有価証券報告書-第39期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 9:06
【資料】
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【項目】
155項目
(重要な後発事象)
(簡易株式交換による日本アンテナ株式会社の完全子会社化)
当社は、2024年4月25日開催の取締役会において、株式交換の方法により日本アンテナ株式会社(以下「日本アンテナ」といいます。)を完全子会社化(以下「本株式交換」といいます。)後、当社グループとの機能統合及び当社の完全子会社であるDXアンテナ株式会社(以下「DXアンテナ」といいます。)との経営統合(以下「本経営統合」といいます。)を行うことを目的とした基本合意書(以下「本基本合意書」といいます。)を締結することを決議いたしました。
なお、本基本合意書には法的拘束力はなく、また、競争法その他法令上必要なクリアランス・許認可等の取得が完了することを前提としております。今後、競争法の対応やデュー・ディリジェンスを進めた上で、法的拘束力のある株式交換契約を締結することを目指して協議・検討を進める予定です。株式交換契約を締結することを決議した場合には、その内容について改めて開示いたします。
1. 本経営統合の目的・意義
(1) 本経営統合の目的
当社グループの経営資源投入により放送アンテナ関連事業基盤の一層の強化、通信アンテナ事業の特に官需向けの公共性の高い事業の継続及び拡大が目的となります。
(2) 背景・経緯
当社は、パソコン及びデジタル機器関連製品を中心として強固な事業基盤を持つBtoC事業のほか、M&Aも積極的に活用しつつ、BtoB事業についても、注力領域として事業拡大しております。2017年には、放送アンテナ・受信関連機器等をトータルで仕掛けるDXアンテナの株式を取得し、子会社化いたしました。DXアンテナの子会社化後は、当社グループの事業基盤を活用し、効率的な事業運営を実現しております。また、さらなる成長に向けてセキュリティ事業へ本格進出し、放送事業以外の分野においても領域を拡大しております。
日本アンテナは、創業以来、放送系と通信系の多様な顧客基盤、放送・通信の領域で一貫して築き上げた放送用アンテナ及び通信技術・施工技術、質の高い充実した試験設備等を有しております。また、官需向けデジタル無線アンテナは安定した事業基盤を有しており、公共性の高い事業と認識しております。
一方で、両社の置かれている市場環境は非常に厳しく、放送機器においては地上デジタル放送の導入時をピークに、1,000億円の市場規模が400億円まで減少しており、今後もコンテンツの多様化やインターネットにおける需要の代替が行われていき、縮小傾向になるものと考えております。併せて、資材コストの高騰や円安、半導体不足など、取り巻く事業環境は一段と厳しさが増しております。
こうした環境下において、日本アンテナは三期連続での営業赤字を見込んでおり、市場環境を踏まえると資本戦略オプションを含めた抜本的な改革なしには大幅な改善は見込めない状況にあることを鑑み、主幹事証券会社を介して、DXアンテナにおいて安定した利益を計上している当社グループとの本経営統合に関する協議が開始されました。
その後、日本アンテナに対してビジネス関連のデュー・ディリジェンスを実施する等、当社グループにおいて慎重に検討して参りましたが、日本アンテナと協業することにより放送アンテナ関連事業基盤の一層の強化、通信アンテナ事業の拡大、官需向けの公共性の高い事業の継続を実現できると判断し、両社での協議・検討を重ねた結果、本基本合意書締結に至りました。
(3) 本経営統合の基本方針
本経営統合の一環としての当社と日本アンテナの統合手法としては、株式交換を予定しております。その背景としては、当社が保有する自己株式を有効活用してキャッシュアウトを抑制しつつ、本経営統合に必要な資金に投下することが可能であること、並びに、本株式交換の対価として当社の普通株式が日本アンテナの株主の皆様に交付されることにより、日本アンテナの株主の皆様としては、当社株式の保有を通じて本株式交換後に想定されている各種施策の実行を通じた事業の発展・収益拡大及びその結果としての当社株式の株価上昇を享受する機会が得られること、一方で、流動性の高い当社株式を市場で随時現金化することも可能であり、各ステークホルダーにとって望ましい手法であると判断したためであります。
本株式交換後は、本経営統合に向けて当社主導の下、調達・開発・製造・販売等に係る当社グループの事業基盤の積極活用やリソースの投入を行い、当社グループ既存事業と相互の知見を活かした連携を深めていくことで、両社の更なる成長と企業価値向上を目指してまいります。
まずは、日本アンテナがおかれた厳しい事業環境を踏まえたうえで、当社グループとの機能統合及びDXアンテナとの経営統合を行うために必要な構造改革を進めます。当該構造改革により、日本アンテナにて2025年3月期中に規模に見合った一時的な費用が発生することが見込まれますが、同時に、企業価値向上につながる種々の施策を打たれるものと想定しております。
更なる詳細につきましては、引き続き両社で協議・検討していく予定です。
2. 本経営統合の目的・意義
(1) 今後のスケジュール
本基本合意書締結の取締役会決議(両社)2024年4月25日
本基本合意書締結(両社間)2024年4月25日
本株式交換契約及び本経営統合契約の締結・公表2024年7月~8月(予定)
本株式交換契約承認のための日本アンテナにおける臨時株主総会(注1)2024年9月~10月(予定)
本株式交換の効力発生
(競争法クリアランス・許認可等の取得後の想定)
2024年10月~11月(予定)

(注1)本株式交換は、会社法第 796 条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続きにより、本株式交換契約について当社の株主総会における承認を受けないで行われる予定です。
(注2)上記は現時点での予定であり、競争法その他法令上必要なクリアランス・許認可等の取得の状況等を踏まえ、上記日程を変更する可能性があります。
(2) 本経営統合の方式
本経営統合は、まずは、競争法上必要なクリアランス・許認可等の取得が完了することを前提として、当社を株式交換完全親会社、日本アンテナを株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを予定しております。なお、本株式交換は、当社については会社法第 796 条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続きにより、本株式交換契約について当社の株主総会における承認を受けないで行われる予定です。また、本経営統合の方式については、今後両社での継続的な協議及び検討、今後相互で実施する予定のデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえ、変更する可能性があります。
本株式交換の効力発生後は、DXアンテナと日本アンテナの経営統合に向けて、速やかに実務上の検討を進めてまいります。
(3) 本株式交換による割当ての内容
本株式交換に際して、当社は日本アンテナの株主に対して当社の普通株式を交付する予定です。株式交換比率は、競争法当局からの問題解消措置の要請有無及びその内容、今後のデュー・ディリジェンスにおける結果並びに第三者算定機関より提出される算定結果を踏まえ、両社で協議の上、株式交換契約締結までに決定いたします。
3. 日本アンテナの概要
(1)名称日本アンテナ株式会社
(2)所在地東京都荒川区西尾久7丁目49番8号
(3)代表者の役職・氏名代表取締役社長 瀧澤 功一
(4)事業の内容通信用、放送用アンテナ等の開発、製造、販売
(5)資本金の額4,673百万円
(6)設立年月日1953年11月20日
(7)発行済株式数14,300,000株
(8)従業員数585名(2023年3月31日時点)
(9)連結純資産の額14,758百万円(2023年3月31日時点)
(10)連結総資産の額19,361百万円(2023年3月31日時点)
(11)連結売上高12,070百万円(2023年3月期)

4. 今後の見通し
本基本合意書締結が当社の当期業績に与える影響は現時点では未定です。今後の進展によって公表すべき事項が生じた場合に、速やかにお知らせいたします。
(自己株式の取得及び自己株式の公開買付け)
当社は、2024年5月23日付の取締役会において、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条第1項及び当社定款の規定に基づく自己株式の取得及びその具体的な取得方法として自己株式の公開買付け(以下、「本公開買付け」といいます。)を行うことを決議致しました。
1. 自己株式の取得及び自己株式の公開買付けを行う理由
当社は、会社法第165条第2項の規定に基づき、当社定款第7条において、取締役会の決議によって自己株式を取得することができる旨を定めております。これは、市場取引等による自己株式の取得を含む自己株式の取得を取締役会の権限とすることにより、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行することを目的とするものであります。当社は、2007年5月18日開催の取締役会の決議及び2007年6月26日開催の第22回定時株主総会を以て、会社法の施行に伴う定款の変更が承認されて以降、資本効率の向上を図るとともに株主還元を実施することを目的として、当社普通株式を取得しております。
そのような中、当社は、2024年3月31日における当社の第四位株主である株式会社ジャスティン(所有株式数5,352,000株(所有割合(注):6.55%))(以下、「ジャスティン」といいます。)より、当社普通株式5,352,000株(所有割合:6.55%)(以下、「応募意向株式」といいます。)を、売却する意向がある旨の連絡を2024年2月下旬に受けました。なお、ジャスティンは当社の創業家の資産管理業務を行っている会社であり、また、当社代表取締役会長である葉田順治が代表取締役を務めております。なお、当社とジャスティンとの間に事業上の関係はございません。
かかる意向を受け、当社は一時的にまとまった数量の株式が市場に放出された場合における当社普通株式の流動性及び市場株価への影響を考慮し、また、2023年12月31日時点での当社連結ベースでの現金及び預金が約352億円であるところ、応募意向株式を2024年1月の当社普通株式の最高株価である1,772円で取得したとしても約94.8億円であり、現金及び預金の残高が上回っていることや、当社グループの今後の業績及び投資の見込みといった財務状況等を踏まえれば、自己資金を今回想定される自己株式の取得資金に充当しても当社の財務状況に大きな影響を与えないことを考慮し、2024年2月下旬より、当社の資本効率の向上及び株主の皆様への利益還元を図る目的から、応募意向株式を自己株式として取得することについての具体的な検討を開始いたしました。
その結果、2024年2月下旬、当社が応募意向株式を自己株式として取得することは、当社の1株当たり当期純利益(EPS)及び自己資本利益率(ROE)等の資本効率の向上に寄与し、株主の皆様に対する利益還元に繋がると判断いたしました。自己株式の具体的な取得方法に関しては、①株主間の平等性、②取引の透明性、③市場価格から一定のディスカウントを行った価格での当社普通株式の買付けが可能であることにより、当該ディスカウントを行った価格で買付けを行った場合には、市場で取引されている価格との乖離による経済合理性の観点から、ジャスティン以外の株主による応募は限定的となると考えられ、当社による応募意向株式の取得の確実性が高まり、また、当社資産の社外流出の抑制に繋がること、及び④ジャスティン以外の株主にも一定の検討期間を提供した上で市場価格の動向を踏まえて応募する機会を確保すること等を考慮し、十分に検討を重ねた結果、2024年3月上旬、公開買付けの手法が適切であると考えました。
本公開買付けにおける買付け等の価格の決定に際しては、当社普通株式が金融商品取引所に上場されていること、上場会社の行う自己株式の取得が市場の需給関係に基づいて形成される株価水準に即した機動的な買付けができることから、金融商品取引所を通じた市場買付けによって行われることが多いこと等を勘案した上、基準の明確性及び客観性を重視し、当社普通株式の市場価格を基礎とすべきであると考え、その上で、本公開買付けに応募せず当社普通株式を引き続き保有する株主の皆様の利益を尊重する観点から、資産の社外流出を可能な限り抑えるべく、当社普通株式の市場価格に一定のディスカウントを行った価格で買い付けることが望ましいと判断いたしました。
また、本公開買付けにおける買付予定数については、ジャスティン以外の株主にも応募の機会を提供するという観点から検討した結果、本事例76件のうち、特定の株主が応募を予定する株数に10%程度を上乗せした株数を買付予定株数としている事例が49件と最多であることから、応募意向株数に10%程度を上乗せした株数が適切であると考え、応募意向株式5,352,000株(所有割合:6.55%)に対して10%を上乗せした5,887,200株(所有割合:7.21%)を上限としております。
本公開買付けに応募された株券の数の合計が買付予定数を上回った場合には、あん分比例の方式による買付けとなり、当社は応募意向株式5,352,000株のうちの一部を取得することとなります。当社は、ジャスティンより、本公開買付けに応募した株券の数の合計が買付予定数を上回り、あん分比例の方式による買付けとなり、応募意向株式の全てが買付けされない場合、当社が取得することができなかった当社普通株式については、その処分等の方針は未定である旨の回答を得ております。
なお、本公開買付けにより取得した自己株式につきましては、自己株式の使途として、当社において具体的に予定されている株式数(例えば、当社グループの役職員に対する株式報酬として自己株式を交付する場合、当社がインセンティブ報酬として当社グループの役職員に発行した新株予約権(ストック・オプション)が行使された場合に自己株式を交付する場合、さらには、2024年4月25日付「日本アンテナ株式会社の株式交換による完全子会社化及びエレコムグループとの経営統合に関する基本合意書の締結に関するお知らせ」においてお知らせした当社を株式交換完全親会社とする株式交換における対価としての自己株式を日本アンテナ株式会社の株主に交付する場合)については、継続して保有することとし、それを超える部分については消却することを検討してまいります。
(注)「所有割合」とは、2024年3月31日現在の当社の発行済株式総数(92,221,420株)から、同日時点で当社が保有する自己株式数(10,520,882株)を控除した株式数(81,700,538株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入。)をいいます。
2. 自己株式の取得に関する取締役会決議内容
(1)取得する株式の種類当社普通株式
(2)取得する株式の総数5,887,300株(上限)(注)
発行済株式総数に占める割合7.21%(小数点以下第三位を四捨五入)
(3)取得価額の総額7,706百万円(上限)
(4)取得する期間2024年5月24日から2024年7月31日まで
(5)取得方法公開買付け

(注)買付予定株数以上の応募があり、あん分比例により単元調整した結果、買付予定数を上回る可能性があるため、取締役会決議における総数は買付予定数に1単元(100株)を加算しております。
3. 自己株式の公開買付けの概要
(1)買付予定数5,887,200株
(2)買付等の価格普通株式1株につき金1,309円
(3)買付等の期間2024年5月24日から2024年6月20日まで
(4)公開買付開始公告日2024年5月24日
(5)決済の開始日2024年7月12日