有価証券報告書-第105期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/28 14:46
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有報資料

本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社は、①最適・最良のソリューションを提供し、世界に広がるお客さまと社会の発展に貢献する
②自由闊達な明るい企業風土のもと、健全で成長性豊かなグローバル経営に徹する
の経営理念のもと、長年培ってきた「保管」「搬送」「仕分け・ピッキング」のマテリアルハンドリング技術で、生産・流通・サービスなどさまざまな分野のお客さまの物流ニーズに応えてきました。
世界中のお客さまの立場に立って、最適・最良の製品・サービスを提供することに努めてきた結果、売上高で世界ナンバーワン※のマテリアルハンドリングシステムメーカーに成長しました。
※米国Modern Materials Handling誌2021年5月記事
2021年3月期を最終年度とする4カ年中期経営計画「Value Innovation 2020」では、半導体・液晶業界における一時的な設備投資意欲の減退、および新型コロナウイルス感染症の影響により、2019年5月に上方修正した経営目標(連結売上高5,000億円、営業利益率11.5%)に届きませんでしたが、当初の経営目標(連結売上高4,200億円、営業利益率8.0%)は達成しました。ROEは目標の10%以上を全期間で維持し、連結配当性向は毎年度おおむね30%を継続しました。
重点施策の一つであった空港向け事業は、第4のコア事業へと順調に成長したほか、当社グループの柱である一般製造業・流通業向け事業においては、国内外の生産能力を大幅に増強するなど、積極的な成長投資を継続しました。また、ESG全般への取り組みも含めて、当社のブランド力の向上にも努めてまいりました。
2021年4月からスタートした3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」(以下、中計)では、ニューノーマル(新常態)や、グローバルでの自動化ニーズの拡大と多様化といった当社グループを取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、DX2(DX スクエア)※を推進していきます。
※DX2(DX スクエア)=Digital Transformation × Daifuku Transformation
DX2とは、通常のデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation=DX)の推進だけでなく、ダイフク自身も変革し(Daifuku Transformation)、お客さまをはじめとするステークホルダーへの提供価値を変革していくというコンセプトです。
[図]中期経営計画「Value Transformation 2023」の概念図

2024年3月期の経営目標は以下のとおりです。()内は2021年3月期実績。
・連結売上高5,400億円(4,739億円)
・営業利益率10.5%(9.4%)
・ROE(自己資本当期純利益率)10%以上(13.2%)
連結配当性向は、2022年3月期~2024年3月期の3カ年の平均で30%以上を目指します。
[図]「Value Transformation 2023」最終年度の目標

また、当社グループでは、中計と「サステナビリティアクションプラン」を経営戦略の両輪と位置付け、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。環境面では、中計と併せて策定した「ダイフク環境ビジョン2050」において、2050年に「マテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界を目指す」を掲げ、2030年までの重点領域と目標を設定しています。
中計の詳細は、当社ウェブサイトの『新3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」策定 他のお知らせ』(2021年2月5日公表)を、ダイフク環境ビジョン2050およびサステナビリティアクションプランは「(4)持続可能な社会の実現への貢献」をご覧ください。
(2)経営環境
1) 事業環境
新型コロナウイルス感染症により、産業界全般の先行きを見通し難い状況にありますが、当社グループのお客さまは、「eコマースの拡大」「デジタル化の進展」「電気自動車へのシフト」「空港のスマート化」など、事業環境の大きな変化に加え、人手不足という社会問題にも直面しており、当社グループが提供する物流ソリューションに引き続き期待が寄せられているものと確信しています。
2) 競争環境
マテリアルハンドリング市場の拡大に伴い、従来の欧米メーカーに加え、中国などの新興メーカーが参入・成長してきており、今後さらなる競争の激化が見込まれます。コンサルティングから、ものづくり・据付・アフターサービスまでの一貫体制、および豊富なハードウエア・ソフトウエアのラインアップを通じて、グローバルに最適・最良のシステムを提供するという当社グループの強みに磨きをかけ、厳しい競争に打ち勝ってまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」の根幹となる事業ポートフォリオについては、従来どおり、①一般製造業・流通業向けシステム、②半導体・液晶生産ライン向けシステム、③自動車生産ライン向けシステム、④空港向けシステムの4つをコア事業とし、継続的な発展を目指します。
一方で、既存の枠組みに止まらず、グローバル市場への戦略投資(M&A、営業拠点などの拡充)、次世代ビジネスモデルの創出、有望な新規領域への投資により、事業領域の拡大を図ることも重要な事業戦略として捉えています。
当社グループは製品や事業ごとに高い専門性を磨いてきた反面、グループの横断的な取り組みには課題があります。2022年3月期は、グループ競争力をさらに強化するための事業間連携に取り組みます。一般製造業・流通業向けシステムは日本国内向けが7割程度なのに対し、半導体・液晶生産ライン向けシステムは逆にお客さまのほとんどが海外といったように違いがあります。海外進出に歴史のある事業、コストダウンやプロジェクト管理に強い事業など、事業ごとに違うさまざまな強みを共有・横展開することで全体最適を図ります。
その一環として、事業運営を見直し、自動車生産ライン向けシステムの部門と空港向けシステムの部門を統合しました。大きな課題である空港向けシステムの収益性向上のため、自動車生産ライン向けシステムの部門が持つ豊富な人材、海外拠点を活用することが狙いです。
生産面においては、新たに生産担当役員を設置します。既に実績のある一般製造業・流通業向けシステムのコストダウンを含む生産改革手法を事業横断的に展開し、グループ全体の生産性の向上と、生産体制の強化を図ります。
加えて、2022年3月期を「ダイフクDX元年」(DX=デジタルトランスフォーメーション)として、グループ全体のデジタル化も推進していきます。そのため、常務執行役員を長とするDX本部を新設しました。従来から強化している各事業におけるさまざまな研究・開発に加え、コーポレート部門や各事業部の管理部門などのバックオフィスにおけるデジタル化が急務となっています。グループ全体最適という視点での、より高度な製品・サービスの開発、生産性向上、業務効率の向上などに取り組んでいきます。
当社グループの2021年3月期の海外売上高比率は65%となりました。当社グループでは内製化、つまり生産の現地化が強みにつながると考えており、一般製造業および流通業向け事業では、中国・タイなどでその成果が出始めています。そこで、eコマースの拡大で稼働率が高まっている北米(Wynright Corporation)の収益性向上に注力します。そのほか、2018年に韓国(Daifuku Korea Co., Ltd.)、2019年にタイ(Daifuku (Thailand) Ltd.)、中国(大福(中国)物流設備有限公司)の生産能力を増強したほか、インドにおいては物流システム企業(Vega Conveyors & Automation Private Limited)を買収し、生産の現地化に向けた積極的な投資を行ってきました。2021年3月期には、中国(大福(中国)自動化設備有限公司、大福自動搬送設備(蘇州)有限公司)、インドの生産能力増強に着手し、中計最終年度の目標である連結売上高5,400億円に向け、上記以外の地域でも生産能力の強化を引き続き進めていきます。
「サステナビリティ」「コンプライアンス」「ガバナンス」「安全」についても引き続き重要な課題であると捉えています。
1)サステナビリティ経営
当社グループでは、中計と「サステナビリティアクションプラン」を経営戦略の両輪と位置付けています。
「サステナビリティアクションプラン」は、SDGsに沿って「スマート社会への貢献」「製品・サービス品質の維持向上」「経営基盤の強化」「人間尊重」「事業を通じた環境貢献」の5つのテーマを設定し、それぞれのテーマに関連する18のマテリアリティを特定するとともに、3カ年の行動計画を定めたものです。
これに先立ち、2020年に「TCFD提言」に基づく気候変動のリスクと機会の分析結果の開示を、2021年2月5日には「ダイフク環境ビジョン2050」を公表しました。同ビジョンは、2050年に「マテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界を目指す」もので、2030年までの重点領域と目標を定めています。
人的資本への投資では、多様な人財マネジメント制度を採用し、グローバルかつダイバーシティの観点で人財の育成・登用に努めます。具体的な考え方と測定可能な自主目標の設定、方針、実施状況については、統合報告書などで報告していく予定です。
サステナビリティ経営の推進組織としては、CEO(代表取締役社長)を委員長とする「サステナビリティ委員会」を2020年4月に設置し、その取り組みについては適宜、取締役会に報告しています。
2)コンプライアンスの徹底・グループガバナンスの強化
コーポレートガバナンスについては、当連結会計年度は取締役8名中4名の社外取締役を選任しており、企業経営経験者、財務・会計や法律の専門家、海外経験者、女性の登用など取締役会の多様性を確保しています。
また、2021年4月に、「リスク・ガバナンス室」を新設しました。当社グループにおけるリスクを把握し、グループレベルでのコンプライアンス体制強化を中心に、企業価値向上のためのコーポレートガバナンスの推進などを担います。
3)「安全専一」の徹底
一人ひとりの社員が最大のパフォーマンスを発揮できる職場環境づくりに努めていくうえで、社員やその家族、お客さま、お取引先の生命・健康・安全を確保することが何よりも優先されます。「安全は、『第一』『第二』と相対的な順位を付けるものではなく、絶対的なもの、『専一』なものである」という決意で、教育・研修などを通じて、引き続き、グループ一体となって災害の撲滅に取り組んでいきます。
(4)持続可能な社会の実現への貢献
1)ダイフク環境ビジョン2050
当社は2021年2月に、2050年を展望した新たな環境ビジョン「ダイフク環境ビジョン2050」を策定しました。本ビジョンでは、2050年に「マテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界を目指す」を掲げ、2030年までの重点領域を「気候変動・エネルギー」「資源循環」とし、それぞれの目標を設定しています。詳細は、以下[図][表]をご覧ください。取り組み期間は2021年から2030年までとし、CEOを委員長とするサステナビリティ委員会を中心にグループ全体で推進していきます。
[図]ダイフク環境ビジョン2050

[表]2030年の重点領域
2030年の重点領域
気候変動・エネルギー対策の加速製品稼働におけるエネルギー削減やサプライヤーとの連携により、バリューチェーンでのCO2削減に取り組みます。
グループ全体での省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの導入により、パリ協定に準じたCO2削減に取り組みます。
資源循環の促進に向けた基盤整備ライフサイクルを通じた資源循環を進めるため、製品のリサイクル可能率を高めます。
すべての生産拠点において資源循環の仕組みを構築します。

[表]2030年の目標
重点領域2030年の目標
気候変動・エネルギー環境貢献物件※¹売上高比率70%以上
CO2削減貢献量※²累計30万トン以上
自社CO2排出総量削減25%以上(2018年度比)
サプライチェーンCO2削減プログラム参加企業率50%以上
資源循環新製品のリサイクル可能率90%以上
グローバル生産拠点での資源循環※³

※¹ 当社エコプロダクツ製品などを通じて、お客さまに納入したシステムで環境面から貢献したもの
※² お客さまに納入した製品・サービスから排出されるCO2排出量を、基準年度である2011年時点の
製品・サービスによるCO2排出量から差し引いたもの
※³ 生産拠点における資源循環の実態を把握した上で目標を設定し、2022年4月に開示予定
2)サステナビリティアクションプラン
当社グループは、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を特定し、5つのテーマに沿った目標設定と具体的な行動計画として「サステナビリティアクションプラン」を策定しました。すべての社員があらゆる事業活動を通じてマテリアリティに取り組むことでSDGsの達成に貢献し、持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指します。
[図]サステナビリティの概念

(注)SDGsアイコンの説明
働きがいも 経済成長も産業と技術革新の基盤をつくろう
つくる責任 つかう責任住み続けられるまちづくりを
気候変動に具体的な対策を平和と公正をすべてのひとに
パートナーシップで目標を達成しようすべての人に健康と福祉を
質の高い教育をみんなにジェンダー平等を実現しよう
人や国の不平等をなくそう安全な水とトイレを世界中に
エネルギーをみんなに そしてクリーンに

[図]サステナビリティアクションプランの概要
テーマ2030年に
目指す姿
マテリアリティKPI(実績評価指標)
2030年GoalsSDGs
スマート社会への貢献社会課題を解決する新たな技術開発と製品・サービスの提供革新的技術開発、発明促進イノベーションによる物流システムへの新たな価値創出①イノベーション投資額(※1)
②特許登録件数
新規領域の創出事業戦略(M&A、アライアンス等含む)による事業領域の拡大新業態・新市場への進出、新商品の上市
スマート・ロジスティクスによるお客さまニーズへの対応先端技術を使った効率化、自動化による顧客価値の創出製品・サービスへの先端技術の導入
製品・サービス品質の維持向上安心、安全、高品質な製品提供体制・システムの構築・維持グローバル化による生産の最適地化グローバル最適地生産の実現最適地生産実現に向けた生産拠点の新設・増設、その他の対策実施
製品品質、製品安全の追求製品に対する品質、安全面でのお客様の信頼獲得①製品・システムの安全に関する重大事故(※2)発生件数
②生産拠点におけるISO9001統一認証(※3)取得比率
③セーフティアセッサー資格(※4)取得者数
経営基盤の強化事業運営と社会的責任の両立ガバナンスの強化グループガバナンス体制の更なる強化①取締役会の実効性向上
②社員意識の徹底
③確実な内部監査実施
コンプライアンスの徹底重大な贈収賄事案の根絶贈収賄に関する研修実施
リスクマネジメント海外子会社を含むグループリスク管理の実践重要リスクへの対策実施
サプライチェーンでの責任ある調達グローバルでのCSR調達の実施
CSR調達の制度確立、および運用範囲拡大
情報セキュリティの強化社内グローバルスタンダードの徹底と継続運用①グローバル情報セキュリティ教育実施回数
②グローバルメール訓練実施回数
透明性の高い情報開示と戦略的なコミュニケーションの実践ステークホルダー・エンゲージメントの向上①株主・投資家との対話件数
②ステークホルダーとのコミュニケーション活性化
人間尊重人々の安心と快適の追求労働安全衛生の徹底事業活動における労働災害・重大災害の根絶①度数率:日本(海外)
②強度率:日本(海外)
③労働安全衛生研修受講延べ人数
④重篤災害(※5)発生件数
ダイバーシティー&インクルージョン多様な人財が活躍できる環境づくり
①女性管理職数
②障がい者雇用率
③男性の育児休業取得率
働きがいのある職場環境の整備快適、健康、幸福を実感できる職場の実現
①有給休暇取得率
②ストレスチェック高受検率維持
③心と体の健康づくりイベント実施
人財の育成個々のキャリア志向に応じた成長機会の提供①管理職層及び管理職候補への教育強化
②オンラインを活用した研修の展開と自律的な学習の促進
人権配慮事業に関わる全ての人の権利尊重
①人権に関する職場理解促進
②人権デューデリジェンスの実施
事業を通じた環境貢献全ての地域、職場において地球環境への負荷低減につながる取組の実践事業運営における環境配慮気候変動、資源枯渇など地球環境への負荷低減策の充実
①自社CO2排出総量削減率(2018年比)
②サプライチェーンCO2削減プログラム(※6)参加率
③グローバル生産拠点での資源循環
環境配慮製品・サービスの拡充環境配慮による顧客提供価値の最大化
①製品、サービスを通じたCO2削減貢献量(※7)
②環境貢献物件(※8)売上高比率
③新製品のリサイクル可能率

※1:研究開発費+DX(Digital Transformation)投資額
※2:当社の製品・システムの不具合を原因とした稼働中における死亡事故および重傷病(治療に要する期間が30日以上の負傷・疾病)事故
※3:同一の認証機関による同一基準・スケジュールでの審査を実施し、認証を取得・維持すること
※4:主に設計者を対象とした国際安全規格に基づく安全の知識、能力を有することを認証する資格
※5:自社の業務中における死亡事故(労働災害)
※6:調達先におけるCO2排出削減に向けた取り組み(目標の共有と削減対策支援など)に関する当社独自の枠組み
※7:お客さまに納入した製品・サービスから排出されるCO2排出量を、基準年度である2011年時点の製品・サービスによるCO2排出量から差し引いたもの
※8:当社エコプロダクツ製品などを通じて、お客さまに環境配慮の面で貢献した物件(プロジェクト)

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