訂正有価証券報告書-第162期(2025/04/01-2026/03/31)
(3) 戦略
当社グループは、企業理念である「より豊かな未来をひらく」のもと、「人」と「技術」を企業価値創造の中核に据え、社会とともに発展してまいりました。2030年のビジョンとして「サステナビリティ・パートナー」を掲げ、そこからバックキャストする形で6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、当社の強みを最大限に活かせる4つの注力領域における事業活動を通じて課題解決に取り組んでおります。注力領域のうち「リニューアブルエナジー」及び「サステナブルインフラ」の領域では、お客様や社会課題に対して、ソリューションを通じた価値を提供します。また、「グリーンモビリティ」及び「スマートインダストリー」の領域では、製品技術及び生産技術をコアコンピタンスと位置づけ、これらを活かした価値を提供いたします。
マテリアリティの抽出については、経営企画本部が中心となり各事業グループや横断部門と意見交換を行ったうえ、サステナビリティ経営戦略会議・常務会・取締役会で議論を経て決定しております。

当社グループにおけるマテリアリティのうち、①カーボンニュートラル社会の実現(気候変動に対する取組み) 及び②未来へ挑む人財・企業風土づくり(人的資本)については、特に企業経営に影響を与えると考えており、それぞれの項目にかかる当社グループの考え方及び取組みは、次のとおりであります。
① カーボンニュートラル社会の実現(気候変動に対する取組み)
当社グループは長年、気候変動問題を重要課題として認識し、事業を通じて問題解決に取り組んでまいりました。2019年6月にTCFD提言への賛同を表明し、2020年よりTCFDのフレームワークに沿ったリスク・機会の検討を開始し、戦略への織り込みを進めております。
<ガバナンス>当社グループにおける気候変動問題への対応は、経済政策及び国際情勢に関して、グループ内外での経験を通じた高い見識を有するサステナビリティを担当する役付執行役員が統括責任を担い、環境政策及び技術に関する専門的な知見を有する経営企画本部サステナビリティ推進部が、戦略の立案・実行、各種対応策の策定、モニタリングを推進しております。
また、先述のとおり、サステナビリティ全般について扱うサステナビリティ経営戦略会議及びサステナビリティ経営推進会議において、脱炭素に向けた戦略策定などを検討しております。議論の内容については年2回、サステナビリティを担当する役付執行役員及びサステナビリティ推進部より取締役会へ報告しており、取締役会は戦略・計画の妥当性や実行状況を監督しております。これと並行して、生産を担当する役付執行役員が委員長を務める「明電グループ環境委員会」にて、社内環境活動の進捗管理として、四半期ごとに社内課題の抽出、環境目標・実施計画・緊急事態発生時の対応等を審議し、環境経営の具体的な施策展開を推進・モニタリングしております。
<リスク管理>先述のとおり、サステナビリティ全体に関するリスク管理については、サステナビリティ経営を推進するサステナビリティ推進部が中心となり関連部門と共にリスクの抽出を行っており、その内容についてはガバナンス本部が管理する全社リスクの中に織り込み、様々なリスクとともにマネジメントしております。気候変動に関するリスクについてもその中に含まれております。
<戦略>気候変動に対するシナリオ分析は、サステナビリティ推進部が中心となり、経理・財務本部、ガバナンス本部、事業グループなどの社内関係部門と連携しながら検討プロセスを4つに分け、年次で分析・評価しております。同時に事業に影響を及ぼす重要な要因を選定し、特定したリスクと機会・評価を事業戦略に反映しております。

STEP1 シナリオ群の選択・具体化
TCFDが推奨するように、2℃シナリオ以下を含む複数の温度帯シナリオを選択し、分析を行っております。脱炭素シナリオ(RCP1.9)及び温暖化シナリオ(RCP4.5, RCP8.5)の2つのシナリオに基づき、IEAやIPCCなどの国際公表データや日本の政府機関が公表している数値データなどを用いつつ、5フォース分析などの経営フレームワークも活用し、各シナリオにおける世界観や具体的なシナリオを整理しております。当連結会計年度から当社グループの長期環境目標の最終年度である2050年までを見通して中長期的な世界観やシナリオ及び数値前提を再構築しております。

STEP2 気候変動関連リスクに対する重要度評価
TCFD提言で例示されているリスク・機会を参考にしつつ、各シナリオの世界観をもとに気候変動に伴うリスク・機会因子を抽出し、事業領域別と当社グループ全体の対象範囲に分けたうえで、リスク・機会の具体化と影響が生じる時間軸を整理しております。
STEP3 事業インパクト評価
STEP1で整理したシナリオ別の世界観及び、STEP2で整理した機会・リスク項目を踏まえ、事業インパクトの評価を実施しております。その過程で「第三次明電環境ビジョン」にて進捗目標を設定している2030年を対象に「営業利益へのインパクト」、「事業発生の蓋然性」の2軸から特に事業への影響が大きい項目をスクリーニングし、それらの項目について詳細分析を実施しております。影響が大きい各項目は、シナリオ別に市場成長率などをもとに「成行値(対策織り込み前の値)」を把握しました。一部仮定を置きながら定量的に試算し、計算が不可能な項目については定性的に整理しております。
■気候変動関連リスク評価における時間軸の定義
■当社グループにおける気候変動関連リスクとその影響度と事業インパクト



STEP4 対応策の検討
STEP3で算出した「成行値」をもとに、当社グループの置かれた状況を踏まえ、機会を掴む戦略、リスクを軽減するための施策を検討してまいりました。
以下は、気候変動に関する当社グループの戦略を具体化する主な取組み事例です。
<指標と目標>当社グループは、2021年11月に長期目標として、2040年RE100、2050年カーボンニュートラル達成を宣言しております。また、中期目標として、2030年度に向けたScope1,2及び3の温室効果ガス排出削減目標を上方修正した第二次明電環境ビジョンを2021年度に発表しました。そして、中期経営計画2027では、1.5℃シナリオ水準に整合した新たな目標を第三次明電環境ビジョンとして策定し、短期目標として中期経営計画2027の最終年度である2027年度の目標を定めました。また、これまで、Scope3の削減目標は最も排出量の多いカテゴリ11「販売した製品の使用」を削減目標の対象としてまいりましたが、第三次明電環境ビジョンでは、全カテゴリで新たな削減目標を定めました。なお、本目標は、SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認証を2025年3月に改めて取得しております。
■温室効果ガス排出量削減目標
※1 本有価証券報告書提出日(2026年6月24日)時点の見込値であり、第三者検証完了後の確定値をもって当社サステナビリティ・ウェブサイトにて開示いたします。
■カーボンニュートラルに向けた移行計画

■インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入
当社では2021年4月からインターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入して設備投資計画に伴う排出量を内部炭素価格で費用換算し、投資判断材料の一つとしております。2023年度の設備投資より、環境省のガイドライン及びIEAの1.5℃シナリオの炭素価格を考慮し、15,000円/t-CO2へ引き上げ、これまで空調設備更新やLED化等の推進に活用しております。当連結会計年度は、76t-CO2/年の削減に貢献しました。引き続き、ICPの活用拡大、Scope1,2の削減に取り組んでまいります。
■再生可能エネルギー由来の電力利用
生産増に伴うScope2増大を抑制するため、再生可能エネルギー由来の電力利用の拡大を進めてまいります。国内の再生可能エネルギー比率は前連結会計年度41%から当連結会計年度は70%となりました。また、海外における再生可能エネルギー比率は前連結会計年度0.8%から当連結会計年度は34%となりました。今後自家発電、電力購入契約(PPA)、再エネ電力メニュー、再エネ電力証書を活用しつつ、国内外の生産拠点の再エネ比率拡大を優先事項として取り組んでまいります。
■GHG削減貢献量の拡大
削減貢献量は、当社グループの直接的な排出削減(Scope1,2,3)とは区別した指標であり、事業活動を通じて社会全体の脱炭素化への寄与状況を示す参考情報として開示しております。明電グループは、環境配慮型製品及びサービスの提供を通じて、社会全体の温室効果ガス排出量削減に貢献してまいります。
*1 使用段階のGHG排出量の差分に、想定寿命及び年間販売量を乗じて算定しております。ただし、風力発電は年間の発電量実績に基づいて算定しております。
*2 当連結会計年度から、提出会社分とイームル工業㈱分を合算しております。
*3 SF6ガスの地球温暖化係数は、23,500を適用し算定しております。
*4 前連結会計年度から、MEIDEN AMERICA SWITCHGEAR, INC.での生産分が含まれております。
*5 中期経営計画2027の目標値を、2026年度:1,000(万t-CO2)、2027年度:1,100(万t-CO2)としております。
② 未来へ挑む人財・企業風土づくり(人的資本)
当社グループは、人財を既存事業の着実な成長及び新たな価値創造への挑戦を支える重要な経営基盤と位置付けております。経営戦略の実現に向けては、人財一人ひとりの能力が最大限に発揮されることが不可欠であり、中長期的な企業価値の向上に向け、人的資本への継続的な投資を行っております。
このような認識のもと、サステナビリティ経営の重要な要素として人財戦略を位置付け、多様な人財が誇りと意欲を持ち、それぞれの能力を最大限に発揮し、相互に尊重し合いながら、心身ともに健康で安心して働くことができる基盤強化及び企業風土醸成に重点的に取り組みます。
この方針のもと、以下の事項を人財戦略の重点テーマとして、各種施策を推進しております。
●安心して働き続けることができる労働環境の整備
従業員が安全かつ安心して働き続けることができる環境の整備に向け、生産拠点を中心に、従業員アンケートや現場調査の結果を踏まえた労働環境の改善を進めております。太田・沼津・名古屋・甲府の各拠点で、老朽化したトイレの更新、共有休憩スペースの改修・追加、机・椅子等の更新・統一化、工場内標識の整備等を実施し、衛生面・快適性・利便性の向上を図っております。
また、目安箱を通じて従業員の意見を継続的に収集し、回答内容や改修状況を社内で共有・公開することで、従業員の声を踏まえた改善と課題認識の共有を進めております。
● 対話を重視し、挑戦を後押しする企業風土の醸成
従業員エンゲージメントの向上及び挑戦を後押しする企業風土の醸成に向け、役員・上司と従業員との対話機会の拡充に取り組んでおります。具体的には、職場課題やありたい姿、今後の取組みについて双方向で意見交換を行っております。
また、従業員意識調査の結果を全社的に共有・公開し、各職場における改善活動に繋げることで、従業員の声を踏まえた組織開発を進めております。対話や調査を通じて把握した課題については、役付執行役員を構成員とする常務会及びレビュー・ミーティングにおける議論及び取締役会への報告・議論を通じて、経営としての課題認識の共有を図っております。これらの議論を踏まえ、労働環境の整備、対話機会の拡充等の具体的な取組みに反映し、従業員の声を踏まえた企業風土の醸成を進めております。
● 健康経営の推進
当社グループでは、「健康は何ものにも代え難い財産」という考えのもと、「身体の健康」「心の健康」「職場の健康」の3つを柱として、人的資本経営を支える基盤の一つとして健康経営を推進しております。
「身体の健康」では、保健指導強化、運動習慣の定着、食事・睡眠改善、女性の健康づくり対策等に取り組み、「心の健康」「職場の健康」では、メンタルヘルス不調の未然防止・早期発見、心理的安全性の高い職場づくりに取り組んでおります。
当連結会計年度においては、「健康経営戦略マップ」を改定し、会社と従業員が一体となって心身の健康の維持・増進に取り組みました。その結果、前連結会計年度に引き続き「健康経営優良法人2026(ホワイト500)」に認定されるとともに、「健康経営銘柄2026」に4年ぶりに選定されました。今後も、従業員がいきいきと働き、働きがいを実感できる環境の実現を目指してまいります。
● 多様な人財が活躍できる環境整備(DEIの推進)
当社グループでは、性別・国籍・障がいの有無等にかかわらず、一人ひとりを尊重し、多様な人財が能力を発揮できる組織づくりを推進しております。
女性活躍推進においては、計画的な育成、ネットワーク構築及び実践を通じた能力開発を重要課題と位置づけ、女性リーダー育成プログラムを実施しました。本プログラムを通じて、社内外ネットワークの強化、キャリアビジョンの明確化、リーダーシップ行動計画の策定を支援しております。
国籍の多様性の観点からは、海外現地法人の技術者に対する日本の工場での技術研修、外国籍従業員の採用、海外現地法人における幹部候補人財向けコーチングプログラム等を通じて、グループとしての一体感醸成、技術伝承及び新たな価値創出に繋がる組織づくりを進めております。
障がい者雇用においては、製造活動の一部を担う新たな業務を開拓する等、事業活動を支える人財として活躍領域の拡大を推進しております。これらの取組みを通じて、多様な人財が能力を発揮できる制度・環境・企業風土の整備を進めております。
組織基盤・企業風土に関する指標・目標
※1 提出会社及び提出会社と同じ従業員意識調査を実施している国内連結子会社
※2 病気やけががないときに発揮できる仕事のできを100%としたときの、直近1か月の仕事出来度合い(従業員へのアンケート調査をもとに算出)

※NPS®はベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメリックス・システムズの登録商標であります。
当社グループは、企業理念である「より豊かな未来をひらく」のもと、「人」と「技術」を企業価値創造の中核に据え、社会とともに発展してまいりました。2030年のビジョンとして「サステナビリティ・パートナー」を掲げ、そこからバックキャストする形で6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、当社の強みを最大限に活かせる4つの注力領域における事業活動を通じて課題解決に取り組んでおります。注力領域のうち「リニューアブルエナジー」及び「サステナブルインフラ」の領域では、お客様や社会課題に対して、ソリューションを通じた価値を提供します。また、「グリーンモビリティ」及び「スマートインダストリー」の領域では、製品技術及び生産技術をコアコンピタンスと位置づけ、これらを活かした価値を提供いたします。
マテリアリティの抽出については、経営企画本部が中心となり各事業グループや横断部門と意見交換を行ったうえ、サステナビリティ経営戦略会議・常務会・取締役会で議論を経て決定しております。

当社グループにおけるマテリアリティのうち、①カーボンニュートラル社会の実現(気候変動に対する取組み) 及び②未来へ挑む人財・企業風土づくり(人的資本)については、特に企業経営に影響を与えると考えており、それぞれの項目にかかる当社グループの考え方及び取組みは、次のとおりであります。
① カーボンニュートラル社会の実現(気候変動に対する取組み)
<ガバナンス>当社グループにおける気候変動問題への対応は、経済政策及び国際情勢に関して、グループ内外での経験を通じた高い見識を有するサステナビリティを担当する役付執行役員が統括責任を担い、環境政策及び技術に関する専門的な知見を有する経営企画本部サステナビリティ推進部が、戦略の立案・実行、各種対応策の策定、モニタリングを推進しております。
また、先述のとおり、サステナビリティ全般について扱うサステナビリティ経営戦略会議及びサステナビリティ経営推進会議において、脱炭素に向けた戦略策定などを検討しております。議論の内容については年2回、サステナビリティを担当する役付執行役員及びサステナビリティ推進部より取締役会へ報告しており、取締役会は戦略・計画の妥当性や実行状況を監督しております。これと並行して、生産を担当する役付執行役員が委員長を務める「明電グループ環境委員会」にて、社内環境活動の進捗管理として、四半期ごとに社内課題の抽出、環境目標・実施計画・緊急事態発生時の対応等を審議し、環境経営の具体的な施策展開を推進・モニタリングしております。
<リスク管理>先述のとおり、サステナビリティ全体に関するリスク管理については、サステナビリティ経営を推進するサステナビリティ推進部が中心となり関連部門と共にリスクの抽出を行っており、その内容についてはガバナンス本部が管理する全社リスクの中に織り込み、様々なリスクとともにマネジメントしております。気候変動に関するリスクについてもその中に含まれております。
<戦略>気候変動に対するシナリオ分析は、サステナビリティ推進部が中心となり、経理・財務本部、ガバナンス本部、事業グループなどの社内関係部門と連携しながら検討プロセスを4つに分け、年次で分析・評価しております。同時に事業に影響を及ぼす重要な要因を選定し、特定したリスクと機会・評価を事業戦略に反映しております。

STEP1 シナリオ群の選択・具体化
TCFDが推奨するように、2℃シナリオ以下を含む複数の温度帯シナリオを選択し、分析を行っております。脱炭素シナリオ(RCP1.9)及び温暖化シナリオ(RCP4.5, RCP8.5)の2つのシナリオに基づき、IEAやIPCCなどの国際公表データや日本の政府機関が公表している数値データなどを用いつつ、5フォース分析などの経営フレームワークも活用し、各シナリオにおける世界観や具体的なシナリオを整理しております。当連結会計年度から当社グループの長期環境目標の最終年度である2050年までを見通して中長期的な世界観やシナリオ及び数値前提を再構築しております。
| 気温レンジ | 関連シナリオ | 出典 | |
| 脱炭素シナリオ | 1.5℃未満 | NZE2050 | IEA |
| RCP1.9 | IPCC | ||
| 温暖化シナリオ | 2.5~4.0℃ | STEPS | IEA |
| RCP4.5 | IPCC | ||
| RCP8.5 | IPCC |

STEP2 気候変動関連リスクに対する重要度評価
TCFD提言で例示されているリスク・機会を参考にしつつ、各シナリオの世界観をもとに気候変動に伴うリスク・機会因子を抽出し、事業領域別と当社グループ全体の対象範囲に分けたうえで、リスク・機会の具体化と影響が生じる時間軸を整理しております。
STEP3 事業インパクト評価
STEP1で整理したシナリオ別の世界観及び、STEP2で整理した機会・リスク項目を踏まえ、事業インパクトの評価を実施しております。その過程で「第三次明電環境ビジョン」にて進捗目標を設定している2030年を対象に「営業利益へのインパクト」、「事業発生の蓋然性」の2軸から特に事業への影響が大きい項目をスクリーニングし、それらの項目について詳細分析を実施しております。影響が大きい各項目は、シナリオ別に市場成長率などをもとに「成行値(対策織り込み前の値)」を把握しました。一部仮定を置きながら定量的に試算し、計算が不可能な項目については定性的に整理しております。
■気候変動関連リスク評価における時間軸の定義
| 定義 | 戦略・計画期間との関係 | |
| 短期 | 2025年~2027年度までの3か年 | 中期経営計画2027に基づく環境戦略、実行計画 及び2027年度目標に合わせた期間 |
| 中期 | 2030年まで | 「第三次明電環境ビジョン」に基づく環境戦略、実行計画 及び2030年目標に合わせた期間 |
| 長期 | 2050年まで | 国家目標及び当社グループの長期環境目標に合わせた期間 |
■当社グループにおける気候変動関連リスクとその影響度と事業インパクト



STEP4 対応策の検討
STEP3で算出した「成行値」をもとに、当社グループの置かれた状況を踏まえ、機会を掴む戦略、リスクを軽減するための施策を検討してまいりました。
以下は、気候変動に関する当社グループの戦略を具体化する主な取組み事例です。
| ●取組み事例① 〜SF6ガスフリー変電事業拡大〜 気候変動における当社グループの機会の1つとして、脱炭素社会構築に貢献することができるSF6ガスレス変電事業の拡大が挙げられます。 電力インフラの重要な機器の1つである開閉器(スイッチギヤ)では、従来、電流遮断及び絶縁をするためにSF6ガスを使用しておりました。しかし、SF6ガスはCO2の2万倍以上の温室効果を持つため、当社グループでは、電流遮断には真空インタラプタを用い、絶縁ガスとしてはドライエアを採用することにより、SF6ガスを全く使用しない環境配慮型のスイッチギヤの開発に取り組んでまいりました。2004年の72kV級SF6ガスレスタンク形真空遮断器の開発を皮切りに、高電圧化へのニーズに対応しつづけ、2020年には世界初の145kVクラスの製品を開発しました。同年にはSF6ガスレス変電製品を取り扱う初の北米製造拠点 MEIDEN AMERICA SWITCHGEAR, INC. (以下、明電アメリカスイッチギヤ)を設立し、現在では好調な事業環境の下、成長事業の1つとして成長を続けております。2025年には123kVクラスの製品開発を完了するとともに北米市場へ投入し、さらなる拡販につなげてまいります。 今後の展望として、電力業界では2026年の欧州SF6ガス規制導入など、電力設備の脱炭素化ニーズがさらに拡大する見込みであります。当社グループとしては、この好機を逃さず、世界トップレベルの真空遮断器メーカーとして事業を拡大してまいります。 特に中期経営計画2027では、開発を進めているSF6ガスレススイッチギヤを順次国内外の市場に投入していくとともに、明電アメリカスイッチギヤの生産能力増強にも取り組んでまいります。また並行して将来への取組みとして、さらに大容量のVCBの製品化に挑むとともに、SF6規制が発動した欧州市場向けに事業展開準備を進めていきます。 当社グループはこのようなSF6ガスレス製品・サービスを今後も開発・拡販し、気候変動に伴う事業拡大の好機を掴んでまいります。 |
| ●取組み事例② 八竜風力発電所リプレースによる価値創造基盤の強化 当社は、連結孫会社である株式会社エムウインズ八竜が運営する「八竜風力発電所」(秋田県山本郡三種町)について、既設風力発電機の更新を目的としたリプレース投資を決定しました。同発電所は2005年の運転開始以来、当社の風力発電事業の中核として、長年にわたり再生可能エネルギーの供給を担ってきました。 八竜風力発電所は固定価格買取制度(FIT)を活用した売電事業として運用しており、2027年1月に買取期間満了を迎える予定であります。本件リプレースは、これまで蓄積してきた風力発電事業の知見を活かし、発電効率の高い最新設備へ更新することで、再生可能エネルギーの活用を将来にわたり継続することを目的としております。 本件は、中期経営計画2027および1.5℃シナリオに整合した環境ビジョンに基づき、外部環境やエネルギー価格変動に左右されにくい、長期安定的な再生可能エネルギー電源を確保する取組みであります。当社は本設備を、カーボンニュートラル実現に向けた戦略的な脱炭素電源の一つとして位置づけ、事業活動を通じた温室効果ガス排出削減への貢献を図ってまいります。 リプレース後の発電設備は出力28,000kW(陸上風力7基)を予定しており、投資金額は約110億円であります。工事着工は2027年4月、稼働開始は2029年4月を予定しております。 |
<指標と目標>当社グループは、2021年11月に長期目標として、2040年RE100、2050年カーボンニュートラル達成を宣言しております。また、中期目標として、2030年度に向けたScope1,2及び3の温室効果ガス排出削減目標を上方修正した第二次明電環境ビジョンを2021年度に発表しました。そして、中期経営計画2027では、1.5℃シナリオ水準に整合した新たな目標を第三次明電環境ビジョンとして策定し、短期目標として中期経営計画2027の最終年度である2027年度の目標を定めました。また、これまで、Scope3の削減目標は最も排出量の多いカテゴリ11「販売した製品の使用」を削減目標の対象としてまいりましたが、第三次明電環境ビジョンでは、全カテゴリで新たな削減目標を定めました。なお、本目標は、SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認証を2025年3月に改めて取得しております。
■温室効果ガス排出量削減目標
| 2019年度比 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | 2030年度 | |
| 計画 | 見込※1 | 計画 | 計画 | 計画 | |
| 事業活動に伴う 排出量(Scope1+2) | 30%削減 | 34%削減 | 35%削減 | 40%削減 | 50%削減 |
| 事業活動に関連する 排出量(Scope3) | 20%削減 (全カテゴリ) | 5%増加 (全カテゴリ) | 20%削減 (全カテゴリ) | 30%削減 (全カテゴリ) | |
※1 本有価証券報告書提出日(2026年6月24日)時点の見込値であり、第三者検証完了後の確定値をもって当社サステナビリティ・ウェブサイトにて開示いたします。
■カーボンニュートラルに向けた移行計画

■インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入
当社では2021年4月からインターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入して設備投資計画に伴う排出量を内部炭素価格で費用換算し、投資判断材料の一つとしております。2023年度の設備投資より、環境省のガイドライン及びIEAの1.5℃シナリオの炭素価格を考慮し、15,000円/t-CO2へ引き上げ、これまで空調設備更新やLED化等の推進に活用しております。当連結会計年度は、76t-CO2/年の削減に貢献しました。引き続き、ICPの活用拡大、Scope1,2の削減に取り組んでまいります。
■再生可能エネルギー由来の電力利用
生産増に伴うScope2増大を抑制するため、再生可能エネルギー由来の電力利用の拡大を進めてまいります。国内の再生可能エネルギー比率は前連結会計年度41%から当連結会計年度は70%となりました。また、海外における再生可能エネルギー比率は前連結会計年度0.8%から当連結会計年度は34%となりました。今後自家発電、電力購入契約(PPA)、再エネ電力メニュー、再エネ電力証書を活用しつつ、国内外の生産拠点の再エネ比率拡大を優先事項として取り組んでまいります。
■GHG削減貢献量の拡大
削減貢献量は、当社グループの直接的な排出削減(Scope1,2,3)とは区別した指標であり、事業活動を通じて社会全体の脱炭素化への寄与状況を示す参考情報として開示しております。明電グループは、環境配慮型製品及びサービスの提供を通じて、社会全体の温室効果ガス排出量削減に貢献してまいります。
| 対象製品/事業 | GHG削減貢献実績 (万t-CO2) | GHG削減貢献量算定の考え方 |
| 2025年度 | ||
| 風力発電事業*1 | 3.4 | 系統電力を再生可能エネルギー発電に代替した場合の排出抑制 |
| 太陽光発電パワーコンディショナ (太陽光PCS) | 10.0 | |
| 水力用発電設備*2 | 1,034.6 | |
| 電鉄用回生インバーター | 1.9 | 回生電流による省エネルギー |
| EV駆動ユニット | 116.1 | 同等グレードのガソリン車を代替した場合の 排出抑制 |
| 電動フォークリフト用 制御器・モーター | 126.8 | |
| キュービクル形ドライエア 絶縁開閉装置 (Eco C-GIS) | 0.1 | SF6ガス*3不使用による排出抑制 |
| エコタンク形真空遮断器*4 | 15.1 | |
| 合計 | 1,308.0 | |
| 目標値*5 | 900 |
*1 使用段階のGHG排出量の差分に、想定寿命及び年間販売量を乗じて算定しております。ただし、風力発電は年間の発電量実績に基づいて算定しております。
*2 当連結会計年度から、提出会社分とイームル工業㈱分を合算しております。
*3 SF6ガスの地球温暖化係数は、23,500を適用し算定しております。
*4 前連結会計年度から、MEIDEN AMERICA SWITCHGEAR, INC.での生産分が含まれております。
*5 中期経営計画2027の目標値を、2026年度:1,000(万t-CO2)、2027年度:1,100(万t-CO2)としております。
② 未来へ挑む人財・企業風土づくり(人的資本)
当社グループは、人財を既存事業の着実な成長及び新たな価値創造への挑戦を支える重要な経営基盤と位置付けております。経営戦略の実現に向けては、人財一人ひとりの能力が最大限に発揮されることが不可欠であり、中長期的な企業価値の向上に向け、人的資本への継続的な投資を行っております。
このような認識のもと、サステナビリティ経営の重要な要素として人財戦略を位置付け、多様な人財が誇りと意欲を持ち、それぞれの能力を最大限に発揮し、相互に尊重し合いながら、心身ともに健康で安心して働くことができる基盤強化及び企業風土醸成に重点的に取り組みます。
この方針のもと、以下の事項を人財戦略の重点テーマとして、各種施策を推進しております。
●安心して働き続けることができる労働環境の整備
従業員が安全かつ安心して働き続けることができる環境の整備に向け、生産拠点を中心に、従業員アンケートや現場調査の結果を踏まえた労働環境の改善を進めております。太田・沼津・名古屋・甲府の各拠点で、老朽化したトイレの更新、共有休憩スペースの改修・追加、机・椅子等の更新・統一化、工場内標識の整備等を実施し、衛生面・快適性・利便性の向上を図っております。
また、目安箱を通じて従業員の意見を継続的に収集し、回答内容や改修状況を社内で共有・公開することで、従業員の声を踏まえた改善と課題認識の共有を進めております。
● 対話を重視し、挑戦を後押しする企業風土の醸成
従業員エンゲージメントの向上及び挑戦を後押しする企業風土の醸成に向け、役員・上司と従業員との対話機会の拡充に取り組んでおります。具体的には、職場課題やありたい姿、今後の取組みについて双方向で意見交換を行っております。
また、従業員意識調査の結果を全社的に共有・公開し、各職場における改善活動に繋げることで、従業員の声を踏まえた組織開発を進めております。対話や調査を通じて把握した課題については、役付執行役員を構成員とする常務会及びレビュー・ミーティングにおける議論及び取締役会への報告・議論を通じて、経営としての課題認識の共有を図っております。これらの議論を踏まえ、労働環境の整備、対話機会の拡充等の具体的な取組みに反映し、従業員の声を踏まえた企業風土の醸成を進めております。
● 健康経営の推進
当社グループでは、「健康は何ものにも代え難い財産」という考えのもと、「身体の健康」「心の健康」「職場の健康」の3つを柱として、人的資本経営を支える基盤の一つとして健康経営を推進しております。
「身体の健康」では、保健指導強化、運動習慣の定着、食事・睡眠改善、女性の健康づくり対策等に取り組み、「心の健康」「職場の健康」では、メンタルヘルス不調の未然防止・早期発見、心理的安全性の高い職場づくりに取り組んでおります。
当連結会計年度においては、「健康経営戦略マップ」を改定し、会社と従業員が一体となって心身の健康の維持・増進に取り組みました。その結果、前連結会計年度に引き続き「健康経営優良法人2026(ホワイト500)」に認定されるとともに、「健康経営銘柄2026」に4年ぶりに選定されました。今後も、従業員がいきいきと働き、働きがいを実感できる環境の実現を目指してまいります。
● 多様な人財が活躍できる環境整備(DEIの推進)
当社グループでは、性別・国籍・障がいの有無等にかかわらず、一人ひとりを尊重し、多様な人財が能力を発揮できる組織づくりを推進しております。
女性活躍推進においては、計画的な育成、ネットワーク構築及び実践を通じた能力開発を重要課題と位置づけ、女性リーダー育成プログラムを実施しました。本プログラムを通じて、社内外ネットワークの強化、キャリアビジョンの明確化、リーダーシップ行動計画の策定を支援しております。
国籍の多様性の観点からは、海外現地法人の技術者に対する日本の工場での技術研修、外国籍従業員の採用、海外現地法人における幹部候補人財向けコーチングプログラム等を通じて、グループとしての一体感醸成、技術伝承及び新たな価値創出に繋がる組織づくりを進めております。
障がい者雇用においては、製造活動の一部を担う新たな業務を開拓する等、事業活動を支える人財として活躍領域の拡大を推進しております。これらの取組みを通じて、多様な人財が能力を発揮できる制度・環境・企業風土の整備を進めております。
組織基盤・企業風土に関する指標・目標
| 目指す姿 | 指標 (従業員意識調査をもとに算出) | 実績 | 2027年度目標 |
| 多様な人財が誇り・熱意を持ち、安心して働くことができる基盤・風土の実現 | eNPS(従業員向けNPS®) ※1 | 2024年度 -69.0% | -65.0% |
| 2025年度 -69.6% | |||
| 挑戦・達成志向に関する設問の肯定回答率 | 2024年度 31.9% | 50%以上 | |
| 2025年度 33.0% | |||
| オープンな風土に関する設問の肯定回答率 | 2024年度 49.7% | 60%以上 | |
| 2025年度 50.7% | |||
| 労働環境に関する設問の肯定回答率 | 2024年度 51.2% | 60%以上 | |
| 2025年度 55.0% | |||
| 心身のいきいき度 ※2 | 2024年度 67.6% | 73%以上 | |
| 2025年度 66.6% |
※1 提出会社及び提出会社と同じ従業員意識調査を実施している国内連結子会社
※2 病気やけががないときに発揮できる仕事のできを100%としたときの、直近1か月の仕事出来度合い(従業員へのアンケート調査をもとに算出)

※NPS®はベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメリックス・システムズの登録商標であります。