に関しては、主力の建築分野を始めほぼ全ての分野で需要が低迷し、前年比で減少となりました。
一方、米国の缶材市場は、アルコール飲料用で増加しましたが、健康志向の高まりにより炭酸系飲料用で減少し前年並みとなりました。
そのような環境の中、当社グループの売上数量は、板類に関しては、自動車分野の数量が前年に比べ増加し、厚板もLNG船の需要が本格化しましたが、IT関連需要等で伸び悩みました。また、缶材につきましては、タイ王国の板圧延工場が一貫生産を開始したことや、北米子会社のTri-Arrows Aluminum Inc.の製造委託先における設備故障の影響もなくなったことから、前年比プラスとなりました。押出類に関しては、オールアルミ熱交換器用の材料で空調用への採用が本格化し大きく伸長しましたが、それ以外は業界傾向と同様全般的に需要が弱く、前年比マイナスとなりました。
このような販売状況により、当期のアルミ圧延品事業の売上高は460,858百万円(前期比2.0%増)となりました。一方、営業利益は、当期の急激な地金価格下落に伴う棚卸評価関係による悪化や、タイ王国における板圧延工場立ち上げコスト増加等の影響により、18,121百万円(同22.1%減)となりました。
伸銅品事業
伸銅品業界においては、家庭用エアコンの国内出荷台数は前期並となりましたが、上半期の在庫増加の影響により生産台数は減少しました。また、業務用パッケージエアコンも商業関連等の需要は堅調でしたが、建築及び公共工事需要等の停滞により、全体の生産台数が低調に推移しました。この結果、当事業の主力である空調用銅管も影響を受け、当期の伸銅品事業の売上高は46,878百万円(前期比7.3%減)、営業利益は339百万円(同67.5%減)となりました。
加工品・関連事業
事業譲受等により、当期の加工品・関連事業の売上高は167,081百万円(前期比3.4%増)となりましたが、需要伸び悩みによる受注減少の影響により、営業利益は3,747百万円(同17.9%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,135百万円減少し、18,814百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度比4,266百万円(前連結会計年度比15.9%)減少し、22,511百万円となりました。これは、主に仕入債務の減少を主因とした運転資金の増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度比14,909百万円(同30.0%)減少の34,759百万円となりました。これは、主に前連結会計年度に比べタイ王国における板圧延工場建設の設備投資を中心とした有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により調達した資金は、前連結会計年度比14,517百万円(同56.5%)減少の11,176百万円となりました。これは、主に投資活動による資金の需要が減少したことによるものです。