四半期報告書-第153期第3四半期(平成26年10月1日-平成26年12月31日)

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2015/02/09 14:43
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間における当社を取り巻く市場環境は、景気について緩やかな回復基調が続いております。国内における設備投資はおおむね横這いとなっており、海外においては一部に弱さが見受けられるものの、緩やかに回復している状況にあります。ただし、米国の金融政策正常化に向けた動きの影響や新興国経済の先行き不透明な状況、地政学的リスク等について留意しなければならない状況が続いております。
このような環境の下で当社グループは、平成25年度を初年度とする3ヶ年の中期経営計画の2年目として、「環境・エネルギー分野への注力」と「海外ビジネスの拡大」、「全社的なコストダウン」をキーワードに事業活動を展開してまいりました。
水環境事業においては、国内上下水道設備の増設・更新需要の取込みや施設の運転管理、維持管理業務の営業活動を推進してまいりました。また、設備の建設と長期の維持管理業務が一体となったPFI(*1)、DBO(*2)事業やFIT(*3)を活用した発電関連分野への営業展開を進めてまいりました。
一方、産業事業においては、国内外の各種産業分野におけるプラントおよび単体機器、さらには、環境関連設備の営業活動を幅広く展開してまいりました。
また、手持工事の完成に向けて尽力するとともに、価格競争力確保のために海外を含む新規ベンダーの開拓や主要機器の一部を海外企業へ製造委託していくなどのコストダウン活動を引き続き展開し、工事採算の向上を図ってまいりました。
その結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、次のとおりとなりました。
受注高は486億99百万円(前年同期比82億47百万円の減少)、売上高は429億64百万円(前年同期比20億52百万円の増収)となりました。また、損益面につきましては、営業利益は7億27百万円(前年同期比2億51百万円の減益)、経常利益は12億8百万円(前年同期比79百万円の減益)、四半期純利益は9億94百万円(前年同期比9億64百万円の減益)となりました。
なお、海外ビジネスの拡大および単体機器ビジネス強化に向けた施策の一環として、平成26年10月6日に「大同ケミカルエンジニアリング株式会社」を、平成26年12月29日にドイツ「BOKELA GmbH」を買収いたしました。これによる当第3四半期連結累計期間の当社連結業績への影響は軽微であります。
*1:PFI(Private Finance Initiative)
施設整備を伴う公共サービスにおいて、民間の有する資金、技術、効率的な運用ノウハウなどを活用する仕組み
*2:DBO(Design Build Operate)
事業会社に施設の設計(Design)、建設(Build)、運営(Operate)を一括して委ね、施設の保有と資金の調達は行政が行う方式
*3:FIT(Feed-in Tariff)
再生可能エネルギーを用いて発電された電気を、一定価格で電気事業者が買い取ることを義務付けた制度(固定価格買取制度)
当社グループは、上下水道設備を主要マーケットとする水環境事業と、化学、鉄鋼、食品等の産業用設備および廃液や固形廃棄物処理等環境関連設備を主要マーケットとする産業事業の2つを主たる事業と位置付けており、それら以外の事業をその他としておりますが、その主要な事業内容は以下のとおりであります。
事業区分主要な事業内容
水環境事業1)浄水場・下水処理場等プラントの設計・建設
2)上記プラントに使用される脱水機、乾燥機、焼却炉等各種単体機器の設計・製造・販売
3)浄水場・下水処理場におけるPFI、DBO事業
4)浄水場・下水処理場設備の運転・維持管理・補修およびこれらに付随する業務
5)下水処理場における消化ガス発電事業
産業事業1)化学、鉄鋼、食品等プラントの設計・建設
2)上記プラントに使用される晶析装置、ろ過機、分離機、乾燥機、ガスホルダ等各種単体機器の設計・製造・販売
3)廃液・廃水・固形廃棄物処理等プラントの設計・建設
4)バイオマスエタノール製造プラントの設計・建設
5)真空技術応用装置および関連部品の設計・製造・販売
6)一般・産業廃棄物処理事業
その他1)大型図面・各種書類等の印刷・製本
2)事務所ビル・駐車場等の不動産管理・賃貸

当第3四半期連結累計期間におけるセグメントの業績は、次のとおりであります。
(水環境事業)
水環境事業においては、引き続き公共投資は底堅い動きを見せております。また、複数年および包括O&M業務(*4)や設備建設と長期の維持管理業務を一体化したPFI、DBO事業等の発注は引き続き増加しております。
このような状況の下で当社グループは、国内の上下水道用汚泥処理設備の増設・更新需要を取込むために、汚泥消化ガス関連設備や汚泥焼却設備の営業活動を強化、推進してまいりました。また、PFI、DBO事業においては、水道分野における大型PFI案件の獲得を果たし、O&M業務においても、複数の大型補修工事の積み上げに注力することで受注高を確保してまいりました。さらに、FITを活用した汚泥消化ガス発電事業においても、複数の事業案件について優先交渉権を獲得しました。
その結果、当第3四半期連結累計期間における水環境事業の受注高は299億84百万円(前年同期比64億99百万円の減少)となり、売上高は235億14百万円(前年同期比11億33百万円の減収)となりました。営業利益は5億20百万円(前年同期比56百万円の増益)となりました。
*4:包括O&M業務
設備の運転管理業務だけでなく、設備の補修工事や薬品等の供給も含めた包括的な維持管理業務
(産業事業)
産業事業においては、国内の各種産業分野の設備投資は概ね横這いの傾向が続いております。一方、海外においては一部に弱さが見受けられ、景気の下振れリスクに留意する必要はあるものの、緩やかに回復している状況にあります。
このような状況の下で当社グループは、国内外における各種プラント設備および分離機や乾燥機等の単体機器の営業活動を展開してまいりました。また、環境関連においては、国内および海外向けに廃液燃焼システムや塩酸回収設備等の営業活動を展開してまいりました。また、事業拡大に向けた施策の一環として国内外でのM&Aを実行いたしました。
その結果、当第3四半期連結累計期間における産業事業の受注高は186億80百万円(前年同期比17億15百万円の減少)となり、売上高は194億15百万円(前年同期比32億18百万円の増収)となりました。営業利益は1億47百万円(前年同期比2億95百万円の減益)となりました。
(その他)
その他においては、当第3四半期連結累計期間における受注高は34百万円(前年同期比33百万円の減少)となり、売上高は34百万円(前年同期比33百万円の減収)となりました。営業利益は59百万円(前年同期比13百万円の減益)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は943億45百万円となり、前連結会計年度末に比べ43億42百万円減少しました。これは主に、仕掛品の増加38億76百万円および投資有価証券の増加54億75百万円等はあったものの、現金及び預金が46億84百万円、受取手形及び売掛金が38億18百万円および有価証券が40億円それぞれ減少したこと等によるものであります。
負債合計は375億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ54億13百万円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金が24億14百万円、未払法人税等が10億23百万円および前受金が12億74百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
純資産合計は568億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億70百万円増加しました。これは主に、四半期純利益の計上等により利益剰余金が2億9百万円、株式時価評価によりその他有価証券評価差額金が9億43百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(3) 事業上および財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題について重要な変更および新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 会社の支配に関する基本方針
当社は、「ほとんど輸入であった諸産業の機械装置を国産し、製糖産業を出発点として、化学工業、金属精錬等の興隆に奉仕する」という創業の精神の下、1905年の創業以来、乾燥、ろ過、蒸留、分離、焼却といった単位操作技術に基づく産業機械や環境装置を設計、製造してまいりました。また、自社の製品やプロセスを核としたプラントの設計、建設といったエンジニアリングを手がけ、さらには、建設したプラントのメンテナンスや維持管理、運転管理等を請け負う等、総合的な技術ソリューションをお客様に提供することで、「かけがえのない地球環境を守り、豊かな社会の礎になる諸産業に寄与する」ことを実践してまいりました。
当社は、企業が継続して発展していくには、お客様、従業員、取引先および株主等のステークホルダーとの良好な関係等を維持し発展させ、技術を基盤として中長期的な視点に立って経営することが、企業価値ひいては株主共同の利益を確保し向上させることに繋がるものと認識しております。
当社取締役会は、上場会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社取締役会の賛同を得ずに当社株式の大規模な買付けを行う大規模買付行為であっても、企業価値および株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではなく、当該大規模買付行為に応じるかどうかは、最終的に、当該大規模買付行為が当社の企業価値および株主共同の利益に資するものか否かを適切に把握した株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えております。
もっとも、当社株主の皆様が、大規模買付行為が当社の企業価値および株主共同の利益に資するものか否かを適切に把握し、当該大規模買付行為に応じるか否かを判断するには、大規模買付者から十分な情報提供がなされ、さらには、現に当社の経営を担っている当社取締役会から当該大規模買付行為に対する当社取締役会の評価、意見等を含めた十分な情報が提供されることが必要であると考えております。
そこで当社取締役会は、当社株式に対する大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを当社株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が当社株主の皆様に必要に応じて代替案を提案するために必要な情報や時間を確保するために、必要な手続きを定めることとし、当該大規模買付行為を行う者が当該手続きを遵守しない場合および遵守した場合でも、当該大規模買付行為が当社の企業価値および株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合には、企業価値および株主共同の利益に反する大規模買付行為を抑止するための取組みが必要不可欠であると判断いたします。
② 基本方針を実現するための取組み
当社は、「最良の技術をもって産業の発展と環境保全に寄与し、社会に貢献する」、「市場のニーズを先取りし、最良の商品とサービスを顧客に提供する」、「創意と活力によって発展し、豊かで働きがいのある企業をめざす」ことを企業理念として定めております。当社はこの企業理念の下、工場での製造技術を基盤とし単位操作技術を駆使した機械、装置の開発から設計、製造を行い、プロセス開発を手がけ、それら機械や装置、プロセスを核にしたプラントエンジニアリングを行い、さらには、そのメンテナンスや維持管理、運転管理をお客様に提供し、産業の発展と環境保全に寄与することで社会貢献を果たしております。これらの当社および当社グループが提供する一連のサービスは、開発・設計・調達・製造・建設・アフターサービスといった当社および当社グループのバリューチェーンによって成せるものであり、このバリューチェーンを有することが当社の強みであり、特徴であると認識しております。
当社は、当社の主たる事業領域を、上下水道設備を主要マーケットとする水環境事業と、化学、鉄鋼、食品等の産業用設備を主要マーケットとする産業事業の2つとして捉えており、「環境・エネルギー分野への注力」と「海外ビジネスの拡大」、「全社的なコストダウンの推進」を基本方針とした中期経営計画(平成25年4月~平成28年3月までの3ヶ年)を策定し、事業活動を展開しております。
本中期経営計画では、水環境事業においては、上下水道施設の改築更新需要を受注に結びつけるべく、汚泥処理技術と創エネルギー、省エネルギー技術とを組み合わせた総合的な差別化技術をもって営業活動を展開してまいります。また、社会インフラである上下水道施設のPFI、DBO事業や包括O&M業務などライフサイクルビジネスの営業活動を継続するとともに、民設民営方式による下水処理場での消化ガス発電事業への取組みを推進することで安定収益事業への展開を進めてまいります。
一方、産業事業においては、各種産業分野における高効率な生産プラント設備および単体機器の営業活動とともに、廃液や排ガス等の廃棄物処理設備の営業活動を強化してまいります。
なお、本中期経営計画における具体的な施策は次のとおりです。
[環境・エネルギー分野への注力]
(水環境事業)
・各種汚泥処理設備における更新需要の取込み
・汚泥燃料化システムの拡販および安定的な事業運営の推進
・次世代型汚泥焼却システム「過給式流動燃焼システム」の拡販
(産業事業)
・大型乾燥機の適用範囲の拡大
・海水法排煙脱硫システムの拡販
・固形焼却設備、廃液燃焼システムの拡販
[海外ビジネスの拡大]
(水環境事業)
・アジア地域における上下水道インフラ案件の開拓
(産業事業)
・当社単体機器を活用したEPCビジネスの推進
・新興国および資源国における環境対策プラントの拡販
[全社的なコストダウンの推進]
・設計、調達、製造、建設等一連のバリューチェーンにおけるコストダウンの推進
・アジア地域における当社協力企業への設計、調達、製造委託の推進
・プロジェクト遂行体制強化による「総合エンジニアリング力の向上」
[研究開発の強化]
(水環境事業)
・汚泥脱水機をはじめとした各種単体機器のブラッシュアップ
・汚泥燃料化システム、過給式流動燃焼システムにおける更なる差別化の推進
(産業事業)
・低品位炭乾燥技術の開発
・二次電池材料製造技術の開発
③ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、上記①に記載した会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み(以下、「本プラン」といいます。)を株主総会における承認を得て導入いたしております。
本プランは、当社株式に対する大規模買付行為が行われる際に大規模買付者が遵守すべき手続きを設定するものであり、当該手続きとは、①事前に大規模買付者が取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、②取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始する、というものです。
本プランにおいては、対抗措置の発動要件として、客観的かつ明確な要件を定めており、発動の要件に該当するか否かの判断に当社取締役会の恣意的な判断の介入する余地を可及的に排除しております。また、対抗措置の発動等、当社取締役会が大規模買付者の提案を評価、検討するに際しては、当社取締役会の恣意的な判断がなされることを防止し、その判断の公正性、合理性ならびに客観性を担保するため、当社の業務執行を行う経営陣から独立した第三者委員会を設置し、その勧告を最大限に尊重することとしており、当社の企業価値、株主共同の利益の確保に適うような運営が行われる仕組みが確保されております。
なお、本プランの概要は、平成26年4月24日付「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)の更新に関するお知らせ」として公表しており、このプレスリリース全文については、当社ホームページ(http://www.tsk-g.co.jp/up_pdf/201404241424.pdf)をご参照願います。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は7億78百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 経営者の問題認識と今後の方針について
今後の景況につきましては、海外経済において一部弱さが顕在化していることを懸念材料としながらも、景気は緩やかながら持ち直していくことが期待されます。
当社グループが関連する機械業界では、国内の公共投資は底堅い状況が続くと思われます。民間の設備投資においては、国内はこれまでの企業収益の改善等を背景に持ち直し傾向が続くことが見込まれます。海外は景気の底堅さを背景に次第に持ち直しに向かうことが期待されるものの、欧米における景気動向とその他地域における地政学的リスクに留意する必要があります。
このような状況認識の下で当社グループは、世界的な流れである地球温暖化防止のために環境・エネルギー技術の研鑽を継続するとともに、海外ビジネスの拡大を進めてまいります。また、グローバルな競争環境下において受注を獲得するための施策として、設計・調達・製造・建設などの一連のバリューチェーンにおけるコストダウンを推進するとともに、技術の差別化を図るための研究開発を推進してまいります。さらに、M&Aや他企業との事業提携等を通じて、事業基盤の強化および業容の拡大を図ってまいります。