有価証券報告書-第145期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 15:30
【資料】
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【項目】
160項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、2018年度に中期経営計画「Transformation 2020」を策定し、既存事業の成長と収益性向上、新事業創出による新たな成長分野の確立、それらを支える事業基盤の最適化による生産性の向上など、さまざまな変革に取り組んできました。2019年度までは、OPEXビジネスや注力分野を中心に、受注が堅調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴い、エネルギー需要減によるお客様の投資意欲の大幅な減退、移動制限によるプロジェクトの進捗遅延や各種施策の遅れ等が顕在化した結果、成長が鈍化し、生産性向上施策の効果にも遅れが生じました。
これらの劇的に変化した事業環境の中で、長期的視点での企業価値及び株主価値の最大化に向け挑戦してきましたが、「Transformation 2020」で目指した経営指標については、この3年間での成長率を見ますと、受注高はマイナス3.9%/年の成長(目標:3~5%/年)、売上高はマイナス2.7%/年の成長(目標:3~5%/年)、1株当たり当期純利益(EPS)成長率はマイナス3.6%/年(目標:7~9%/年)となりました。また、営業利益率(ROS)は8.4%(目標:10%以上)、自己資本利益率(ROE)は6.5%(目標:10%以上)となり、目標未達となりました。高収益企業へのさらなる成長に向けた加速が必要であると認識し、10年後に考えられる大きな環境変化や認識した課題などを踏まえる中で、社会共通の課題の解決によって持続的な成長を実現するため、長期経営構想を抜本的に見直すとともに、2023年度を最終年度とする中期経営計画「Accelerate Growth(アクセラレート グロウス)2023」を策定しました。
(1) 経営の基本方針
[企業理念]
「YOKOGAWAは計測と制御と情報により持続可能な社会の実現に貢献する
YOKOGAWA人は良き市民であり勇気をもった開拓者であれ」
を企業理念として掲げ、この実現を目指します。
当社グループは、グループ全体に適用される企業理念とYOKOGAWAグループ行動規範を定め、すべてのステークホルダーとの適切な関係を持ち、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めます。また、「企業は社会の公器である」との考えのもと、健全で持続的な成長により、株主、お客様、取引先、社会、社員等すべてのステークホルダーからの信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命と位置づけます。
当社グループは、企業価値の最大化を実現するためには、コンプライアンスの徹底、リスクの適切な管理、株主をはじめとするステークホルダーとの建設的な対話のための情報開示等が重要と考えます。
当社グループは、こうした考え方からコーポレートガバナンスの継続的な充実に取り組む基本方針として「YOKOGAWAコーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しています。
当社グループのコーポレートガバナンスについての詳細は、当社ウェブサイト
https://www.yokogawa.co.jp/cp/ir/governance/index.htm をご参照ください。

[Yokogawa's Purpose]
「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。」
今回の長期経営構想の見直しと中期経営計画の策定にあたり、改めて企業としての存在意義(パーパス)を問い直し、「Yokogawa's Purpose」を制定しました。これは、お客様や社会にとっての当社の存在意義を端的に表現したものです。
「測る」は、YOKOGAWAの原点であり起点です。ものごとを測り、今ある状態をとらえ、見通し、そこから導き出される情報に価値を見出してきました。また「つなぐ」は、YOKOGAWAが価値ある情報を結び付けるだけではなく、さまざまな産業におけるお客様との信頼関係を築き、企業と企業、産業と産業の結束点となって、さらに価値を共鳴させていくことを意味しています。
「測る力とつなぐ力」はYOKOGAWAが決して失うことのないコアコンピタンスです。その力を今日の社会課題の解決に生かし、人と地球が共生する未来をかなえたい、そうした思いを「地球の未来に責任を果たす」というコミットメントに込めました。
0102010_001.png長期経営構想と中期経営計画の全体像
(2) 中長期的な経営戦略
[長期経営構想]
当社は2015年度の中期経営計画「Transformation 2017」策定時に、10年先のありたい姿とその実現に向けた考え方を長期経営構想として定め、「Transformation 2017」の次の中期経営計画「Transformation 2020」策定時に、一部内容を見直しました。今回の中期経営計画「Accelerate Growth 2023」の策定にあたっては、改めて10年後に考えられる大きな環境変化を鑑み、社会共通価値の提供を通じた持続的な成長を目指すために抜本的な見直しを行いました。
10年後のYOKOGAWAのありたい姿を端的に表現したVision statementを以下に変更しました。
YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、社会課題の解決をリードしていきます。
<お客様への提供価値>世界は今、あらゆるものが複雑につながり合う時代となっています。運用や管理に独立性のあるシステムが連携し、単独では実現できない目的をシステム全体として実現する「System of Systems(SoS)」が進む世界において、当社は、効果的な「つながり」を進め、統合化・自律化・デジタル化による「全体最適」の価値を生み出していきます。当社は「IA2IA※1」と「Smart Manufacturing※2」によるアプローチでこれを実現し、社会全体が「SoS」となる世界をリードするインテグレーターになることを目指します。
(※1) IA2IA(Industrial Automation to Industrial Autonomy)
ロボティックスやブロックチェーンなどのDX(デジタルトランスフォーメーション)トレンドを取り込み、Industrial Automation(自動)からIndustrial Autonomy(自律)へと進化させる活動です。
(※2) Smart Manufacturing
DX(デジタルトランスフォーメーション)やIA2IAによって生産現場、エンタープライズ、及びサプライチェーンにおける自律を実現し、革新的な生産性向上を達成することです。
<事業セグメント>事業環境の変化を踏まえ、YOKOGAWAが磨き上げてきた技術・ノウハウや強みを生かせる事業領域を成長させていくために、従来の製品・機能別組織から業種軸の組織に再編し、ビジネス拡大とソリューションビジネスへの転換のスピードアップを図ります。
● エネルギー&サステナビリティ
多様化するエネルギーの生産・供給・利用・廃棄・リサイクルのバリューチェーン全体にわたり安全かつ最適な運用を支えます。
● マテリアル
素材産業のお客様との強固な関係を生かして変革に貢献するとともに、環境対策、エネルギーマネジメント、開発・生産へのデジタル技術活用などの強みを生かし、快適さとサステナビリティを両立させる社会を支えていきます。また、自らがマテリアルを生産し市場を開拓する事業にも展開していきます。
● ライフ
人々の命と健康を守る医薬、誰もが安心して口にできる安全な水と食料の供給に貢献します。前中期経営計画で医薬品・食品産業のバリューチェーン全体の生産性向上に寄与するために立ち上げた、ライフイノベーション事業の取り組みを強化していきます。
測定器事業、新事業他(amnimo、航機事業など)は、製品や商流の特性などから、独立した事業運営を維持する必要があるためセグメントを分けていますが、10年後の提供価値についての方向性は共有します。
※ あるべき姿として描いた業種別の事業セグメントは上記のとおりですが、2021年度の開示セグメントについては、移行期間として「制御事業」「測定器事業」「航機その他事業」の3つとした上で、制御事業のサブセグメントとしての位置づけで「エネルギー&サステナビリティ事業」「マテリアル事業」「ライフ事業」に関する情報開示を充実させます。
[中期経営計画 「Accelerate Growth 2023」]
長期経営構想で定めた10年後のありたい姿を実現するために、2023年までの3年間で取り組むべきこととして、4つの基本戦略とその重点施策を策定しました。それぞれの基本戦略の概要は以下のとおりです。
0102010_002.png「Accelerate Growth 2023」の4つの基本戦略
● IA2IA/Smart Manufacturingの実行と存在価値の変革
IA2IAの構想を実行フェーズに移行します。また、Smart Manufacturingの鍵となる上位系基幹システムビジネスのグローバル展開を図ります。
● 業種対応力の強化と非業種依存のビジネス拡大
変わりゆくエネルギー産業のお客様に新しい価値を提供しつつ、多種多様なお客様に価値を提供します。
● 収益性の確保と健全な成長
販管費率の改善など健全な収益構造に向けて、一層の改善を図ります。
● 社内オペレーションの最適化とマインドセットの変革
グループ構造や機能の最適化と変革に向けた社員一人ひとりの能力向上を図ります。
中期経営計画「Accelerate Growth(アクセラレート グロウス)2023」についての詳細は、当社ウェブサイト
https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/company-overview/corporate-strategy/ をご参照ください。

(3) 経営環境
当社グループは、1915年の創立以来、計測、制御、情報の技術を軸に、最先端の製品やソリューションを産業界に提供し、社会の発展に貢献し続けています。また、社会課題・お客様のニーズを捉え、その主要製品・サービスの内容を変化させてきており、現在のセグメント別売上高比率は制御事業約91%、計測事業約7%、航機その他事業約2%となっています。
主力事業の制御事業では、石油、ガス、化学、電力、鉄鋼、紙パルプ、医薬品、食品などの多様な業種展開により日本国内で高いシェアを有しています。さらに、日本での多様な業種展開により得られた知見やノウハウのもと、ダウンストリームを中心に、中東、ロシア、中国、アセアンなどの資源国や新興国で高いシェアを有しています。なお、2020年度の海外売上高比率は約68%となっています。現地に根付いたグローバルな事業展開を始めてからの約60年で、競合他社に比べ偏りがない地域構成を実現してきており、世界中で4万件以上のプロジェクトを手掛けてきた豊富な納入実績があることも特徴です。豊富な納入実績を活用することで、お客様の既設のプラント設備の生産性向上につながる運用や、保守の効率化に向けたソリューションの比重を高め、あらゆる外部環境の変化にも耐えられるレジリエンス(変化に柔軟に対応できる適応力・回復力)を高めてきています。
今後10年間における事業環境のメガトレンドは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の観点で、大きく変化していくと想定しています。Politicsでは、自国主義や法規制の強まり、Economyでは、資源の枯渇や、食料・水の不足、Societyでは、高齢化、都市化や気候変動、Technologyでは、AI、IoT、5G、バイオテクノロジーの進歩など、さまざまな変化が予想されます。2019年度第4四半期から全世界に拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、政治、経済、社会活動の課題を浮き彫りにし、パラダイムシフトを加速させていくと捉えています。このような中で、YOKOGAWAのお客様は、プロセスの変革、持続可能な未来を意識したビジネスモデルへのシフトを進めており、かつ、安全安心、セキュリティなどの観点から人の介在を減らすことの重要性も認識されています。主力事業の制御事業におけるProcess Automation 業界では、既存製品の市場が成熟し、ハードウエアのコモディティ化が進んでいると同時に、MES(Manufacturing execution system)やセキュリティ関連のソフトウエア、センサの市場は成長し、サブスクリプションなど新しいビジネスモデルの普及が進んでいます。
劇的に変化する事業環境において、当社グループは、未来世代のために目指す持続可能な低炭素・循環型社会の姿として定めたサステナビリティ目標「Three goals」の「脱炭素社会(Net zero emission)」「循環社会(Circular Economy)」「人の命と健康に対する要求の高まり(Well-Being)」が事業機会になると捉えています。長期経営構想でもお示しした通り、「System of Systems(SoS)」が進む世界の中で、統合化・自律化・デジタル化により複雑につながり合う社会システム全体を効果的に結びつけ、当社グループが先駆者として「全体最適」の価値を生み出すことで、3つの事業機会をしっかりと捉え、社会共通の課題の解決と持続的な成長を実現していきます。グローバルの競合のみならずIT企業との競合が激化するなど、事業環境は厳しさが増している中で、これまで蓄積・獲得してきたシステムインテグレーション(SI)とエンジニアリングの能力を、さらにSoSのためのSIやエンジニアリング能力に昇華させ、世界をリードするインテグレーターになることを目指します。
0102010_003.png
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
[中期経営計画「Accelerate Growth 2023」で目指す経営目標]
中長期的視点での企業価値及び株主価値の最大化を基本方針とし、1株当たり当期純利益(EPS)成長、営業キャッシュフローの創出、自己資本利益率(ROE)の向上を目指すべき指標とします。
0102010_004.png(*)EPS:1株当たり当期純利益、ROS:売上高営業利益率、ROE:自己資本利益率
想定為替レート(1米ドル):105円
[資本政策・財務戦略]
「Accelerate Growth 2023」では、持続的な企業価値及びTotal Shareholders Return(TSR:株主総利回り)の向上を実現するために、成長を支える財務基盤の維持、成長投資、株主還元への最適なキャッシュフロー配分を行いながら、将来的かつ累積的なキャッシュフロー創出力を強化していきます。
● 資本性成長投資(戦略投資)枠を3年間累計で700億円とします。リスク総量、自己資本増減、及びリスク投資実行に伴うリスク量の増加想定を織り込んだ上で最適資本構成を維持します。
● 株主還元方針(利益処分に関する基本方針)は、中長期的な企業価値向上の最大化に向けた投資に優先的に配分していくものの、一定の財務基盤の確保を前提に、積極的な配当による株主還元の向上を図るものです。配当性向による期間利益の一定比率を還元する考え方に加え、株主資本配当率を踏まえた安定的な配当の維持の考え方を維持します。
0102010_005.png
[非財務目標]
当社が社会に価値を提供し続けるためには、ESG(環境・社会・ガバナンス)の3つの視点で経営を行うことが大前提であり、長期経営構想ではこの点を重視しています。「Environment」と「Social」の2つについては、当社のサステナビリティ目標「Three goals」の達成に向けて、「サステナビリティ中期目標」を設定し、「Accelerate Growth 2023」の取り組みと連携させて進めていきます。
当社グループのサステナビリティについての詳細は、当社ウェブサイト、https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/sustainability/ もご参照ください。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等の冒頭に記載のとおり、高収益企業へのさらなる成長に向けた加速が必要であると認識しています。10年後に考えられる大きな環境変化や認識した課題などを踏まえる中で、2023年度を最終年度とする中期経営計画「Accelerate Growth 2023」の確実な実行により、社会共通の課題の解決と持続的な成長を実現していきます。

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