有価証券報告書-第87期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 11:11
【資料】
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【項目】
120項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
①経営方針
当社は、「製品を通じて社会に貢献するとともにお客様の満足と信頼が得られる製品づくり」を使命とし、この使命達成のため、「誠意、熱意、創意」を社是に掲げ「努力一筋、全社一丸、品質一心」をモットーに、市場・顧客ニーズに応え、品質を重視し、経営効率を向上させ企業の存続と発展に必要な利益を確保することにより、社会に貢献することを経営理念としております。
これを実現するためには、安定した配当を実施できる強固な体質の企業にすることが重要であり、企業活動を律する枠組みであるコーポレート・ガバナンスを一層強化し、株主はもとより、お客様、お取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーとの良好な関係を築き、企業倫理とコンプライアンス遵守を徹底するとともに、地球の環境問題にも積極的に取組み、企業価値の向上に努めてまいります。
②目標とする経営指標
当面の経営指標としては、経営の効率化・収益力の強化を図ることにより営業利益率2%以上を確保し、安定した配当が実施できる経営体質を構築してまいります。
③経営戦略
a自動車部品部門
目標とする経営指標を達成するために主要取引先からの量産品のティア1受注の増加を目指して開発・設計部門の拡充に向けて注力し、売上高の増強 及び、収益力の強化の実現に向けて対応してまいります。
具体的には、当社の強みである自動車用外装部品の樹脂成形並びに、樹脂塗装部品を中心とした受注拡大を目指し、今後は限られた経営資源を樹脂成形並びに、塗装部門へ傾注して、複数台所有する中・大型樹脂成形機により製造するバンパー、サイドスポイラー、ガーニッシュ類を中心とした外装品の受注拡大を目指してまいります。
又、主要取引先との更なる関係強化を図ると共に、近隣大手自動車メーカー等からの樹脂部品新規受注拡大に向けて積極的に営業展開を図ってまいります。
更に課題となる自動車の軽量化に向けた技術・新材料の研究開発 並びに、特殊塗装に向けた新技法の研究開発に向けて投資を拡大してまいります。
b自社製品部門
電子機器事業部門ではJIS/EIA規格に準拠した各種システムラックや、制御ボックス、防水・防塵ボックス等多彩な機能を持ったエレクトリックケース類を開発・設計・生産し、地方公共団体・一般企業等多種多様なお客様に、通信・映像関係等様々な用途に使われております。
しかしながら、電子機器事業の売上は低迷し、事業損益マイナスの状況が続いていますので、販売戦略の見直し及び新商品の市場投入により売上の拡大を図り、事業損益の改善を図ってまいります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
わが国の景気は、緩やかな回復基調が続いてきましたが、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症の影響により、景気の悪化が急速に進み、先行き厳しい状況にあります。また、当社の売上高の大半を占める自動車部品業界においては、自動車メーカーのグローバル化による生産拠点の海外展開や部品の共通化・系列崩壊による競争激化など取り巻く環境が厳しさを増しています。当社では、新型コロナウイルス感染症等の影響により株価が下落し、本年3月東京証券取引所の時価総額基準に抵触し2020年6月29日現在において上場廃止の猶予期間に入っている状況にありますので、株主・投資家からの信頼や評価を高めるための業績の改善に努め基準株価の回復を図ることが極めて重要な課題となります。
このような経営環境及び状況を踏まえ対処すべき事項は、いかなる環境変化の中においても安定した利益が上げられる収益構造を構築することにあります。そのため自動車部品事業においては、新規受注を拡大するための積極的かつ戦略的な営業活動を展開すること及び徹底した生産性追求・主要経費の予算管理の実践により収益構造の改革を図ることが重要な課題となりますし、併せて、信頼性のある品質の確保及び開発技術力の強化も欠かせない課題となります。
また、自社製品部門においては、本年3月末をもって照明機器事業について業績改善の見通しが立たないことから事業撤退いたしましたが、電子機器事業では2020年3月期は売上が伸び悩んだことから損失計上が続きました。このような状況に鑑みますと、営業体制の強化及び新商品の市場投入により売上の増強を図るとともに、販売価格の見直しや生産性の向上により事業構造を再構築し損益改善を図ることが重要な課題となります。
工場設備の資産管理においては、従前、火災及び雪害により多額の損失が生じたことを踏まえ、設備点検の強化による災害への十分な備えを施すこと及び本社工場敷地が工場立地法に基づく緑地面積が不足している状況にありますので、今後数年をかけて整備を行うことも必要となりますし、労働災害防止に向けた安全ルールの遵守・安全作業の徹底を図ることも重要となります。
また、現下の雇用環境に鑑み人財の確保及び「低価格・高品質製品」の創出と「業界トップレベルのセールス」を実践できる人財の育成も課題となります。
更には、内部統制システムを適切に整備・運用し強固なガバナンス体制を構築するとともに、品質及び環境保全マネジメントシステムの運用展開を強化し、企業価値の向上とステークホルダーからの信頼性の確保に努めてまいります。