有価証券報告書-第83期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/25 11:12
【資料】
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【項目】
150項目

有報資料

当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは、全社員が共有する理念・行動体系である「Futaba Way」の下、Futaba哲学の「本質之直視」に基づき、事業戦略の策定から業務執行全般・モノづくりの現場に至るまで、常に本質を見失うことなく事業を推進しています。これにより、「なくてはならない器材・サービスを創出し世界の発展に貢献する」ことを企業理念として掲げています。
この理念を実現するために、AIやIoTなどの技術を取り込んだ「モノづくりの進化」や、Futabaテクノロジーを進化・融合させた「新製品開発」に注力しています。加えて、「モノづくりを基軸としたソリューション」による事業領域の拡大や、「市場ニーズ」を迅速に商品企画や製造に反映させる取り組みも推進しています。また、「選択と集中」により成長市場での差別化と効率化を図り、持続的な利益創出と継続的な企業価値向上に努めています。さらに、コンプライアンスの徹底を図り、公正で透明性の高い経営を実践するとともに、持続可能な社会の実現を目指し、事業活動に取り組んでいます。
(2)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、雇用情勢・所得環境の改善を背景に緩やかな回復傾向が続いてきた一方で、国際情勢の不安定化に伴う地政学的リスクの継続、エネルギー・原材料価格の高止まり、中国経済の先行き懸念等、不透明な状況も継続していました。2025年度においては、これら従来からの不透明要因に加え、韓国市場の需要低迷や日本国内の自動車関連市況の回復遅れ等が重なり、当社グループを取り巻く経営環境は一層厳しさを増す状況となりました。
今後についても、各国間の貿易や投資の縮小、不安定な国際情勢、エネルギー・原材料価格・運送費などの上昇、さらには、中東情勢の緊張によるエネルギー供給の影響も懸念されており、厳しい経営環境が継続するものと見込まれます。
当社を取り巻く市場環境は、依然として不透明であるものの、コネクテッド化や自動化等の高付加価値化が進展しています。また、サービス、エネルギー、デジタル、インフラ、FA、防衛用途等の領域において、ソフトウエアやシステム化を活用した多様なモビリティ製品や耐環境製品の需要が拡大しています。加えて、検査・監視、生産合理化支援等の中長期的なニーズについても継続するものと見込んでいます。このように、厳しい経営環境の中にあっても、当社が注力する事業分野では引き続き成長の機会が期待されます。
当社グループでは、電子機器事業および生産器材事業において、センサーや無線技術を活用した融合商品やIoT機器、サーボ関連機器、UAV関連機器、成形・生産合理化機器等への需要拡大を見据え、タイムリーな市場投入を図り、持続的な利益創出と成長軌道への変革を進めていきます。
(3)中期経営計画と目標とする経営指標および優先的に対処すべき課題
当社グループは、企業ビジョン「Futabaテクノロジーを進化させ、世界で躍進するリーディングカンパニーを目指します」の実現に向けて、中期的な戦略および方針を示す3カ年の中期経営計画を策定しています。
「2024-2026年度 中期経営計画」に基づき、事業体制の再編・強化および経営基盤の強化に取り組み、持続的な利益創出と成長軌道への変革を進めています。
中期経営計画の2年目である2025年度では、4つの基本方針に基づき各施策に取り組みました。
① 構造改革の完遂
電子機器事業では、事業環境変化への対応および収益性改善を目的として、米国および台湾子会社において、工場の集約と一部売却を実施しました。また、韓国の販売拠点については解散を決定し、固定費削減および事業運営体制の見直しを図りました。生産器材事業では、事業採算性および将来の成長可能性を総合的に勘案し、中国子会社の解散ならびに韓国子会社における事業停止を実施しました。これらの施策により、海外拠点の整理・集約を進め、事業基盤の効率化と経営資源の重点配分に取り組みました。
また、将来の成長に向けた新たな価値創出を目的として、従業員の自発的な発想を起点としたイノベーション創出に向けた取り組みを開始しました。本取り組みでは、新事業創出に加え、業務改善・改革に関する幅広いアイデアを収集・検討する仕組みを導入し、一部部門において先行的に運用を開始しています。今後は、取り組みの有効性や運用状況を検証しながら、段階的に対象範囲を拡大し、全社的なイノベーション風土の醸成につなげていきます。
② ソリューション事業領域への展開
イ.電子機器事業
システムソリューション事業は、顧客提供価値を「無線・IoT・システム技術を用いて、お客様の時間を創出」と定義し、産業用ラジコン機器は、成長が著しい建設機械および農業機械市場に向けて、遠隔操作に対応し、作業環境改善に貢献する無線リモコンを提案しています。
2025年度は、新規産業用無線リモコンの開発・拡販を推進し、量産出荷を開始しました。2026年度には、産業用無線製品のラインアップ拡充と提案力の強化を図るとともに、複合モジュール分野においては、ディスプレイ製品に無線・IoT技術を融合したソリューション製品の開発を進めていきます。
ロボティクスソリューション事業は、顧客提供価値を「無線・制御技術を基盤にホビーからビジネスまでの幅広いシーンに対応した製品とサービスの提供」と定義し、ロボティクス製品は、ドローン分野では点検・防災・防衛用途に、産業用サーボ分野ではUAV・FA市場に、各種製品・サービスを展開しています。
2025年度は、ドローン分野においてPoCの継続に加え、近隣自治体への防災用途での機体納入を行いました。2026年度は、当社への委託範囲拡大や既存案件の水平展開を進めることで売上拡大を図るとともに、産業用サーボについては標準製品の拡充を通じて、FA市場での販売拡大に取り組んでいきます。
電子機器事業全体としては、無線・制御・IoTといったコア技術を軸に、単体製品の提供にとどまらないソリューション提案を強化し、成長分野における事業基盤の確立を目指していきます。
ロ.生産器材事業
生産器材事業は、顧客提供価値を「金型用器材加工を基礎としたソリューション」と定義し、成形・生産合理化機器は、射出成形機市場向けに成形に関わる工程を合理化し生産性を向上する、金型内計測システムやホットランナシステム等の製品を提供しています。
2025年度は、当社ECサイト「フタバオーダーサイト」において、図面付き加工部品の見積・発注が可能な新サービス「フタバオーダーサイトPlus」の提供を開始しました。また、成形・生産合理化分野では、AIを活用した射出成形向けの監視・解析システムの新商品の開発および発表を行いました。本システムは、成形機や金型内から取得されるデータをAIで解析し、成形状態の可視化や異常兆候の把握を支援することで、熟練作業者の知見に依存しがちな成形条件管理の高度化を狙いとしています。2026年度は、ECサイトへの機能追加を継続するとともに、成形・生産合理化分野では、射出成形AIシステムの新商品を発売し、また海外サポート体制の強化を通じて海外市場への展開を推進していきます。
生産器材事業では、製品提供に加え、データ活用や業務プロセス改善を含めたソリューション提案を通じて、お客様の調達から生産までの広範囲で合理化と付加価値向上に貢献していきます。
③ コーポレート機能の強靭化
2025年度は、人的資本への投資として各種施策を推進しました。具体的には、若手・中堅・管理職・経営層といった階層別研修を軸に、営業・技術など部門特性を踏まえた育成施策を展開するとともに、AIや語学などのスキル強化機会を設け、幅広い従業員層を対象とした人財育成に取り組みました。また、国外研修を実施するなど、グローバル人財の育成に向けた取り組みを進めました。
今後は、DXを活用した戦略的人財育成の基盤整備として、従業員データの収集・活用を進め、ジョブローテーションや適材適所配置につなげる取り組みを推進します。これらの施策を通じて、事業の方向性を踏まえた育成・配置や、人事異動等における意思決定の迅速化・高度化を図っていきます。
DX推進においては、既存システムの老朽化対策や経営数値の早期把握、業務効率化を目的として、全社基幹システム刷新プロジェクトを本格的に推進しました。今後は、Fit-to-Standardを前提としたグローバル統一の業務・システム基盤への移行を進めていきます。
リスクマネジメントにおいては、全社リスク・セキュリティ教育を継続し、当社グループ全体の競争力と持続可能性を高める基盤を構築していきます。
④ ステークホルダーとの信頼関係構築
2025年度は、SDGs活動について計画通りの活動を実施しました。また、収益体質構築に向けて、在庫削減と生産拠点の事業停止を実施しました。企業価値向上を図るため、機関投資家との対話を推進しました。
政策保有株式については、2026年6月5日開催の取締役会において、2030 年3月末までに連結純資産に占める割合を10%未満に縮減する方針を決議するとともに、2029年9月末までに一部銘柄を売却することを決議しました。
これらの活動を通じて、ステークホルダーとの信頼関係を深め、持続的な成長を支える体制を強化していきます。
これらの施策については、構造改革や事業基盤の見直しを中心に着実に推進してきました。一方で、市場環境の変化や顧客ニーズへの対応に加え、今後予定している全社システム刷新に伴う費用増加などの影響により、当初想定していた成長軌道への転換にはなお課題があるものと認識しています。
このような状況を踏まえ、当社グループでは中期経営計画に掲げる基本方針を維持しつつ、事業環境の変化や直近の実行状況を反映して経営資源配分および数値目標の見直しを実施しました。その結果、中期経営計画の最終年度である2026年度の計画値は、売上高450億円、営業損失13億円へと修正しています。今後は、引き続き構造改革の着実な推進とともに、収益性の改善を最優先課題として事業ごとの重点施策の明確化および実行力の向上に努めます。これにより、企業ビジョンである「私たちFutabaグループはなくてはならない器材・サービスを創出し世界の発展に貢献します」の実現を目指していきます。
今後とも需要変動や部材高騰、為替レート変動、地政学的リスク等、外部環境の不確実性が高まるなか、これらの影響を注視しつつ、リスクや不測の事態を想定した柔軟な体制構築や多様な働き方の推進、迅速かつ的確な研究・製品開発と生産体制の構築に取り組んでいきます。

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