有価証券報告書-第122期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営の基本方針
NTNグループは、企業理念の実践を通じて、「なめらかな社会※」の実現を目指します。ステークホルダーをはじめとした社会から信頼され必要とされる企業として、人権の尊重とコンプライアンスを重視し、事業活動に取り組んでまいります。
※「なめらかな社会」:人と自然が調和し、人々が安心して豊かに暮らせる社会
<企業理念>新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する。
1. 独創的技術の創造
2. 客先及び最終消費者に適合した付加価値技術及びサービスの提供
3. 着実な業績の伸長の下での社員の生活向上、株主への利益還元、社会への貢献
4. グローバリゼーションの推進と国際企業にふさわしい経営・企業形態の形成
<ステークホルダーへの姿勢>
(2)経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
国際社会の目標(2030年SDGs等)の達成に向け、マテリアリティを特定しESG経営を推進するとともに、「カーボンニュートラル(環境負荷低減・脱炭素)」と「安全安心、快適性の追求」に繋がる分野に研究開発資源を集中し、将来の成長に向けた研究開発活動を加速してまいります。
本年4月から開始した3年間の新中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase2では、前中期経営計画で掲げた事業構造の変革(Transformation)を加速するという方針は変えず、3年間を財務体質の強化期間と位置づけ、経営環境の変化にしなやかに対応できる企業体質の構築を目指します。
【新中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase2の概要】
1.基本戦略
1)事業構造の変革
デジタル技術と当社が培った経営資源を融合させ、DXに向けた事業構造の変革を加速させます。「経営管理の更なる高度化」に向けて、基幹システムの刷新により販売/生産/調達/物流を一気通貫で見える化し、需要変動にも即応する在庫の最適保有とグループ内の在庫活用を推進するほか、IoT、AIの導入と製造工程の全体最適化・整流化によってスマートファクトリ化を推進します。
また、状態監視システム(CMS)の導入拡大による風力発電や鉄道車両等の稼働状態のモニタリング、AIを組み合わせた故障の事前予知等、新たなビジネスの創出、拡大に取り組んでまいります。
2)財務体質の強化
①損益分岐点売上高の引き下げ
調達改革による比例費低減、間接部門を中心とした固定費の抑制、低収益事業の売価改善・販売縮小等により付加価値を向上させ、目標とする売上高の8割程度でも利益を出せる体質を目指します。
②投資効率の追求
生産管理の徹底と自前主義からの脱却(外部活用)により投下資本を圧縮、経営資源は技術の強みを発揮できる商品・工程に集中します。設備投資については、能力増強投資を原則凍結し、生産性向上に繋がる効率化・省人化投資を推進します。
③選択と集中によるキャッシュ・フローの最大化
遊休資産や保有有価証券の売却、事業統廃合等の選択と集中を推し進め、キャッシュ・フローの最大化を目指します。
2.事業別戦略
1)補修事業
OEM・補修共通の販売戦略の下、組織の枠を越えてターゲット業種を攻略します。供給能力の強化による常備在庫の拡充、技術キャラバン部門の設置によるアセアン・インド地区での顧客向け技術サポート・サービス対応の強化、自動車補修部門・機能の再編等の施策を進め、販売拡大に繋げます。
また、センサー技術とIoTを活用し、「しゃべる軸受」・「考える軸受」の早期開発による状態監視ビジネスの確立と補修需要の囲い込み、遠隔支援カメラ等を活用した技術サービスの拡大を通じて、これまでのハードの売り切りからソフト・サービスを加えたビジネスへの変革を実現し、補修事業拡大を目指します。
2)産業機械事業
業種別戦略を明確に定め収益基盤を強化します。成長領域と位置づけた業種(変減速機、風力発電、工作機械、鉄道車両等)に経営資源を投入し販売拡大を目指します。また、収益基盤を強化すべき収穫領域と位置づけた業種(建設機械、農業機械、航空・宇宙等)は、中国・インド材等を活用した抜本的な原価低減や生産性の向上、低収益・不採算型番の売価改善や販売縮小・撤退等の収益改善施策を進めます。
一方、将来の成長に向けた新領域の早期確立を目指し、CMS活用による風力発電向け軸受メンテナンスサービスや、手首関節モジュール「i-WRIST(アイリスト)」を活用した省人化の提案を進めます。
産業機械事業は、既存商品の収益基盤強化と新領域の早期確立により、利益ある事業への変革を進めます。
3)自動車事業
SUVや電気自動車(EV)等の高成長・高収益の車両セグメントへの受注シフトを進めるとともに、調達改革による比例費低減とものづくり改革の推進、売価管理の徹底等に取り組むことで、自動車事業の利益率向上を図ります。同時に、電動モジュール商品や軽量・高効率・低フリクション等の高機能製品の販売を拡大し、技術対応力の強化を進めることで、CO2排出量削減、カーボンニュートラルに貢献してまいります。
グローバルで加速する「EV化・電動化」に対して、基盤商品のハブベアリングやドライブシャフトでは高効率・低振動・低フリクション等の技術的な優位性を活かした販売機会の獲得を進め、電動オイルポンプやeHUB/sHUB、電動ブレーキ等の新商品を扱う新領域分野で早期の事業化を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「新しい100年に向けた10年後(2028年3月期)の姿」として長期ビジョンを定め、売上高成長率は各地域のGDP成長率+α、営業利益率10%以上、総資産回転率1.0回転以上、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指しております。また、新たな中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase2では、最終年度の目標として下表のとおり目標値を設定し、実現に向けて諸施策を推進してまいります。
(注)2021年3月期より、「営業外収益」の「その他」に計上しておりました「受取技術料」、及び「流動資産」の「その他」に計上しておりました「未収入金」について、「売上高」及び「受取手形及び売掛金」に含めて計上するように変更したため、2020年3月期以前についても当該表示方法の変更を反映した組替後の数値を記載しております。
NTNグループは、企業理念の実践を通じて、「なめらかな社会※」の実現を目指します。ステークホルダーをはじめとした社会から信頼され必要とされる企業として、人権の尊重とコンプライアンスを重視し、事業活動に取り組んでまいります。
※「なめらかな社会」:人と自然が調和し、人々が安心して豊かに暮らせる社会
<企業理念>新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する。
1. 独創的技術の創造
2. 客先及び最終消費者に適合した付加価値技術及びサービスの提供
3. 着実な業績の伸長の下での社員の生活向上、株主への利益還元、社会への貢献
4. グローバリゼーションの推進と国際企業にふさわしい経営・企業形態の形成
<ステークホルダーへの姿勢>
従業員 | 顧客 | 取引先 | 地域社会 | 株主 | 環境 |
多様性と個性を尊重し、従業員が安全で健康的に働き、活躍できる職場環境づくりに努めます。 | お客様と誠実に向き合い、安全・安心で信頼性の高い商品・サービスを提供することにより、お客様の満足を追求します。 | 公正で自由な環境のもと、取引先との相互信頼に基づく良好なパートナーシップを構築し、共に成長・発展をはかります。 | 事業を行う地域の文化や慣習を尊重し、事業活動を通じて、地域社会の期待に応え、長期的な信頼関係を構築します。 | 持続的な利益の創出による株主への利益還元に努め、積極的なコミュニケーションを通じて、長期的な信頼関係を構築します。 | 事業活動において自然との調和をはかり、環境負荷低減に寄与する技術と商品・サービスの提供を通じて、地球環境に貢献します。 |
(2)経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
国際社会の目標(2030年SDGs等)の達成に向け、マテリアリティを特定しESG経営を推進するとともに、「カーボンニュートラル(環境負荷低減・脱炭素)」と「安全安心、快適性の追求」に繋がる分野に研究開発資源を集中し、将来の成長に向けた研究開発活動を加速してまいります。
本年4月から開始した3年間の新中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase2では、前中期経営計画で掲げた事業構造の変革(Transformation)を加速するという方針は変えず、3年間を財務体質の強化期間と位置づけ、経営環境の変化にしなやかに対応できる企業体質の構築を目指します。
【新中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase2の概要】
1.基本戦略
1)事業構造の変革
デジタル技術と当社が培った経営資源を融合させ、DXに向けた事業構造の変革を加速させます。「経営管理の更なる高度化」に向けて、基幹システムの刷新により販売/生産/調達/物流を一気通貫で見える化し、需要変動にも即応する在庫の最適保有とグループ内の在庫活用を推進するほか、IoT、AIの導入と製造工程の全体最適化・整流化によってスマートファクトリ化を推進します。
また、状態監視システム(CMS)の導入拡大による風力発電や鉄道車両等の稼働状態のモニタリング、AIを組み合わせた故障の事前予知等、新たなビジネスの創出、拡大に取り組んでまいります。
2)財務体質の強化
①損益分岐点売上高の引き下げ
調達改革による比例費低減、間接部門を中心とした固定費の抑制、低収益事業の売価改善・販売縮小等により付加価値を向上させ、目標とする売上高の8割程度でも利益を出せる体質を目指します。
②投資効率の追求
生産管理の徹底と自前主義からの脱却(外部活用)により投下資本を圧縮、経営資源は技術の強みを発揮できる商品・工程に集中します。設備投資については、能力増強投資を原則凍結し、生産性向上に繋がる効率化・省人化投資を推進します。
③選択と集中によるキャッシュ・フローの最大化
遊休資産や保有有価証券の売却、事業統廃合等の選択と集中を推し進め、キャッシュ・フローの最大化を目指します。
2.事業別戦略
1)補修事業
OEM・補修共通の販売戦略の下、組織の枠を越えてターゲット業種を攻略します。供給能力の強化による常備在庫の拡充、技術キャラバン部門の設置によるアセアン・インド地区での顧客向け技術サポート・サービス対応の強化、自動車補修部門・機能の再編等の施策を進め、販売拡大に繋げます。
また、センサー技術とIoTを活用し、「しゃべる軸受」・「考える軸受」の早期開発による状態監視ビジネスの確立と補修需要の囲い込み、遠隔支援カメラ等を活用した技術サービスの拡大を通じて、これまでのハードの売り切りからソフト・サービスを加えたビジネスへの変革を実現し、補修事業拡大を目指します。
2)産業機械事業
業種別戦略を明確に定め収益基盤を強化します。成長領域と位置づけた業種(変減速機、風力発電、工作機械、鉄道車両等)に経営資源を投入し販売拡大を目指します。また、収益基盤を強化すべき収穫領域と位置づけた業種(建設機械、農業機械、航空・宇宙等)は、中国・インド材等を活用した抜本的な原価低減や生産性の向上、低収益・不採算型番の売価改善や販売縮小・撤退等の収益改善施策を進めます。
一方、将来の成長に向けた新領域の早期確立を目指し、CMS活用による風力発電向け軸受メンテナンスサービスや、手首関節モジュール「i-WRIST(アイリスト)」を活用した省人化の提案を進めます。
産業機械事業は、既存商品の収益基盤強化と新領域の早期確立により、利益ある事業への変革を進めます。
3)自動車事業
SUVや電気自動車(EV)等の高成長・高収益の車両セグメントへの受注シフトを進めるとともに、調達改革による比例費低減とものづくり改革の推進、売価管理の徹底等に取り組むことで、自動車事業の利益率向上を図ります。同時に、電動モジュール商品や軽量・高効率・低フリクション等の高機能製品の販売を拡大し、技術対応力の強化を進めることで、CO2排出量削減、カーボンニュートラルに貢献してまいります。
グローバルで加速する「EV化・電動化」に対して、基盤商品のハブベアリングやドライブシャフトでは高効率・低振動・低フリクション等の技術的な優位性を活かした販売機会の獲得を進め、電動オイルポンプやeHUB/sHUB、電動ブレーキ等の新商品を扱う新領域分野で早期の事業化を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「新しい100年に向けた10年後(2028年3月期)の姿」として長期ビジョンを定め、売上高成長率は各地域のGDP成長率+α、営業利益率10%以上、総資産回転率1.0回転以上、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指しております。また、新たな中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase2では、最終年度の目標として下表のとおり目標値を設定し、実現に向けて諸施策を推進してまいります。
Phase1 | Phase2 | |||
2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2024年3月期目標 | |
連結売上高 | 733,846百万円 | 651,956百万円 | 562,847百万円 | 700,000百万円以上 |
連結営業利益 | 27,222百万円 | 7,517百万円 | △3,138百万円 | 42,000百万円以上 |
フリー・キャッシュフロー | △22,390百万円 | △18,058百万円 | 18,535百万円 | 27,000百万円以上 |
自己資本比率 | 27.4% | 20.6% | 20.4% | 20%以上 |
ネットDEレシオ | 1.2 | 1.9 | 1.6 | 1.5以下 |
ROIC | 3.3% | 1.0% | △0.4% | 5%以上 |
棚卸資産回転率 | 3.8回 | 3.6回 | 3.2回 | 4.1回 |
(注)2021年3月期より、「営業外収益」の「その他」に計上しておりました「受取技術料」、及び「流動資産」の「その他」に計上しておりました「未収入金」について、「売上高」及び「受取手形及び売掛金」に含めて計上するように変更したため、2020年3月期以前についても当該表示方法の変更を反映した組替後の数値を記載しております。