有価証券報告書-第140期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/23 14:01
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【項目】
132項目

対処すべき課題

(1) 対処すべき課題
当社グループは、10年後の「ありたい姿」とその実現に向けた考え方を長期経営構想として策定しています。長期経営構想ではYOKOGAWAが目指す方向性を表現する「ビジョン・ステートメント」、その実現を支えるYOKOGAWAの強みを示す「コアコンピタンス」、「注力すべき事業領域」を定めています。
ビジョン・ステートメントである「YOKOGAWAは“Process Co-Innovation”(*) を通じて、お客様と共に明日をひらく新しい価値を創造します。」の実現に向けて、成長基盤を整備するとともに、Process Co-Innovationを深化させることで、長期的な成長発展を目指していきます。
さらに、当社グループは、「Co-innovating tomorrow」をコーポレート・ブランド・スローガンとして掲げ、ビジネスや社会における情報やモノの流れを最適化、効率化し、お客様と社会全体の課題解決に取り組んでいきます。
また、引き続き制御事業については、グローバルNo.1カンパニーを目指していきます。
(*) Process Co-Innovation
YOKOGAWAがこれまで培ってきた計測・制御・情報の技術を結集したオートメーションの将来像です。
これはプロセスの最適化を生産工程にとどめることなく、企業内のバリューチェーンや企業間のサプライチェーンなど、あらゆる情報やモノの流れへと拡大し、お客様と共に新しい価値を創造するYOKOGAWAのソリューション全般を表しています。

この長期経営構想の実現に向けて、当社グループは現在、平成27年度(2015年度)を開始年度とする中期経営計画TF2017の中で、「お客様フォーカス」、「新しい価値づくり」、「高効率グローバル企業」の3点に重点的に取り組み、事業構造の変革に注力しています。また、TF2017での3年間は、長期経営構想実現に向けた「成長基盤の整備期間」と位置づけています。そして将来のさらなる成長のため、「収益性向上」に重点を置き、TF2017の最終年度である平成29年度(2017年度)には、株主資本利益率(ROE)11%以上、1株当たり当期純利益(EPS)100円以上の達成を実現していきます。(当年度実績:ROE 13.2%、EPS 114.01円)
当社グループは、TF2017の初年度となった当連結会計年度において、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、1株当たり当期純利益(EPS)及び売上高営業利益率(ROS)において過去最高の実績を達成することができました。しかしながら、TF2017策定時から、資源・エネルギー価格の低迷長期化や中国をはじめとする新興国経済の低迷など、大きく変化している事業環境を含めた現状を踏まえると、TF2017実現には、これまで以上に「収益性向上」に軸足を置いた平成28年度(2016年度)の活動が極めて重要であると認識しています。
したがって、平成28年度(2016年度)は、「成長投資の原資は効率性改善により捻出すること」を基本原則として、収益性向上のための変革への取り組みをいっそう加速し、さらなる成長に向けた成長基盤の整備に注力していきます。
「中期経営計画 “Transformation 2017”(略称:TF2017)」についての詳細は、当社ウェブサイト http://www.yokogawa.co.jp/cp/corporate/cp-corp-mtbp.htm をご参照ください。

また、平成28年度(2016年度)はこれに加え、平成27年(2015年)11月に制定した「YOKOGAWAコーポレートガバナンス・ガイドライン」の実践を通じて、持続的な企業価値の向上を実現するために、コーポレートガバナンスの継続的な充実に取り組んでいきます。
<コーポレートガバナンスの充実に向けた取り組み>[企業理念]
「YOKOGAWAは 計測と制御と情報をテーマに より豊かな人間社会の実現に貢献する YOKOGAWA人は 良き市民であり 勇気をもった開拓者であれ」を企業理念として掲げ、この実現を目指します。
当社グループは、グループ全体に適用される上記の企業理念と「YOKOGAWAグループ企業行動規範」を定め、すべてのステークホルダーとの適切な関係を持ち、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めます。また、「企業は社会の公器である」との考えのもと、健全で持続的な成長により、株主、お客様、取引先、社会、社員等すべてのステークホルダーからの信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命と位置付けます。
また、企業価値の最大化を実現するためには、コンプライアンスの徹底、リスクの適切な管理、株主をはじめとするステークホルダーとの建設的な対話のための情報開示等が重要と考えます。
当社グループは、こうした考え方から、これまでの当社グループのコーポレートガバナンスの取り組みを改めて体系化し、コーポレートガバナンスの継続的な充実に取り組んでいくための基本方針として、平成27年(2015年)11月に「YOKOGAWAコーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しています。
当社グループのコーポレートガバナンスについての詳細は、当社ウェブサイト
http://www.yokogawa.co.jp/cp/corporate/cp-corp-governance.htm をご参照ください。

内部統制システムの有効性については、内部監査担当部署が年間計画に基づき内部監査を実施し、重要な事項について取締役会及び監査役に報告しています。
(2) 会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、なにより当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させていくことが可能な者である必要があると考えています。
当社グループは、企業理念を「YOKOGAWAは 計測と制御と情報をテーマに より豊かな人間社会の実現に貢献する YOKOGAWA人は良き市民であり 勇気をもった開拓者であれ」と定めています。この理念のもとに、企業活動を健全に継続し、企業価値を最大化する「健全で利益ある経営」をするとともに、お客様の視点で、お客様の付加価値向上につながるソリューションサービスを提供することで、地球環境保全、持続可能な社会の実現に貢献していくことが、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上につながるものと考えています。
また、当社は、公開会社として当社株式の自由な売買が認められている以上、特定の者の大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えており、当社株式に対する大規模な買付行為があった場合においても、これが当社の企業価値の向上及び株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。
しかしながら、当社株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、株主や会社に対して、買付に係る提案内容や代替案を検討するための十分な時間や情報を与えないもの、買付目的や買付後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益に対する侵害をもたらすおそれのあるもの、株主に株式等の売却を事実上強要するおそれのあるもの、買付条件が当社の企業価値・株主共同の利益に鑑み不十分又は不適当であるもの等、企業価値・株主共同の利益に資さないものも想定されます。
このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えています。
② 基本方針の実現に資する取組み
当社は、上記の基本方針を実現するため、企業理念のもとに、企業活動を健全に継続し、企業価値を最大化する「健全で利益ある経営」をするとともに、お客様の視点で、お客様の付加価値向上につながるソリューションサービスを提供することで、地球環境保全、持続可能な社会の実現に貢献していくことに加え、以下のとおりコーポレートガバナンスの充実に取り組んでいます。
当社グループでは、健全で持続的な成長を確保し、株主の皆様をはじめとするステークホルダーからの社会的信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命と位置づけており、「健全で利益ある経営」を実現するための重要施策として、コーポレートガバナンスの充実に取り組んでいます。
当社取締役会では、当社グループの事業に精通した取締役と、独立性の高い社外取締役による審議を通して、意思決定の迅速性と透明性を高めています。また、社外監査役を含む監査役による監査を通して、取締役の職務執行の適法性、効率性、合理性、意思決定プロセスの妥当性等を厳正に監視・検証し、経営に対する監査機能の充実を図っています。
当社グループでは、コンプライアンスの基本原則を『YOKOGAWAグループ企業行動規範』として定めており、取締役が率先して企業倫理の遵守と浸透にあたっています。また、財務報告の信頼性の確保及び意思決定の適正性の確保などを含めた『YOKOGAWAグループ内部統制システム』を定めており、当社グループの業務が適正かつ効率的に実施されることを確保するための内部統制システムを整備しています。
内部統制システムの有効性については、内部監査担当部署が年間計画に基づき内部監査を実施し、重要な事項について取締役会及び監査役に報告しています。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、上記の基本方針のもと、平成19年6月27日開催の当社第131回定時株主総会において、「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の導入の件」について承認をいただき、その後、平成21年6月29日開催の当社第133回定時株主総会での継続導入の承認決議を経て、平成23年6月24日開催の当社第135回定時株主総会において、「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の継続導入の件」(以下「本プラン」といいます。)の承認をいただきました。
当社は、平成26年6月25日開催の第138回定時株主総会の終結の時をもって有効期間満了を迎える本プランの取扱いについて検討した結果、現在の経営環境を前提とすると、本プランを継続することが必要不可欠なものではないと判断し、平成26年5月13日開催の取締役会において、かかる有効期間満了をもって本プランを継続しないことを決議しました。
もっとも、当社は、本プランの有効期間満了後も引き続き、当社株式に対して大規模な買付行為や買付提案を行おうとする者に対しては、関係する法令に従い、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の開示を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示するとともに、株主の皆様の検討に必要な時間の確保に努めるなど、適切な措置を講じてまいります。
④ 基本方針の実現に資する取組みについての取締役会の判断
当社は、上記基本方針を実現するための取組みとして上記②及び③の取組みを進めることにより、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上につなげられると考えていると同時に、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大規模な買付行為や買付提案を行うことは困難になるものと考えています。また、大規模な買付行為や買付提案を行う者が現れた場合も、その是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報及び時間の確保に努めるなど、適切な措置を講じてまいります。したがって、上記②及び③の取組みは基本方針に沿うものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しています。