有価証券報告書-第142期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
[企業理念]
「YOKOGAWAは 計測と制御と情報をテーマに より豊かな人間社会の実現に貢献する
YOKOGAWA人は良き市民であり勇気をもった開拓者であれ」
を企業理念として掲げ、この実現を目指します。
当社グループは、グループ全体に適用される企業理念とYOKOGAWAグループ企業行動規範を定め、すべてのステークホルダーとの適切な関係を持ち、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めます。また、「企業は社会の公器である」との考えのもと、健全で持続的な成長により、株主、お客様、取引先、社会、社員等すべてのステークホルダーからの信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命と位置づけます。
当社グループは、企業価値の最大化を実現するためには、コンプライアンスの徹底、リスクの適切な管理、株主をはじめとするステークホルダーとの建設的な対話のための情報開示等が重要と考えます。
当社グループは、こうした考え方からコーポレートガバナンスの継続的な充実に取り組む基本方針として「YOKOGAWAコーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しています。
(2) 中長期的な経営戦略
当社グループは、平成27年度(2015年度)に10年先のありたい姿とその実現に向けた考え方を長期経営構想として策定し、YOKOGAWAが目指す方向性を表現する「ビジョンステートメント」、その実現を支えるYOKOGAWAの強みを示す「コアコンピタンス」、「注力する事業領域」を定めました。
その後、同年度9月に「持続可能な開発目標(SDGs)」が国連で採択され、また同年度12月には気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でパリ協定が採択されるなど、社会課題解決に向けたニーズの高まりという大きな変化がありました。これらの変化を受け、未来世代のために目指す持続可能な低炭素・循環型社会の姿をサステナビリティ目標「Three goals」として定め、そこに向けてYOKOGAWAが自らを変革していく方向を示すとともに、それらの実現にもつながる長期経営構想で目指す方向性を、今からおよそ10年以上先の「ありたい姿」として見直しました。
[サステナビリティ目標:Three goals]
「YOKOGAWAは、未来世代のより豊かな人間社会のために、2050年に向けて、Net-zero emissions、Circular economy、Well-being の実現を目指します。」
[長期経営構想]
<ビジョンステートメント>「YOKOGAWAは“Process Co-Innovation”(*)を通じて、お客様と共に明日をひらく新しい価値を創造します。」
このビジョンのもと、お客様の経済価値最大化と社会課題解決をともに実現し、お客様の事業を通じて社会・環境価値を創出していくことを目指します。
<コアコンピタンス>お客様と課題を発掘し価値を共創する力など:「強化すべき3つの力」
高い信頼性を作り込み現場に適応させていく能力など:「基礎となる3つの力」
<注力する事業領域>「資源・エネルギー・マテリアル関連産業」は継続し、「人々の健康や暮らしの豊かさを支える産業」について、新中期経営計画「Transformation(トランスフォーメーション) 2020」では医薬品・食品産業向けの新事業として注力します。また、長期的な視点で、注力する事業領域における「バイオエコノミー」への取り組みを追加します。
さらに、当社グループは、「Co-innovating tomorrow」をコーポレート・ブランド・スローガンとして掲げ、ビジネスや社会における情報やモノの流れを最適化、効率化し、お客様と社会全体の課題解決に取り組んでいきます。
[中期経営計画]
当社グループは、サステナビリティ目標及び長期経営構想を踏まえ、収益性の向上とさらなる変革に向けて、平成30年度(2018年度)を開始年度とする新たな中期経営計画「Transformation(トランスフォーメーション) 2020(略称:TF2020)」を策定しました。
① TF2020の基本戦略
TF2020では、当社グループが目指す事業のあるべき姿を「計測と制御と情報の技術をコアに、幅広い産業のビジネスプロセスに対して、デジタル技術革新とお客様との共創による生産性向上を通じて持続可能社会を実現する事業」とし、その確立に向けて次の基本戦略に示す3つの変革に取り組みます。
<基本戦略>a. 既存事業の変革
お客様との関係をさらに深化させ、生産性革命を共に実現します。
・ OPEX(*)ビジネスの拡大
既設設備の生産性向上に向けた課題解決と運用保守を中心とするOPEXビジネスの拡大と収益性の向上に注力します。Transformation 2017で取り組みを進めてきた課題解決型ビジネスの確立とグローバル展開を目指します。
(*)OPEX:Operating Expenditure の略語
・ 注力業種のさらなる強化
日本で高いシェアを獲得している化学業種の海外展開に引き続き注力するとともに、今後の成長が期待でき、また社会的意義の大きい再生可能エネルギー関連の市場開拓に取り組みます。
・ 計測事業の変革
競争力のある製品に集中することで一定以上の収益を確保するとともに、新たな成長市場へ挑戦します。
・ 航機その他事業の変革
保有技術とお客様基盤を生かし、成長事業への変革に挑戦します。
b. 新事業とビジネスモデル変革への挑戦
イノベーションを通じ、サステナブルな価値を創造します。
・ 医薬品・食品産業向け新事業の確立
Transformation 2017では長期経営構想の中で今後注力すべき事業領域の一つとして「人々の健康や暮らしの豊かさを支える産業」を設定しました。TF2020では今後も市場成長が期待でき、当社の強みが生かせる医薬品・食品産業の研究・開発・生産・物流などのバリューチェーン全体の生産性向上を実現するサービスビジネスの確立に挑戦します。
・ ビジネスモデル変革
製品やサービスを売り切る従来型のビジネスモデルから、お客様の初期導入コスト負担を軽減する成果報酬型ビジネスやサービス提供型のリカーリングビジネスへの変革を進めます。IIoTを活用した製品・ソリューションの付加価値向上などによりお客様の生産性革命を支援し、成長機会の創出につなげます。
c. グループ全体最適による生産性向上
グループ全体最適の視点で、経営効率を飛躍的に高めます。
・ 継続的なコスト競争力の強化
グループ横断のコストダウン活動が継続的に実行される仕組みを構築し、RPA(Robotic Process Automation)などIT技術も活用し、コスト競争力を強化します。
・ 人財力の強化
社員一人ひとりが、世の中の変化や最新の技術動向を理解し、より高い付加価値を生む業務を担える人財へと自らを変革するために、新たに求められる能力とスキルの再開発・訓練プログラムを企業内大学として整備・提供し、社員が自ら学び能力を高め続ける会社へと変革していきます。
<デジタルトランスフォーメーション>3つの変革の基盤として、当社グループ及びお客様の生産性向上を実現するため、デジタル技術を最大限に活用したアーキテクチャーの構築に積極的に取り組みます。AI、IIoT、クラウドプラットフォームなどを活用した製品・ソリューションの付加価値向上などによりお客様の生産性革命を支援し、成長機会の創出につなげるとともに、RPA、デジタルマーケティング、モバイルワークスタイルの活用とそれらを支えるネットワークやセキュリティの強化を通じて当社グループの成長基盤を確立します。また、これらを実現するための投資も積極的に行います。
② TF2020の資本政策及び財務戦略
TF2020では、持続的な企業価値の向上を実現するための最適資本構成(*)を維持することを前提に、創出したキャッシュを中長期的な企業価値の最大化に向けた資本性成長投資に優先的に配分しながら、積極的な配当還元の向上も図ります。
TF2020の事業戦略・成長投資と配当還元により、株主資本コストを上回るTSR(Total Shareholder Return:株主総利回り)の持続的な実現を通じた株主価値の最大化を目指します。
(*)最適資本構成:格付Aを維持できる株主資本水準を保持するとともに、次の成長に向けた一定のリスク
投資余力を確保できる水準
a. 資本性成長投資(戦略投資)
最適資本構成維持を前提とした資本性成長投資枠を3年間累計で700億円とします。
主に上記基本戦略a、b及びデジタルトランスフォーメーションに対する戦略的成長投資を強化し、必要に応じてM&Aやアライアンスの可能性を検討しながら、技術、販路、製品・サービス、お客様、人財・ノウハウなどを獲得するための投資を行います。
b. 配当政策(利益処分に関する基本方針)
以下の新たな配当方針に基づき積極的な配当還元の向上も図ります。
「株主の皆様に対する利益還元は経営の最重要施策の一つと認識し、利益成長を通じて安定的・継続的な増配を目指します。具体的には、業績及び中長期的な株主価値の最大化に向けた投資資金の確保、成長投資を支える財務基盤の維持を総合的に勘案しながら、連結配当性向30%を上回る配当水準の確保に努めます。また、一時的な要因で業績が悪化した場合においても、株主資本配当率を踏まえた安定的な配当の維持を図ります。」
(3) 経営環境と目標とする経営指標
当社グループを取り巻く事業環境は、エネルギー資源における石油の位置付けの変化に加え、デジタル技術の革新、自然環境問題や人口動態の変化など社会課題解決に向けたニーズの高まりなどの影響を受けて大きく変化しています。
当社グループはこのような事業環境の変化を、継続的な収益性向上が実現できる新たな変革、成長の機会ととらえています。それを実現するためには、これまで築いてきた強固で多様なお客様基盤と課題解決能力を活かしながら、豊富なインストールベースをもつ日本を含むアジアを中心に、成長機会を創出し、成長基盤を確立することが重要であると考え、TF2020で次なる変革への挑戦を始めます。
TF2020で目指す経営指標は、中長期的視点での企業価値及び株主価値の最大化を基本方針とし、1株当たり当期純利益(EPS)成長、オーガニックフリー・キャッシュ・フロー(*)の創出、株主資本利益率(ROE)の向上を目指すべき指標とします。
具体的には、EPS成長7~9%/年以上、オーガニックフリー・キャッシュ・フロー850億円以上創出(3年間累計)、ROE10%以上の達成を目標とし、市場の期待を上回る利益成長、キャッシュ創出、資本効率を実現していきます。(成長率は平成29年度(2017年度)の一時要因(のれん等減損損失、貸倒引当金計上、資産売却等)を除いた実質ベース)
(*)オーガニックフリー・キャッシュ・フロー = フリー・キャッシュ・フロー + 戦略投資(700億円:3年間累計)
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは、平成27年度(2015年度)に中期経営計画「Transformation 2017(略称:TF2017)」を策定し、中長期の成長基盤構築に向けて、「お客様フォーカス」「新しい価値づくり」「高効率グローバル企業」の3つの変革を掲げ、グローバル市場でこれまで構築してきた強固なお客様基盤を生かしたビジネスの拡大と成長を目指すとともに、最重要課題である収益性の向上に取り組みました。得意とする業種で価値提供の幅を広げ、また財務面においてはバランスシートの改善が進んだものの、物量に左右されない抜本的な収益性の向上には課題を残す結果となりました。
激変する事業環境下で中長期的に企業価値を向上していくためには、TF2017で目指した変革を進化させるだけでなく、抜本的な事業構造の変革が必要です。TF2020では、デジタル技術を最大限に活用することにより、既存事業の成長と収益性向上の実現、新事業創出による新たな成長分野の確立、またそれらを支える事業基盤での飛躍的な生産性向上に取り組み、さらなる企業価値の向上を目指します。
(5) 会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、なにより当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させていくことが可能な者である必要があると考えています。
当社グループは、企業理念を「YOKOGAWAは 計測と制御と情報をテーマに より豊かな人間社会の実現に貢献する
YOKOGAWA人は良き市民であり 勇気をもった開拓者であれ」と定めています。この理念のもとに、企業活動を健全に継続し、企業価値を最大化する「健全で利益ある経営」をするとともに、お客様の視点で、お客様の付加価値向上につながるソリューションサービスを提供することで、地球環境保全、持続可能な社会の実現に貢献していくことが、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上につながるものと考えています。
また、当社は、公開会社として当社株式の自由な売買が認められている以上、特定の者の大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えており、当社株式に対する大規模な買付行為があった場合においても、これが当社の企業価値の向上及び株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。
しかしながら、当社株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、株主や会社に対して、買付に係る提案内容や代替案を検討するための十分な時間や情報を与えないもの、買付目的や買付後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益に対する侵害をもたらすおそれのあるもの、株主に株式等の売却を事実上強要するおそれのあるもの、買付条件が当社の企業価値・株主共同の利益に鑑み不十分又は不適当であるもの等、企業価値・株主共同の利益に資さないものも想定されます。
このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えています。
② 基本方針の実現に資する取組み
当社は、上記の基本方針を実現するため、企業理念のもとに、企業活動を健全に継続し、企業価値を最大化する「健全で利益ある経営」をするとともに、お客様の視点で、お客様の付加価値向上につながるソリューションサービスを提供することで、地球環境保全、持続可能な社会の実現に貢献していくことに加え、以下のとおりコーポレートガバナンスの充実に取り組んでいます。
当社グループでは、健全で持続的な成長を確保し、株主の皆様をはじめとするステークホルダーからの社会的信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命と位置づけており、「健全で利益ある経営」を実現するための重要施策として、コーポレートガバナンスの充実に取り組んでいます。
当社取締役会では、当社グループの事業に精通した取締役と、独立性の高い社外取締役による審議を通して、意思決定の迅速性と透明性を高めています。また、社外監査役を含む監査役による監査を通して、取締役の職務執行の適法性、効率性、合理性、意思決定プロセスの妥当性等を厳正に監視・検証し、経営に対する監査機能の充実を図っています。
当社グループでは、コンプライアンスの基本原則を『YOKOGAWAグループ企業行動規範』として定めており、取締役が率先して企業倫理の遵守と浸透にあたっています。また、財務報告の信頼性の確保及び意思決定の適正性の確保などを含めた『YOKOGAWAグループ内部統制システム』を定めており、当社グループの業務が適正かつ効率的に実施されることを確保するための内部統制システムを整備しています。
内部統制システムの有効性については、内部監査担当部署が年間計画に基づき内部監査を実施し、重要な事項について取締役会及び監査役に報告しています。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための
取組み
当社は、上記の基本方針のもと、平成19年6月27日開催の当社第131回定時株主総会において、「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の導入の件」について承認をいただき、その後、平成21年6月29日開催の当社第133回定時株主総会での継続導入の承認決議を経て、平成23年6月24日開催の当社第135回定時株主総会において、「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の継続導入の件」(以下「本プラン」)の承認をいただきました。
当社は、平成26年6月25日開催の第138回定時株主総会の終結の時をもって有効期間満了を迎える本プランの取扱いについて検討した結果、現在の経営環境を前提とすると、本プランを継続することが必要不可欠なものではないと判断し、平成26年5月13日開催の取締役会において、かかる有効期間満了をもって本プランを継続しないことを決議しました。
もっとも、当社は、本プランの有効期間満了後も引き続き、当社株式に対して大規模な買付行為や買付提案を行おうとする者に対しては、関係する法令に従い、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の開示を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示するとともに、株主の皆様の検討に必要な時間の確保に努めるなど、適切な措置を講じてまいります。
④ 基本方針の実現に資する取組みについての取締役会の判断
当社は、上記基本方針を実現するための取組みとして上記②及び③の取組みを進めることにより、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上につなげられると考えていると同時に、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大規模な買付行為や買付提案を行うことは困難になるものと考えています。また、大規模な買付行為や買付提案を行う者が現れた場合も、その是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報及び時間の確保に努めるなど、適切な措置を講じてまいります。したがって、上記②及び③の取組みは基本方針に沿うものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しています。
(1) 経営の基本方針
[企業理念]
「YOKOGAWAは 計測と制御と情報をテーマに より豊かな人間社会の実現に貢献する
YOKOGAWA人は良き市民であり勇気をもった開拓者であれ」
を企業理念として掲げ、この実現を目指します。
当社グループは、グループ全体に適用される企業理念とYOKOGAWAグループ企業行動規範を定め、すべてのステークホルダーとの適切な関係を持ち、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めます。また、「企業は社会の公器である」との考えのもと、健全で持続的な成長により、株主、お客様、取引先、社会、社員等すべてのステークホルダーからの信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命と位置づけます。
当社グループは、企業価値の最大化を実現するためには、コンプライアンスの徹底、リスクの適切な管理、株主をはじめとするステークホルダーとの建設的な対話のための情報開示等が重要と考えます。
当社グループは、こうした考え方からコーポレートガバナンスの継続的な充実に取り組む基本方針として「YOKOGAWAコーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しています。
| 当社グループのコーポレートガバナンスについての詳細は、当社ウェブサイト https://www.yokogawa.co.jp/cp/ir/governance/index.htm をご参照ください。 |
(2) 中長期的な経営戦略
当社グループは、平成27年度(2015年度)に10年先のありたい姿とその実現に向けた考え方を長期経営構想として策定し、YOKOGAWAが目指す方向性を表現する「ビジョンステートメント」、その実現を支えるYOKOGAWAの強みを示す「コアコンピタンス」、「注力する事業領域」を定めました。
その後、同年度9月に「持続可能な開発目標(SDGs)」が国連で採択され、また同年度12月には気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でパリ協定が採択されるなど、社会課題解決に向けたニーズの高まりという大きな変化がありました。これらの変化を受け、未来世代のために目指す持続可能な低炭素・循環型社会の姿をサステナビリティ目標「Three goals」として定め、そこに向けてYOKOGAWAが自らを変革していく方向を示すとともに、それらの実現にもつながる長期経営構想で目指す方向性を、今からおよそ10年以上先の「ありたい姿」として見直しました。
[サステナビリティ目標:Three goals]
「YOKOGAWAは、未来世代のより豊かな人間社会のために、2050年に向けて、Net-zero emissions、Circular economy、Well-being の実現を目指します。」
[長期経営構想]
<ビジョンステートメント>「YOKOGAWAは“Process Co-Innovation”(*)を通じて、お客様と共に明日をひらく新しい価値を創造します。」
このビジョンのもと、お客様の経済価値最大化と社会課題解決をともに実現し、お客様の事業を通じて社会・環境価値を創出していくことを目指します。
<コアコンピタンス>お客様と課題を発掘し価値を共創する力など:「強化すべき3つの力」
高い信頼性を作り込み現場に適応させていく能力など:「基礎となる3つの力」
<注力する事業領域>「資源・エネルギー・マテリアル関連産業」は継続し、「人々の健康や暮らしの豊かさを支える産業」について、新中期経営計画「Transformation(トランスフォーメーション) 2020」では医薬品・食品産業向けの新事業として注力します。また、長期的な視点で、注力する事業領域における「バイオエコノミー」への取り組みを追加します。
| (*) Process Co-Innovation YOKOGAWAがこれまで培ってきた計測・制御・情報の技術を結集したオートメーションの将来像です。 これはプロセスの最適化を生産工程にとどめることなく、企業内のバリューチェーンや企業間のサプライチェーンなど、あらゆる情報やモノの流れへと拡大し、お客様と共に新しい価値を創造するYOKOGAWAのソリューション全般を表しています。 |
さらに、当社グループは、「Co-innovating tomorrow」をコーポレート・ブランド・スローガンとして掲げ、ビジネスや社会における情報やモノの流れを最適化、効率化し、お客様と社会全体の課題解決に取り組んでいきます。
| 当社グループのサステナビリティについての詳細は、当社ウェブサイト、 https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/sustainability/ をご参照ください。 |
[中期経営計画]
当社グループは、サステナビリティ目標及び長期経営構想を踏まえ、収益性の向上とさらなる変革に向けて、平成30年度(2018年度)を開始年度とする新たな中期経営計画「Transformation(トランスフォーメーション) 2020(略称:TF2020)」を策定しました。
① TF2020の基本戦略
TF2020では、当社グループが目指す事業のあるべき姿を「計測と制御と情報の技術をコアに、幅広い産業のビジネスプロセスに対して、デジタル技術革新とお客様との共創による生産性向上を通じて持続可能社会を実現する事業」とし、その確立に向けて次の基本戦略に示す3つの変革に取り組みます。
<基本戦略>a. 既存事業の変革
お客様との関係をさらに深化させ、生産性革命を共に実現します。
・ OPEX(*)ビジネスの拡大
既設設備の生産性向上に向けた課題解決と運用保守を中心とするOPEXビジネスの拡大と収益性の向上に注力します。Transformation 2017で取り組みを進めてきた課題解決型ビジネスの確立とグローバル展開を目指します。
(*)OPEX:Operating Expenditure の略語
・ 注力業種のさらなる強化
日本で高いシェアを獲得している化学業種の海外展開に引き続き注力するとともに、今後の成長が期待でき、また社会的意義の大きい再生可能エネルギー関連の市場開拓に取り組みます。
・ 計測事業の変革
競争力のある製品に集中することで一定以上の収益を確保するとともに、新たな成長市場へ挑戦します。
・ 航機その他事業の変革
保有技術とお客様基盤を生かし、成長事業への変革に挑戦します。
b. 新事業とビジネスモデル変革への挑戦
イノベーションを通じ、サステナブルな価値を創造します。
・ 医薬品・食品産業向け新事業の確立
Transformation 2017では長期経営構想の中で今後注力すべき事業領域の一つとして「人々の健康や暮らしの豊かさを支える産業」を設定しました。TF2020では今後も市場成長が期待でき、当社の強みが生かせる医薬品・食品産業の研究・開発・生産・物流などのバリューチェーン全体の生産性向上を実現するサービスビジネスの確立に挑戦します。
・ ビジネスモデル変革
製品やサービスを売り切る従来型のビジネスモデルから、お客様の初期導入コスト負担を軽減する成果報酬型ビジネスやサービス提供型のリカーリングビジネスへの変革を進めます。IIoTを活用した製品・ソリューションの付加価値向上などによりお客様の生産性革命を支援し、成長機会の創出につなげます。
c. グループ全体最適による生産性向上
グループ全体最適の視点で、経営効率を飛躍的に高めます。
・ 継続的なコスト競争力の強化
グループ横断のコストダウン活動が継続的に実行される仕組みを構築し、RPA(Robotic Process Automation)などIT技術も活用し、コスト競争力を強化します。
・ 人財力の強化
社員一人ひとりが、世の中の変化や最新の技術動向を理解し、より高い付加価値を生む業務を担える人財へと自らを変革するために、新たに求められる能力とスキルの再開発・訓練プログラムを企業内大学として整備・提供し、社員が自ら学び能力を高め続ける会社へと変革していきます。
<デジタルトランスフォーメーション>3つの変革の基盤として、当社グループ及びお客様の生産性向上を実現するため、デジタル技術を最大限に活用したアーキテクチャーの構築に積極的に取り組みます。AI、IIoT、クラウドプラットフォームなどを活用した製品・ソリューションの付加価値向上などによりお客様の生産性革命を支援し、成長機会の創出につなげるとともに、RPA、デジタルマーケティング、モバイルワークスタイルの活用とそれらを支えるネットワークやセキュリティの強化を通じて当社グループの成長基盤を確立します。また、これらを実現するための投資も積極的に行います。
② TF2020の資本政策及び財務戦略
TF2020では、持続的な企業価値の向上を実現するための最適資本構成(*)を維持することを前提に、創出したキャッシュを中長期的な企業価値の最大化に向けた資本性成長投資に優先的に配分しながら、積極的な配当還元の向上も図ります。
TF2020の事業戦略・成長投資と配当還元により、株主資本コストを上回るTSR(Total Shareholder Return:株主総利回り)の持続的な実現を通じた株主価値の最大化を目指します。
(*)最適資本構成:格付Aを維持できる株主資本水準を保持するとともに、次の成長に向けた一定のリスク
投資余力を確保できる水準
a. 資本性成長投資(戦略投資)
最適資本構成維持を前提とした資本性成長投資枠を3年間累計で700億円とします。
主に上記基本戦略a、b及びデジタルトランスフォーメーションに対する戦略的成長投資を強化し、必要に応じてM&Aやアライアンスの可能性を検討しながら、技術、販路、製品・サービス、お客様、人財・ノウハウなどを獲得するための投資を行います。
b. 配当政策(利益処分に関する基本方針)
以下の新たな配当方針に基づき積極的な配当還元の向上も図ります。
「株主の皆様に対する利益還元は経営の最重要施策の一つと認識し、利益成長を通じて安定的・継続的な増配を目指します。具体的には、業績及び中長期的な株主価値の最大化に向けた投資資金の確保、成長投資を支える財務基盤の維持を総合的に勘案しながら、連結配当性向30%を上回る配当水準の確保に努めます。また、一時的な要因で業績が悪化した場合においても、株主資本配当率を踏まえた安定的な配当の維持を図ります。」
| 中期経営計画「Transformation 2020(略称:TF2020)」についての詳細は、当社ウェブサイト https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/company-overview/corporate-strategy/ を ご参照ください。 |
(3) 経営環境と目標とする経営指標
当社グループを取り巻く事業環境は、エネルギー資源における石油の位置付けの変化に加え、デジタル技術の革新、自然環境問題や人口動態の変化など社会課題解決に向けたニーズの高まりなどの影響を受けて大きく変化しています。
当社グループはこのような事業環境の変化を、継続的な収益性向上が実現できる新たな変革、成長の機会ととらえています。それを実現するためには、これまで築いてきた強固で多様なお客様基盤と課題解決能力を活かしながら、豊富なインストールベースをもつ日本を含むアジアを中心に、成長機会を創出し、成長基盤を確立することが重要であると考え、TF2020で次なる変革への挑戦を始めます。
TF2020で目指す経営指標は、中長期的視点での企業価値及び株主価値の最大化を基本方針とし、1株当たり当期純利益(EPS)成長、オーガニックフリー・キャッシュ・フロー(*)の創出、株主資本利益率(ROE)の向上を目指すべき指標とします。
具体的には、EPS成長7~9%/年以上、オーガニックフリー・キャッシュ・フロー850億円以上創出(3年間累計)、ROE10%以上の達成を目標とし、市場の期待を上回る利益成長、キャッシュ創出、資本効率を実現していきます。(成長率は平成29年度(2017年度)の一時要因(のれん等減損損失、貸倒引当金計上、資産売却等)を除いた実質ベース)
| 受注高・売上高成長 | 3~5%/年 | |
| 1株当たり当期純利益(EPS)成長 | 7~9%/年 | |
| 営 業 利 益 率(ROS) | 10%以上(2020年度) | |
| 株主資本利益率(ROE) | 10%以上(2020年度) | |
| オーガニックフリー・キャッシュ・フロー | 850億円以上(3年間累計) |
(*)オーガニックフリー・キャッシュ・フロー = フリー・キャッシュ・フロー + 戦略投資(700億円:3年間累計)
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは、平成27年度(2015年度)に中期経営計画「Transformation 2017(略称:TF2017)」を策定し、中長期の成長基盤構築に向けて、「お客様フォーカス」「新しい価値づくり」「高効率グローバル企業」の3つの変革を掲げ、グローバル市場でこれまで構築してきた強固なお客様基盤を生かしたビジネスの拡大と成長を目指すとともに、最重要課題である収益性の向上に取り組みました。得意とする業種で価値提供の幅を広げ、また財務面においてはバランスシートの改善が進んだものの、物量に左右されない抜本的な収益性の向上には課題を残す結果となりました。
激変する事業環境下で中長期的に企業価値を向上していくためには、TF2017で目指した変革を進化させるだけでなく、抜本的な事業構造の変革が必要です。TF2020では、デジタル技術を最大限に活用することにより、既存事業の成長と収益性向上の実現、新事業創出による新たな成長分野の確立、またそれらを支える事業基盤での飛躍的な生産性向上に取り組み、さらなる企業価値の向上を目指します。
(5) 会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、なにより当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させていくことが可能な者である必要があると考えています。
当社グループは、企業理念を「YOKOGAWAは 計測と制御と情報をテーマに より豊かな人間社会の実現に貢献する
YOKOGAWA人は良き市民であり 勇気をもった開拓者であれ」と定めています。この理念のもとに、企業活動を健全に継続し、企業価値を最大化する「健全で利益ある経営」をするとともに、お客様の視点で、お客様の付加価値向上につながるソリューションサービスを提供することで、地球環境保全、持続可能な社会の実現に貢献していくことが、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上につながるものと考えています。
また、当社は、公開会社として当社株式の自由な売買が認められている以上、特定の者の大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えており、当社株式に対する大規模な買付行為があった場合においても、これが当社の企業価値の向上及び株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。
しかしながら、当社株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、株主や会社に対して、買付に係る提案内容や代替案を検討するための十分な時間や情報を与えないもの、買付目的や買付後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益に対する侵害をもたらすおそれのあるもの、株主に株式等の売却を事実上強要するおそれのあるもの、買付条件が当社の企業価値・株主共同の利益に鑑み不十分又は不適当であるもの等、企業価値・株主共同の利益に資さないものも想定されます。
このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えています。
② 基本方針の実現に資する取組み
当社は、上記の基本方針を実現するため、企業理念のもとに、企業活動を健全に継続し、企業価値を最大化する「健全で利益ある経営」をするとともに、お客様の視点で、お客様の付加価値向上につながるソリューションサービスを提供することで、地球環境保全、持続可能な社会の実現に貢献していくことに加え、以下のとおりコーポレートガバナンスの充実に取り組んでいます。
当社グループでは、健全で持続的な成長を確保し、株主の皆様をはじめとするステークホルダーからの社会的信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命と位置づけており、「健全で利益ある経営」を実現するための重要施策として、コーポレートガバナンスの充実に取り組んでいます。
当社取締役会では、当社グループの事業に精通した取締役と、独立性の高い社外取締役による審議を通して、意思決定の迅速性と透明性を高めています。また、社外監査役を含む監査役による監査を通して、取締役の職務執行の適法性、効率性、合理性、意思決定プロセスの妥当性等を厳正に監視・検証し、経営に対する監査機能の充実を図っています。
当社グループでは、コンプライアンスの基本原則を『YOKOGAWAグループ企業行動規範』として定めており、取締役が率先して企業倫理の遵守と浸透にあたっています。また、財務報告の信頼性の確保及び意思決定の適正性の確保などを含めた『YOKOGAWAグループ内部統制システム』を定めており、当社グループの業務が適正かつ効率的に実施されることを確保するための内部統制システムを整備しています。
内部統制システムの有効性については、内部監査担当部署が年間計画に基づき内部監査を実施し、重要な事項について取締役会及び監査役に報告しています。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための
取組み
当社は、上記の基本方針のもと、平成19年6月27日開催の当社第131回定時株主総会において、「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の導入の件」について承認をいただき、その後、平成21年6月29日開催の当社第133回定時株主総会での継続導入の承認決議を経て、平成23年6月24日開催の当社第135回定時株主総会において、「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の継続導入の件」(以下「本プラン」)の承認をいただきました。
当社は、平成26年6月25日開催の第138回定時株主総会の終結の時をもって有効期間満了を迎える本プランの取扱いについて検討した結果、現在の経営環境を前提とすると、本プランを継続することが必要不可欠なものではないと判断し、平成26年5月13日開催の取締役会において、かかる有効期間満了をもって本プランを継続しないことを決議しました。
もっとも、当社は、本プランの有効期間満了後も引き続き、当社株式に対して大規模な買付行為や買付提案を行おうとする者に対しては、関係する法令に従い、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の開示を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示するとともに、株主の皆様の検討に必要な時間の確保に努めるなど、適切な措置を講じてまいります。
④ 基本方針の実現に資する取組みについての取締役会の判断
当社は、上記基本方針を実現するための取組みとして上記②及び③の取組みを進めることにより、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上につなげられると考えていると同時に、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大規模な買付行為や買付提案を行うことは困難になるものと考えています。また、大規模な買付行為や買付提案を行う者が現れた場合も、その是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報及び時間の確保に努めるなど、適切な措置を講じてまいります。したがって、上記②及び③の取組みは基本方針に沿うものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しています。