有価証券報告書-第118期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/26 15:33
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(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」を経営の基本理念とし、法令・規則の遵守、公正・誠実を基本に、独創的技術の創造、顧客満足度の向上、グローバリゼーションの推進を通じて、国際企業にふさわしい企業活動を行うとともに、環境への負荷低減及び資源循環型社会の構築を目指しております。
(2)目標とする経営指標
中期経営計画「NTN100」(詳細は下記(4)会社の対処すべき課題 ①中期経営計画「NTN100」の進捗」をご覧下さい。)で財務体質の健全化を目指し、「収益管理の強化と資産効率の向上」に向けた諸施策を推進しており、売上高営業利益率と株主資本利益率(ROE)を重視しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは来年3月に創業100周年を迎えるにあたり、次の100年も成長するため、会社の進むべき方向として、以下の「あるべき姿」を定めました。
(ⅰ) 世界中の従業員に企業理念が浸透し、自ら考え、自ら行動する企業
(ⅱ) 独自の商品とサービスを有し、品質、機能で高く評価され、世界中で存在感のある企業
(ⅲ) NTNに関わる全ての人が「NTN」ブランドに誇りを持てる企業
平成27年4月からスタートした中期経営計画「NTN100」(平成27年4月~平成30年3月)では、「あるべき姿」の実現に向けた変革及び礎づくりの3年間と位置づけ、経営資源(ひと・もの・かね)を重点分野に集中する「攻める経営」、規模に依存せず価値を追求する企業へと変革する「稼ぐ経営」、経営基盤と財務基盤を強化する「築く経営」の3つを基本方針とし、以下の施策を重点的に実施しております。
<攻める経営>(ⅰ) 新たな領域での事業展開
「NTNの技術やノウハウを融合した新たな領域での事業展開」
(ⅱ) アフターマーケット事業の拡大
「品揃えとエンジニアリング・サービスで顧客満足度世界No.1へ」
<稼ぐ経営>(ⅲ) ドライブシャフト事業の構造改革
「顧客満足度世界No.1の『NTNのドライブシャフト』へ」
(ⅳ) 次世代技術による「もの造り」
「次の100年に向けた『もの造り』方式の革新」
<築く経営>(ⅴ) 経営基盤の強化
「真のグローバル企業としての経営基盤の確立」
(ⅵ) 財務基盤の強化
「収益管理の強化と資産効率の向上」
(4)会社の対処すべき課題
① 中期経営計画「NTN100」の進捗
当社グループは、平成27年4月から創業100周年を迎える来年3月までの3年間の中期経営計画「NTN100」に取組んでおります。創業100周年と次の100年の持続的成長のため、「あるべき姿」に向けた変革と礎づくりの3年間と位置づけて、「攻める経営」、「稼ぐ経営」、「築く経営」の3つの基本方針のもと、重点施策を進めております。
<攻める経営>軸受とドライブシャフトに次ぐ「新たな領域における事業展開」として、自然エネルギー、EV、ロボット関連、サービス・ソリューションの4つの領域で事業化を進めております。自然エネルギー事業では、風力と太陽光の2つの自然エネルギーで発電し、夜間にLED照明を点灯する「ハイブリッド街路灯」を昨年7月に販売を開始しました。また、10kWの「小形風車」や農業用水路等に置くだけで発電する「マイクロ水車」の実証実験を進め、今後、順次、販売開始してまいります。EV事業では、「新インホイールモータシステム」を開発し、環境問題が深刻な海外にも提案を進めております。また、昨年5月より「電動モータ・アクチュエータ」を商品ラインナップに加え、自動車の電動化や省燃費化に貢献する商品として提案を進めております。ロボット関連事業では、「人との協働、共生」をテーマに、自動生産設備の生産性向上に貢献する「パラレルリンク型高速角度制御装置」等の市場展開を加速しております。サービス・ソリューション事業では、「風力発電装置用状態監視システムWind Doctor®」で培われた軸受の状態監視や診断、センシング技術を、鉄道等の他分野にも積極的に展開しております。
「アフターマーケット事業の拡大」では、「品揃えとエンジニアリング・サービスで顧客満足度世界No.1」を目指しております。日本のお客様にはアフターマーケットアカデミー(技術講習会、軸受診断等)の開催等を通じて技術サービスの強化を図っております。海外においても、欧米をはじめ中国等で自動車補修ビジネスを拡大しており、産業機械補修ビジネスでは代理店とその先のお客様へテクニカルサービスカーで訪問するキャラバン活動を強化することで、信頼関係の構築と販売拡大を進めております。生産面では、株式会社NTN能登製作所(石川県志賀町)に熱処理工場を増設し、能登地区における軸受の一貫生産体制を確立させることで、生産リードタイム短縮と安定した供給体制を実現してまいります。
<稼ぐ経営>「ドライブシャフト事業の構造改革」では、収益拡大を最重要課題と位置づけ、品質・コスト・納期・技術面も含めて、顧客満足度世界No.1の「NTNのドライブシャフト」と呼ばれるように体質を改革しております。販売・技術面では、新たなコンセプトと高度な製造技術により、当社が世界トップシェアを誇るハブベアリングも含めてモジュール化した「アドバンスド ドライブシャフト モジュール」等を開発し、高付加価値商品の構成を高めております。生産面では、自動車生産台数の増加、自動車メーカの拠点新設を背景に、中国や米国等で新工場を設立し、グローバルで現地生産比率を高めるとともに、比例費削減等による収益改善を進めています。
「次世代技術による『もの造り』」では、「次の100年に向けた『もの造り』方式の革新」をテーマに、「電子ビーム溶接」等の革新的な製造技術を導入することで、コスト競争力の強化やリードタイムの短縮、省エネルギーの実現等を図っております。また、「品質保証本部」を中心に、「メイドバイNTN」による世界同一基準でのグローバル品質保証体制の強化を推進してまいります。
<築く経営>「経営基盤の強化」では、世界共通の行動規範としての「企業理念」について、当社グループ全従業員への浸透を図るほか、グローバル企業として、コンプライアンスの徹底やガバナンス、ダイバーシティへの対応強化を進めております。国や地域を越えて活躍できるグローバル人材の育成等を強化し、現場力を高める継続的「ひと造り」を推進しています。日本では昨年4月に施行された女性活躍推進法に基づき、育児短時間勤務制度の拡充や企業内託児所の整備等、更に働きやすい職場と環境づくりに取組んでおります。当社が事業展開する地域社会におけるCSR(社会的責任)活動にも注力し、地元から愛される企業としての社会貢献や、環境保全活動等の取組みをますます拡大してまいります。
「財務基盤の強化」では、「収益管理の強化と資産効率の向上」に向けた諸施策を進めております。有利子負債の削減と棚卸資産回転率の向上、退職給付債務の圧縮、売上高利益率向上の諸施策を通じて、財務体質の健全化を目指し、長期的に安定した株主の皆様への利益還元を継続的に実施してまいります。
② 法令・規則遵守のための体制強化
当社グループは、コンプライアンスの徹底を最重要課題の一つとして捉えており、法令・規則遵守のための体制強化に取組んでおります。
<各当局の調査等の経過>当社は、平成24年6月、ベアリング(軸受)の国内取引に関して、独占禁止法(以下、「独禁法」)違反の容疑で、当社元役員とともに東京地方検察庁より起訴され、平成25年3月には、公正取引委員会より排除措置命令及び課徴金納付命令(7,231百万円)を受けました。これらの前提となる事実認定は、当社の認識とは異なりますので、同年4月、両命令を不服として審判請求を行い、現在も審判手続が係属中です。また、刑事裁判においては、平成27年2月に東京地方裁判所より宣告された有罪判決に対し控訴していましたが、昨年3月に控訴を棄却する旨の控訴審判決が言い渡されました。当社及び当社元役員は本判決に不服があるため最高裁判所へ上告しております。
海外におきましては、韓国等の連結子会社において、当局の調査等を受けております。
当社並びに当社の米国及びカナダ等の連結子会社は、他の事業者と共同してベアリング(軸受)の販売価格の引上げを決定したとして、米国及びカナダにおいて複数の民事訴訟(クラスアクション)の提起を受けております。昨年11月、訴訟の長期化による費用増加や経営に与える影響等を勘案し、和解により早期に解決を図ることが最善の策であると判断し、米国の原告の一部である間接購入者との間で、和解金1,005万米ドル(約11億円)を支払う内容で和解に合意しました。
当社を含む軸受メーカ4社は、英国競争審判所においてPeugeot S.A.及び同社のグループ会社 計19社(以下「原告等」)より損害賠償額4億3,770万ユーロ(暫定額)を連帯して支払うよう求める訴訟の提起を受けています。本訴訟は、平成26年3月19日付の欧州委員会決定の対象となった欧州競争法違反行為に関連して、原告等が損害を被ったとして提起されたものです。
なお、各国当局による競争法違反に関する調査等に関連して、顧客と損害賠償等の協議を行ってまいりましたが、一部の顧客との間で和解に合意しました。
当社又は当社の関係会社は、上記と同様の訴訟等を今後提起される可能性があります。
当社グループは、今後とも法令、社会規範、倫理、社内規程等の遵守をグローバルに徹底するための体制を強化し、更に、公正・誠実な競争による事業活動を推進してまいります。
<体制強化>独禁法及び下請代金支払遅延等防止法遵守の徹底のため、「公正取引監察委員会」の指示の下、「公正取引推進部」を中心に活動を推進しています。
また、平成26年に設置しました「CSR(社会的責任)推進本部」は、公正取引推進部を含む企業の社会的責任に関連する部門を統括し、法規範の遵守と社会的責任を当社グループ全体で推進しています。また同時に、各海外地区総支配人室に設置しました「内部統制課」との連携を強化し、海外におけるコンプライアンス体制を構築・強化しています。
公正取引推進部は、社内研修等啓発活動に加え、独禁法遵守に関する自己監査、競合他社との接触を予防・監視するための事前申請等を義務付け、競合他社との接触状況の全体像を確認できる体制にしています。昨年はコンプライアンスの重要性を再確認する機会として7月26日を「コンプライアンスを考える日」に制定しました。また独禁法遵守に係る小冊子を国内従業員へ配布し独禁法遵守意識の強化に努めています。
海外におきましても、各海外地域における内部統制課との連携により、地域主体の研修や事前申請等の審査及び自己監査を行う体制を構築し、各地域の競争法に対応した遵法体制を整備しています。
この体制で、継続的な教育・啓発等の活動と、総括的な統制の強化を実施しております。
当社グループは、新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献するため、法令・規則の遵守、公正・誠実を基本に、以上の諸施策を実施することにより経営基盤の一層の強化と業務の効率化に努め、収益向上に邁進してまいります。
なお、会社の支配に関する基本方針は次のとおりです。
1) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社グループは「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する(For New Technology Network:新しい技術で世界を結ぶ)」を企業理念とし、法令・規則の遵守、公正・誠実を基本に、独創的技術の創造、顧客満足度の向上、グローバリゼーションの推進を通じて、国際企業にふさわしい企業活動を行うとともに、環境への負荷低減及び資源循環型社会の構築を目指しております。この理念のもとに企業活動を健全に継続し、株主の皆様を始め、お客様、従業員、地域社会の皆様等、あらゆるステークホルダーとの信頼関係の維持に十分に配慮し、長期的な視点に立った企業活動を行うことが当社の企業価値向上及び株主共同の利益の確保に資すると考えます。
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方につきましては、当社が上場会社である以上、基本的には当社株式の大規模な買付も自由であり、最終的には上記のような観点から株主の皆様ご自身が判断されるべきものと考えております。しかしながら、当社株式に対する大規模買付行為については、株主の皆様に判断の前提となる十分な情報提供が行われるよう適切なルールが定められるべきでありますし、また、当該大規模買付行為が当社の企業価値又は株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合には、当社は、当社の企業価値又は株主共同の利益を守るために、しかるべき対抗措置を取ることができるようにすべきであると考えます。
2) 上記基本方針にかかる取組みの具体的内容
①当社グループは来年3月に創業100周年を迎えるにあたり、次の100年も成長するため、会社の進むべき方向として、以下の「あるべき姿」を定めました。
(ⅰ) 世界中の従業員に企業理念が浸透し、自ら考え、自ら行動する企業
(ⅱ) 独自の商品とサービスを有し、品質、機能で高く評価され、世界中で存在感のある企業
(ⅲ) NTNに関わる全ての人が「NTN」ブランドに誇りを持てる企業
平成27年4月からスタートした中期経営計画「NTN100」(平成27年4月~平成30年3月)では、「あるべき姿」の実現に向けた変革及び礎づくりの3年間と位置づけ、経営資源(ひと・もの・かね)を重点分野に集中する「攻める経営」、規模に依存せず価値を追求する企業へと変革する「稼ぐ経営」、経営基盤と財務基盤を強化する「築く経営」の3つを基本方針とし、以下の施策を重点的に実施しております。
<攻める経営>(ⅰ) 新たな領域での事業展開
「NTNの技術やノウハウを融合した新たな領域での事業展開」
(ⅱ) アフターマーケット事業の拡大
「品揃えとエンジニアリング・サービスで顧客満足度世界No.1へ」
<稼ぐ経営>(ⅲ) ドライブシャフト事業の構造改革
「顧客満足度世界No.1の『NTNのドライブシャフト』へ」
(ⅳ) 次世代技術による「もの造り」
「次の100年に向けた『もの造り』方式の革新」
<築く経営>(ⅴ) 経営基盤の強化
「真のグローバル企業としての経営基盤の確立」
(ⅵ) 財務基盤の強化
「収益管理の強化と資産効率の向上」
②当社は、平成20年2月5日開催の当社取締役会において、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の導入を決議し、平成20年6月27日開催の当社第109期定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただきました。その後、直近では平成29年6月23日開催の当社第118期定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただき、これを継続しております(以下、継続後の対応方針を「本対応方針」といいます。)。本対応方針は、平成32年6月開催予定の当社定時株主総会終結の時まで効力を有するものとします。ただし、上記期間の満了前であっても、当社株主総会において本対応方針を廃止する旨の決議が行われた場合には、本対応方針はその時点で効力を失うものとします。
本対応方針の内容は、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株券等の買付行為を「大規模買付行為」とし、また当該買付を行う者を「大規模買付者」として、当社取締役会に対して当該大規模買付行為に関する情報提供を要求するものです。
大規模買付者が当社取締役会のあらかじめ定める手続に従わない場合、又は当該大規模買付行為が当社の企業価値又は株主共同の利益を著しく毀損するものであると判断される場合には、当社取締役会は、当該大規模買付者は行使することができないという行使条件を付した新株予約権の無償割当てを実施し当該大規模買付行為による損害を防止することができるものといたします。また、かかる判断にあたっては、当社取締役会は独立した第三者機関である特別委員会の勧告に原則として従うものとします。
なお、本対応方針の詳細につきましては、当社ホームページ(http://www.ntn.co.jp/)に掲載の平成29年4月28日付「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の継続について」をご参照ください。
3) 前記 2)の取組みについての当社取締役会の判断及びその判断にかかる理由
中期経営計画「NTN100」を着実に実行し、中長期にわたる企業価値向上のための活動を継続することにより、当社の企業価値の向上が実現し、株主共同の利益が高まるものと考えます。
また、本対応方針は、大規模買付行為の適否を株主の皆様が判断されるにあたり、十分な情報提供を確保するために定めるものであり、特定の株主又は投資家を優遇し若しくは拒絶するものではありません。また、対抗措置として新株予約権を発行するのは、当該大規模買付行為が当社の企業価値に回復しがたい損害をもたらすものであると判断される場合等、厳重な客観的要件を充足する場合に限定されるとともに、その発行の可否の判断にあたっても、当社取締役会から独立した特別委員会の中立公正な判断に原則として従うこととしており、当社取締役会の恣意的判断を排除しております。対抗措置として発行する新株予約権及びその行使条件についても、あらかじめその内容について開示を行う等、企業価値向上及び株主共同の利益確保に必要かつ相当な範囲内の対抗措置であると考えます。
したがいまして、当社取締役会は、前記 2)の取組みは基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものでないとともに、役員の地位の維持を目的とするものではないと判断いたしております。