有価証券報告書-第89期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/25 10:18
【資料】
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【項目】
176項目
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「鋼の強靭さと人の優しさを融合させ、高品質で安心・安全な社会基盤づくりに貢献する」ことを経営理念として掲げ、「社会インフラが成熟・多様化していく時代に適時的確に対応し、あらゆる分野において、『受け継ぐ技術、さらなる高みへ』を合言葉に、信頼される総合エンジニアリング企業を目指す」ことをビジョンとしております。新(第5次)中期経営計画では、持続的成長と企業価値の向上を実現するために、「変革とチャレンジ」をキーワードとして、中長期的に基幹事業ポートフォリオの最適化を図り、事業利益のさらなる向上を目指すことを基本方針としております。
(2)経営戦略等
① 第5次中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の基本方針
持続的成長と企業価値の向上を実現するために、第5次中期経営計画の基本方針は、『変革とチャレンジ』をキーワードとして、中長期的に基幹事業ポートフォリオの最適化を図り、事業利益のさらなる向上を目指します。
当社のメイン事業領域としている橋梁需要は、新設橋梁から橋梁保全にシフトしつつある一方で、人財不足の恒常化と材料費の高騰等、受注環境はますます厳しさを増すことが予想されます。こうした市場環境の中で、人財や設備、資金等の資源を有効に活用し、事業利益のさらなる向上を目指すため、事業戦略、財務戦略及び経営基盤強化を下記のとおり実行します。
② 第5次中期経営計画の見直しについて
当社グループは、2024年5月に、2027年3月期までの3か年(第88期~第90期)を対象とする第5次中期経営計画を公表し、最終年度における当社グループ連結の数値目標として、売上高288億円、営業利益8.4億円、経常利益12.7億円を掲げ、事業利益の向上を目指し、事業戦略、財務戦略および経営基盤の強化に取り組んでまいりました。
しかしながら、足元の事業環境につきましては、国内における新設鋼橋発注量の低迷や、鉄骨需要の伸び悩みなどにより、第5次中期経営計画策定時に想定していた前提条件との間に乖離が生じております。
こうした環境を踏まえ、第5次中期経営計画の最終年度を迎えるにあたり、それまでの進捗状況を総合的に勘案した結果、数値目標を売上高235億円、営業利益2億円、経常利益11億円へ見直しを行っております。
Ⅰ.事業戦略
(ⅰ) 鋼構造物製造事業
a 新設橋梁事業
新設橋梁においては、今後の市場環境変化を見据えた事業戦略の構築に取り組みます。そのためには受注戦略を強化し、中部地区を重点とした受注戦略とともに、他地域への営業活動も展開し、受注機会の拡大を図ってまいります。また設計変更対応力の強化、DXの推進による生産プロセスの強化、工場原価管理の強化など、利益向上のあらゆる施策を実行してまいります。
b 橋梁保全事業
橋梁保全においては、市場の更なる拡大が期待され、大型特殊橋保全工事に加え中小規模橋梁保全案件を継続して受注することを目指し、高速道路の大規模更新/床版取替工事にも注力いたします。橋梁保全市場の多様化に対応し、エンジニアリング力に厚みを増すため、地元ゼネコンやグループ会社との連携を推進し、更なる強化と拡大に努め、利益向上のあらゆる施策を実行してまいります。
c 鉄骨・鉄構事業
鉄骨・鉄構においては、新設橋梁発注量の中長期的縮小が見込まれる中で、首都圏超高層案件に取り組むことを新規事業と同等のチャレンジと位置付けし、設備投資と人的投資を行いつつ社内体制を確実に構築するとともに、着実な成長を目指してまいります。
(ⅱ) その他の事業
a 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業においては、安定的な収益源として、一定規模を確保しつつも、資本効率を考慮した資産の入れ替え、売却等の実施も検討してまいります。
b 材料販売事業
材料販売事業においては、新規顧客の開拓及び既存顧客への販売増加を積極的に進め、売上拡大を図ります。厚板の外部販売比率を拡大するために、商社鉄骨と一般ファブリケーターへの販売を強化してまいります。
c 海外・新規事業
海外その他並びに新規事業においては、事業創造本部で一元して掌握いたします。海外現地法人の更なる利益拡大を目指すとともに、大学や異業種とのアライアンスを構築し、既存事業における技術開発に繋げ、将来に向けての種まきとなる新規事業の企画をしてまいります。
Ⅱ.財務戦略
財務戦略としては、利益の拡大による営業活動キャッシュ・フローの向上と投資有価証券等の売却、銀行借入等、資本効率を意識した多様な調達手段を活用し、人的資本や設備、M&A等への投資並びに株主還元を戦略的に行ってまいります。
株主とのコミュニケーション強化として、ESGやサステナビリティなどの非財務情報に関する目標を設定し、モニタリングを開始するとともに積極的なIR活動を実施いたします。
Ⅲ.経営基盤の強化
(ⅰ) DX戦略
DX戦略においては、業務の効率化や自働化、ロボット化、デジタルアーカイブの構築等、財務、工場、工事現場等のあらゆる場面でDX化を進めてまいります。
(ⅱ) 人財戦略
人財戦略においては、事業戦略と連動させ、変化する事業環境にも適応できる専門人財の育成や多様な人財の活用・配置、社員の価値観と自律性を尊重し、働きがいのある労働環境を整備し社員エンゲージメントの向上に取り組む等人的資本にも積極的に投資を進めてまいります。
第5次中期経営計画は、本業である鋼構造物製造事業における利益のさらなる向上を目指すことを最重要課題と位置づけ、資本効率を意識した経営の実現に向けた基盤固めを行う3か年と考えております。上記の戦略を実行することによって中長期的にROE等の改善と資本コストの低減を実現し、次期中期経営計画での資本効率を意識した目標設定の具体化につなげていきたいと考えております。
(3)経営環境
経営環境につきましては、国内において慢性的な人手不足や入札競争の激化といった構造的課題に加え、建設コストの上昇や投資判断の慎重化を背景として、民間建設投資や鉄骨需要は力強さを欠いた推移が見込まれております。また、公共分野においても、今年度の新設鋼橋発注量は前年度と同様、引き続き厳しい水準が想定されており、足元の需要動向については慎重な見極めが必要な状況にあります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
①新設橋梁事業
新設橋梁事業につきましては、国内の橋梁需要が新設橋梁から橋梁保全へのシフトが進み、中長期的には新設橋梁の市場は減少傾向にあります。こうした厳しい環境の中、第5次中期経営計画の重点施策である中部地区を重点とした受注戦略を継続するとともに、他地域への営業活動も展開し、受注機会の拡大を図ることと併せて、受注競争力を左右する技術提案力の一層の向上と、工場製作においては製造プロセスの見直しによる利益率向上および不適合品の削減が課題となります。
②橋梁保全事業
橋梁保全事業につきましては、国土強靭化・防災減災への取り組み強化により、高速道路の床版取り替えや橋梁の耐震補強等修繕・更新需要は高水準の発注量を維持していくことが見込まれます。特に大規模保全工事の受注を目指し、中部地区中心の受注から地域および発注者の範囲を広げ、鋼橋に限定されない発注内容に対するリサーチ力および技術提案力の強化を図るとともに、社内異動や即戦力の採用等による配置技術者の増強、グループ会社との協業、さらにはゼネコン等への積極的な働きかけが課題となります。
③鉄骨・鉄構事業
鉄骨・鉄構事業につきましては、第5次中期経営計画において年間約400万tの発注量を見込んでおりましたが、足元実績は想定を下回る年間約350万tで推移しております。こうした厳しい環境の中、2024年10月にM&Aにより取得した㈱菊池鉄工所との協業案件を積極的に推進することで、当該事業分野における当社グループの競争力および存在感の一層の向上が課題となります。併せて、案件ごとの予実管理を徹底し、原価管理の精度向上を図るとともに、不適合の削減を通じた品質向上と手戻り防止による収益改善が課題となります。
④デジタル化及び働き方改革
上記の①~③の取り組み課題に共通するリスクは人財不足です。我が国の労働者人口は既に減少し始めており、働き方改革により女性や高齢者の労働参加率を高める取り組みがなされています。しかし、絶対的な人口不足や労働者人口自体の高齢化は着実に進行しており、ロボットやデジタル化の活用が省力化、省人化対策として期待されています。当社グループにおきましても、働き方改革による人財確保やロボット・デジタル技術等DX推進による生産性向上、ビジネスモデルの変革、高齢化に伴う技術者及び工場作業員の人財不足への対応と技術伝承が課題です。
⑤財務上の課題
当社グループは、第5次中期経営計画の遂行に伴い、売上規模の拡大に加え、厳しい受注環境への対応や生産性向上に向けた設備投資等により、今後、必要資金の更なる増加が見込まれることから、同計画に定める財務戦略に基づき、収益力の強化による営業キャッシュ・フローの創出が課題となります。併せて、投資有価証券の売却、金融機関からの借入等、多様な資金調達手段を活用し、資本効率を意識した資金運営を行うとともに、これらの資金を人的資本、設備投資、M&Aおよび株主還元等に適切に配分していくことも課題となります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
橋梁・鉄骨業界を取り巻く経営環境が一層の厳しさを増していくなか、当社グループといたしましては、企業競争力の強化に努め、適正な受注量の確保を重要な施策と位置付け、売上高、利益面でバランスの取れた収益力を目指しております。2026年度に第5次中期経営計画の最終年度を迎えるにあたり、直近の事業環境等を踏まえて計画の見直しを公表いたしました。なお、当社は引き続き売上高、営業利益(営業利益率含む)及び経常利益(経常利益率含む)を目標指標としております。

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