有価証券報告書-第120期(2025/03/01-2026/02/28)

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2026/05/29 15:32
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文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果を背景に、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、物価の高騰や金融・為替市場の変動に加え、米国における関税引き上げ等の通商政策の動向など不安定な国際情勢の影響により依然として先行きは不透明な状況が続きました。
このような状況の下、当社は、当社グループの技術と知識で持続可能な豊かな社会の実現に貢献すべく、社会の抱える様々な課題との関わりを常に意識するとともに、従来の製品販売中心のビジネスモデルに加え、開発・設計段階から顧客の課題解決に取り組むソリューション型ビジネスへの展開を推進し、グループ一丸となって持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでおります。
試験機事業においては、既存顧客を中心に受注拡大に注力しつつ、原価管理を徹底しコスト低減を図るため、相模原工場と豊橋工場の連携を強化するとともに、重工業、鉄鋼、自動車、官公庁・研究機関といった安全性・品質保証を重視する顧客基盤を背景に、景気変動の影響を受けにくい安定した需要構造のもと事業拡大に取り組んでおります。また、CAE(Computer Aided Engineering)ソフトウェアの開発およびその受託解析・開発業務を行っている㈱先端力学シミュレーション研究所(以下、「ASTOM R&D社」といいます。)と連携して事業拡大のためのプラットフォーム作りに取り組んでおり、今後さらに成長していくため、ASTOM R&D社との連携による設計・解析段階からの提案強化を通じて、高付加価値化および収益性向上に資する施策を進めております。
エンジニアリング事業においては、高速道路や橋梁等のインフラ向けゆるみ止め製品の引き合いは堅調に継続しており、取引先の設備投資計画の変更による影響はあるものの、コスト構造の見直しおよび収益性を重視した受注方針への転換等により、収益基盤の改善が進展しております。また、電力ばねの販売においては、他社製の安価品との価格競争の影響はあるものの、当社製品の性能優位性を訴求した営業活動を継続し、販売強化および中長期的な市場シェアの拡大に向けた取組みを進めております。
この2つの主力事業は産業の基盤と社会インフラの「安全・安心」を支える事業であり、景気変動の影響を受けにくい安定需要を有することから、当社グループの収益基盤を形成しております。社会に必要不可欠な製品・商品・サービスを提供する企業グループとして今後も成長していくために、顧客満足度の向上を目指して製品・品質・サービスの向上に取り組んでまいりましたが、さらに当期間からはASTOM R&D社の事業であるデジタル事業を加え、3つの事業に取り組むことで、安定収益基盤の確保と成長領域への投資を両立する事業ポートフォリオの構築を進めてまいりました。
そして、試験機事業の持分法適用関連会社である㈱ZR東京衡機サービスにつきましては、同社の親会社である㈱ツビックローエルと戦略的な連携を深め、当社グループの試験機のメンテナンスサービスのほか、ZwickRoell SE社製品の日本市場でのアフターサービスの充実・拡大を進めております。
試験機事業につきましては、各種材料の評価試験、動力・性能試験等の各分野における業界トップレベルの品揃えを強みに、開発・設計・生産からメンテナンス・校正まで、技術と実績に裏付けられたワンストップソリューションを提供するとともに、ASTOM R&D社と連携し試験データの蓄積・利活用提案、および実測(リアル)データと仮想(バーチャル)データを融合したデジタルツイン技術でコラボレーションすること等の提案も行い、自動車、鉄鋼、鉄道、産業機器等のメーカーや各種研究機関、学校、官公庁など幅広いユーザーから継続的な受注を獲得し、安定した事業基盤の強化につながりました。
エンジニアリング事業につきましては、公共工事や都市開発、エネルギー関係を中心にゆるみ止め製品は高評価をいただいておりますが、取引先の設備投資計画の変更もあり一定の影響を受けたものの、インフラ分野を中心に安定した需要を確保し、収益改善に向けた取組みを継続しております。
デジタル事業につきましては、主に大手自動車メーカーや大手機械メーカーの受託開発、商品販売およびその保守事業を行い、堅調に推移するとともに、試験機事業との連携により、実測データとCAE解析を融合したデジタルツイン技術の活用など、今後の高付加価値領域への展開に取り組んでおります。
また、当社は、2026年2月27日に㈱東京証券取引所より当社株式について、2026年3月1日付で監理銘柄(確認中)に指定する旨の通知を受けました。具体的には、当社は前年の対象の基準日(2025年2月末日)において、上場維持基準(流通株式時価総額)に適合しておりませんでしたが、上場維持基準への適合に向けた計画に基づき取組みを進めた結果、2026年2月28日時点で適合し、これにより2026年3月26日付で当該指定を解除する通知を受領し、東証スタンダード市場の上場維持基準の全ての項目に適合することとなりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,473,482千円(前年同期比28.4%増)、営業利益152,915千円(前年同期比508.0%増)、経常利益157,377千円(前年同期比327.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は133,490千円(前年同期比112.1%増)となりました。また、営業利益率は前期の0.7%から3.4%へと改善するとともに、営業キャッシュ・フローは前期△594百万円から当期556百万円へと大幅に改善しており、当社グループの収益創出力、すなわち「稼ぐ力」は前期比で大きく向上しております。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(試験機事業)
試験機事業は、重工業、鉄鋼、自動車、官庁・研究機関といった、材料評価や安全基準対応を目的とする顧客を主要取引先としており、研究開発投資や法規制対応に基づく需要が中心であることから、一般的な設備投資と比較して景気変動の影響を受けにくい事業構造となっております。当社グループのコア技術とカスタマイズ対応力が高く評価され、オーダーメイド製品の受注が順調に推移しております。
特に、ZwickRoell SE社との連携による販路拡充に加え、ASTOM R&D社のCAE解析技術と連動したソリューション提案が奏功し、開発・設計段階からの包括提案が増加傾向にあり、付加価値の高い案件の拡大につながっております。また、過去最高水準となった受注残高の一部が売上として計上されたことで、売上高・営業利益ともに前年同期を大幅に上回り、安定した需要基盤に加え、差別化および高付加価値化の進展により、今後も持続的な成長および収益性向上が期待される分野であります。
以上の結果、試験機事業の売上高は3,677,505千円(前年同期比19.6%増)、営業利益は649,292千円(前年同期比4.0%増)となりました。
(エンジニアリング事業)
エンジニアリング事業では、主力製品である「ゆるみ止めナット・スプリング」の需要が社会インフラ向けに堅調に推移し、セグメントとしての営業利益は黒字となり、収益構造の改善が進展しております。また、電力ばねは取引先の設備投資計画の変更の影響や、ナット製品における安価品との競合はあるものの、当社製品の性能優位性を訴求した営業活動を継続し、収益力の更なる向上に向けた取組みを進めております。
以上の結果、エンジニアリング事業の売上高は371,847千円(前年同期比3.7%減)、営業利益は11,894千円(前年同期は132,274千円の営業損失)となりました。
なお、本事業において事業環境の悪化により収益が低下し、当該事業を営む連結子会社である㈱東京衡機エンジニアリングの株式について、業績の状況を踏まえた評価を行った結果、実質価額が低下したため、財務諸表上で関係会社株式評価損を計上いたしました。本件損失は連結財務諸表においては消去されるため、連結業績への影響はありません。
(デジタル事業)
デジタル事業(ASTOM R&D社)は、売上および利益が例年1月から3月に集中する季節性を有しており、当期間(決算期変更のため4月から12月の9か月間)では損失先行となっておりますが、これは事業特性による季節要因および成長に向けた先行投資によるものであります。2025年6月16日付開示資料では、同社の2025年12月期の売上高は369百万円、営業損失は33百万円、2026年12月期は売上高819百万円、営業利益67百万円を見込んでおります。連結業績との差異は、セグメント間取引の相殺およびのれん等の償却によるものです。当該損失は事前に想定された季節要因および成長投資によるものであり、短期的な損益よりも中長期的な付加価値創出およびグループ全体の収益構造の高度化を重視しております。
また、開発投資や専門人材の採用を積極的に行っており、これらは将来成長に向けた先行投資と位置付けています。今後は、試験機・エンジニアリング事業と横断的にシナジーを発揮し、実測とCAEを融合したデジタルツイン技術やAI解析技術、現場ノウハウの知識化技術を統合し、日本のものづくりを支える独自の「フィジカルAIソリューション」を創出する基盤として、グループ全体の付加価値向上および収益成長に寄与する事業への発展を目指してまいります。
以上の結果、デジタル事業の売上高は452,190千円、営業損失は27,468千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ771,915千円増加し、1,246,494千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローの増加は556,799千円(前年同期は594,287千円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益128,743千円、売上債権の減少額297,271千円、棚卸資産の増加額166,896千円、仕入債務の増加額231,284千円等によるものであります。前期の資金流出から大幅な改善となっており、当社グループの収益創出力は着実に向上しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローの減少は134,205千円(前年同期は47,507千円の減少)となりました。これは主に将来の成長に向けた投資によるものであります。具体的には定期預金等の預入による支出12,000千円、有形固定資産の取得による支出24,360千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出80,233千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローの増加は349,321千円(前年同期は159,724千円の増加)となりました。これは主に長期借入による資金調達によるものであり、成長投資および運転資金確保のための資金基盤の強化を図ったものであります。具体的には短期借入金の返済による支出200,000千円、長期借入れによる収入840,000千円、長期借入金の返済による支出270,168千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
試験機事業3,690,76110.2
エンジニアリング事業371,832△3.8
デジタル事業406,984
合計4,469,57819.7

(注) 1 金額は販売価額によっております。
2 セグメント間の取引は相殺消去しております。
3 その他の事業は、提供するサービスの性格上生産実績に馴染まないため記載しておりません。
b. 受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
試験機事業3,429,327△14.13,199,302△10.5
合計3,429,327△14.13,199,302△10.5

(注) 1 金額は販売価額によっております。
2 セグメント間の取引は相殺消去しております。
3 エンジニアリング事業、デジタル事業及びその他の事業は受注生産ではないため、上記の金額に含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
試験機事業3,677,50519.6
エンジニアリング事業371,832△3.8
デジタル事業406,984
その他17,159△22.2
合計4,473,48228.4

(注) 1 セグメント間の取引は相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社西村商会337,6629.7678,56315.2

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に固定資産の減損、棚卸資産の評価、貸倒引当金、賞与引当金及び法人税等であり、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要となるものは、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
(資産の部)
総資産は5,037,242千円となり、前連結会計年度末に比べ1,263,575千円増加いたしました。これは主に、事業拡大および子会社取得等に伴う資産の積み上げによるものであります。
流動資産は3,654,525千円となり、前連結会計年度末に比べ957,903千円増加いたしました。特に現金及び預金の増加は、営業キャッシュ・フローの改善および資金調達によるものであり、資金基盤の強化が進んでおります。
固定資産は1,382,717千円となり、前連結会計年度末に比べ305,672千円増加いたしました。これは主に工具、器具及び備品の増加35,919千円、のれんの増加121,907千円、顧客関連資産の増加40,139千円によるものであります。
(負債の部)
流動負債は1,595,697千円となり、前連結会計年度末に比べ432,011千円増加いたしました。これは主に事業拡大に伴う仕入債務の増加および資金調達構造の見直しによるものであり、電子記録債務の増加252,253千円、短期借入金の減少200,000千円、1年内返済予定の長期借入金の増加224,800千円によるものであります。
固定負債は1,539,071千円となり、前連結会計年度末に比べ553,601千円増加いたしました。これは主に長期借入金の増加によるものであり、短期資金から長期資金へのシフトにより財務基盤の安定化を図ったものであります。
(純資産の部)
純資産は1,902,474千円となり、前連結会計年度末に比べ277,962千円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加133,023千円、非支配株主持分の増加112,775千円によるものであります。利益の積み上げにより純資産は増加しているものの、負債の増加により自己資本比率は低下しており、今後は収益力の更なる強化による資本効率の改善が課題と認識しております。
b. 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は4,473,482千円(前年同期比28.4%増)となりました。これは主に試験機事業において、販売が堅調に推移したことによります。営業利益は152,915千円(前年同期比508.0%増)となりました。これは主に試験機事業において、過去最高水準となった受注残高の一部が売上として計上されたことによります。経常利益は157,377千円(前年同期比327.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は133,490千円(前年同期比112.1%増)となりました。
c. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、営業キャッシュ・フローで充当することを基本としており、必要に応じて借入により資金調達を実施しております。
④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中長期的な経営指標として、売上高成長率10%以上、営業利益率10%以上、ROE(自己資本利益率)20%以上、粗利益率35%以上、営業利益成長率10%以上、ROIC(投下資本利益率)は15%以上、PBR(株価純資産倍率)1倍超を目標としております。
当連結会計年度は、売上高成長率28.4%、営業利益率3.4%、ROE(自己資本利益率)8.1%、粗利益率34.6%、営業利益成長率508.0%、ROIC(投下資本利益率)3.24%、PBR(株価純資産倍率)2.39倍となり、目標とする指標を下回る結果となりました。

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