有価証券報告書-第80期(2024/04/01-2025/03/31)
② 戦略
当社グループでは、1.5℃シナリオ(WEO2023 NZE:国際エネルギー機関(IEA)等を参照)と、4℃シナリオ(RCP8.5:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)等を参照)に基づいてシナリオ分析を行いました。両シナリオについてリスク・機会を抽出し、各項目に対して財務影響度の評価を行い、重要かつ現時点で具体的な影響が予測可能なリスク・機会について財務影響の定量化試算を実施しました。リスクについては当社の対象年度利益に対する影響度を評価する一方で、機会に関する当社業績への具体的な影響度は今後の事業計画の検討を通じて検討する方針です。2024年度の分析は対象範囲を前年度より拡大し、国内外のグループ会社(一部のグループ会社を除く)も含めております。
1.5℃シナリオにおけるリスクと機会
発現時期:中期(2030年)、長期(2050年)
4℃シナリオにおけるリスクと機会
注:投資CF影響であるため、税引前利益に対する財務影響度評価からは除外
発現時期:中期(2030年)、長期(2050年)
1.5℃シナリオによる2030年度の主要な財務影響
・炭素税・GHG排出量規制の導入に伴う自社の炭素税負担、及びサプライヤー等の炭素税負担による調達コストや自社の製造設備費用の発生により、2030年度の税引前利益ベースで5億円強のコスト増加影響を見込んでいます。更に、電源構成の変化(再エネ・新燃料)による電気料金上昇や廃棄物処理コストの増加により、2030年度の税引前利益ベースで3億円弱のコスト増加影響を予想しています。
・1.5℃シナリオの世界では、EV推進や社会のスマート化に伴う半導体需要の増大が期待されることから、水回収プラントや薬品などの製品・サービスによる事業成長の機会は大きいと予想しています。
4℃シナリオによる2050年度の主要な財務影響
・4℃シナリオの世界では、当社のエンジニアリング業務における屋外作業人員の生産性が低下することにより、2050年度にはグループで8億円弱の外注人件費増加が見込まれます。
・当社の東南アジア拠点では、以前よりBCPの観点から機械設備・棚卸資産等に対しては水害を含む損害保険を手当てする等の対応を進めております。このため、現時点で認識している自然災害の激甚化等に伴う財務影響は限定的であると認識しております。
当社グループでは、1.5℃シナリオ(WEO2023 NZE:国際エネルギー機関(IEA)等を参照)と、4℃シナリオ(RCP8.5:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)等を参照)に基づいてシナリオ分析を行いました。両シナリオについてリスク・機会を抽出し、各項目に対して財務影響度の評価を行い、重要かつ現時点で具体的な影響が予測可能なリスク・機会について財務影響の定量化試算を実施しました。リスクについては当社の対象年度利益に対する影響度を評価する一方で、機会に関する当社業績への具体的な影響度は今後の事業計画の検討を通じて検討する方針です。2024年度の分析は対象範囲を前年度より拡大し、国内外のグループ会社(一部のグループ会社を除く)も含めております。
1.5℃シナリオにおけるリスクと機会
| 1.5℃ リスク | カテゴリ | シナリオによるトレンド | 主な項目 | 発現 時期 | 対応策 |
| 政策 | 炭素税・GHG排出量規制の導入 | 自社の炭素税負担、及びサプライヤー等の炭素税負担による調達コストや自社の製造設備費用などが増加 | 中・長 | ・再エネ導入などによる自社の直接GHG排出量の削減 | |
| 市場 動向 | EV推進や都市のスマート化による市場拡大 | EV関連製品、半導体関連ニーズの高まりにより機能材の需要が増加し、原材料価格が上昇 | 中・長 | ・経済合理性に基づく適切な価格設定 | |
| 電源構成の変化(再エネ・新燃料導入) | 使用電力の再エネ・新電力への転換に伴うコスト増加 | 中 | ・省エネの推進、生産プロセスの継続的な効率化 | ||
| エネルギー効率の低い製品・サービスの売上減少 | 中 | ・省エネルギー製品・サービスの開発強化 | |||
| 技術 | 廃棄物の再利用・有効活用に対する社会的要請が増大 | 廃棄物処理コストの増加 | 中・長 | ・廃棄物の低減 | |
| 評判 | 環境低負荷、防災・減災関連、省エネ・再エネ関連の製品、サービスに対する要求の増大 | GHG排出削減で成果を上げられないことによる評判の影響により、製品・サービス使用機会の減少、売上減 | 中・長 | ・GHG排出量削減の強化 ・当社製品・サービスに関するGHG排出量情報開示、クライアントアンケートなどへの対応強化 |
| 1.5℃ 機会 | カテゴリ | シナリオのトレンド | 主な項目 | 発現 時期 | 対応策 |
| 政策 | 炭素税・GHG排出量規制の導入 | 低炭素技術・製品・サービスの需要拡大による売上増加 | 中・長 | ・顧客のGHG/水使用量/廃棄物の削減に貢献する製品・サービスの拡大 | |
| CO2の放出削減並びに循環利用に向けたCCUS活用推進 | CCUSに関する技術のニーズが高まり、関連製品・サービスの売上増 | 長 | |||
| 水使用規制が強化 | 排水回収や節水に貢献する装置や薬品の売上増加 | 中・長 | |||
| 市場 動向 | EV推進や都市のスマート化による市場拡大 | EV関連ニーズの高まりによる関連製品・サービスの売上増加 | 中・長 | ・次世代の分離精製技術の開発強化、拡大 | |
| 電源構成の変化(再エネ・新燃料導入) | 再エネ・新燃料の電源構成変化に伴い、当社の関連製品・サービスの売上増加 | 中 | ・顧客のGHG/水使用量/廃棄物の削減に貢献する製品・サービスの拡大 | ||
| 技術 | 廃棄物の再利用・有効活用に対する社会的要請が増大 | 資源リサイクル技術の拡大により売上増 | 中・長 | ・顧客のGHG/水使用量/廃棄物の削減に貢献する製品・サービスの拡大 | |
| 評判 | 環境低負荷、防災・減災関連、省エネ・再エネ関連の製品、サービスに対する要求の増大 | 脱炭素対応を進め、取引先に対する関連情報開示を積極的に推進することで、新規・既存顧客からの引き合いが増加 | 中・長 | ・顧客のGHG/水使用量/廃棄物の削減に貢献する製品・サービスの拡大 ・GHG排出量削減の強化 ・当社製品・サービスに関するGHG排出量情報開示、クライアントアンケートなどへの対応強化 |
発現時期:中期(2030年)、長期(2050年)
4℃シナリオにおけるリスクと機会
| 4℃ リスク | カテゴリ | シナリオによるトレンド | 主な項目 | 発現 時期 | 対応策 |
| 物理 (急性) | 自然災害の激甚化 | 異常気象に伴うサプライチェーン分断により、供給価格の高騰、あるいは原材料の入手困難による生産遅延・中止リスク | 中・長 | ・サプライチェーンの強靭化・調達先の複層化 | |
| 東南アジア拠点の洪水被害による保険対象外の仕掛品・在庫品の廃棄リスク | 中・長 | ・当社拠点の洪水リスク等の定期的な調査に基づくBCPの整備 ・水害を含む保険加入の継続的な最適化 | |||
| 東南アジア拠点における洪水被害による機械設備の再投資 | 中・長 | ||||
| 物理 (慢性) | 慢性的な気候変化 (海水面上昇) | 東南アジア拠点における、浸水による保険対象外の仕掛品・在庫品の廃棄リスク及び機械設備の棄損リスク | 長 | ||
| 東南アジア拠点における浸水対策投資またはリスク程度が上昇した場合の工場移設に係る再投資*注 | 長 | ||||
| 慢性的な気候変化 (平均気温上昇) | 気温の上昇により、屋外作業人員の適度な休息の必要性や、体調不良のリスクが高まり、生産性の低下により人件費が増加 | 中・長 | ・現場施工期間短縮に向けたプロセス開発 ・労働時間帯の柔軟化 | ||
| 空調の使用強度上昇、使用期間の長期化によるエネルギーコストの増加 | 中・長 | ・省エネ対応空調設備の導入 |
注:投資CF影響であるため、税引前利益に対する財務影響度評価からは除外
| 4℃ 機会 | カテゴリ | シナリオのトレンド | 主な項目 | 発現 時期 | 対応策 |
| 物理(急性) | 自然災害の激甚化 | 主要原材料の仕入れ元の複層化や海外拠点における現地調達化が進むことによる、供給の安定化やコストダウン | 中・長 | ・調達先の複層化や現地調達の強化 | |
| 物理(慢性) | 慢性的な気候変化(平均気温上昇) | 気温上昇に伴い、冷却技術や殺菌・制菌技術の需要が高まり、殺菌剤や冷却水関連製品の売上増加 | 中・長 | ・冷却水用薬品の開発強化、拡販 |
発現時期:中期(2030年)、長期(2050年)
1.5℃シナリオによる2030年度の主要な財務影響
・炭素税・GHG排出量規制の導入に伴う自社の炭素税負担、及びサプライヤー等の炭素税負担による調達コストや自社の製造設備費用の発生により、2030年度の税引前利益ベースで5億円強のコスト増加影響を見込んでいます。更に、電源構成の変化(再エネ・新燃料)による電気料金上昇や廃棄物処理コストの増加により、2030年度の税引前利益ベースで3億円弱のコスト増加影響を予想しています。
・1.5℃シナリオの世界では、EV推進や社会のスマート化に伴う半導体需要の増大が期待されることから、水回収プラントや薬品などの製品・サービスによる事業成長の機会は大きいと予想しています。
4℃シナリオによる2050年度の主要な財務影響
・4℃シナリオの世界では、当社のエンジニアリング業務における屋外作業人員の生産性が低下することにより、2050年度にはグループで8億円弱の外注人件費増加が見込まれます。
・当社の東南アジア拠点では、以前よりBCPの観点から機械設備・棚卸資産等に対しては水害を含む損害保険を手当てする等の対応を進めております。このため、現時点で認識している自然災害の激甚化等に伴う財務影響は限定的であると認識しております。