有価証券報告書-第96期(2024/11/01-2025/10/31)
(2)戦略
① 気候変動に関する取組
気候変動による世界的な平均気温上昇の社会に及ぼす影響が甚大になりつつあり、脱炭素社会実現に向けた温室効果ガス排出量の抑制は、今や国際社会が取り組むべき喫緊の課題となっております。
こうした中、当社グループは気候変動への対応を重要な経営課題の1つとして認識し、気候変動による影響を把握し評価するため、低炭素経済に移行する1.5℃シナリオと現状予想される以上の気候変動対策が実施されないことを想定した4℃シナリオについて分析を行いました。
1.5℃シナリオについては、脱炭素税等による原材料調達、製品製造におけるコスト増等のリスクが想定される反面、低炭素や環境配慮に寄与する技術や商材の将来的な成長によるビジネス機会の獲得により業績向上に貢献すると考えます。この1.5℃シナリオに関する機会・リスクの内容は下表①の通りです。
一方、4℃シナリオについては、異常気象の激甚化による国内外拠点への被害等が想定されます。こうした被害を受ける危険性の高い拠点として、当社の100%子会社で遠心分離機の板金溶接加工を担う巴マシナリーがあります。このリスクを低減し事業継続を図ることや海外を中心に需要拡大が見込まれる大型遠心分離機の製作を主目的に、新たに工場用地を取得し、現在、工場建設に向けた準備を進めております。また、基幹システムを始めとする主要システムインフラ等のクラウド化といったBCP対策を施す等、事業運営に影響を与えるリスクを抑える努力をしております。
気候変動はリスクである一方、低炭素や環境配慮に寄与する技術や商材などにより新たな事業獲得の機会に繋がると考え、温室効果ガス排出量の削減に努めるとともに、環境・エネルギー分野における環境負荷低減商材やサービスの提供に注力し脱炭素社会への貢献を目指します。
表①「リスクと機会」(1.5℃シナリオの場合)
当社グループの国内工場および本社並びに各支店・営業所等による温室効果ガス排出量については、再生可能エネルギー由来の電力に切り替えるなど、半減させる取り組みを行っております。
当社グループの機械製造販売事業では省エネ、高性能(低含水率、低薬注率、高回収率)な遠心分離機の研究開発に向け飽くなき努力を続けております。また現状、遠心分離機は様々な産業で使用されておりますが、今後は脱炭素に繋がる用途への販売活動に一層注力することに加えて、遠心分離機以外の脱炭素に貢献できるバイナリー発電(地熱や排熱等の未利用熱を電力に変換する)等の製商品開発や営業活動に積極的に取り組んでいます。更に、脱炭素に貢献する第3の柱となる製商品の拡充に向けた取り組みを推進します。
当社では同事業が手掛ける機械、装置工事は高脱水による焼却エネルギーの低減、排水処理作業の効率改善、生産性向上による電力利用量の改善等に寄与し、部品修理は製品の長寿命化に繋がるため廃棄物削減に寄与するなど脱炭素に貢献すると認識しております。このように、同事業の販売を伸ばすことは脱炭素に対する取り組みに繋がるため、同事業の主な販売先である下水・排水・石油化学業界向けを中心に販売拡大に努め脱炭素に寄与してまいります。
化学工業製品販売事業では、多岐にわたる産業分野においてニッチな高付加価値商材を提供しておりますが、更に脱炭素社会実現に必要な商材の販売に注力します。具体的には省エネルギーに繋がる紫外線硬化樹脂原料や電気自動車および産業向け次世代パワー半導体用部材などの脱炭素に対して有益な商材を提供します。
同事業では、こうした状況を商機と捉え、脱炭素向け商材の販売拡大に取り組み事業全体の業績拡大に繋げてまいります。
2025年10月期の当社グループ合計の脱炭素向け売上高は前年度比18.4%増の約297億円となり、グループ全体の売上高の約50%を占めております(表②参照)。
当社グループはユーザーの要求に応えるべく永続的に研究開発を推進すると共に脱炭素社会実現に資する取り組みを推進すべく技術力向上や商材開発を追求し続けます。
表②脱炭素向け売上構成比
単位:百万円
また、中期的な目標として、2030年10月期における脱炭素向け売上構成比55%を目指した営業活動に注力します(表③参照)。
表③「2030年10月期における脱炭素向け売上構成比目標」
② 人的資本に関する取組
「高い技術と優れた製商品を提供し、社会に貢献する」という当社グループの経営理念の実践には、それを担う人材の確保と育成が必要不可欠であり、また、「従業員に生きがいを見出す場を提供する」ことも経営理念の一つです。サステナビリティ経営推進基本方針のもと、第14回中期経営計画「Create The New Future ~新たな未来の創造~」では、より働きやすく働き甲斐のある会社を目指し、様々な施策に取り組みます。当社グループの人的資本の考え方は次のとおりです。
1.人材育成方針
遠心分離機を主とする分離等の技術やその生産を担う人材、専門性の高い化学分野で活躍できる人材、そしてグローバルに活躍できる人材を、事業戦略に基づき新卒、中途、年齢、性別、国籍等に関わらず採用し、OJT、各種階層別研修・目的別専門研修、海外語学留学等を通じて育成します。各社員に求める能力や役割をコース・等級ごとに明確にして自覚を促し、指導・教育・研修を適時実施することで、必要なスキルやマインドの習得を図ります。また、自己啓発を推奨しており、自らが学び成長できる環境の整備にも注力します。
この方針のもと、事業分野別職種別の新卒採用、専門性の高い人材の中途採用、新入社員研修・営業担当者向け研修、初級管理職研修などの階層別テーマ別研修、フィリピンでの約1ヶ月間の選抜型語学研修、指定した教育プログラムの修了や資格取得を基準としたコース・等級別昇格資格要件制度の運用、自己啓発学習の費用支援、資格取得者への報奨金支給等に取り組んでいます。
2.社内環境整備方針
役員・社員が遵守すべき行動の基本的な考え方を示した巴工業グループの「行動規範」に、社員の基本的人権と多様性を尊重し、働きやすい職場環境を確保する旨を明記しています。会社と役員・社員はこの行動規範の理解を深める活動を継続的に行い、多様な背景や価値観を持つ社員がお互いを尊重し、それぞれの特徴を活かして活躍できる働きやすい環境の整備に努めます。
この方針のもと、「行動規範」の理解を深めコンプライアンス意識を醸成する小集団活動や「自分とは異なる多様な属性、経験を持った人を尊重し受容する雰囲気を醸成する」ことを目的としたダイバーシティ&インクルージョン研修、ハラスメント防止研修を実施したほか、ワークライフバランスに配慮した多様な働き方を実現するため、社員エンゲージメント調査の実施、時差勤務や在宅勤務制度の実施、年次有給休暇の取得促進、育児休業等の措置の拡充に取り組み、また、執務スペースや会議室の拡充、ビジネスカジュアルの導入、社員の健康管理に関する補助、世間水準を超える賃上げの実施等にも取り組んでいます。
(注)上記各方針に基づく取り組みについては、提出会社のものを記載しております。
① 気候変動に関する取組
気候変動による世界的な平均気温上昇の社会に及ぼす影響が甚大になりつつあり、脱炭素社会実現に向けた温室効果ガス排出量の抑制は、今や国際社会が取り組むべき喫緊の課題となっております。
こうした中、当社グループは気候変動への対応を重要な経営課題の1つとして認識し、気候変動による影響を把握し評価するため、低炭素経済に移行する1.5℃シナリオと現状予想される以上の気候変動対策が実施されないことを想定した4℃シナリオについて分析を行いました。
1.5℃シナリオについては、脱炭素税等による原材料調達、製品製造におけるコスト増等のリスクが想定される反面、低炭素や環境配慮に寄与する技術や商材の将来的な成長によるビジネス機会の獲得により業績向上に貢献すると考えます。この1.5℃シナリオに関する機会・リスクの内容は下表①の通りです。
一方、4℃シナリオについては、異常気象の激甚化による国内外拠点への被害等が想定されます。こうした被害を受ける危険性の高い拠点として、当社の100%子会社で遠心分離機の板金溶接加工を担う巴マシナリーがあります。このリスクを低減し事業継続を図ることや海外を中心に需要拡大が見込まれる大型遠心分離機の製作を主目的に、新たに工場用地を取得し、現在、工場建設に向けた準備を進めております。また、基幹システムを始めとする主要システムインフラ等のクラウド化といったBCP対策を施す等、事業運営に影響を与えるリスクを抑える努力をしております。
気候変動はリスクである一方、低炭素や環境配慮に寄与する技術や商材などにより新たな事業獲得の機会に繋がると考え、温室効果ガス排出量の削減に努めるとともに、環境・エネルギー分野における環境負荷低減商材やサービスの提供に注力し脱炭素社会への貢献を目指します。
表①「リスクと機会」(1.5℃シナリオの場合)
| リスク・機会 | 内容 | 主な対応策 | |
| 移行 リスク | 政策 法規制 | 温室効果ガス排出やエネルギー使用に関する法制強化(脱炭素税等)に伴い、対応コストが増加するリスクおよび違反した場合の企業価値が低下するリスク | ・温室効果ガス排出量の継続的な削減(再生可能エネルギーの利用、省エネルギーの徹底) ・法規制の遵守徹底 |
| 技術 | 脱炭素社会に向けた熾烈な技術開発競争(省エネ性能、低炭素サービス等)で劣勢になり、顧客ニーズへの対応不足になった場合にビジネス機会を損失するリスク | 気候変動問題解決に向けた高省エネ製商品・低炭素サービスの開発、技術革新の推進 | |
| 市場 | 製品やサービスに対する省エネ性能のニーズを満たせない場合のビジネス機会の損失 消費者行動が変容し原材料コストが上昇するリスク | ニーズに見合う商材開発や代替材の開発を推進 | |
| 評判 | 気候変動対策遅延等に関するステークホルダーからのネガティブ評価に伴い、企業価値低下、対応コスト増大などが生じるリスク | 気候変動対策の透明性を確保するための積極的な情報開示 | |
| 物理的 リスク | 急性的 | 気候変動に起因する自然災害による調達・物流ルートの断絶に伴う製品・サービスの販売機会の喪失および工場、社屋、設備等の被害により操業・営業停止となるリスク | 事業継続計画の策定および着実な実行 |
| 機会 | 製品 サービス | 脱炭素に繋がる製品の開発および製品・サービスの販売増加 | ・機械製造販売事業 低動力型高効率遠心脱水機(HED型)への切替需要や長寿命化に向けた部品修理販売増加。バイナリー発電等の再生可能エネルギー分野における研究開発の推進及び販売促進、環境負荷低減に寄与する製商品の拡充 ・化学工業製品販売事業 環境に優しい紫外線硬化樹脂原料や電気自動車および産業向け次世代パワー半導体用部材を中心に脱炭素に繋がる商材の需要拡大による販売増大 |
| 市場 | 環境課題に対する消費行動の多様化や顧客意識の向上に伴う低炭素市場への参入による機会獲得 | 低炭素市場に貢献する商材の開発やソリューションの提供の推進 | |
当社グループの国内工場および本社並びに各支店・営業所等による温室効果ガス排出量については、再生可能エネルギー由来の電力に切り替えるなど、半減させる取り組みを行っております。
当社グループの機械製造販売事業では省エネ、高性能(低含水率、低薬注率、高回収率)な遠心分離機の研究開発に向け飽くなき努力を続けております。また現状、遠心分離機は様々な産業で使用されておりますが、今後は脱炭素に繋がる用途への販売活動に一層注力することに加えて、遠心分離機以外の脱炭素に貢献できるバイナリー発電(地熱や排熱等の未利用熱を電力に変換する)等の製商品開発や営業活動に積極的に取り組んでいます。更に、脱炭素に貢献する第3の柱となる製商品の拡充に向けた取り組みを推進します。
当社では同事業が手掛ける機械、装置工事は高脱水による焼却エネルギーの低減、排水処理作業の効率改善、生産性向上による電力利用量の改善等に寄与し、部品修理は製品の長寿命化に繋がるため廃棄物削減に寄与するなど脱炭素に貢献すると認識しております。このように、同事業の販売を伸ばすことは脱炭素に対する取り組みに繋がるため、同事業の主な販売先である下水・排水・石油化学業界向けを中心に販売拡大に努め脱炭素に寄与してまいります。
化学工業製品販売事業では、多岐にわたる産業分野においてニッチな高付加価値商材を提供しておりますが、更に脱炭素社会実現に必要な商材の販売に注力します。具体的には省エネルギーに繋がる紫外線硬化樹脂原料や電気自動車および産業向け次世代パワー半導体用部材などの脱炭素に対して有益な商材を提供します。
同事業では、こうした状況を商機と捉え、脱炭素向け商材の販売拡大に取り組み事業全体の業績拡大に繋げてまいります。
2025年10月期の当社グループ合計の脱炭素向け売上高は前年度比18.4%増の約297億円となり、グループ全体の売上高の約50%を占めております(表②参照)。
当社グループはユーザーの要求に応えるべく永続的に研究開発を推進すると共に脱炭素社会実現に資する取り組みを推進すべく技術力向上や商材開発を追求し続けます。
表②脱炭素向け売上構成比
単位:百万円
| 2024年10月 | 2025年10月 | 前年比 | |
| 脱炭素向け | 25,143 | 29,779 | +18.4% |
| 連結全体 | 52,119 | 59,365 | +13.9% |
| 構成比 | 48.2% | 50.2% | +2.0pt |
また、中期的な目標として、2030年10月期における脱炭素向け売上構成比55%を目指した営業活動に注力します(表③参照)。
表③「2030年10月期における脱炭素向け売上構成比目標」
| 2024年10月 | 2030年10月 | 増加pt | |
| 脱炭素売上構成比 | 48.2% | 55% | +7pt |
② 人的資本に関する取組
「高い技術と優れた製商品を提供し、社会に貢献する」という当社グループの経営理念の実践には、それを担う人材の確保と育成が必要不可欠であり、また、「従業員に生きがいを見出す場を提供する」ことも経営理念の一つです。サステナビリティ経営推進基本方針のもと、第14回中期経営計画「Create The New Future ~新たな未来の創造~」では、より働きやすく働き甲斐のある会社を目指し、様々な施策に取り組みます。当社グループの人的資本の考え方は次のとおりです。
1.人材育成方針
遠心分離機を主とする分離等の技術やその生産を担う人材、専門性の高い化学分野で活躍できる人材、そしてグローバルに活躍できる人材を、事業戦略に基づき新卒、中途、年齢、性別、国籍等に関わらず採用し、OJT、各種階層別研修・目的別専門研修、海外語学留学等を通じて育成します。各社員に求める能力や役割をコース・等級ごとに明確にして自覚を促し、指導・教育・研修を適時実施することで、必要なスキルやマインドの習得を図ります。また、自己啓発を推奨しており、自らが学び成長できる環境の整備にも注力します。
この方針のもと、事業分野別職種別の新卒採用、専門性の高い人材の中途採用、新入社員研修・営業担当者向け研修、初級管理職研修などの階層別テーマ別研修、フィリピンでの約1ヶ月間の選抜型語学研修、指定した教育プログラムの修了や資格取得を基準としたコース・等級別昇格資格要件制度の運用、自己啓発学習の費用支援、資格取得者への報奨金支給等に取り組んでいます。
2.社内環境整備方針
役員・社員が遵守すべき行動の基本的な考え方を示した巴工業グループの「行動規範」に、社員の基本的人権と多様性を尊重し、働きやすい職場環境を確保する旨を明記しています。会社と役員・社員はこの行動規範の理解を深める活動を継続的に行い、多様な背景や価値観を持つ社員がお互いを尊重し、それぞれの特徴を活かして活躍できる働きやすい環境の整備に努めます。
この方針のもと、「行動規範」の理解を深めコンプライアンス意識を醸成する小集団活動や「自分とは異なる多様な属性、経験を持った人を尊重し受容する雰囲気を醸成する」ことを目的としたダイバーシティ&インクルージョン研修、ハラスメント防止研修を実施したほか、ワークライフバランスに配慮した多様な働き方を実現するため、社員エンゲージメント調査の実施、時差勤務や在宅勤務制度の実施、年次有給休暇の取得促進、育児休業等の措置の拡充に取り組み、また、執務スペースや会議室の拡充、ビジネスカジュアルの導入、社員の健康管理に関する補助、世間水準を超える賃上げの実施等にも取り組んでいます。
(注)上記各方針に基づく取り組みについては、提出会社のものを記載しております。