有価証券報告書-第94期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 9:27
【資料】
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【項目】
107項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「情報・通信技術を通じて人々の生活の安全・安心・便利と地球環境の未来に貢献する」という方針の下、社会インフラ向けの情報通信機器及び関連サービスを提供する企業グループとして、社会の安定・発展に貢献し、企業価値の向上を目指すことで、持続的成長を遂げてまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、大井電気㈱及びオオイテクノ㈱が主に情報通信機器製造販売事業を、日本フィールド・エンジニアリング㈱及び日本テクニカル・サービス㈱が主にネットワーク工事保守事業を営んでおります。各社の自立経営を基本としつつ、グループ間でのシナジーを発揮することで、グループ全体での事業規模・利益拡大を図ってまいります。
各セグメントの経営戦略は以下のとおりです。
(情報通信機器製造販売)
情報通信機器業界は、事業環境の変化が激しく、特に成長分野においては競争が激化する傾向にありますが、将来を見据えた研究開発・人材育成を着実に推進するとともに、コスト競争力の強化に取り組むことで、中長期的な事業規模の拡大・利益成長を目指してまいります。
社会インフラ(電力、鉄道、官公庁、通信キャリアなど)向けの情報通信機器については、基盤事業におけるシェアの拡大を図るとともに、スマートグリッド・スマートメーター関連事業など昨今のエネルギーインフラの多様化・効率化ニーズに対応した事業やIoT、防災、エネルギーマネジメントシステム関連事業など社会的なニーズの高い新規事業に積極的に取り組んでまいります。
(ネットワーク工事保守)
ネットワーク工事保守業界においては、スマートグリッド関連や防災関連など事業機会自体は拡大の方向にありますが、一方で価格競争は近年益々激化する傾向にあり、価格対応力の強化が大きな課題となっております。
こうした厳しい環境下でありますが、長年培ってきた、保守・工事におけるノウハウ・技術力を生かし、また価格対応力を強化することで、着実に事業規模の拡大・利益成長を目指して取り組んでまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、より一層のお客様への貢献を通じて中長期的な成長を目指し、平成32年度を最終年度とする3年間の中期計画を下表のとおりとし、達成に向け努めてまいります。
情報通信機器製造販売セグメントにつきましては、主要な開発投資として①高速大容量化ニーズの高まりに対応した情報伝送機器の開発、②増大するIoT需要に適した通信機器(LPWA他)の開発、③市場ニーズに合わせた特長ある製品の開発、④スマートメータ・スマートグリッド関連機器の開発等により市場シェアの拡大と新規納入先の開拓に取り組んでまいります。また、市場の要求コストに対応した原価低減施策の推進等により市場競争力を強化いたします。これらの諸施策により、中長期的な規模の拡大と利益成長を目指してまいります。
ネットワーク工事保守セグメントにつきましては、従来より注力してまいりました情報通信関連工事や通信線路工事におけるノウハウ・技術力を生かし、①基地局建設工事への参入、②新事業分野としての市町村防災関連工事への参入等の事業拡大や、昨年来取り組んでおります構造改革による市場競争力の強化等により、中長期的な規模の拡大と利益成長を目指してまいります。
単位:百万円
平成30年度平成31年度平成32年度
連結売上高24,00025,50027,000
うち情報通信機器製造販売14,00015,00015,500
うちネットワーク工事保守12,00012,50013,500
連結相殺等△2,000△2,000△2,000
連結営業利益350700850
うち情報通信機器製造販売250500600
うちネットワーク工事保守100200250

なお、当社グループは、事業環境の変化に合わせ、毎年3カ年の計画をたてるローリング方式により、中期計画の立案を行っております。
(4) 経営環境
当社グループの属する情報通信機器業界は、産業の空洞化に伴う国内工業生産の減少などにより、投資は縮小傾向にあるものの、東日本大震災等の経験を経て、通信インフラの耐災害性強化、エネルギー制約の克服やCО2削減にも繋がるエネルギー効率化へ向けた貢献が期待されております。また、高度な通信インフラの普及とそのネットワーク接続端末の多様化・高機能化が進み、これらの利活用面での発展による安全・安心・便利な社会を支えるための新規通信需要創出の流れは、今後、ますます進展し、更に通信機器分野の枠を超えた新しいビジネスモデルも出現してくるものと予想されます。
(5) 事実上及び財務上の対処すべき課題
① 経営体質の強化
当社グループは、電力会社・官公庁等の事業の関係から下半期に売上計上が集中し、また、顧客の調達方針の変化等が業績に与える影響も大きいことから、生産性向上活動の推進や事業性を吟味した設備投資など、収益規模変動に柔軟に対応できる経営体質を確保してまいります。
② 企業価値向上に向けた取組み
コア技術や将来方向を見据えた人的資源の配置と人材育成に努めるとともに、コンプライアンス、環境等の社会的責任課題に対して、全体最適の観点から企業価値向上に取り組んでまいります。
(6) 株式会社の支配に関する基本方針について
① 株式会社の支配に関する基本方針についての内容の概要
当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。また、最終的には株式の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきだと考えています。
ただし、株式の大規模買付提案の中には、例えばステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なう虞のあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。
そのような提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えています。
② 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、平成28年6月28日開催の第92期定時株主総会において、株主の皆様に承認いただき「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下、「本プラン」)を導入いたしました。
本プランは、以下のとおり、当社株式等の大規模買付行為を行おうとする者(以下、「買付者等」)が遵守すべきルールを策定するとともに、一定の場合には当社が対抗措置をとることによって大規模買付行為を行おうとする者に損害が発生する可能性があることを明らかにし、これらを適切に開示することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない買付者等に対して、警告を行うものです。
また、本プランでは、対抗措置の発動等にあたって、当社取締役会の恣意的判断を排除し、取締役会の判断及び対応の客観性、合理性を確保するための機関として独立委員会を設置し、発動の是非について当社取締役会への勧告を行う仕組みとしています。
本プランで定める買付ルール(以下、「本ルール」)は以下のとおりであります。
イ.当社取締役会は、買付者等に対して、大規模買付け等の実行に先立ち、当該買付者等が大規模買付け等に際して本プランに定める手続きを遵守する旨の誓約文言等を記載した書面の提出を求めます。
ロ.当社取締役会は、買付者等に対して、大規模買付け等に対する株主及び投資家の皆様のご判断並びに当社取締役会の評価・検討等のために必要かつ十分な情報の提供を求めます。
ハ.当社取締役会は、情報提供完了通知を行った後、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案のための期間を設定し、速やかに開示いたします。
ニ.独立委員会は、取締役会評価期間内に、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案と並行して、当社取締役会に対して対抗措置の発動の是非に関する勧告を行うものとします。
ホ.当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとし、当該勧告を踏まえて当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上という観点から、速やかに新株予約権発行等の対抗措置の発動又は不発動の決議を行うものとします。
③ 上記取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社取締役会は、本ルールの設計に当たり、以下の原則を充足することを確認することにより、本ルールが前記基本方針に従い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる目的に資するものであると考えております。
イ.企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則
本プランは、当社株式等に対する大規模買付け等がなされる際に、当該大規模買付け等に応じるべきか否かを株主の皆様がご判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や期間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
ロ.事前開示・株主意思の原則
本プランは、平成28年6月28日開催の第92期定時株主総会において株主の承認を得たうえで導入しております。今後の当社株主総会において本プランの変更又は廃止の決議がなされた場合には、本プランも当該決議に従い変更又は廃止されることになります。従いまして、本プランの導入及び廃止には、株主の皆様のご意思が十分反映される仕組みとなっています。
ハ.必要性・相当性確保の原則
a. 独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示の徹底
当社は、本プランに基づく大規模買付け等への対抗措置の発動等に関する取締役会の恣意的判断を排し、取締役会の判断及び対応の客観性及び合理性を確保することを目的として独立委員会を設置し、当社取締役会は、対抗措置の発動又は不発動の決議に際して独立委員会の勧告を最大限尊重いたします。
また、当社は、独立委員会の判断の概要について株主及び投資家の皆様に情報開示を行うこととし、当社の企業価値・株主共同の利益に資するよう本プランの透明な運営が行われる仕組みを確保しています。
b. 合理的な客観的発動要件の設定
当社は、本プランに基づく大規模買付け等への対抗措置の発動等に関する取締役会の恣意的判断を排し、取締役会の判断及び対応の客観性及び合理性を確保することを目的として独立委員会を設置し、当社取締役会は、対抗措置の発動又は不発動の決議に際して独立委員会の勧告を最大限尊重いたします。
また、本プランは、合理的かつ客観的な発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しています。
c. デッドハンド型若しくはスローハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により、いつでも廃止することができるものとされております。従って、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させても、なお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。
また、当社の取締役の任期は1年であり、期差任期制を採用していないため、本プランはスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。