有価証券報告書-第93期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/26 16:01
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注記事項-重要な会計方針、連結財務諸表(IFRS)

3. 重要な会計方針
連結財務諸表において適用する会計方針は以下のとおりです。
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。支配とは、投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、投資先に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有することを言います。
すべての子会社は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで連結の対象に含めております。連結財務諸表の作成にあたり、連結会社間の内部取引高、内部取引によって発生した未実現損益及び債権債務残高を相殺消去しております。
子会社のうち、Anritsu Eletronica Ltda.、Anritsu Company S.A. de C.V.、Anritsu (China) Co., Ltd.、Anritsu Electronics (Shanghai) Co.,Ltd.、Anritsu Industrial Solutions (Shanghai) Co.,Ltd.及びAnritsu Industrial Systems(Shanghai) Co.,Ltd. の報告期間の末日は12月31日であります。当該子会社については親会社の報告期間の末日現在の追加的な財務諸表を作成し連結しております。その他の連結子会社の報告期間の末日は、親会社の報告期間の末日と一致しております。
当社グループは企業結合の会計処理として取得法を用いており、のれんを取得日時点で測定した被取得企業に対する非支配持分の認識額を含む譲渡対価の公正価値から、取得時点における識別可能な取得資産及び引受負債の純認識額(通常、公正価値)を控除した額として測定しております。非支配持分のうち、現在の所有持分であり、清算時に企業の純資産に対する比例的な取り分を保有者に与えているものを、公正価値で測定するか、又は被取得企業の識別可能純資産の認識金額に対する現在の所有権金融商品の比例的な取り分で測定するかについては、取得日に個々の取引ごとに選択しております。なお、企業結合に関連して発生する取引費用は、発生時に費用処理しております。
非支配持分の追加取得は、資本取引として会計処理しており、この取引からはのれんを認識しておりません。
支配を喪失しない子会社に対する当社グループの所有持分の変動は、資本取引として会計処理しております。当社グループの持分及び非支配持分の帳簿価額は、子会社に対する持分の変動を反映して調整されますが、非支配持分の調整額と受取対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本の部に直接認識しております。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得及び損失は純損益で認識しております。
共通支配下における企業結合取引、すなわち、すべての結合企業又は結合事業が最終的に企業結合の前後で同じ当事者によって支配され、その支配が一時的なものではない企業結合取引については、帳簿価額に基づき会計処理しております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配はしていない企業をいいます。関連会社に対する投資は、取得時に取得原価で認識し、その後は持分法を用いて会計処理しております。
③ 共同支配企業
共同支配企業とは、複数の当事者が共同支配する取決めを交わし、その取決めにおいて各々の当事者が当該取決めの純資産に対する権利を有する場合であります。当社グループは、共同支配企業に対する持分について、関連会社と同様に持分法を用いて会計処理しております。
(2) 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。取得対価が識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合は、連結財政状態計算書においてのれんとして計上しております。
企業結合に関連して発生する取引費用は、発生時に費用処理しております。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は取引日の為替レートで当社グループの各社の機能通貨に換算しております。期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算しております。公正価値で測定される外貨建非貨幣性資産及び負債は、その公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に再換算しております。取得原価に基づいて測定されている非貨幣性項目は、取引日の為替レートを用いて換算しております。
再換算又は決済により発生した換算差額は、その期間の純損益で認識しております。
② 在外子会社等の財務諸表
在外子会社の資産及び負債は期末日の為替レート、収益及び費用は平均為替レートを用いて日本円に換算しております。在外子会社の財務諸表から発生した為替換算差額は、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「その他の包括利益」で認識し、為替換算差額の累積額は連結財政状態計算書の「その他の資本の構成要素」に計上しております。
在外営業活動体の為替換算差額の累積額は、持分全体の処分、あるいは、支配、重要な影響力又は共同支配の喪失を伴う持分の一部処分がされた場合に、処分にかかる損益の一部として純損益に振り替えております。
(4) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のうちいずれか低い額で測定しております。棚卸資産の取得原価は、原材料は主として移動平均法、製品及び仕掛品は主として個別法に基づいて算定しております。
正味実現可能価額は、通常の営業過程における見積販売価額から完成までに要する見積原価及び見積販売費用を控除した額です。
(5) 有形固定資産
有形固定資産は原価モデルを適用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体・除去及び土地の原状回復費用及び資産計上すべき借入費用が含まれます。
これらの資産の減価償却は使用可能となった時点より開始され、以下の見積耐用年数にわたって定額法により行っております。
建物構築物 3-50年
機械装置及び車両運搬具 2-15年
工具器具備品 2-20年
土地及び建設仮勘定については、減価償却を行っておりません。
ファイナンス・リースにより保有する資産は、リース期間の終了時までに所有権の移転が合理的に確実であると見込まれる場合を除き、リース期間又は経済的耐用年数のいずれか短い期間で償却しております。
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は毎期末に見直しを行い、必要に応じて改定しております。
(6) のれん及び無形資産
無形資産は原価モデルを適用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
企業結合において取得した無形資産の取得原価は、取得日現在における公正価値で測定しております。当初認識後は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
① のれん
子会社の取得により生じたのれんは、「のれん及び無形資産」に計上しております。当初認識時におけるのれんの測定については、注記3 (1) ①に記載しております。
のれんは減損損失累計額を控除した取得原価で測定しております。のれんの償却は行わず、毎期の減損テストにより必要な場合は減損損失を計上しております。なお、のれんの減損損失の戻入は行っておりません。
② 開発資産
開発活動で発生した費用は、以下のすべての条件を満たしたことを立証できる場合にのみ、資産計上しております。
・使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
・無形資産を完成させ、更にそれを使用又は売却するという企業の意図
・無形資産を使用又は売却できる能力
・無形資産が蓋然性の高い将来の経済的便益を創出する方法
・無形資産の開発を完成させ、更にそれを使用又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
・開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
これらの開発資産の償却は、当該プロジェクトが終了した時点より開始され、当該開発資産が正味のキャッシュ・インフローをもたらすと期待される3年から5年の見積耐用年数にわたって定額法により行っております。なお、上記の資産計上の要件を満たさない開発費用及び研究活動に関する支出は、発生時に費用処理しております。
償却方法及び耐用年数は毎期末に見直しを行い、必要に応じて改定しております。
③ その他の無形資産
主としてソフトウェアを計上しております。その他の無形資産の償却は使用可能となった時点より開始され、3年から10年の見積耐用年数にわたって定額法により行っております。
ファイナンス・リースにより保有する資産は、リース期間の終了時までに所有権の移転が合理的に確実であると見込まれる場合を除き、リース期間又は経済的耐用年数のいずれか短い期間で償却しております。
償却方法及び耐用年数は毎期末に見直しを行い、必要に応じて改定しております。
(7) 投資不動産
投資不動産は主として賃料収入を得る目的で保有する商業施設等です。投資不動産は原価モデルを適用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体・除去及び土地の原状回復費用及び資産計上すべき借入費用が含まれます。
投資不動産の減価償却は使用可能となった時点より開始され、3年から50年の見積耐用年数にわたって定額法により行っております。
土地については、減価償却を行っておりません。
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は毎期末に見直しを行い、必要に応じて改定しております。
(8) リース
契約上、資産の所有に伴うリスクと経済価値が実質的にすべて当社グループに移転するリースは、ファイナンス・リースに分類し、それ以外のリース取引は、オペレーティング・リースに分類しております。
ファイナンス・リースは、リース開始時のリース物件の公正価値又は最低支払リース料総額の現在価値のいずれか低い金額をもって資産計上しております。リース債務は、連結財政状態計算書の流動負債及び非流動負債に計上しております。金融費用は、負債残高に対して一定の利率となるように、リース期間にわたって各期に配分しております。
オペレーティング・リースにおける支払額は、リース期間にわたって定額法により費用処理しております。
変動リース料は、発生した期間の費用として認識しております。
(9) デリバティブ
金利変動リスク、為替変動リスクをヘッジするため、金利スワップ、為替予約等のデリバティブを利用しておりますが、ヘッジ会計の適用要件を満たしていないためヘッジ会計を適用しておりません。これらデリバティブは、契約が締結された日の公正価値で当初認識し、当初認識後は公正価値で再測定しております。デリバティブの公正価値の変動はすべて純損益で認識しております。
(10) 非デリバティブ金融資産
営業債権及びその他の債権は発生時に当初認識しております。その他の金融資産は、当社グループが当該金融商品に関する契約の当事者となる取引時に当初認識しております。
① 償却原価で測定される金融資産
金融資産は、以下の2つの要件をともに満たす場合に、実効金利法を用いて償却原価(減損損失控除後の金額)で測定しております。
・当社グループのビジネスモデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有している。
・金融資産の契約条件が、特定された日に元本及び元本残高に対する利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせる。
② その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
当社グループは、資本性金融商品に対する投資のうち売買目的でも企業結合における条件付対価でもない投資について、事後の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能の選択を行うことにより、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に区分しております(以下、「FVTOCIの金融資産」という)。本投資は、投資先との取引関係の維持・強化を目的として保有している資本性金融商品であり、全ての公正価値の変動をその他の包括利益に計上し、認識の中止時においてはその他の包括利益に計上した額が純損益に振り替えられることはありません。ただし、この投資にかかる受取配当金については、その配当金が投資元本の払い戻しであることが明らかな場合を除き、金融収益として純損益で認識しております。
また、IFRS第9号「金融商品」では、以下の2つの条件の双方が満たされる金融資産についてもFVTOCIの金融資産として計上する事を求めておりますが、当社グループでは該当する金融資産を保有しておりません。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
当社グループが保有していない本資産については、当社が保有している上記の金融資産と異なり、当該資産に係る利得又は損失のうち、減損利得又は減損損失、為替差損益について発生時に純損益に認識します。それらを除いた公正価値の変動等につきましては発生時にその他の包括利益として認識し、認識の中止を行う際に過去にその他の包括利益に認識した利得又は損失の累計額を資本から純損益に組替調整額として振り替えることとなります。
なお、連結純損益及びその他の包括利益計算書のその他の包括利益に計上したFVTOCIの金融資産の公正価値の変動額は、連結財政状態計算書においては「その他の資本の構成要素」に計上しており、当該資本性金融商品の認識を中止した場合には、「その他の資本の構成要素」の残高を「利益剰余金」に直接振り替えております。
③ 金融資産の認識の中止
金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は、金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡する取引において当該金融資産の所有にかかるリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合には、当該金融資産の認識を中止しております。
④ 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、現金及び容易に一定の金額に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない流動性の高い投資をいい、預け入れ時点から満期日までが3カ月以内の短期定期預金を含んでおります。
(11) 非デリバティブ金融負債
当社グループが発行した負債証券は、その発行時に当初認識しております。その他の非デリバティブ金融負債は、当社が当該金融商品の契約の当事者になる取引時に当初認識しております。
当社グループは、金融負債が消滅した場合、すなわち、契約上の義務が免責、取消又は失効となる場合に、金融負債の認識を中止しております。
当社グループは、非デリバティブ金融負債として、営業債務及びその他の債務、社債及び借入金、その他の金融負債を有しており、公正価値(直接帰属する取引費用を控除後)で当初認識し、当初認識後は実効金利法を用いた償却原価により測定されます。
(12) 株主資本
① 普通株式
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を「資本金」及び「資本剰余金」に計上し、直接発行費用は「資本剰余金」から控除しております。
② 自己株式
自己株式を取得した場合は、直接取引費用を含む支払対価を、資本の控除項目として認識しております。自己株式を売却した場合、受取対価を資本の増加として認識しておりますが、欠損が発生した場合には「利益剰余金」に振り替えております。また、自己株式を消却した場合は、当該消却額を「資本剰余金」の中のその他の資本剰余金より減額し、消却額がその他の資本剰余金の残高を上回る場合は、残高を上回る金額について「利益剰余金」より減額しております。
(13) 減損
① 非デリバティブ金融資産
償却原価で測定される金融資産については、貸倒引当金を認識しております。貸倒引当金の認識にあたっては、「営業債権及びその他の債権」は常に全期間の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金の測定を行い、他の金融資産については、信用リスクの著しい増大が生じていない場合には12カ月の予想信用損失に等しい金額で、信用リスクが著しく増大した場合には全期間の予想信用損失に等しい金額で、貸倒引当金の測定を行っております。
貸倒引当金の測定においては、債務者の状況を定期的にモニタリングし、支払不履行、滞納、支払期限の延長、破産といった財務状況の悪化等の事象やそれらの兆候の有無等を評価しております。また、そのような事象及び兆候のいずれも存在しない場合には、期日経過の情報を用いて予想信用損失を見積っております。
これらの測定にあたり、個々に重要な金融資産はすべて個別に測定を行い、個々では重要ではない金融資産については、リスクの特徴が類似するものごとにグルーピングを行い、当該グループごとに測定を行っております。
なお、報告日現在で要求される貸倒引当金の認識に必要な金額への修正については、純損益の中の「販売費及び一般管理費」において認識しております。
② 非金融資産
棚卸資産及び繰延税金資産を除く、当社グループの非金融資産の帳簿価額は、報告日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っております。のれんについては、年次で減損テストを行っております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と売却費用控除後の公正価値のうちいずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いております。資金生成単位については、継続的に使用することにより他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループとしております。
のれんの資金生成単位については、のれんが内部報告目的で管理される単位に基づき決定し、集約前の事業セグメントの範囲内となっております。
全社資産は独立したキャッシュ・インフローを生み出していないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を算定して判断しております。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に純損益に計上しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額しております。
のれんに関連する減損損失は戻入れておりません。過去に認識したその他の資産の減損損失については、減損損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を判断しております。減損損失の戻入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻入れております。減損損失の戻入れについては、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却額を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限としております。
(14) 売却目的で保有する資産
継続的な使用がなく、売却によって回収が見込まれる非流動資産(又は処分グループ)を「売却目的で保有する資産」として分類しております。「売却目的で保有する資産」としての分類は、現状で直ちに売却することが可能であり、売却の可能性が非常に高いという2つの条件を満たした時点で行っております。
売却目的で保有する資産は、帳簿価額と売却費用控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定し、「売却目的で保有する資産」に分類後の有形固定資産及び無形資産については、減価償却又は償却は行っておりません。
売却目的保有への分類が中止される非流動資産(又は処分グループ)については、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却額を控除した後の帳簿価額と売却を行わないと事後的な意思決定をした時点での回収可能価額のいずれか低い金額で測定しております。なお、売却目的保有への分類が中止される結果生じる非流動資産の帳簿価額の調整は、純損益として認識しております。
(15) 従業員給付
① 確定給付制度
当社及び一部の子会社の従業員を対象に、確定給付制度として退職一時金制度及びキャッシュ・バランスプラン(市場金利連動型年金)を採用しております。確定給付制度の純債務額は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として稼得した将来給付の見積額を現在価値に割り引いた額から、制度資産の公正価値を差し引くことによって算定しております。
割引率は、当社の債務と概ね同じ満期日を有する期末日の優良社債の利回りを使用しております。退職後給付債務にかかる計算は、予測単位積増方式により行っておりますが、勤続年数の後半に著しく高水準の給付が生じる場合には、定額法で補正する方式を用いております。
当社グループでは、確定給付年金制度の純額の再測定により生じる調整額をその発生時に連結純損益及びその他の包括利益計算書の「その他の包括利益」で認識し、確定給付年金制度の再測定により生じた調整の累計額を連結財政状態計算書の「利益剰余金」に計上しております。
② 確定拠出制度
当社及び一部の子会社の従業員を対象に、確定拠出年金制度を採用しております。
確定拠出年金制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度です。
確定拠出年金制度への拠出は、従業員が勤務を提供した期間に費用処理しております。
③ 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、従業員が関連する勤務を提供した時点で費用処理しております。
賞与及び有給休暇費用については、それらを支払う法的もしくは推定的な債務を負っており、信頼性のある見積りが可能な場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
④ その他の長期従業員給付
当社グループは、年金制度以外の長期従業員給付として、一定の勤続年数に応じた特別休暇や報奨金制度を有しております。その他の長期従業員給付に対する債務額は、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として稼得した将来給付の見積額を現在価値に割り引いた額で計上しております。
割引率は、当社の債務と概ね同じ満期日を有する期末日の優良社債の利回りを使用しております。
⑤ 株式に基づく報酬
当社グループでは、取締役及び一部の従業員に対するインセンティブ制度として、ストック・オプション制度及び業績連動型株式報酬制度を導入しております。
ストック・オプション制度は、株式に基づく報酬の付与日に権利が確定することから、付与日における公正価値は、付与日に一括で費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、ブラック・ショールズ・モデルにより算定しております。
業績連動型株式報酬制度(達成度評価期間:2014年度から2017年度)は、経営指標に関する数値目標に対する各年度の達成度等に応じて翌年度にポイントが付与され、そのポイントに基づいて当社の株式が交付される制度であり、達成度の測定開始日から当社株式に対する受給権が確定する時点までの権利確定期間にわたって費用を認識し、同額を資本の増加として認識しております。
業績連動型株式報酬制度(達成度評価期間:2018年度から2020年度)は、経営指標に関する数値目標に対する各年度の達成度等に応じて翌年度にポイントが付与され、そのポイント累積数に応じての当社株式が退任時に交付される制度であり、各評価対象期間にわたって費用を認識し、同額を資本の増加として認識しております。
費用の認識額及び増加資本の金額につきましては、付与する資本性金融商品の公正価値を参照し測定しております。なお、受給権確定後に当社の株式が交付された時点で、認識した資本の増加を取り崩しております。
(16) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが、合理的に見積り可能である法的又は推定的債務を有しており、その債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高い場合に認識しております。
引当金は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及びその負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割り引いております。時の経過に伴う割引額の割戻しは「金融費用」として計上しております。
① 資産除去費用引当金
固定資産に関連する有害物質の除去及び賃借事務所に対する原状回復の費用見積額について、資産除去費用引当金を計上しております。
② 製品保証引当金
販売した物品について保証期間内に発生が見込まれる修理費用に充てるため、過年度の実績を基礎に将来の保証見込みを加味して、製品保証引当金を計上しております。
(17) 政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られた時に、公正価値で認識しております。
費用に関する政府補助金は、補助金で補償することを意図している費用が発生した期間において純損益に認識しております。資産に関する政府補助金は、当該補助金を繰延収益として計上し、資産の耐用年数にわたって規則的に純損益に認識する方法によっております。
(18) 収益
当社グループは、IFRS第9号「金融商品」に基づく利息や配当を除いた全ての収益を下記の5ステップアプローチに基づき認識しております。
IFRS第15号の適用に伴い、当社グループはIFRS第9号「金融商品」に基づく利息や配当を除いた全ての収益を下記の5ステップアプローチに基づき認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
当社グループは、主として、計測事業に区分している通信用及び汎用計測器、測定システム、サービス・アシュアランス、及びPQA事業に区分している高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等について、製品・ソフトウエア等の販売及びそれらに付随して発生する修理やサポートサービスの提供を行っております。
これらの製品・ソフトウエア等の販売については、物品の所有に伴う重要なリスク及び経済価値が顧客に移転した時点で、物品に対する継続的な管理上の関与がない場合に、顧客が当該物品に対する支配を獲得することから履行義務を充足したと判断し、収益を認識しております。
物品の所有にかかるリスク及び経済価値の移転時期は、個々の販売契約の条件によって異なりますが、通常は物品が顧客に引き渡された時点や船積日等です。
製品・ソフトウエア等の販売に付随して発生する修理やサポートサービスの提供については、当該サービスを顧客に移転した時点で、又は当該サービスを顧客に移転するにつれて、収益を認識しております。
製品、ソフトウエア、サポートサービスなど複数の成果物を提供する複数要素取引については、主にそれぞれの構成要素が別個の履行義務として識別される場合に、取引価格を独立販売価格に基づき比例的に配分し、それぞれの履行義務について収益を認識しております。
なお、当社グループでは約束した製品もしくはサービスが顧客に移転する前に対価を受領した、もしくは受領が確定した場合に契約負債を認識しております。
(19) 金融収益及び金融費用
金融収益は主として、受取利息及び受取配当金から、金融費用は主として実効金利法により計算された借入金及び社債に対する支払利息から構成されております。為替差損益は、純額で「金融収益」又は「金融費用」に計上しております。
受取利息は実効金利法に基づき発生時に認識しており、受取配当金は配当を受ける権利が確定した時点で認識しております。借入費用は、適格資産の取得、建設又は製造に直接関連するものを除き、実効金利法により費用として認識しております。
(20) 法人所得税費用
法人所得税費用は当期税金費用と繰延税金費用で構成されており、これらは、企業結合に関連するもの、その他の包括利益に認識されるもの、もしくは資本に直接認識されるものを除き、純損益で認識しております。
当期税金費用は、期末日において施行又は実質的に施行される税率を乗じて算定する当期の課税所得又は損失にかかる納税見込額あるいは還付見込額に、前連結会計年度までの納税見込額の調整額あるいは還付見込額の調整額を加味したものから構成されております。
繰延税金資産及び負債は、資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異に対して認識しております。なお、次の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を認識しておりません。
・のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異
・企業結合以外の取引で、かつ会計上又は税務上のいずれかの損益にも影響を及ぼさない取引における資産又は負債の当初認識にかかる一時差異
・子会社に対する投資にかかる将来加算一時差異のうち、一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予見可能な期間内に一時差異が解消されない可能性が高い場合
・子会社に対する投資にかかる将来減算一時差異のうち、予見可能な期間内に一時差異が解消されない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債は、期末日に施行又は実質的に施行される法律に基づいて一時差異が解消される時点に適用されると予測される税率を用いて測定しております。繰延税金資産及び負債は、当期税金資産及び負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ、法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、又は異なる納税主体に課されているもののこれらの納税主体が当期税金資産及び負債を純額ベースで決済することを意図している場合、もしくはこれら税金資産及び負債が同時に実現する予定である場合に相殺しております。
繰延税金資産は、未使用の税務上の欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は期末日に見直し、税務便益が実現する可能性が高い範囲でのみ認識しております。
(21) 1株当たり当期利益(親会社の所有者に帰属)
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、当連結会計年度中の自己株式を控除した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有する全ての潜在的普通株式の影響を調整して計算しております。