有価証券報告書-第28期(令和1年9月1日-令和2年8月31日)

【提出】
2020/11/30 9:43
【資料】
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【項目】
135項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断した内容であります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「我々は、もの創りを通して、自然と社会と人間に必要とされる企業を目指します。」という企業方針に則って経営しております。たゆまぬ技術革新の努力により創り出す製品を通じ、地球環境、地域社会等に貢献し、あらゆるステークホルダーに必要とされる企業へと成長することが当社グループの存在意義であると考えております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2021年8月期の売上高5,849百万円、営業利益327百万円、親会社株主に帰属する当期純利益277百万円を達成することを目標としております。
(3) 主要製品・サービスの内容と対象となる顧客
①装置関連事業
装置関連事業で当社が取り扱う主な製品・サービスは、太陽電池製造装置及びFA装置であります。
太陽電池製造装置は主に米国の太陽電池メーカーに対して、高性能かつ高効率な太陽光パネルを製造するためのハイエンドな装置を提供しています。また、自動車業界、ディスプレイ業界、電子部品業界等の国内外の様々な企業に対して、自動化・省力化のための各種FA装置を提供しています。
②環境関連事業
環境関連事業で当社が取り扱う主な製品・サービスは、太陽光発電所の検査サービス、太陽光パネルのリユース・リサイクル、パネル解体装置であります。
太陽光発電所の検査サービスは、大規模太陽光発電事業者やEPC業者等に向けてサービスを展開しています。また、太陽光発電所から排出されたパネルを回収し、再利用可能なパネルを国内外の太陽光発電事業者や企業の自家発電向けにリユース販売しています。再利用ができないパネルは、自社の解体装置で中間処理を行い回収した金属やガラス等の有価物をリサイクル業者に販売するか、産業廃棄物処理業者に適正な廃棄処理を委託します。また、パネル解体装置は国内外の産業廃棄物処理業者等に販売しています。
(4) 経営環境及び事業を行う市場の状況
当連結会計年度における国内経済は、当初は緩やかな景気の回復傾向にあったものの、その後発生した新型コロナウイルス感染拡大によって経済活動が大きく抑制され、雇用情勢や設備投資も弱含みになる等、極めて厳しい状況で推移しました。世界経済においても、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動への影響は長期化し、先行きが不透明な状況が続いております。
①装置関連事業
太陽電池製造装置が関連する太陽電池市場は、コロナ禍で一時的に新規設置に減速が見られたものの、引き続き市場は拡大しています。また、直近では世界的な再生可能エネルギーに対する注目がさらに高まっており、今後も安定的に成長していくことが見込まれています。また、太陽電池業界以外のFA装置の市場に関しては、コロナ禍の影響により一部業界では設備投資の凍結や延長が発生した一方で、電子部品業界や半導体関連等の好調な業界においては、生産の効率化や稼働率の向上等に対するニーズが引き続き発生しています。
②環境関連事業
国内の太陽電池市場は、発電コストの低下や再生可能エネルギーへの更なる注目の高まりに加え、認定済み未稼働発電所に対する稼働期限が設定され、当面は大規模太陽光発電所の建設が継続するものと見込まれています。そのため、太陽光発電所の検査サービスにおいて、竣工前検査のニーズは底堅く発生しており、今後は定期検査の需要も拡大していくものと考えています。また、将来的なパネルの大量排出を見据え、国内のみならず欧州や米国等で引き続き排出パネルの適正なリサイクル方法や処理体制の整備の必要性が増しており、パネルリユース・リサイクルやパネル解体装置の需要は拡大していくと見込んでいます。
(5) 競合他社との競争優位性
①装置関連事業
当社は太陽電池製造装置で25年以上の実績や経験があることから、高性能かつ高効率なパネルを製造するためのハイエンドな装置を提供することができます。そのため、当社はそのようなパネルを製造している米国の太陽電池メーカーをターゲットとしており、競合先は米国及び東南アジアの自動機メーカーのみで限定的な状況です。なお、中国にも太陽電池製造装置メーカーは存在していますが、彼らは主に中国の太陽電池メーカー向けに汎用的な装置を提供しており、当社とはターゲットが異なるため現時点では実質的に競合はしておりません。
太陽電池業界以外のFA装置では数多くの競合が存在しますが、当社には大型ラインを製造できる松山工場の生産能力や、太陽電池製造プロセスで培った様々な技術、開発から製造までの一貫体制、豊富な海外実績、カスタマイズ装置の実績と経験といった強みがあり、大手企業を中心に大型のラインや各種FA装置を受注しています。
②環境関連事業
太陽光発電所の検査サービスでは、法定点検を含めた検査サービスを提供する企業は多数存在しています。しかしながら、当社は独自技術を用いたI-V検査やEL検査により太陽光パネルの品質そのものを検査した上で解析レポートを作成しており、同様のサービスを提供できる競合先は存在していません。
パネルのリユース・リサイクルにおいては、国内に数社競合先はいますが、当社には太陽光発電所の検査サービスで構築したネットワークがあり、排出されたパネルの回収と販売において大きな優位点となっております。パネルの解体装置では、現時点において商業ベースで事業展開している有力な競合はありません。なお、当社の特許技術を活かした「ホットナイフ分離法」はリサイクル性が高くパネルを解体することができ処理能力も高いため、現在他社が発表している技術と比較しても技術的な優位性は高いものと考えております。
(6) 経営戦略及び会社の対処すべき課題
2020年は新型コロナウイルス感染拡大、気候変動の影響による災害の多発などにより、社会のあり方や生活様式に大きな変化がもたらされました。世界経済の先行きが依然不透明な状況である中、当社グループは既存の事業を強化・拡大し、かつ、新たな事業に積極的に取り組んでいくことにより、変化に強い企業を目指しております。そのような方針の下、それぞれの事業において以下のとおり対処すべき課題を定めております。
①装置関連事業
太陽電池製造装置については、主要顧客である米国の太陽電池メーカーに対し、継続的にコストダウンを図り、顧客の要望に応じた製品を提供するとともに、納入後のサポートや改造へ対応してまいります。また、住宅用や衛星用など、特殊用途の太陽電池を製造する太陽電池メーカーへ当社が得意とするハイエンド装置を提供してまいります。
FA装置については、国内のみならず、装置納入実績のある米国において太陽電池以外のさまざまな業界へ事業の展開を図ります。以上の方針を踏まえ、米国ミシガン州に子会社であるNPC Americaの新たな拠点を設置します。この拠点に営業、サービス、技術、および製造の機能を持たせることにより、FA装置の実績を積み上げてまいります。あわせて太陽電池関連の既存顧客へのカスタマーサービスを充実させてまいります。
②環境関連事業
太陽光発電所の検査サービスについては、パートナー企業のネットワークをさらに充実させることにより、市場のニーズに合った検査メニューを広げ、安定的かつ継続的な業績を目指してまいります。
太陽光パネルのリユース・リサイクルについては、日本では、使用済みパネルの大量排出は2030年頃から見込まれております。当面は自然災害により被害を受けたパネルの排出が主になりますが、使用できるものでも廃棄されてしまう、あるいは使用できないパネルが適正に廃棄処理されていないという現状があります。そのため当社は、業界でのネットワークや保険会社との連携により、排出パネルを回収し、使用できるパネルはリユースに、使用できないパネルはリサイクルや産業廃棄物として適正な処理をする仕組みを作ってまいります。このような仕組みづくりに取り組むことにより、持続可能かつ安定的な事業を構築してまいります。
また、海外においては、環境意識の高い欧州や大規模発電所の設置が増加している米国において、日本よりも早くパネルの排出が増加しています。これらの地域に向けて、リサイクルのためのパネル解体装置を提供してまいります。
③新事業
日本では、近年、災害が原因で野菜の収穫量が不安定になり、また、新型コロナウイルスの感染拡大により安全なものが求められ室内栽培の野菜へのニーズが高まっております。そのような中、人工光植物工場での葉物野菜の栽培、及び販売を開始いたします。当社松山工場のスペースを活用し、またリユースパネルを使用した太陽光発電により低コスト化と環境負荷低減を図ります。栽培した野菜は愛媛県内で販売し、地産地消の実現によって地域に貢献しながら、当社の知名度向上に努めてまいります。また、将来のニーズ拡大に向け、大量栽培に必要となる自動化の検討を行ない、栽培ノウハウも含めた人工栽培システムを開発してまいります。