有価証券報告書-第56期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、鋼製容器事業を基盤として、たえざる成長をもとめ、新しい価値を創造するとともに、環境に優しい、安心、安全、健康な社会の発展に貢献することを経営方針としております。
(2)目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略
当社は、2014年に2015年度より2017年度までの3年間を実行期間とする中期経営計画を策定し、「国内ドラム事業の質的成長」と「中国ドラム事業の拡大」、「高圧ガス容器の事業化」に取り組み、企業体質の強化と事業の拡大、成長戦略の推進を図っております。
(中期経営計画の概要)
今後の経営環境につきましては、国内ではドラム缶マーケット縮減の流れは続くものの、ユーザーの製品開発の多様化が加速、機能化学品へのシフトが進展する一方、中国のドラム缶需要は引続き増加、市場の拡大に伴い、用途の多様化を背景とした特殊缶・高付加価値缶へのニーズが高まるものと思われます。また高圧ガス容器は、2017年のシェールガス輸入開始に伴う天然ガス自動車用容器の国内需要復活や海外での市場拡大、医療用酸素容器の需要増に加え、成長分野として燃料電池自動車関連容器が本格的な普及期を迎えると想定されます。当中期経営計画では経営環境の変化を的確に捉え、計画の達成に向け、以下の経営基本方針を実践してまいります。
<1>中期企業ビジョン
(ドラム事業)
・アジアで最も信頼され、存在感のある、高収益の革新的一貫スチールドラムメーカー
(高圧ガス容器事業)
・アジアの高圧ガス容器メーカーの先駆けとして、最適な高圧ガス容器の供給を通じて、来るべきクリーンエ ネルギー社会の発展に貢献する企業
<2>経営基本方針
①事業拡大・成長戦略の推進を図る
(ⅰ)国内ドラム事業の質的成長
(ⅱ)中国ドラム事業の拡大
(ⅲ)高圧ガス容器の事業化
②技術オリエンテッドの会社を目指す
<3>経営指標 (2016年度における進捗状況)
| 中期計画目標(2017年度) | 進捗状況(2016年度) | |
| ①販売数量 | グループ全体 1,200万缶 | グループ全体 963万缶 |
| ②売上高 | 350億円 | 274億円 |
| ③ROS | 2014年度(7.8%)と同水準を維持 | 10.8% |
| ④ROE | 2014年度(8.5%)と同水準を維持 | 8.2% |
<4>重点施策
①国内ドラム事業の質的成長
(ⅰ)安定した高品質を実現するための安定操業技術のたゆまぬ改善と、保全力・生産性向上、固定費見直しに
よるコスト低減の推進
(ⅱ)新製品等差異化商品開発および、各種の固有のサービス提供による質的成長戦略の実現
(ⅲ)高効率工場の実現(革新的プロセス技術の開発など)
②中国ドラム事業の更なる拡大
(ⅰ)成長戦略と構造改革の同時推進
(ⅱ)4拠点で年産1,000万缶能力のフル活用を目指す
(ⅲ)収益基盤の強化(高騰する労務費対策としての省力化推進等)
(ⅳ)差異化商品の投入
③高圧ガス容器の事業化
(ⅰ)「天然ガス自動車用容器」の製造・販売の事業化(海外への展開も視野に活動)
(ⅱ)「燃料電池自動車向け次世代水素ガス容器」の開発と実供給の開始
<5>中期経営計画の実行状況
中期経営計画2年目にあたる2016年度は、ドラム事業につきましては、重点施策である基幹系設備の計画的更新並びに全工場でのTPM活動展開、生産性向上対策や固定費削減、コンセプトドラム缶に代表される新商品開発等を着実に実行してまいりました。また、高圧ガス容器につきましては、医療用酸素容器の拡販と高圧水素ガス容器の新商品の早期の市場投入と更なる開発に取り組んでまいりました。
その結果、目標とする経営指標のうち売上高は国内ドラムの販売価格低下、元安による中国ドラム売上高の減少により中期経営計画最終年度の目標を下回りましたが、国内ドラムの品種構成の改善や生産性向上、コストダウンなどによる増益によりROSは最終年度の目標を達成し、ROEも目標とほぼ同程度となりました。
中期経営計画策定時に比べ2017年度の事業環境は、中国経済成長の伸び悩み、国内外の鋼材価格の高騰等により厳しさを増しており、ドラム缶販売数量はグループ全体1,200万缶の目標に対し、2017年度1,000万缶を目指してまいります。売上高はドラム缶販売数量の減少に加え、高圧ガス容器事業の事業化の遅れにより、目標350億円に対し2017年度311億円を見通しております。当社グループは中期経営計画に掲げた重点施策の具体化を加速するとともに、事業環境の変化に適応し販売価格の改善やさらなるコストダウンにより収益改善を図り、目標とする経営指標であるROS・ROEの達成を目指してまいります。
(対処すべき課題)
国内経済は緩やかな回復傾向にあるものの、当社グループの事業分野である産業用容器業界では、主要需要家である化学石油業界において設備の統廃合や一部停止、海外拠点への生産シフト等が続いており、マーケットの規模は中長期的には縮小傾向にあると言わざるを得ません。
収益の柱である国内ドラム事業は、目下、鋼材価格の急騰に加え、副資材・エネルギー単価・輸送費の上昇など事業を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあります。量的な拡大が望めない中、今後とも当社グループがドラム缶のトップメーカーとして成長し続けるためには、①設備投資の増額により、品質・能率向上を目的としたリフレッシュ工事の集中的な実施、②安定した操業・品質・生産性の実現を図るため、自主保全活動等を通じた人材育成、設備保全体制の充実を図るなど「製造基盤の強化」が重要な経営課題であると認識し推進してまいります。さらに、新製造プロセスの開発・研究を進めるための研究開発予算の増額や、コンセプトドラム缶等の新商品の開発継続並びに実缶製造・販売の実現に向け「技術開発を加速」させていきます。
中国ドラム事業は、重慶工場の稼動により4拠点体制が確立し今後数量面での拡大が期待されますが、需要の伸びが鈍化傾向にある中、競合ドラムメーカーの能力増強による競争激化に加え、鋼材価格の高騰が収益圧迫要因となっています。鋼材価格の高騰に対しては販売価格の改善並びに、鋼材の調達方法の見直しや使用技術の改善でコストダウンを図るとともに新商品の積極的投入等、機能面での差異化の徹底で新たな市場を開拓し、収益の拡大に努めてまいります。
高圧ガス容器事業に関しましては、需要が伸びつつある医療用酸素容器の拡販に取組むとともに、水素ステーション用蓄圧容器の早期の市場投入と、燃料電池自動車搭載用複合容器の実用化に向けた開発を加速いたします。将来の成長事業としてビジネスチャンスを的確に捉え、体質の強化と事業基盤の確立を図り、収益改善に取組んでまいります。