有価証券報告書-第76期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 16:19
【資料】
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【項目】
119項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度(平成28年4月1日から平成29年3月31日まで)における当社グループを取り巻く経営環境は、世界経済の一部に弱さが見られるものの全体としては緩やかに回復しているという状況で推移いたしました。また、今後も回復基調は続くと見込まれるものの、中国やアジア新興国経済の先行き、各国の政策影響、為替動向などは依然として不確実な状況にあります。
当社グループは、研究開発力や生産技術の強みを活かしたスーパーハイエンド商品および高信頼性商品に加え、コア技術を活かしたソリューションビジネスを軸に、通信機器市場および自動車・産業機器市場などの成長市場を攻略することにより、中期目標の達成および経営ビジョンの実現を目指しています。
通信機器市場では、スマートフォンの高機能・高性能化が続くとともにIoTの進展によりインターネットに接続される機器が急増することで、超小型部品や高信頼性部品の需要が大幅に増加すると見込まれます。また、自動車・産業機器市場では、ハイブリッド自動車や電気自動車の普及、産業機器の電子化に伴い、大型・高耐圧・高信頼の部品需要が増加する見込みです。当社グループではそれらの市場に対して、コンデンサ、インダクタ、複合デバイスなどの競争優位性の高いスーパーハイエンド商品と高信頼性商品の販売拡大に努めています。もう一方の成長軸であるソリューションビジネスでは、当社グループが有する積層・光学・複合・表面処理・無線・電源といったコア技術を融合した新事業展開を進めています。さらに、収益性の向上や将来の部品需要の増加に応える体制を構築するため、ものづくり力の強化も進めています。生産能力の増強に加え、要素技術の高度化と生産工法の変革を進めることで、生産効率の向上を加速していきます。
当連結会計年度は、期中平均為替レートが前年同期と比べて円高になった影響などにより、連結売上高は2,307億16百万円(前年同期比4.0%減)、営業利益は123億85百万円(前年同期比47.0%減)、経常利益は112億円(前年同期比49.7%減)となりました。また、特別損失として、海外子会社の構造改革に伴う事業構造改善費用21億93百万円などを計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は54億28百万円(前年同期比63.2%減)となりました。
当連結会計年度における期中平均の為替レートは1米ドル108.43円と前年同期の平均為替レートである1米ドル120.75円と比べ12.32円の円高となりました。
製品別の売上高は次のとおりであります。
[コンデンサ]
積層セラミックコンデンサなどが含まれます。
当連結会計年度は、自動車・産業機器向けの売上が前年同期比で増加したものの、民生機器向け、情報機器向け、通信機器向けの売上が前年同期比で減少したことにより、売上高は1,176億66百万円(前年同期比4.9%減)となりました。
[フェライト及び応用製品]
メタル系パワーインダクタ「MCOILTM(エムコイル)」、巻線インダクタ、積層チップインダクタなどの各種インダクタ商品が含まれます。
当連結会計年度は、自動車・産業機器向けの売上が前年同期比で増加したものの、民生機器向け、情報機器向け、通信機器向けの売上が前年同期比で減少したことにより、売上高は412億73百万円(前年同期比11.2%減)となりました。
[複合デバイス]
モバイル通信用デバイス(FBAR/SAW)、電源モジュール、高周波モジュール、部品内蔵配線板「EOMINTM(イオミン)」、関係会社における実装事業などが含まれます。
当連結会計年度は、モバイル通信用デバイス(FBAR/SAW)、高周波モジュール、部品内蔵配線板「EOMINTM(イオミン)」の売上が前年同期比で増加したことにより、売上高は655億80百万円(前年同期比13.7%増)となりました。
[その他]
エネルギーデバイスなどが含まれます。
当連結会計年度の売上高は、記録製品から事業撤退したことによって大きく減少し、61億96百万円(前年同期比50.6%減)となりました。
なお、「第2 事業の状況」における各事項に記載の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)

前連結会計年度当連結会計年度増減
営業活動によるキャッシュ・フロー38,27829,692△8,586
投資活動によるキャッシュ・フロー△35,374△28,8066,568
財務活動によるキャッシュ・フロー△2,050△4,342△2,292
現金及び現金同等物に係る換算差額△2,385△3921,992
現金及び現金同等物の増減額△1,532△3,849△2,317
現金及び現金同等物の期首残高41,47639,944△1,532
現金及び現金同等物の期末残高39,94436,094△3,849

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは296億92百万円の収入(前年同期比22.4%減)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益75億7百万円、減価償却費249億8百万円、売上債権の増加額35億円、仕入債務の増加額35億95百万円、法人税等の支払額40億3百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは288億6百万円の支出(前年同期比18.6%減)となりました。主な要因は、固定資産の取得による支出315億53百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは43億42百万円の支出(前年同期比111.8%増)となりました。主な要因は、短期借入金の純増加額46億8百万円、長期借入金の返済による支出62億16百万円、配当金の支払額23億51百万円であります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に対して38億49百万円減少し、360億94百万円となりました。