有価証券報告書-第144期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/24 15:00
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169項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
[企業理念]
「YOKOGAWAは 計測と制御と情報をテーマに より豊かな人間社会の実現に貢献する
YOKOGAWA人は良き市民であり勇気をもった開拓者であれ」
を企業理念として掲げ、この実現を目指します。
当社グループは、グループ全体に適用される企業理念とYOKOGAWAグループ行動規範を定め、すべてのステークホルダーとの適切な関係を持ち、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めます。また、「企業は社会の公器である」との考えのもと、健全で持続的な成長により、株主、お客様、取引先、社会、社員等すべてのステークホルダーからの信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命と位置づけます。
当社グループは、企業価値の最大化を実現するためには、コンプライアンスの徹底、リスクの適切な管理、株主をはじめとするステークホルダーとの建設的な対話のための情報開示等が重要と考えます。
当社グループは、こうした考え方からコーポレートガバナンスの継続的な充実に取り組む基本方針として「YOKOGAWAコーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しています。
当社グループのコーポレートガバナンスについての詳細は、当社ウェブサイト
https://www.yokogawa.co.jp/cp/ir/governance/index.htm をご参照ください。

(2) 中長期的な経営戦略
当社グループは、2015年度に10年先のありたい姿とその実現に向けた考え方を長期経営構想として策定し、YOKOGAWAが目指す方向性を表現する「ビジョンステートメント」、その実現を支えるYOKOGAWAの強みを示す「コアコンピタンス」、「注力する事業領域」を定めました。
その後、同年度9月に「持続可能な開発目標(SDGs)」が国連で採択され、また同年度12月には気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でパリ協定が採択されるなど、社会課題解決に向けたニーズの高まりという大きな変化がありました。これらの変化を受け、未来世代のために目指す持続可能な低炭素・循環型社会の姿をサステナビリティ目標「Three goals」として定め、そこに向けてYOKOGAWAが自らを変革していく方向を示すとともに、それらの実現にもつながる長期経営構想で目指す方向性を、今からおよそ10年以上先の「ありたい姿」として見直しました。
[サステナビリティ目標:Three goals]
「YOKOGAWAは、未来世代のより豊かな人間社会のために、2050年に向けて、Net-zero emissions、Circular economy、Well-being の実現を目指します。」
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当社グループのサステナビリティについての詳細は、当社ウェブサイト、https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/sustainability/ をご参照ください。

[長期経営構想]
お客様の経済価値最大化と社会課題解決をともに実現し、お客様の事業を通じて社会・環境価値を創出していくことを目指します。
0102010_002.png(*) Process Co-Innovation: YOKOGAWAがこれまで培ってきた計測・制御・情報の技術を結集したオートメーションの将来像です。これはプロセスの最適化を生産工程にとどめることなく、企業内のバリューチェーンや企業間のサプライチェーンなど、あらゆる情報やモノの流れへと拡大し、お客様と共に新しい価値を創造するYOKOGAWAのソリューション全般を表しています。
さらに、当社グループは、「Co-innovating tomorrow」をコーポレート・ブランド・スローガンとして掲げ、ビジネスや社会における情報やモノの流れを最適化、効率化し、お客様と社会全体の課題解決に取り組んでいきます。
[中期経営計画]
当社グループは、サステナビリティ目標及び長期経営構想を踏まえ、収益性の向上とさらなる変革に向けて、2018年度を開始年度とする新たな中期経営計画「Transformation(トランスフォーメーション) 2020(略称:TF2020)」を策定しています。
① TF2020の基本戦略
TF2020では、当社グループが目指す事業のあるべき姿を「計測と制御と情報の技術をコアに、幅広い産業のビジネスプロセスに対して、デジタル技術革新とお客様との共創による生産性向上を通じて持続可能社会を実現する事業」とし、その確立に向けて次の基本戦略に示す3つの変革に取り組みます。
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<基本戦略>a. 既存事業の変革
お客様との関係をさらに深化させ、生産性革命を共に実現します。
・ OPEX(*)ビジネスの拡大
既設設備の生産性向上に向けた課題解決と運用保守を中心とするOPEXビジネスの拡大と収益性の向上に注力します。前中期経営計画「Transformation 2017」(略称:TF2017)で取り組みを進めてきた課題解決型ビジネスの確立とグローバル展開を目指します。
(*)OPEX:Operating Expenditure の略語
・ 注力業種のさらなる強化
日本で高いシェアを獲得している化学業種の海外展開に引き続き注力するとともに、今後の成長が期待でき、また社会的意義の大きい再生可能エネルギー関連の市場開拓に取り組みます。
・ 計測事業の変革
競争力のある製品に集中することで一定以上の収益を確保するとともに、新たな成長市場へ挑戦します。
・ 航機その他事業の変革
保有技術とお客様基盤を生かし、成長事業への変革に挑戦します。
b. 新事業とビジネスモデル変革への挑戦
イノベーションを通じ、サステナブルな価値を創造します。
・ 医薬品・食品産業向け新事業の確立
TF2017では長期経営構想の中で今後注力すべき事業領域の一つとして「人々の健康や暮らしの豊かさを支える産業」を設定しました。TF2020では今後も市場成長が期待でき、当社の強みが生かせる医薬品・食品産業の研究・開発・生産・物流などのバリューチェーン全体の生産性向上を実現するサービスビジネスの確立に挑戦します。
・ ビジネスモデル変革
製品やサービスを売り切る従来型のビジネスモデルから、お客様の初期導入コスト負担を軽減する成果報酬型ビジネスやサービス提供型のリカーリングビジネスへの変革を進めます。IIoTを活用した製品・ソリューションの付加価値向上などによりお客様の生産性革命を支援し、成長機会の創出につなげます。
c. グループ全体最適による生産性向上
グループ全体最適の視点で、経営効率を飛躍的に高めます。
・ 継続的なコスト競争力の強化
グループ横断のコストダウン活動が継続的に実行される仕組みを構築し、RPA(Robotic Process Automation)などIT技術も活用し、コスト競争力を強化します。
・ 人財力の強化
社員一人ひとりが、世の中の変化や最新の技術動向を理解し、より高い付加価値を生む業務を担える人財へと自らを変革するために、新たに求められる能力とスキルの再開発・訓練プログラムを企業内大学として整備・提供し、社員が自ら学び能力を高め続ける会社へと変革していきます。
<デジタルトランスフォーメーション>3つの変革の基盤として、当社グループ及びお客様の生産性向上を実現するため、デジタル技術を最大限に活用したアーキテクチャーの構築に積極的に取り組みます。AI、IIoT、クラウドプラットフォームなどを活用した製品・ソリューションの付加価値向上などによりお客様の生産性革命を支援し、成長機会の創出につなげるとともに、RPA、デジタルマーケティング、モバイルワークスタイルの活用とそれらを支えるネットワークやセキュリティの強化を通じて当社グループの成長基盤を確立します。また、これらを実現するための投資も積極的に行います。
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② TF2020の資本政策及び財務戦略
TF2020では、持続的な企業価値の向上を実現するための最適資本構成(*)を維持することを前提に、創出したキャッシュを中長期的な企業価値の最大化に向けた資本性成長投資に優先的に配分しながら、積極的な配当還元の向上も図ります。
TF2020の事業戦略・成長投資と配当還元により、株主資本コストを上回るTSR(Total Shareholder Return:株主総利回り)の持続的な実現を通じた株主価値の最大化を目指します。
(*)最適資本構成:格付Aを維持できる株主資本水準を保持するとともに、次の成長に向けた一定のリスク
投資余力を確保できる水準
a. 資本性成長投資(戦略投資)
最適資本構成維持を前提とした資本性成長投資枠を3年間累計で700億円とします。
主に上記基本戦略a、b及びデジタルトランスフォーメーションに対する戦略的成長投資を強化し、必要に応じてM&Aやアライアンスの可能性を検討しながら、技術、販路、製品・サービス、お客様、人財・ノウハウなどを獲得するための投資を行います。
b. 配当政策(利益処分に関する基本方針)
以下の配当方針に基づき積極的な配当還元の向上も図ります。
「株主の皆様に対する利益還元は経営の最重要施策の一つと認識し、利益成長を通じて安定的・継続的な増配を目指します。具体的には、業績及び中長期的な株主価値の最大化に向けた投資資金の確保、成長投資を支える財務基盤の維持を総合的に勘案しながら、連結配当性向30%を上回る配当水準の確保に努めます。また、一時的な要因で業績が悪化した場合においても、株主資本配当率を踏まえた安定的な配当の維持を図ります。」
中期経営計画「Transformation 2020(略称:TF2020)」についての詳細は、当社ウェブサイト
https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/company-overview/corporate-strategy/ を
ご参照ください。

(3) 経営環境
当社グループは、1915年の創立以来、計測、制御、情報の技術を軸に、最先端の製品やソリューションを産業界に提供し、社会の発展に貢献し続けています。また、社会課題・お客様のニーズを捉え、その主要製品・サービスの内容を変化させてきており、現在のセグメント別売上高比率は制御事業約92%、計測事業約6%、航機その他事業約2%となっています。
主力事業の制御事業では、石油、ガス、化学、電力、鉄鋼、紙パルプ、医薬品、食品などの多様な業種展開により日本国内で高いシェアを有しています。さらに、日本での多様な業種展開により得られた知見やノウハウのもと、ダウンストリームを中心に、中東、ロシア、中国、アセアンなどの資源国や新興国で高いシェアを有しています。2019年度の海外売上高比率は約70%にまで拡大しています。現地に根付いたグローバルな事業展開を始めてからの約60年で、競合他社に比べ偏りがない地域構成を実現してきており、世界中で4万件以上のプロジェクトを手掛けてきた豊富な納入実績があるのも特徴です。豊富な納入実績を活用することで、お客様の既設のプラント設備の生産性向上につながる運用や、保守の効率化に向けたソリューションの比重を高め、あらゆる外部環境の変化にも耐えられるレジリエンス(変化に柔軟に対応できる適応力・回復力)を高めてきています。
近年では、AIやビッグデータの活用など、デジタル技術革新の波が押し寄せており、生産性向上のために新しいデジタル技術を導入したいというお客様が増えています。こうした動きは、エネルギー資源における石油の位置付けの変化に加え、国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」や金融安定理事会(FSB)によって設立された気候関連財務情報開示(TCFD)の提言などを背景とした、自然環境問題や人口動態の変化などの地球規模の社会課題解決に向けたニーズの高まりと相まって、当社グループが磨き上げてきた課題解決能力を発揮するチャンスの拡大につながっています。また、2019年度第4四半期に入ってから新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が全世界に拡大したことで、世界経済は極めて不透明な状況となっています。この収束時期の見通しは不透明であり、当社グループの業績への影響は今後さらに拡大するリスクがあると認識している一方、安全安心、セキュリティ、生産性向上、最適化向上、遠隔化、自律化の観点で社会や産業のニーズが拡大し、当社グループの強みを発揮できる新たなビジネスチャンスになるともとらえています。
当社グループはこのような事業環境の変化を、継続的な収益性向上が実現できる新たな変革、成長の機会ととらえ、これまで築いてきた強固で多様なお客様基盤と課題解決能力を活かしながら、豊富なインストールベースをもつ日本を含むアジアを中心に、成長機会を創出し、成長基盤を確立することで、次なる変革への挑戦を始めています。お客様が直面する重要課題を解決するため、YOKOGAWAは従来のAutomation Supplierから脱却し、お客様にとって信頼できるパートナー(Trusted Partner)になることを目指しています。Co-innovationによる共創アプローチを通して、生産プロセスだけでなく、ビジネス全体、サプライチェーンにわたる、包括的なソリューションを提供することにより、お客様の経営のデジタル化を支援し、継続的に新しい価値を創出していきます。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
TF2020で目指す経営指標は、中長期的視点での企業価値及び株主価値の最大化を基本方針とし、1株当たり当期純利益(EPS)成長、オーガニックフリー・キャッシュ・フロー(*)の創出、自己資本利益率(ROE)の向上を目指すべき指標とします。具体的には、市場の期待を上回る利益成長、キャッシュ創出、資本効率を実現していきます。(成長率は2017年度の一時要因(のれん等減損損失、貸倒引当金計上、資産売却等)を除いた実質ベース)
0102010_005.png(*)オーガニックフリー・キャッシュ・フロー = フリー・キャッシュ・フロー + 戦略投資(700億円:3年間累計)
2019年度は、為替および子会社株式の譲渡等の影響及び第4四半期後半に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う経済活動制限による影響などを受けた結果、受注高は減少しましたが、為替および子会社株式の譲渡等の影響を除くと実質的には前期比で2.2%増となりました。売上高は増収となり、為替および子会社株式の譲渡等の影響を除くと実質的には前期比で5.9%増となりました。この2年間での成長率を見ると、受注高は2.3%/年の成長、売上高はほぼ横ばいですが、為替および子会社株式の譲渡等の影響を除くと、受注高は5.0%/年、売上高は2.4%/年の成長となりました。また、売上高営業利益率(ROS)は8.8%となりました。
一方、親会社に帰属する当期純利益は、上記背景に加え、関係会社株式売却益及び事業譲渡益を特別利益に計上したものの、海外子会社ののれん等減損損失及びソフトエラー対策強化引当金繰入額を特別損失として計上したことなどにより減益となったことから、1株当たり当期純利益(EPS)成長率が約△17.3%/年(2018年度は約32.5%/年)に、自己資本利益率(ROE)が約5.1%(2018年度は資産売却による特別利益の影響もあり約10.1%)となりました。
なお、TF2020の最終年度となる2020年度の課題や取り組み等については、『(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題』に記載のとおりです。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
TF2020の最終年度となる2020年度は、変革目標の達成に向け、個々の活動計画の完遂と効果の刈り取りが極めて重要な一年です。当社主力の制御事業では、お客様の既設設備の安全・安定操業や生産性向上に向けたOPEX(Operating Expenditure)ビジネスを拡大しており、新設投資への依存度は決して高くありません。しかしながら、COVID-19感染拡大による経済活動の大幅な制限や、それに伴うエネルギー資源需要の減少と価格下落が生じており、そうした状況が長期化した場合には、大きな影響を受けることが予想され、これらのリカバリーが必要になることが見込まれます。事業環境が刻々と変化する中で、当社グループは中長期での成長機会の創出と成長基盤を確立するため、変革を加速させなければなりません。お客様や世の中の動向を踏まえ、また、COVID-19収束後の社会を見据えながら、2020年度は、TF2020を含めたグループ全体の戦略に対する優先順位を明確にしてアクションプランを迅速に実行していきます。
2020年度は、TF2020の確実な実行に取り組むことに加え、全世界でのCOVID-19感染拡大が事業に及ぼす影響を最小限に抑えることに取り組みます。
現在、当社グループでは、従業員およびその家族、お客様、ビジネスパートナーをはじめとするステークホルダーの安全・健康を第一に考え、各国政府および地方自治体の要請、指導に基づきながら、感染拡大防止に取り組んでいます。また、社会インフラを支える企業として、社会やお客様からの要請にできるだけお応えするとともに、安心・安全なソリューションサービス提供を継続すべく事業活動を行っています。
COVID-19収束時期の見通しは不透明であり、業績への影響が今後さらに拡大するリスクがあると認識しています。今後の動向を見極めながら必要な対策を継続することで事業・業績への影響を最小限に抑えるとともに、状況が好転した際にすぐに万全の体制で事業を行うための準備を進めていきます。

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