有価証券報告書-第130期(2025/04/01-2026/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 基本方針
当社グループは、企業活動を行う上での軸・拠り所として企業理念「JGC's Purpose and Values」を制定しております。
「JGC's Purpose and Values」は日揮グループのパーパス(存在意義)及びValues(価値観)の2つの要素から構成され、日揮グループのパーパス(存在意義)として、「Enhancing planetary health」を掲げ、当社グループ共通のValuesとして、4つのちから、即ち、「挑戦」、「創造」、「結集」、「完遂」を定め、さらに「尊重」、「誠実」を2つの誓いとして明らかにしております。
当社グループは、企業理念「JGC's Purpose and Values」に基づき企業活動を進めていくことで、企業価値の一層の向上を図り、以て人と地球の健やかな未来づくりに貢献してまいります。
(2) 目標とする経営指標、経営環境、中長期的な経営戦略及び会社の対処すべき課題
前中期経営計画「BSP2025」の振り返り
当社グループは2021年度から2025年度までの5ヶ年を長期経営ビジョン「2040年ビジョン」の1stフェーズ―「挑戦の5年」と位置づけ、中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2025 (BSP2025)」(以下、「BSP2025」という。)において、「EPC事業のさらなる深化」、「高機能材製造事業の拡大」、「将来の成長エンジンの確立」を重点戦略とし、これらの実現に向けた成長戦略投資(M&A、設備投資、研究開発等)に積極的に取り組むことで、財務目標として、2025年度の売上高8,000億円、営業利益600億円、当期純利益450億円、自己資本利益率(ROE)10%の達成を目指してまいりました。
本計画のもと、対象期間における実績は以下のとおりとなりました。

BSP2025期間中の経営実績は、売上高は増加基調で推移し期中に目標を達成しました。他方、営業利益及び当期純利益については、過年度の不採算案件の影響から目標は未達成となりましたが、ROEについては目標を達成しました。
「EPC事業のさらなる深化」について、総合エンジニアリング事業では、国内において株式会社IHIプラントからの医薬品事業譲受や株式会社高田工業所との資本業務提携といった競争力強化に向けた施策を積極的に推進いたしました。海外ではLNGを中心としたプラントマーケットの好況を背景に、ジョイントベンチャー組成やモジュール工法といった当社の持つ競争優位性を最大限に活用し、大型案件を成功裡に完遂してまいりました。他方、市場と分野の多角化を急いだ結果、人財リソースの分散や適正配置不全を招き、それらがプロジェクトの安定遂行に影響を及ぼしたことでいくつかの案件で採算悪化が発生いたしました。足元では、社内のEPC遂行体制強化に向けた取組みを推進してきたことで、遂行中案件における懸念材料が減少しつつあり、2025年度では採算を大きく改善することができました。
「高機能材製造事業の拡大」について、同事業では、半導体関連市場に向けた商材の展開や生産能力の増強を進めた結果、BSP2025で掲げた売上高目標を概ね達成いたしました。特にファインセラミックス分野では、旧昭和電工マテリアルズ株式会社からの事業譲受や宮城県富谷市における新工場設置により、生産能力が増強され、さらなる成長の土台を整えることができました。
また、「将来の成長エンジンの確立」については、ビジネス領域の多角化を推進するため、将来の成長エンジンとして掲げた複数のビジネス領域への展開を図り、水素製造プラントやブルー水素・アンモニア製造実証プラントに加えて、持続可能な航空燃料(SAF)製造プラントにおけるEPC役務、グリーン水素/MCH製造プラントにおける基本設計役務を受注する等、貴重な知見を蓄積することができました。
また、上記3つの重点戦略の実現に向け、BSP2025期間中に計画していた2,000億円の成長戦略投資については、当連結会計年度末時点で約1,000億円の投資実績となりました。事業環境の変化等を受け、M&Aを中心に当初計画どおりの投資判断に至らない案件もありましたが、研究開発投資及び事業投資、並びに機能材製造事業をはじめとする設備投資を着実に推進しました。なお、総合エンジニアリング事業における成長戦略投資は、中長期的な競争力の強化及び体質改善への貢献を企図するものであり、新中期経営計画においても、こうした取組みを継続していく方針です。
新中期経営計画「BSP2030」について
長期経営ビジョン「2040年ビジョン」における2ndフェーズである2026年度から2030年度までの5ヶ年を対象期間とし、「深耕の5年」として位置付けを再定義した新中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2030 (BSP2030)」(以下、「BSP2030」という。)の内容は以下のとおりです。
1.事業環境認識
BSP2030期間における事業環境の見通しは次のとおりです。
・ マーケット:
エネルギーを含む各種需要が今後も引き続き拡大していくなか、低・脱炭素化の潮流は不変と捉えていますが、経済的なハードルの高さからそのスピードには変化が見られており、比較的クリーンで安価なLNGの重要性が当面は継続すると見込んでいます。また、不確実性が高い環境下においてこそ、当社グループが各市場の先端情報を的確に捉え、技術を基軸に課題解決型の提案を行うことで、主体的なビジネス機会の創出が可能になると考えています。
・ サプライチェーン:
コロナ禍以降、加速する地政学リスクの増大や産業構造の変化、加えて希少資源の偏在といった諸課題は、サプライチェーンの分断と再編という形でその影響が顕在化しつつあります。サプライチェーン上の協力会社との連携強化、仕様の標準化やモジュール化、デジタル技術の導入、人財の育成といった一つひとつの要素が、事業の継続だけでなく競争優位の源泉として、将来の成長に向けた重要な鍵となります。
・ 技術・デジタル:
AIをはじめとするデジタル技術の進展は、生活利便性の向上や社会基盤・顧客設備の高度化を加速させる強力な推進力となります。顧客設備の維持管理や運転改善に加え、バイオや材料、低・脱炭素化の領域など、当社グループの既存事業に隣接するあらゆる領域に対して、デジタル技術を活用し強化された当社グループの技術力は、顧客への提供価値と当社グループの成長を着実に推進していくものと認識しています。
2.3つの重点戦略
上記の事業環境認識を踏まえ、BSP2030において、「総合エンジニアリング事業の持続的な競争力強化」、「機能材製造事業の成長加速」、「ソリューションビジネスの拡充」に取り組むことで、次なる成長の基盤を構築してまいります。
(1)総合エンジニアリング事業の持続的な競争力強化
① 遂行体制の強化による収益基盤の安定化
EPCランプサムプロジェクトは、複数の分野・地域で志向される顧客ニーズに応え、かつ長年に亘り培ってきた当社グループにおける競争優位を発揮できるビジネスモデルであることから、リスクマネジメントの強化や、インド拠点であるJGC India EPC Private Limited社の人財リソース拡充をはじめとする様々な施策の推進を通じて、ランプサムモデルの強化に取り組みます。また、FS(フィージビリティスタディ)やFEED(基本設計)といった上流のビジネス、メンテナンスや改造・更新工事といった下流のビジネスへの取組み強化等を通じて、ライフサイクル全体への価値提供に取り組んでいきます。これらを通じて総合エンジニアリング事業全体の収益安定化を図るとともに、得られた情報・知見・ノウハウを、EPCを含む上下流すべてを通じたプラントライフサイクルにおける価値提供に還元させる循環を創出します。
② EPCビジネスの進化に向けた挑戦
EPCというビジネスモデルを巡っては、外部環境の変化や顧客課題の多様化に合わせて、その遂行能力を高度化させることで、競争力を維持・強化していくことも非常に重要となります。デジタル技術による設計の効率化・高度化、製作プロセスの最適化、モジュール技術の応用等、競争力向上に向けた挑戦に大胆に取り組むとともに、柔軟な対応を通じて顧客に対する新たな価値提供を目指していきます。
③ マーケットへの適応と戦略的事業育成の両立
マーケットの変化が不透明かつ激しさを増しつつあるなか、多様な顧客課題の受け皿として、技術に立脚したビジネス領域はさらに拡大していきます。こうしたなか、FSやFEEDといった上流でのサービス提供を通じて、市場の変化や顧客のニーズに寄り添うことで有望なビジネス領域を見極め、それに対し最適なアプローチを講じることで、新たな収益の柱として戦略的に育成していきます。
(2)機能材製造事業の成長加速
① 半導体関連市場での販売拡大
BSP2025において商品展開及び増産投資を行った、ファインセラミックス分野の半導体製造装置向け部材、窒化ケイ素基板などの基板材料、ファインケミカル分野の半導体関連向け研磨砥粒や添加剤について、引き続き半導体関連市場への販売拡大を図ります。また、外部協業の積極的な展開を通じて、技術面・生産面で生じうる課題を解消しながら、開発・生産にスピードが要求される半導体市場に対応できる体制を構築していきます。
② 開発力の強化による提案型案件の創出
当社内に設置されている機能材製造事業オフィスが中心となってマーケティング機能と先行開発能力を強化し、競合他社に先駆けた提案型案件を創出することで、従来の受託製造よりも高い利益率確保を目指します。
③ 海外市場の積極的な開拓
国内製油所や国内化学メーカーを主要顧客とした国内市場の縮小を受け、触媒分野において海外顧客への展開を一層強化していきます。また、半導体関連市場に関しても現在は国内顧客向けの販売が中心であることから、BSP2030では規模の大きな海外顧客への販売拡大も戦略的に進めていきます。
(3)ソリューションビジネスの拡充
総合エンジニアリング事業と機能材製造事業で培ってきた強みを新たなビジネスモデルへと展開することで、事業ポートフォリオの中長期的な変革を促進し、収益変動の緩和と安定的な成長を実現します。具体的には、社会や顧客の課題を「先読み」し、オープンイノベーション活動等を通じて汎用的なソリューションを先行的に開発し、そのソリューションを顧客に提供するというアプローチを積極的に推進していく方針です。
こうした取組みの一環として、当社では国家プロジェクトへの参画を通じて「バイオものづくり」と呼ばれる新たな事業分野にも挑戦していきます。
3.財務目標
財務目標として、2030年度に営業利益600億円、当期純利益500億円、ROE10%以上を目指します。なお、本目標には、「4.成長戦略実現に向けた投資と資本政策」に記載しているM&Aによる収益は考慮していません。

4.成長戦略の実現に向けた投資と資本政策
2026年度から2030年度にわたるBSP2030においては、以下3点の基本方針のバランスを取りながら、重点戦略への取組みを通じてさらなる企業価値の向上に努めてまいります。
(1)強固な財務基盤維持
当社グループのコアビジネスである総合エンジニアリング事業におけるEPCランプサムプロジェクトでは、顧客の信頼獲得に加え、予期せぬ外部環境の変化や市場の混乱局面においてもプロジェクトを円滑に遂行することが重要です。このため、自己資本比率50%の安定的な維持及び十分な手元流動性の確保を通じて、強固な財務基盤の維持に取組みます。
(2)成長投資の推進
3つの重点戦略への取組みを通じた次なる成長の基盤構築のために、BSP2030期間を通じて総額2,800億円の成長投資を行う予定です。M&Aや機能材製造事業における設備投資といった、BSP2030における戦略的意義が高く、比較的早期に効果の収穫が可能な案件を中心に実施していく事を計画しています。
(3)株主還元の強化
以下の株主還元方針に基づいた配当政策を実施してまいります。
・ 株主還元方針を配当性向からDOE※へ変更し、2027年3月期にDOE3%から始め、2031年3月期に向けてDOE4%を目指す。
・ 自己株式取得は、業績見通しやキャッシュ・フローの状況、資本効率の観点から適宜実施を検討する。
※DOE(株主資本配当率):親会社株主に帰属する連結株主資本(その他の包括利益累計額及び非支配株主持分を除く)に対する配当金総額の割合

5.人的資本の強化
BSP2030期間においては、「個人と組織の学習が連動し、知やノウハウが循環(蓄積・活用)し続ける状態」の高度化に向けた施策を講じていきます。当社グループにおいて人財は最も重要な経営基盤のひとつであり、個人と組織の学習効果による能力向上は非常に重要な要素となります。人財を単一機能の担い手として捉えるのではなく、環境変化に柔軟に対応し、活躍する場を拡張できる多能な存在として捉えなおすことで、組織全体の対応力と持続的な成長を目指します。
人的資本の強化に向けた施策を積極的に推進することで、当社グループに集う人財が組織に蓄積されていくデジタルアセットを活用しながら、基盤となる知識や経験を伝承していくという循環に繋げ、より効果的・高度に学習効果を発揮する企業集団を目指します。
(1) 基本方針
当社グループは、企業活動を行う上での軸・拠り所として企業理念「JGC's Purpose and Values」を制定しております。
「JGC's Purpose and Values」は日揮グループのパーパス(存在意義)及びValues(価値観)の2つの要素から構成され、日揮グループのパーパス(存在意義)として、「Enhancing planetary health」を掲げ、当社グループ共通のValuesとして、4つのちから、即ち、「挑戦」、「創造」、「結集」、「完遂」を定め、さらに「尊重」、「誠実」を2つの誓いとして明らかにしております。
当社グループは、企業理念「JGC's Purpose and Values」に基づき企業活動を進めていくことで、企業価値の一層の向上を図り、以て人と地球の健やかな未来づくりに貢献してまいります。
(2) 目標とする経営指標、経営環境、中長期的な経営戦略及び会社の対処すべき課題
前中期経営計画「BSP2025」の振り返り
当社グループは2021年度から2025年度までの5ヶ年を長期経営ビジョン「2040年ビジョン」の1stフェーズ―「挑戦の5年」と位置づけ、中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2025 (BSP2025)」(以下、「BSP2025」という。)において、「EPC事業のさらなる深化」、「高機能材製造事業の拡大」、「将来の成長エンジンの確立」を重点戦略とし、これらの実現に向けた成長戦略投資(M&A、設備投資、研究開発等)に積極的に取り組むことで、財務目標として、2025年度の売上高8,000億円、営業利益600億円、当期純利益450億円、自己資本利益率(ROE)10%の達成を目指してまいりました。
本計画のもと、対象期間における実績は以下のとおりとなりました。

BSP2025期間中の経営実績は、売上高は増加基調で推移し期中に目標を達成しました。他方、営業利益及び当期純利益については、過年度の不採算案件の影響から目標は未達成となりましたが、ROEについては目標を達成しました。
「EPC事業のさらなる深化」について、総合エンジニアリング事業では、国内において株式会社IHIプラントからの医薬品事業譲受や株式会社高田工業所との資本業務提携といった競争力強化に向けた施策を積極的に推進いたしました。海外ではLNGを中心としたプラントマーケットの好況を背景に、ジョイントベンチャー組成やモジュール工法といった当社の持つ競争優位性を最大限に活用し、大型案件を成功裡に完遂してまいりました。他方、市場と分野の多角化を急いだ結果、人財リソースの分散や適正配置不全を招き、それらがプロジェクトの安定遂行に影響を及ぼしたことでいくつかの案件で採算悪化が発生いたしました。足元では、社内のEPC遂行体制強化に向けた取組みを推進してきたことで、遂行中案件における懸念材料が減少しつつあり、2025年度では採算を大きく改善することができました。
「高機能材製造事業の拡大」について、同事業では、半導体関連市場に向けた商材の展開や生産能力の増強を進めた結果、BSP2025で掲げた売上高目標を概ね達成いたしました。特にファインセラミックス分野では、旧昭和電工マテリアルズ株式会社からの事業譲受や宮城県富谷市における新工場設置により、生産能力が増強され、さらなる成長の土台を整えることができました。
また、「将来の成長エンジンの確立」については、ビジネス領域の多角化を推進するため、将来の成長エンジンとして掲げた複数のビジネス領域への展開を図り、水素製造プラントやブルー水素・アンモニア製造実証プラントに加えて、持続可能な航空燃料(SAF)製造プラントにおけるEPC役務、グリーン水素/MCH製造プラントにおける基本設計役務を受注する等、貴重な知見を蓄積することができました。
また、上記3つの重点戦略の実現に向け、BSP2025期間中に計画していた2,000億円の成長戦略投資については、当連結会計年度末時点で約1,000億円の投資実績となりました。事業環境の変化等を受け、M&Aを中心に当初計画どおりの投資判断に至らない案件もありましたが、研究開発投資及び事業投資、並びに機能材製造事業をはじめとする設備投資を着実に推進しました。なお、総合エンジニアリング事業における成長戦略投資は、中長期的な競争力の強化及び体質改善への貢献を企図するものであり、新中期経営計画においても、こうした取組みを継続していく方針です。
新中期経営計画「BSP2030」について
長期経営ビジョン「2040年ビジョン」における2ndフェーズである2026年度から2030年度までの5ヶ年を対象期間とし、「深耕の5年」として位置付けを再定義した新中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2030 (BSP2030)」(以下、「BSP2030」という。)の内容は以下のとおりです。
1.事業環境認識
BSP2030期間における事業環境の見通しは次のとおりです。
・ マーケット:
エネルギーを含む各種需要が今後も引き続き拡大していくなか、低・脱炭素化の潮流は不変と捉えていますが、経済的なハードルの高さからそのスピードには変化が見られており、比較的クリーンで安価なLNGの重要性が当面は継続すると見込んでいます。また、不確実性が高い環境下においてこそ、当社グループが各市場の先端情報を的確に捉え、技術を基軸に課題解決型の提案を行うことで、主体的なビジネス機会の創出が可能になると考えています。
・ サプライチェーン:
コロナ禍以降、加速する地政学リスクの増大や産業構造の変化、加えて希少資源の偏在といった諸課題は、サプライチェーンの分断と再編という形でその影響が顕在化しつつあります。サプライチェーン上の協力会社との連携強化、仕様の標準化やモジュール化、デジタル技術の導入、人財の育成といった一つひとつの要素が、事業の継続だけでなく競争優位の源泉として、将来の成長に向けた重要な鍵となります。
・ 技術・デジタル:
AIをはじめとするデジタル技術の進展は、生活利便性の向上や社会基盤・顧客設備の高度化を加速させる強力な推進力となります。顧客設備の維持管理や運転改善に加え、バイオや材料、低・脱炭素化の領域など、当社グループの既存事業に隣接するあらゆる領域に対して、デジタル技術を活用し強化された当社グループの技術力は、顧客への提供価値と当社グループの成長を着実に推進していくものと認識しています。
2.3つの重点戦略
上記の事業環境認識を踏まえ、BSP2030において、「総合エンジニアリング事業の持続的な競争力強化」、「機能材製造事業の成長加速」、「ソリューションビジネスの拡充」に取り組むことで、次なる成長の基盤を構築してまいります。
(1)総合エンジニアリング事業の持続的な競争力強化
① 遂行体制の強化による収益基盤の安定化
EPCランプサムプロジェクトは、複数の分野・地域で志向される顧客ニーズに応え、かつ長年に亘り培ってきた当社グループにおける競争優位を発揮できるビジネスモデルであることから、リスクマネジメントの強化や、インド拠点であるJGC India EPC Private Limited社の人財リソース拡充をはじめとする様々な施策の推進を通じて、ランプサムモデルの強化に取り組みます。また、FS(フィージビリティスタディ)やFEED(基本設計)といった上流のビジネス、メンテナンスや改造・更新工事といった下流のビジネスへの取組み強化等を通じて、ライフサイクル全体への価値提供に取り組んでいきます。これらを通じて総合エンジニアリング事業全体の収益安定化を図るとともに、得られた情報・知見・ノウハウを、EPCを含む上下流すべてを通じたプラントライフサイクルにおける価値提供に還元させる循環を創出します。
② EPCビジネスの進化に向けた挑戦
EPCというビジネスモデルを巡っては、外部環境の変化や顧客課題の多様化に合わせて、その遂行能力を高度化させることで、競争力を維持・強化していくことも非常に重要となります。デジタル技術による設計の効率化・高度化、製作プロセスの最適化、モジュール技術の応用等、競争力向上に向けた挑戦に大胆に取り組むとともに、柔軟な対応を通じて顧客に対する新たな価値提供を目指していきます。
③ マーケットへの適応と戦略的事業育成の両立
マーケットの変化が不透明かつ激しさを増しつつあるなか、多様な顧客課題の受け皿として、技術に立脚したビジネス領域はさらに拡大していきます。こうしたなか、FSやFEEDといった上流でのサービス提供を通じて、市場の変化や顧客のニーズに寄り添うことで有望なビジネス領域を見極め、それに対し最適なアプローチを講じることで、新たな収益の柱として戦略的に育成していきます。
(2)機能材製造事業の成長加速
① 半導体関連市場での販売拡大
BSP2025において商品展開及び増産投資を行った、ファインセラミックス分野の半導体製造装置向け部材、窒化ケイ素基板などの基板材料、ファインケミカル分野の半導体関連向け研磨砥粒や添加剤について、引き続き半導体関連市場への販売拡大を図ります。また、外部協業の積極的な展開を通じて、技術面・生産面で生じうる課題を解消しながら、開発・生産にスピードが要求される半導体市場に対応できる体制を構築していきます。
② 開発力の強化による提案型案件の創出
当社内に設置されている機能材製造事業オフィスが中心となってマーケティング機能と先行開発能力を強化し、競合他社に先駆けた提案型案件を創出することで、従来の受託製造よりも高い利益率確保を目指します。
③ 海外市場の積極的な開拓
国内製油所や国内化学メーカーを主要顧客とした国内市場の縮小を受け、触媒分野において海外顧客への展開を一層強化していきます。また、半導体関連市場に関しても現在は国内顧客向けの販売が中心であることから、BSP2030では規模の大きな海外顧客への販売拡大も戦略的に進めていきます。
(3)ソリューションビジネスの拡充
総合エンジニアリング事業と機能材製造事業で培ってきた強みを新たなビジネスモデルへと展開することで、事業ポートフォリオの中長期的な変革を促進し、収益変動の緩和と安定的な成長を実現します。具体的には、社会や顧客の課題を「先読み」し、オープンイノベーション活動等を通じて汎用的なソリューションを先行的に開発し、そのソリューションを顧客に提供するというアプローチを積極的に推進していく方針です。
こうした取組みの一環として、当社では国家プロジェクトへの参画を通じて「バイオものづくり」と呼ばれる新たな事業分野にも挑戦していきます。
3.財務目標
財務目標として、2030年度に営業利益600億円、当期純利益500億円、ROE10%以上を目指します。なお、本目標には、「4.成長戦略実現に向けた投資と資本政策」に記載しているM&Aによる収益は考慮していません。

4.成長戦略の実現に向けた投資と資本政策
2026年度から2030年度にわたるBSP2030においては、以下3点の基本方針のバランスを取りながら、重点戦略への取組みを通じてさらなる企業価値の向上に努めてまいります。
(1)強固な財務基盤維持
当社グループのコアビジネスである総合エンジニアリング事業におけるEPCランプサムプロジェクトでは、顧客の信頼獲得に加え、予期せぬ外部環境の変化や市場の混乱局面においてもプロジェクトを円滑に遂行することが重要です。このため、自己資本比率50%の安定的な維持及び十分な手元流動性の確保を通じて、強固な財務基盤の維持に取組みます。
(2)成長投資の推進
3つの重点戦略への取組みを通じた次なる成長の基盤構築のために、BSP2030期間を通じて総額2,800億円の成長投資を行う予定です。M&Aや機能材製造事業における設備投資といった、BSP2030における戦略的意義が高く、比較的早期に効果の収穫が可能な案件を中心に実施していく事を計画しています。
(3)株主還元の強化
以下の株主還元方針に基づいた配当政策を実施してまいります。
・ 株主還元方針を配当性向からDOE※へ変更し、2027年3月期にDOE3%から始め、2031年3月期に向けてDOE4%を目指す。
・ 自己株式取得は、業績見通しやキャッシュ・フローの状況、資本効率の観点から適宜実施を検討する。
※DOE(株主資本配当率):親会社株主に帰属する連結株主資本(その他の包括利益累計額及び非支配株主持分を除く)に対する配当金総額の割合

5.人的資本の強化
BSP2030期間においては、「個人と組織の学習が連動し、知やノウハウが循環(蓄積・活用)し続ける状態」の高度化に向けた施策を講じていきます。当社グループにおいて人財は最も重要な経営基盤のひとつであり、個人と組織の学習効果による能力向上は非常に重要な要素となります。人財を単一機能の担い手として捉えるのではなく、環境変化に柔軟に対応し、活躍する場を拡張できる多能な存在として捉えなおすことで、組織全体の対応力と持続的な成長を目指します。
人的資本の強化に向けた施策を積極的に推進することで、当社グループに集う人財が組織に蓄積されていくデジタルアセットを活用しながら、基盤となる知識や経験を伝承していくという循環に繋げ、より効果的・高度に学習効果を発揮する企業集団を目指します。