有価証券報告書-第103期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
(1)基本的な考え方・方針
当社グループのリスクマネジメントは、事業活動とともに企業経営の車の両輪であると考えています。様々な経営戦略を実行していく中で、外部環境の急激な変化により、経営に影響を与えるリスクが増加しています。そのような成長を阻害する可能性のあるリスクを把握し、コントロールすることと事業継続力強化の両面で取り組んでいきます。
企業がその目的を達成しようとする活動に対して、重大な影響を及ぼす様々なリスクを発生抑制・被害軽減していきます。万が一発生した場合は、経営への影響を最小化し、企業の持続性を保証することで、ステークホルダーの皆様からの期待に応えていきます。
(2)推進体制
リスクマネジメント推進体制として、上位会議体のサステナビリティ会議での方針展開を受け、社長をはじめCxO、監査役及び主要グループ会社の社長などが参加するリスクマネジメント委員会を設置しています。委員会において当社グループにおけるリスク発生状況及び外部の環境・動向を踏まえ、取り組むべき重点リスクの審議・方向づけを行うことでリスク対策を推進しています。決定した重点リスクについて、グループ本社では、リスク別に主管部署を設定、国内外のグループ会社それぞれにリスクマネジメント推進責任者を置き、グループ全体で取り組むことでリスクに対する対応力を強化しています。
さらに、定期的な取締役会への報告を通して、リスクマネジメントに関する監督を受けるとともに、経営戦略の高度化に役立てています。
リスクマネジメント体制

(3)戦略~リスクマネジメントの高度化~
当社は、1997年の刈谷工場火災において、皆様にご迷惑とご心配をおかけしました。これを機に、同じ失敗を繰り返さないようERM(注)を導入し、全社的なリスクマネジメントに取り組んできました。近年、大規模地震や線状降水帯の頻発などの自然災害、部品供給問題、地政学・経済安全保障リスクなど経営を取り巻くリスクは複雑化・多様化しています。
このような中、持続的成長と安定を目指し、経営戦略に関するリスクを含めたリスクマネジメントプロセスを導入しています。事業の円滑な運営を阻害する「オペレーショナルリスク」と、中期的な経営戦略の遂行を阻害する「経営戦略リスク」の両面から、リスクの予兆を捉え、影響度を適切に分析・評価し「先手を打つ」リスクマネジメントを実践していきます。
(注)Enterprise Risk Management
(4)主な取組
当社グループでは「リスクマネジメントプロセス」に基づき、平時におけるリスクの発生抑制・被害軽減、有事の際の早期復旧・被害最小化に取り組んでいます。また、リスク発生の兆候をいち早く察知し、リスク回避するために予兆管理を2025年度よりリスクマネジメントの枠組みに組み込みました。さらに、これらの対策の有効性評価、改善及び標準化を行い、リスクマネジメントサイクルを回すことでリスクに対する実効性を高めています。
リスクマネジメントプロセス~PDCAサイクル~

(5)重点リスクの決定
当社では年2回、リスクマネジメント委員会で重点リスクを決定しています。重点リスクの決定に際しては、毎年、当社グループ経営方針策定時に、経営会議、取締役会で確認される全社版「機会とリスク(短・中期の経営戦略リスク)」を受けて、リスクアセスメントにおいて、外部リスク環境の動向、顧客期待値やステークホルダーを含む社会的要請、外部専門機関によるリスク予測などをもとに、外部環境の変化に伴うリスクを洗い出しています。これに加え、各リスク主管部署の専門的な視点、グループ会社の業務特性に基づく視点、海外拠点の地理的な視点から、内部環境の変化に伴うリスクを洗い出しています。
これらのリスクを、発生確率や傾向、影響度を軸に分析・評価し、これまでのリスク対策による発生抑制・被害軽減の効果を勘案したうえで、グループ全体で重点的に対策すべき「重点リスク」を決定しています。
重点リスク(影響度・発生確率)、対応組織は以下のとおりです。
2026年度アイシングループ重点リスク

重点リスクと対応組織
(6)事業等のリスク
当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。なお、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載した以外にも投資家の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
① 経済状況
関連する重点リスク:「経済状況」
当社グループの連結売上収益のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、中国、タイ、インドネシア、インドなど当社グループの主要市場における経済や景気及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化や自動車需要の動向を常に注視するとともに、事業変革の更なる加速に向けて商品競争力強化・グループ経営の高度化を加速させるとともに、一層の収益構造改革を推進しています。
② 為替レートの変動
関連する重点リスク:「為替・金利変動」
当社グループは、海外連結子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円貨換算しており、現地通貨建ての項目は、現地通貨における価値に変動がない場合も、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが行う外貨建取引から生じる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替レートの変動の影響を受ける場合があり、当社グループが日本で生産し、輸出する取引における他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、通貨別に為替リスクを測定したうえでヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、デリバティブ取扱要領に従い、為替予約、通貨スワップ、通貨オプションを利用してヘッジをしています。
③ 金融市況の変動
関連する重点リスク:「金融危機・インフレ」、「為替・金利変動」
株式市況の低迷等により当社グループの保有する株式等の価値変動が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、株式保有が企業価値向上に必要不可欠と認められる場合を除き、原則保有しない方針であり、株式保有を通じた共同技術開発や事業提携を推進する必要性がある場合に政策保有株式を保有しています。保有している政策保有株式については、保有意義又は今後の縮減方針等について、取締役会で検証しています。そのうえで、保有が企業価値向上に必要不可欠ではないと判断した場合には、取引先各社との対話を通じて縮減を進めています。
また、市場の金利状況により、資金運用・資金調達の受取・支払利息が増減し、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、資産と負債の統合管理をはかるとともに、金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じています。
当社グループの確定給付制度債務の算出において前提条件とした割引率・制度資産などについて、金融市況の悪化により、実際の結果が前提条件よりも低下・減少することで当社グループの確定給付制度債務が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、年金運用の目的やプロセスについて十分に理解している人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取組により、企業年金が運用の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう努めています。また、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しています。
④ 原材料や部品の調達
関連する重点リスク:「製造・材料費高騰」、「仕入先停止・供給逼迫」、「取引適正化」
当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を国内外複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、取引基本契約を結び、安定的な取引を行っています。しかし、昨今の各国通商施策の動向や特定鉱物資源に対する規制、地政学影響及び需要の急激な変化、供給元の災害による被災等の供給能力の制約により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、資源やエネルギー費・労務費等の高騰により当社グループが調達している原材料や部品の価格が上昇し、内部努力や販売価格への転嫁などにより影響を吸収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、得意先への製品の継続的な供給要請に応えられるよう、供給元とのコミュニケーションを強化し、確実な納期の確保、安定的かつ柔軟な供給体制の構築に努めています。安定的な生産や調達活動に影響を及ぼす自然災害や火災などへの対応として、平時から災害に備えるとともに、サプライチェーン情報管理システムを整備するなど有事の際の迅速な初動・復旧を確実に実行できるよう取り組んでいます。
昨今の国際的な紛争、輸出入規制により、原材料等が不足する場合は、速やかにサプライチェーンを調査し、必要に応じて、関係省庁や顧客とも連携し、バックアップ品を確保するなど、供給継続に努めています。
また、価格転嫁(労務費、原材料、エネルギー、金型保管費等)に関しては、供給元への能動的な声掛けにより、相談しやすい環境づくりを行い、1社1社、協議のうえ適切な取引を行うとともに、得意先とも共有・協議し、収益逼迫要因とならないよう、回収交渉を推進しています。併せて、供給元と一体になった新材料・新工法開発や工程改善による原価低減活動を積極的に推進することなどにより、最適な価格の維持に努めています。
⑤ 得意先への依存
関連する重点リスク:「得意先減産」
当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業は、世界の主要自動車メーカーを得意先としています。当社グループの業績は、各自動車メーカーの業績や販売・生産動向の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの連結売上収益に占めるトヨタグループに対する連結売上収益の割合は、当連結会計年度において69.7%を占めており、トヨタグループの事業戦略や購買政策等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、強みである「幅広い商品群」と「ものづくり力」をベースとして、電動化製品を中心に新規顧客の開拓や市場多角化を積極的に推進することに加え、ICE・HEV・PHEVの揺り戻し需要に関する情報をいち早く掴み対応することでリスクを最小限に抑えます。また、既存の顧客との関係を強化し、顧客満足度を向上させることで、長期かつ継続的なパートナーシップを築き、顧客のニーズや問題を早期に把握しています。
⑥ 価格競争
関連する重点リスク:「市場ニーズ変化(BEV化・技術革新)」
当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業におけるグローバルでの価格競争は、大変厳しいものとなっています。得意先からの価格引き下げ要請や自動車メーカーによる部品の内製化、エレクトロニクス製品メーカーなど新しい競合先の台頭や既存の競合先間の提携などにより、価格競争力や製品の優位性が維持できない場合には、当社グループ製品に対する需要の低下及び製品価格の低下を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「幅広い商品群」と「ものづくり力」を強みに、高品質で高い付加価値を有する自動車関連製品をグローバルで供給し続けることで優位性を確保するとともに、事業環境を見極めたグローバルでの効率的な事業体制の構築やIoTやAIを活かした生産性向上をはかりながら、製品開発センターにて競争力のある製品戦略立案と設計・品質・原価企画により、商品競争力・コスト競争力の強化をはかっています。
⑦ 新商品開発
関連する重点リスク:「市場ニーズ変化(BEV化・技術革新)」
当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、環境、安全・安心、快適・利便を追求した独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
(ⅰ)長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。
(ⅱ)当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。
(ⅲ)地政学リスク等に起因し、例えば予定していたレアアースの調達に制約が発生し新商品や新技術の研究や開発が遅延する可能性があります。
(ⅳ)技術の急速な進歩や市場ニーズの変化並びに新技術の商品化遅れにより、当社グループの商品が市場の需要に対応できなくなる可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、電動化・知能化技術を軸に、持続的な成長と持続可能な社会の実現を両立するソリューション型商品の拡充を進めています。市場動向やレアアース代替材料への対応といった社会的要請を踏まえ、競争力が低下し成長が見込みにくい商品については、技術者のリスキリングを通じて人材の流動性を高めつつ、開発リソースを電動駆動ユニットやブレーキシステム等の制御・ソフト領域へ重点的に配分していきます。併せて、生成AIをはじめとするデジタル開発手法の活用により商品開発の効率化・高度化をはかり、商品ラインアップの拡充及び開発スピードの向上を目指します。さらに、パートナーとの技術連携を積極的に推進し、オープンな発想による新規事業の創出を加速していきます。詳細については、「6 研究開発活動」をご参照ください。
⑧ 海外事業展開
関連する重点リスク:「地政学・安全保障・軍事緊張」、「関税・通商」、「労働人口減」、
「経済安全保障」、「テロ・政変・暴動」
当社グループは、世界の主要自動車メーカーの近くで多様なニーズに対応し、高い付加価値を有する製品を開発、提供できるよう、グローバルな供給体制を構築しています。当社グループが事業を展開している国又は地域における事業運営には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ⅰ)予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
(ⅱ)社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響
(ⅲ)不利な政治的又は経済的要因の発生
(ⅳ)人材の採用と確保の難しさ
(ⅴ)テロ、戦争、疾病その他の要因による社会的又は経済的な混乱
当社グループは、国内グループ会社に加え、北中南米、欧州、中国、アセアン、インドを統括する各地域本部長が、グループに共通する経営上のリスクと国や地域によって異なるリスクの情報を共有することによって効果的な対策を推進し、グローバルな視点でリスクマネジメントを強化しており、具体的には当社グループ経営戦略本部が中心となり、地域ごとの事業課題認識と上記リスクを踏まえ事業戦略・地域戦略を一元的に策定しています。また、当社グループが事業展開する国又は地域だけでなく、事業に関連する各国の情報をタイムリーに収集し、適時適切な対応をとっています。
近年、関税や輸出入規制を含む貿易政策の急激な変更や、軍事的な緊張の高まりが増えており、当社グループのサプライチェーンや物流ネットワークに大きな影響を与えたり、製品コストの上昇を引き起こす可能性があります。
このような不確実性が高く予見が困難な地政学・経済安全保障リスクに対して、政策、法規制の変化の動向などの情報をタイムリーに収集し、発生したリスクへの必要な対応を行うことに加えて、全社横断的な会議体である「経済安全保障委員会」にて、経済安全保障上のリスク軽減に向けた活動(安全保障貿易管理、機微技術管理を含む)の検討・実施を行う体制を構築しています。
⑨ 事業投資
関連する重点リスク:「市場環境の変化」
当社グループは、中長期での競争優位性を確立するため、電動化・知能化を中心とした成長領域や、将来的な需要の拡大が見込まれる分野に投資を行い、企業価値の向上に努めています。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社連結子会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、繰延税金資産の回収可能性の判断などに影響を及ぼす可能性があり、当社及び当社連結子会社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、自動車業界が電動化・知能化を中心に大きな変革期を迎えているとの認識のもと、事業ポートフォリオの変革を一層加速させています。具体的には、電動化・知能化を成長領域と位置づけ、ヒト・モノ・カネのリソーセスシフト/リスキルを行うとともに、地域や顧客ごとの多様なニーズに柔軟に対応できる事業体制の構築に取り組んでいます。また、当社グループの中長期の方向性及びグループを含めた意思決定については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議するとともに経営会議、執行会議、各種機能会議等で、当社グループ各社の業績や重要な投資に対してのモニタリングを実施し、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。
⑩ 製品の欠陥
関連する重点リスク:「品質問題」、「部品認証違反」
当社グループは自動車の走行・制御・安全に関わる部品を主力製品としており、製品の品質及び安全性は、顧客からの信頼維持や中長期的な企業価値に直結する重要な経営課題であると認識しています。大規模なリコールや事故が発生した場合、ブランド価値の低下や多額の費用負担が生じる可能性があるため、当該リスクを重要リスクの一つとして管理しています。
当社グループはグローバルに統一した品質方針のもと、開発から量産に至る各段階において品質確認の節目を設け、未然防止を重視した品質管理を行っています。また、設計・生産準備・量産の各プロセスにおいて品質リスクを評価し、問題の早期把握と是正に取り組む体制を整備しています。
一方で、すべての製品について将来にわたり不具合やリコールが発生しないことを保証するものではありません。また、製造物責任に関する賠償については保険に加入していますが、発生する損害の内容や規模によっては、保険で十分に補填されない可能性があります。
製品品質に関する最終的な責任は品質担当役員が負い、品質部門が全社横断的に品質リスクを管理しています。重要な品質課題やリスクについては経営層に定期的に報告され、是正措置及び再発防止策の妥当性を含めて監督・判断が行われています。
品質リスク低減に向けた主な重点取組は、以下を参照ください。
・顧客要求及び関連法規への適合状況の確認
・高リスク製品・工程に対する事前評価と管理強化
・国内外の仕入先を含めた品質評価及び改善状況の把握
・電動化・知能化の進展を踏まえた開発プロセスのしくみ、ツール強化
⑪ 災害等による影響
関連する重点リスク:「大規模地震」、「竜巻」、「風水害・雪害等」、「火災・爆発」、
「労働災害」、「生産停止(災害・火災・事故)」、
「インフラ供給停止(電気・ガス・水)」、「物流障害」
当社グループは、大規模地震や竜巻・豪雨等の自然災害、火災・爆発事故、労災や感染症等の人的災害の発生により、グループ会社に人的・物的被害が生じるリスクを想定しており、これらのリスクの発生による操業停止で、顧客への製品供給に支障をきたした場合、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループの工場や取引先は、国内外に所在しており、これらの地域で大規模な災害等が発生した場合、生産・物流活動が停止、遅延する可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、当社グループすべてを対象としたリスクマネジメント委員会において、特にリソーセスを投入し取り組むべき重点リスクの審議・方向付けを行い、リスクへの対応力強化に取り組んでいます。甚大な被害が想定される自然災害に対しては、平時から緊急時の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理ガイド」や、過去の被災経験を標準化したガイド「震災からの学び・気づき」に基づき、グループ一体となってリスクの未然防止及び被害最小化を推進しています。なお、災害対応における基本方針と優先順位は、①人命・安全、②地域貢献、③生産復旧とし、行動指針は「早め・多め」と定めています。
2025年度より各リスクに対する閾値設定等によるリスク発生回避として予兆管理を開始しています。具体的な事例として、国内物流においては、異常気象(台風・豪雨・豪雪等)の情報を事前に把握し、早出し対応、迂回ルートの活用等により、納入遅延リスクの低減をはかっています。海外物流においては、港湾ストライキやコンテナ不足等の情報を事前に収集し、代替ルート・代替港の活用や複船化などにより、納入遅延リスクの低減をはかっています。
今後も従業員とその家族、顧客を始めとするすべてのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え、様々なリスクに対し代替生産やバックアップなどあらゆる手段で顧客への製品・サービスの供給継続に努めていきます。
⑫ 気候変動と環境問題
関連する重点リスク:「気候変動対応(CN・CE)」、「環境問題」
当社グループは全世界で事業を展開しているため、中長期にわたり様々な気候変動に関する影響を受けると認識しており、「自然との共生、持続可能な未来への貢献」を優先課題として選定しています。気候変動に伴うリスクをシナリオ分析に基づき抽出し、その対応策を事業戦略に組み込み、気候変動への対応を推進しています。主な脱炭素社会への移行リスクとして、下記3点が抽出されました。
(ⅰ)低炭素原材料の需要が高まり、必要な原材料の価格高騰による調達コストの増加
(ⅱ)炭素税や再生可能エネルギー導入などの政策によるコストの増加
(ⅲ)電動化の進展で、電動車向け製品需要が拡大する一方、ガソリン車向け製品需要が減少
こうしたリスクに対し当社グループは「生産」と「製品」の両軸で対応しています。
生産面では、徹底した省エネ活動や革新生産技術の開発によるエネルギー使用量削減、再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーの導入・切替を実施します。
製品面では、電動車向け製品の更なる進化、エネルギーと資源循環・普及を進め、モビリティ・エネルギー技術融合による新価値創出を目指します。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応」をご参照ください。
また、環境問題に対しては、環境取組基盤を強化し、環境重大事故件数ゼロを継続するため、「潜在リスク抽出と改善徹底」「環境マネジメント力向上」などによるサプライチェーン全体での環境事故未然防止活動の強化に取り組んでいます。
⑬ 知的財産権
関連する重点リスク:「知財紛争」
当社グループは、新価値を創造して提供する将来事業の優位性・安全性を確保するため、独自の発明を創出し知的財産権を獲得するとともに、第三者の知的財産権侵害のリスク軽減に努めています。
知的財産権の獲得について、特定の国及び地域においては法的要件により、知的財産の完全な保護が不可能又は限定的にしか保護されない、あるいは保有する知的財産権が無効となるおそれがあり、その結果として第三者による当社グループの知的財産権の不正使用あるいは権利侵害を防ぐための手段が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起されることにより訴訟費用が発生する可能性があります。
こうしたリスクに対処するために当社グループでは、知的財産管理の専門部署を設けて関係部署と連携して知財活動を推進しています。
発明創出の活動としては、自社技術を、製品・サービスの差別化や事業の優位性構築につなげることを目的とした権利化の攻めの活動と、自社技術の保護を目的とした権利化や非公開秘密保持により事業の自由度を確保する守りの活動に取り組んでいます。
並びに、クリアランス調査を行い商材の第三者の知的財産権の侵害予防に努めています。また、訴訟提起された場合には、侵害性や、対象権利の有効性、使用権有無等を迅速に判断して適切に対応しています。
⑭ 情報セキュリティ
関連する重点リスク:「サイバー攻撃」、「情報漏洩」
当社グループでは、日々巧妙化するサイバー攻撃等の脅威からの防御や、「会社情報」「得意先・お客様情報」等の情報漏洩の未然防止を、当社におけるリスク管理上の重要課題と捉え、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、情報システム等に障害が生じる場合や、機密情報及び個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「アイシングループ情報セキュリティ基本方針」を基本に、お客様や取引先からお預かりした、又は当社グループが保有する事業活動に関わる情報資産は、当社グループの重要な資産であるとの認識に立ち、組織的かつ継続的に情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、サイバー攻撃や内部不正等のリスクに対し、セキュリティ専門組織「情報セキュリティ推進部」を設置し、当社グループ全体でセキュリティ対策の実施及びセキュリティ脆弱性情報の収集・展開・対応を行うことで、早期検知及び迅速な対応に努めています。
特に、昨今のサイバー攻撃の手口や内部不正による事案事例に対応するために、アイシングループ横並びの技術対策の展開や情報セキュリティ推進部でのアイシングループ集中の監視体制整備、全従業員に向けた教育・訓練を実施し、対策の強化に努めています。
また、AI技術の進展に伴い、社内におけるAI活用の拡大による内部情報漏洩リスクや、サイバー攻撃者によるAIを活用した攻撃の高度化といった新たなリスクが顕在化しています。
当社はこれらを重要なリスクとして認識し、AI活用に関する社内ガイドラインの整備及び技術的対策の強化、並びにAIを活用したサイバー攻撃への対策強化に取り組んでいます。
⑮ コンプライアンス
関連する重点リスク:「独禁法違反」、「輸出管理」、「ハラスメント」
当社グループは、事業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があります。また、アライアンスの機会増加、海外事業の増加、価値観や働き方などの多様化に伴い、独占禁止法、輸出取引規制違反、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループが重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的信用の失墜による事業への悪影響などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、アイシングループの指針となる「アイシングループサステナビリティ憲章」及びその具体的な行動基準となる「アイシングループ行動規範」を策定しています。また、コンプライアンスに関わる方針・体制を決める会議体として、「企業行動倫理委員会」を設置し、主要グループ会社の取締役社長、担当役員、常勤監査役が、法令遵守を含むコンプライアンスの活動状況及び当社グループの課題を確認するとともに、次年度の活動方針、実施事項を承認しています。さらに、活動を推進するのはあくまで人であると考え、ハラスメント、独占禁止法、輸出取引規制違反等に関する個別のコンプライアンス違反防止のための各種教育・啓蒙活動を継続的に行い、従業員(派遣社員、アイシンへの出向者、定年後再雇用、期間従業員、グループ社員等も含む、国内外の従業員)のコンプライアンス意識向上に努めています。また、コンプライアンスリスクの高いグループ会社に対して、重点支援を行い、グループとしてのリスク低減をはかっています。一方で、問題の早期発見・是正に対しては、内部通報窓口を社内外に設置し、早期解決に努めています。
⑯ 人権
関連する重点リスク:「人権問題」
当社グループは、グローバルでの事業遂行の基盤として人権の尊重を捉えていますが、サプライチェーンを含む事業活動が人権へ影響を及ぼすリスクがあると認識しています。これらのリスクは顕在化や取組不足により社会的信用の失墜につながり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「アイシングループサステナビリティ憲章」や、国連指導原則に基づく「アイシングループ人権方針」を策定するとともに、サプライチェーンへは「サプライヤーサステナビリティガイドライン」を通じ人権方針への理解・支持を求めています。また、アイシングループ人権専門委員会において活動計画を承認しています。人権デュー・ディリジェンスでは外国人労働者に重点を置き、グループ・主要仕入先へのセルフチェックや勉強会、対話・現地確認を通じて指導を行っています。また、急速に変化する人権を取り巻く環境に対応するため、従業員への人権教育実施率を指標とし、一人ひとりの人権尊重意識を高める取組を進めています。さらに社内外相談窓口の設置や「責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム」の企業協働プログラムへの参画等も継続して取り組んでいます。
当社グループのリスクマネジメントは、事業活動とともに企業経営の車の両輪であると考えています。様々な経営戦略を実行していく中で、外部環境の急激な変化により、経営に影響を与えるリスクが増加しています。そのような成長を阻害する可能性のあるリスクを把握し、コントロールすることと事業継続力強化の両面で取り組んでいきます。
企業がその目的を達成しようとする活動に対して、重大な影響を及ぼす様々なリスクを発生抑制・被害軽減していきます。万が一発生した場合は、経営への影響を最小化し、企業の持続性を保証することで、ステークホルダーの皆様からの期待に応えていきます。
(2)推進体制
リスクマネジメント推進体制として、上位会議体のサステナビリティ会議での方針展開を受け、社長をはじめCxO、監査役及び主要グループ会社の社長などが参加するリスクマネジメント委員会を設置しています。委員会において当社グループにおけるリスク発生状況及び外部の環境・動向を踏まえ、取り組むべき重点リスクの審議・方向づけを行うことでリスク対策を推進しています。決定した重点リスクについて、グループ本社では、リスク別に主管部署を設定、国内外のグループ会社それぞれにリスクマネジメント推進責任者を置き、グループ全体で取り組むことでリスクに対する対応力を強化しています。
さらに、定期的な取締役会への報告を通して、リスクマネジメントに関する監督を受けるとともに、経営戦略の高度化に役立てています。
リスクマネジメント体制

(3)戦略~リスクマネジメントの高度化~
当社は、1997年の刈谷工場火災において、皆様にご迷惑とご心配をおかけしました。これを機に、同じ失敗を繰り返さないようERM(注)を導入し、全社的なリスクマネジメントに取り組んできました。近年、大規模地震や線状降水帯の頻発などの自然災害、部品供給問題、地政学・経済安全保障リスクなど経営を取り巻くリスクは複雑化・多様化しています。
このような中、持続的成長と安定を目指し、経営戦略に関するリスクを含めたリスクマネジメントプロセスを導入しています。事業の円滑な運営を阻害する「オペレーショナルリスク」と、中期的な経営戦略の遂行を阻害する「経営戦略リスク」の両面から、リスクの予兆を捉え、影響度を適切に分析・評価し「先手を打つ」リスクマネジメントを実践していきます。
(注)Enterprise Risk Management
(4)主な取組
当社グループでは「リスクマネジメントプロセス」に基づき、平時におけるリスクの発生抑制・被害軽減、有事の際の早期復旧・被害最小化に取り組んでいます。また、リスク発生の兆候をいち早く察知し、リスク回避するために予兆管理を2025年度よりリスクマネジメントの枠組みに組み込みました。さらに、これらの対策の有効性評価、改善及び標準化を行い、リスクマネジメントサイクルを回すことでリスクに対する実効性を高めています。
リスクマネジメントプロセス~PDCAサイクル~

(5)重点リスクの決定
当社では年2回、リスクマネジメント委員会で重点リスクを決定しています。重点リスクの決定に際しては、毎年、当社グループ経営方針策定時に、経営会議、取締役会で確認される全社版「機会とリスク(短・中期の経営戦略リスク)」を受けて、リスクアセスメントにおいて、外部リスク環境の動向、顧客期待値やステークホルダーを含む社会的要請、外部専門機関によるリスク予測などをもとに、外部環境の変化に伴うリスクを洗い出しています。これに加え、各リスク主管部署の専門的な視点、グループ会社の業務特性に基づく視点、海外拠点の地理的な視点から、内部環境の変化に伴うリスクを洗い出しています。
これらのリスクを、発生確率や傾向、影響度を軸に分析・評価し、これまでのリスク対策による発生抑制・被害軽減の効果を勘案したうえで、グループ全体で重点的に対策すべき「重点リスク」を決定しています。
重点リスク(影響度・発生確率)、対応組織は以下のとおりです。
2026年度アイシングループ重点リスク

重点リスクと対応組織
| リスク項目 | 対応組織 | ![]() | 取締役会へ 付議・報告 | |
| 前提リスク (自社でコントロール不可) 外部環境の変化発生時に経営戦略・業務の前提が変動するリスク | 地政学・安全保障・軍事緊張 | 経営会議、執行会議にて審議 | ||
| 関税・通商 | ||||
| 製造・材料費高騰 | ||||
| 金融危機・インフレ | ||||
| 為替・金利変動 | ||||
| 労働人口減 | ||||
| 市場ニーズ変化(BEV化・技術革新) | ||||
| 経済状況 | ||||
| 得意先減産 | ||||
| 最重点リスク | 市場環境の変化 | 経営会議、戦略機能会議、執行会議にて審議 専門組織による推進 (総合企画部、事業戦略部、 原価機能統括部、収益企画部、カーボンニュートラル・環境推進センター、経済安全保障室) | ||
| 経済安全保障 | ||||
| 気候変動対応(CN・CE) | ||||
| サイバー攻撃 | 専門組織による推進 (情報セキュリティ推進部) | |||
| 情報漏洩 | ||||
| 環境問題 | 各種委員会にて推進 (企業行動倫理委員会、人権専門委員会、 経済安全保障委員会、安全衛生委員会、環境委員会、CN・CE推進会議、品質機能会議、法規認証委員会 など) | |||
| 品質問題 | ||||
| 労働災害 | ||||
| 火災・爆発 | ||||
| 人権問題 | ||||
| 輸出管理 | ||||
| 部品認証違反 | ||||
| 大規模地震 | リスクマネジメント委員会下部組織 (災害対応・納入継続部会) | |||
| 風水害・雪害等 | ||||
| 生産停止(災害・火災・事故) | ||||
| 仕入先停止・供給逼迫 | ||||
| 重点リスク | ハラスメント | リスク主管部署で対応 | ||
| インフラ供給停止(電気・ガス・水) | ||||
| 取引適正化 | ||||
| 物流障害 | ||||
| 独禁法違反 | ||||
| テロ・政変・暴動 | ||||
| 竜巻 | ||||
| 知財紛争 |
(6)事業等のリスク
当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。なお、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載した以外にも投資家の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
① 経済状況
関連する重点リスク:「経済状況」
当社グループの連結売上収益のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、中国、タイ、インドネシア、インドなど当社グループの主要市場における経済や景気及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化や自動車需要の動向を常に注視するとともに、事業変革の更なる加速に向けて商品競争力強化・グループ経営の高度化を加速させるとともに、一層の収益構造改革を推進しています。
② 為替レートの変動
関連する重点リスク:「為替・金利変動」
当社グループは、海外連結子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円貨換算しており、現地通貨建ての項目は、現地通貨における価値に変動がない場合も、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが行う外貨建取引から生じる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替レートの変動の影響を受ける場合があり、当社グループが日本で生産し、輸出する取引における他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、通貨別に為替リスクを測定したうえでヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、デリバティブ取扱要領に従い、為替予約、通貨スワップ、通貨オプションを利用してヘッジをしています。
③ 金融市況の変動
関連する重点リスク:「金融危機・インフレ」、「為替・金利変動」
株式市況の低迷等により当社グループの保有する株式等の価値変動が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、株式保有が企業価値向上に必要不可欠と認められる場合を除き、原則保有しない方針であり、株式保有を通じた共同技術開発や事業提携を推進する必要性がある場合に政策保有株式を保有しています。保有している政策保有株式については、保有意義又は今後の縮減方針等について、取締役会で検証しています。そのうえで、保有が企業価値向上に必要不可欠ではないと判断した場合には、取引先各社との対話を通じて縮減を進めています。
また、市場の金利状況により、資金運用・資金調達の受取・支払利息が増減し、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、資産と負債の統合管理をはかるとともに、金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じています。
当社グループの確定給付制度債務の算出において前提条件とした割引率・制度資産などについて、金融市況の悪化により、実際の結果が前提条件よりも低下・減少することで当社グループの確定給付制度債務が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、年金運用の目的やプロセスについて十分に理解している人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取組により、企業年金が運用の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう努めています。また、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しています。
④ 原材料や部品の調達
関連する重点リスク:「製造・材料費高騰」、「仕入先停止・供給逼迫」、「取引適正化」
当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を国内外複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、取引基本契約を結び、安定的な取引を行っています。しかし、昨今の各国通商施策の動向や特定鉱物資源に対する規制、地政学影響及び需要の急激な変化、供給元の災害による被災等の供給能力の制約により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、資源やエネルギー費・労務費等の高騰により当社グループが調達している原材料や部品の価格が上昇し、内部努力や販売価格への転嫁などにより影響を吸収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、得意先への製品の継続的な供給要請に応えられるよう、供給元とのコミュニケーションを強化し、確実な納期の確保、安定的かつ柔軟な供給体制の構築に努めています。安定的な生産や調達活動に影響を及ぼす自然災害や火災などへの対応として、平時から災害に備えるとともに、サプライチェーン情報管理システムを整備するなど有事の際の迅速な初動・復旧を確実に実行できるよう取り組んでいます。
昨今の国際的な紛争、輸出入規制により、原材料等が不足する場合は、速やかにサプライチェーンを調査し、必要に応じて、関係省庁や顧客とも連携し、バックアップ品を確保するなど、供給継続に努めています。
また、価格転嫁(労務費、原材料、エネルギー、金型保管費等)に関しては、供給元への能動的な声掛けにより、相談しやすい環境づくりを行い、1社1社、協議のうえ適切な取引を行うとともに、得意先とも共有・協議し、収益逼迫要因とならないよう、回収交渉を推進しています。併せて、供給元と一体になった新材料・新工法開発や工程改善による原価低減活動を積極的に推進することなどにより、最適な価格の維持に努めています。
⑤ 得意先への依存
関連する重点リスク:「得意先減産」
当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業は、世界の主要自動車メーカーを得意先としています。当社グループの業績は、各自動車メーカーの業績や販売・生産動向の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの連結売上収益に占めるトヨタグループに対する連結売上収益の割合は、当連結会計年度において69.7%を占めており、トヨタグループの事業戦略や購買政策等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、強みである「幅広い商品群」と「ものづくり力」をベースとして、電動化製品を中心に新規顧客の開拓や市場多角化を積極的に推進することに加え、ICE・HEV・PHEVの揺り戻し需要に関する情報をいち早く掴み対応することでリスクを最小限に抑えます。また、既存の顧客との関係を強化し、顧客満足度を向上させることで、長期かつ継続的なパートナーシップを築き、顧客のニーズや問題を早期に把握しています。
⑥ 価格競争
関連する重点リスク:「市場ニーズ変化(BEV化・技術革新)」
当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業におけるグローバルでの価格競争は、大変厳しいものとなっています。得意先からの価格引き下げ要請や自動車メーカーによる部品の内製化、エレクトロニクス製品メーカーなど新しい競合先の台頭や既存の競合先間の提携などにより、価格競争力や製品の優位性が維持できない場合には、当社グループ製品に対する需要の低下及び製品価格の低下を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「幅広い商品群」と「ものづくり力」を強みに、高品質で高い付加価値を有する自動車関連製品をグローバルで供給し続けることで優位性を確保するとともに、事業環境を見極めたグローバルでの効率的な事業体制の構築やIoTやAIを活かした生産性向上をはかりながら、製品開発センターにて競争力のある製品戦略立案と設計・品質・原価企画により、商品競争力・コスト競争力の強化をはかっています。
⑦ 新商品開発
関連する重点リスク:「市場ニーズ変化(BEV化・技術革新)」
当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、環境、安全・安心、快適・利便を追求した独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
(ⅰ)長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。
(ⅱ)当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。
(ⅲ)地政学リスク等に起因し、例えば予定していたレアアースの調達に制約が発生し新商品や新技術の研究や開発が遅延する可能性があります。
(ⅳ)技術の急速な進歩や市場ニーズの変化並びに新技術の商品化遅れにより、当社グループの商品が市場の需要に対応できなくなる可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、電動化・知能化技術を軸に、持続的な成長と持続可能な社会の実現を両立するソリューション型商品の拡充を進めています。市場動向やレアアース代替材料への対応といった社会的要請を踏まえ、競争力が低下し成長が見込みにくい商品については、技術者のリスキリングを通じて人材の流動性を高めつつ、開発リソースを電動駆動ユニットやブレーキシステム等の制御・ソフト領域へ重点的に配分していきます。併せて、生成AIをはじめとするデジタル開発手法の活用により商品開発の効率化・高度化をはかり、商品ラインアップの拡充及び開発スピードの向上を目指します。さらに、パートナーとの技術連携を積極的に推進し、オープンな発想による新規事業の創出を加速していきます。詳細については、「6 研究開発活動」をご参照ください。
⑧ 海外事業展開
関連する重点リスク:「地政学・安全保障・軍事緊張」、「関税・通商」、「労働人口減」、
「経済安全保障」、「テロ・政変・暴動」
当社グループは、世界の主要自動車メーカーの近くで多様なニーズに対応し、高い付加価値を有する製品を開発、提供できるよう、グローバルな供給体制を構築しています。当社グループが事業を展開している国又は地域における事業運営には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ⅰ)予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
(ⅱ)社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響
(ⅲ)不利な政治的又は経済的要因の発生
(ⅳ)人材の採用と確保の難しさ
(ⅴ)テロ、戦争、疾病その他の要因による社会的又は経済的な混乱
当社グループは、国内グループ会社に加え、北中南米、欧州、中国、アセアン、インドを統括する各地域本部長が、グループに共通する経営上のリスクと国や地域によって異なるリスクの情報を共有することによって効果的な対策を推進し、グローバルな視点でリスクマネジメントを強化しており、具体的には当社グループ経営戦略本部が中心となり、地域ごとの事業課題認識と上記リスクを踏まえ事業戦略・地域戦略を一元的に策定しています。また、当社グループが事業展開する国又は地域だけでなく、事業に関連する各国の情報をタイムリーに収集し、適時適切な対応をとっています。
近年、関税や輸出入規制を含む貿易政策の急激な変更や、軍事的な緊張の高まりが増えており、当社グループのサプライチェーンや物流ネットワークに大きな影響を与えたり、製品コストの上昇を引き起こす可能性があります。
このような不確実性が高く予見が困難な地政学・経済安全保障リスクに対して、政策、法規制の変化の動向などの情報をタイムリーに収集し、発生したリスクへの必要な対応を行うことに加えて、全社横断的な会議体である「経済安全保障委員会」にて、経済安全保障上のリスク軽減に向けた活動(安全保障貿易管理、機微技術管理を含む)の検討・実施を行う体制を構築しています。
⑨ 事業投資
関連する重点リスク:「市場環境の変化」
当社グループは、中長期での競争優位性を確立するため、電動化・知能化を中心とした成長領域や、将来的な需要の拡大が見込まれる分野に投資を行い、企業価値の向上に努めています。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社連結子会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、繰延税金資産の回収可能性の判断などに影響を及ぼす可能性があり、当社及び当社連結子会社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、自動車業界が電動化・知能化を中心に大きな変革期を迎えているとの認識のもと、事業ポートフォリオの変革を一層加速させています。具体的には、電動化・知能化を成長領域と位置づけ、ヒト・モノ・カネのリソーセスシフト/リスキルを行うとともに、地域や顧客ごとの多様なニーズに柔軟に対応できる事業体制の構築に取り組んでいます。また、当社グループの中長期の方向性及びグループを含めた意思決定については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議するとともに経営会議、執行会議、各種機能会議等で、当社グループ各社の業績や重要な投資に対してのモニタリングを実施し、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。
⑩ 製品の欠陥
関連する重点リスク:「品質問題」、「部品認証違反」
当社グループは自動車の走行・制御・安全に関わる部品を主力製品としており、製品の品質及び安全性は、顧客からの信頼維持や中長期的な企業価値に直結する重要な経営課題であると認識しています。大規模なリコールや事故が発生した場合、ブランド価値の低下や多額の費用負担が生じる可能性があるため、当該リスクを重要リスクの一つとして管理しています。
当社グループはグローバルに統一した品質方針のもと、開発から量産に至る各段階において品質確認の節目を設け、未然防止を重視した品質管理を行っています。また、設計・生産準備・量産の各プロセスにおいて品質リスクを評価し、問題の早期把握と是正に取り組む体制を整備しています。
一方で、すべての製品について将来にわたり不具合やリコールが発生しないことを保証するものではありません。また、製造物責任に関する賠償については保険に加入していますが、発生する損害の内容や規模によっては、保険で十分に補填されない可能性があります。
製品品質に関する最終的な責任は品質担当役員が負い、品質部門が全社横断的に品質リスクを管理しています。重要な品質課題やリスクについては経営層に定期的に報告され、是正措置及び再発防止策の妥当性を含めて監督・判断が行われています。
品質リスク低減に向けた主な重点取組は、以下を参照ください。
・顧客要求及び関連法規への適合状況の確認
・高リスク製品・工程に対する事前評価と管理強化
・国内外の仕入先を含めた品質評価及び改善状況の把握
・電動化・知能化の進展を踏まえた開発プロセスのしくみ、ツール強化
⑪ 災害等による影響
関連する重点リスク:「大規模地震」、「竜巻」、「風水害・雪害等」、「火災・爆発」、
「労働災害」、「生産停止(災害・火災・事故)」、
「インフラ供給停止(電気・ガス・水)」、「物流障害」
当社グループは、大規模地震や竜巻・豪雨等の自然災害、火災・爆発事故、労災や感染症等の人的災害の発生により、グループ会社に人的・物的被害が生じるリスクを想定しており、これらのリスクの発生による操業停止で、顧客への製品供給に支障をきたした場合、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループの工場や取引先は、国内外に所在しており、これらの地域で大規模な災害等が発生した場合、生産・物流活動が停止、遅延する可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、当社グループすべてを対象としたリスクマネジメント委員会において、特にリソーセスを投入し取り組むべき重点リスクの審議・方向付けを行い、リスクへの対応力強化に取り組んでいます。甚大な被害が想定される自然災害に対しては、平時から緊急時の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理ガイド」や、過去の被災経験を標準化したガイド「震災からの学び・気づき」に基づき、グループ一体となってリスクの未然防止及び被害最小化を推進しています。なお、災害対応における基本方針と優先順位は、①人命・安全、②地域貢献、③生産復旧とし、行動指針は「早め・多め」と定めています。
2025年度より各リスクに対する閾値設定等によるリスク発生回避として予兆管理を開始しています。具体的な事例として、国内物流においては、異常気象(台風・豪雨・豪雪等)の情報を事前に把握し、早出し対応、迂回ルートの活用等により、納入遅延リスクの低減をはかっています。海外物流においては、港湾ストライキやコンテナ不足等の情報を事前に収集し、代替ルート・代替港の活用や複船化などにより、納入遅延リスクの低減をはかっています。
今後も従業員とその家族、顧客を始めとするすべてのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え、様々なリスクに対し代替生産やバックアップなどあらゆる手段で顧客への製品・サービスの供給継続に努めていきます。
⑫ 気候変動と環境問題
関連する重点リスク:「気候変動対応(CN・CE)」、「環境問題」
当社グループは全世界で事業を展開しているため、中長期にわたり様々な気候変動に関する影響を受けると認識しており、「自然との共生、持続可能な未来への貢献」を優先課題として選定しています。気候変動に伴うリスクをシナリオ分析に基づき抽出し、その対応策を事業戦略に組み込み、気候変動への対応を推進しています。主な脱炭素社会への移行リスクとして、下記3点が抽出されました。
(ⅰ)低炭素原材料の需要が高まり、必要な原材料の価格高騰による調達コストの増加
(ⅱ)炭素税や再生可能エネルギー導入などの政策によるコストの増加
(ⅲ)電動化の進展で、電動車向け製品需要が拡大する一方、ガソリン車向け製品需要が減少
こうしたリスクに対し当社グループは「生産」と「製品」の両軸で対応しています。
生産面では、徹底した省エネ活動や革新生産技術の開発によるエネルギー使用量削減、再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーの導入・切替を実施します。
製品面では、電動車向け製品の更なる進化、エネルギーと資源循環・普及を進め、モビリティ・エネルギー技術融合による新価値創出を目指します。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応」をご参照ください。
また、環境問題に対しては、環境取組基盤を強化し、環境重大事故件数ゼロを継続するため、「潜在リスク抽出と改善徹底」「環境マネジメント力向上」などによるサプライチェーン全体での環境事故未然防止活動の強化に取り組んでいます。
⑬ 知的財産権
関連する重点リスク:「知財紛争」
当社グループは、新価値を創造して提供する将来事業の優位性・安全性を確保するため、独自の発明を創出し知的財産権を獲得するとともに、第三者の知的財産権侵害のリスク軽減に努めています。
知的財産権の獲得について、特定の国及び地域においては法的要件により、知的財産の完全な保護が不可能又は限定的にしか保護されない、あるいは保有する知的財産権が無効となるおそれがあり、その結果として第三者による当社グループの知的財産権の不正使用あるいは権利侵害を防ぐための手段が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起されることにより訴訟費用が発生する可能性があります。
こうしたリスクに対処するために当社グループでは、知的財産管理の専門部署を設けて関係部署と連携して知財活動を推進しています。
発明創出の活動としては、自社技術を、製品・サービスの差別化や事業の優位性構築につなげることを目的とした権利化の攻めの活動と、自社技術の保護を目的とした権利化や非公開秘密保持により事業の自由度を確保する守りの活動に取り組んでいます。
並びに、クリアランス調査を行い商材の第三者の知的財産権の侵害予防に努めています。また、訴訟提起された場合には、侵害性や、対象権利の有効性、使用権有無等を迅速に判断して適切に対応しています。
⑭ 情報セキュリティ
関連する重点リスク:「サイバー攻撃」、「情報漏洩」
当社グループでは、日々巧妙化するサイバー攻撃等の脅威からの防御や、「会社情報」「得意先・お客様情報」等の情報漏洩の未然防止を、当社におけるリスク管理上の重要課題と捉え、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、情報システム等に障害が生じる場合や、機密情報及び個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「アイシングループ情報セキュリティ基本方針」を基本に、お客様や取引先からお預かりした、又は当社グループが保有する事業活動に関わる情報資産は、当社グループの重要な資産であるとの認識に立ち、組織的かつ継続的に情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、サイバー攻撃や内部不正等のリスクに対し、セキュリティ専門組織「情報セキュリティ推進部」を設置し、当社グループ全体でセキュリティ対策の実施及びセキュリティ脆弱性情報の収集・展開・対応を行うことで、早期検知及び迅速な対応に努めています。
特に、昨今のサイバー攻撃の手口や内部不正による事案事例に対応するために、アイシングループ横並びの技術対策の展開や情報セキュリティ推進部でのアイシングループ集中の監視体制整備、全従業員に向けた教育・訓練を実施し、対策の強化に努めています。
また、AI技術の進展に伴い、社内におけるAI活用の拡大による内部情報漏洩リスクや、サイバー攻撃者によるAIを活用した攻撃の高度化といった新たなリスクが顕在化しています。
当社はこれらを重要なリスクとして認識し、AI活用に関する社内ガイドラインの整備及び技術的対策の強化、並びにAIを活用したサイバー攻撃への対策強化に取り組んでいます。
⑮ コンプライアンス
関連する重点リスク:「独禁法違反」、「輸出管理」、「ハラスメント」
当社グループは、事業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があります。また、アライアンスの機会増加、海外事業の増加、価値観や働き方などの多様化に伴い、独占禁止法、輸出取引規制違反、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループが重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的信用の失墜による事業への悪影響などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、アイシングループの指針となる「アイシングループサステナビリティ憲章」及びその具体的な行動基準となる「アイシングループ行動規範」を策定しています。また、コンプライアンスに関わる方針・体制を決める会議体として、「企業行動倫理委員会」を設置し、主要グループ会社の取締役社長、担当役員、常勤監査役が、法令遵守を含むコンプライアンスの活動状況及び当社グループの課題を確認するとともに、次年度の活動方針、実施事項を承認しています。さらに、活動を推進するのはあくまで人であると考え、ハラスメント、独占禁止法、輸出取引規制違反等に関する個別のコンプライアンス違反防止のための各種教育・啓蒙活動を継続的に行い、従業員(派遣社員、アイシンへの出向者、定年後再雇用、期間従業員、グループ社員等も含む、国内外の従業員)のコンプライアンス意識向上に努めています。また、コンプライアンスリスクの高いグループ会社に対して、重点支援を行い、グループとしてのリスク低減をはかっています。一方で、問題の早期発見・是正に対しては、内部通報窓口を社内外に設置し、早期解決に努めています。
⑯ 人権
関連する重点リスク:「人権問題」
当社グループは、グローバルでの事業遂行の基盤として人権の尊重を捉えていますが、サプライチェーンを含む事業活動が人権へ影響を及ぼすリスクがあると認識しています。これらのリスクは顕在化や取組不足により社会的信用の失墜につながり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「アイシングループサステナビリティ憲章」や、国連指導原則に基づく「アイシングループ人権方針」を策定するとともに、サプライチェーンへは「サプライヤーサステナビリティガイドライン」を通じ人権方針への理解・支持を求めています。また、アイシングループ人権専門委員会において活動計画を承認しています。人権デュー・ディリジェンスでは外国人労働者に重点を置き、グループ・主要仕入先へのセルフチェックや勉強会、対話・現地確認を通じて指導を行っています。また、急速に変化する人権を取り巻く環境に対応するため、従業員への人権教育実施率を指標とし、一人ひとりの人権尊重意識を高める取組を進めています。さらに社内外相談窓口の設置や「責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム」の企業協働プログラムへの参画等も継続して取り組んでいます。
