訂正有価証券報告書-第46期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2021/03/15 15:13
【資料】
PDFをみる
【項目】
126項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、政府主導の経済政策等の影響から、雇用環境や企業の設備投資等に改善が見られ、全般的に緩やかな景気回復基調となりました。世界経済につきましては、米国の金融政策が正常化に向かう中で、米国経済は緩やかな拡大基調が続きましたが、米国新政権の経済政策の変更等の影響、新興国や資源国の経済成長鈍化、英国のEU離脱問題、東アジア地域における不安定化等、不確実性の高い状況が継続しております。
モバイルデータソリューション事業のうち、携帯端末販売店向け(モバイルライフサイクル)につきましては、主要なサービスの一つである古い携帯端末から新しい携帯端末へのデータ移行は、クラウド型のデータ移行サービスが台頭するなど先進国を中心に様々なサービスが出現しておりますが、その一方で、故障した携帯端末の持ち込み対応や中古携帯端末の下取りなど携帯端末販売店が果たす役割は多様化・複雑化しており、顧客に対して広範なコミュニケーションが求められています。また、MVNO(仮想移動体通信事業者)の登場等により通信事業者間の競争環境も変化してきております。これらの要因を背景に、携帯端末販売店の顧客満足度を高めるソリューションは今後の成長が見込める市場環境にあると考えております。また、犯罪捜査機関等向け(フォレンジック)につきましては、昨今の世界情勢の不安定化に伴い、各国行政機関の安全保障に対する意識が高まるにつれて、関連予算は増加する傾向にあります。また、携帯端末の機能の進化に伴い携帯端末が犯罪等に利用されるケースが増加しております。更には、犯罪捜査手法の進化に伴い、データを証拠として利用するだけではなく複数の端末のデータを統合して分析する必要性も高まってきております。これらの要因を背景に、フォレンジックの市場は、今後も引き続き成長が見込める環境にあると考えております。
一方、エンターテインメント関連事業が携わるパチンコ業界につきましては、遊技機の自主規制や低貸玉営業の普及などの影響により、パチンコホールの経営環境は引き続き厳しい状況で推移しております。そのため、遊技機の新台導入や設備投資に対して慎重な姿勢が継続しており、全体として遊技機及びホール設備共に販売が伸び悩んでおります。
このような状況のなか当社グループにおきましては、社員主導型経営のもと、世界への更なる飛躍へ向け、グローバルな視点での事業展開を図るべく、次世代技術の開発投資を含め、新製品・新サービスの企画・研究・開発に努めました。特に今期は、主力事業の外部環境が厳しい中でも、AR(Augmented Reality:拡張現実)やVR(Virtual Reality:仮想現実)、飲食店向けクラウドサービスなどの先行開発投資を積極的に行うことで、将来の成長の実現を目指して、取り組みを進めています。特にAR技術を活かしたB2B向け業務支援システム「AceReal」の実証実験を開始するなど新規事業に係る製品の販売開始に向け、事業ロードマップに沿って着実に進めております。
売上高につきましては、前年同期と比較し、エンターテインメント関連事業はパチンコホールの新台入替及び設備投資の需要が低調に推移したことにより下回ったものの、モバイルデータソリューション事業及びその他事業が前年を上回ったことにより、全体として前年を上回りました。営業利益につきましては、モバイルデータソリューション事業が増収により増益となったものの、エンターテインメント関連事業の減収に加え、その他事業における新規事業に係る開発費用及びのれんの償却額の増加等の影響により、前年を下回りました。また、経常利益につきましては、営業外費用として持分法による投資損失を計上したことにより利益を確保するには至らず、加えてビジネスの進捗の遅れ等により計画進捗度の低い子会社ののれんに対する減損損失等を特別損失に計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益についても利益を確保するには至りませんでした。この結果、当連結会計年度の業績は、売上高246億98百万円(前期比8.0%増)、営業利益1億41百万円(前期比65.3%減)、経常損失2億21百万円(前期は1億85百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失5億81百万円(前期は1億54百万円の利益)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、当社グループは当連結会計年度より、報告セグメント区分及び記載順序を一部変更しております。
また、前連結会計年度との比較にあたっては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて行っております。
<モバイルデータソリューション事業>主要な製品・サービスは、携帯端末販売店向け(モバイルライフサイクル)及び犯罪捜査機関等向け(フォレンジック)に販売するモバイルデータトランスファー機器及び関連サービスであります。
売上高につきましては、米ドルベースでは、モバイルライフサイクルは米国以外の地域において計画を下回り低調に推移したことに加え、フォレンジックは中国において販売が低調に推移した結果、当初計画を下回りました。しかし、前期比ではモバイルライフサイクルでは、大手キャリアにおける新機種の入替需要があったこと、フォレンジックでは、市場の成長に伴い主力製品及び周辺サービスの販売が増加したことで、売上高は前期を上回りました。
また、円ベースでは、為替換算レートが前期末に比べて円高となったものの、円換算後の売上高は前期に比べ増加しました。セグメント利益につきましては、人員増加に伴う販売費及び開発費等の固定費負担が増加したものの、売上高が増加したことにより、増益となりました。この結果、売上高は143億95百万円(前期比20.4%増)、セグメント利益は9億3百万円(前期比92.8%増)となりました。
<エンターテインメント関連事業>主要な製品は、遊技機メーカーに販売する制御基板等の遊技機部品及びパチンコホール経営を支援するトータルコンピュータシステムであります。
従来の自主規制の影響に加え、伊勢志摩サミットの開催に伴う新台設置の自粛及び検定と性能が異なる可能性のあるパチンコ遊技機の回収・撤去の影響から、パチンコホールの収益環境は厳しさを増し、遊技機の入れ替え及び設備投資に対しても慎重な姿勢になっているものと想定されます。売上高につきましては、パチンコホールの収益環境の悪化が遊技機の入れ替え及び設備投資に慎重となったことで、新機種に係る遊技機部品及びトータルコンピュータシステムの販売は厳しい状況で推移したことから、セグメント全体では前期を下回りました。この結果、売上高は83億34百万円(前期比11.1%減)、セグメント利益は6億52百万円(前期比44.2%減)となりました。
<その他>主要な製品・サービスは、M2M通信機器及びIoTソリューション並びにコンテンツ配信サービスであります。
M2M通信機器及びIoTソリューションの販売につきましては、自販機向け及び施設管理並びにセキュリティ向けに通信機器の販売が順調に推移しました。この結果、売上高は前期を上回ったものの、のれんの償却額の増加等により利益を確保するには至りませんでした。コンテンツ配信サービスにつきましては、前期に販売開始した新規タイトルの売上が順調に推移し、売上高は前期を上回り、損失幅を縮小したものの、利益を確保するには至りませんでした。更に、AR、VR及び飲食店向けクラウドサービスなどの新規事業に係る先行開発投資を積極的に行ったことにより開発費が増加しました。これらの結果、売上高は19億68百万円(前期比27.7%増)、セグメント損失は6億40百万円(前期は4億91百万円の損失)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により24億64百万円増加したことに対し、投資活動により6億61百万円及び財務活動により5億21百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ11億43百万円増加し90億58百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果獲得した資金は、24億64百万円(前期は17億71百万円の使用)となりました。
これは主に、仕入債務の増加が7億19百万円、賞与引当金の増加が5億8百万円であったことによるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、6億61百万円(前期は28億30百万円の使用)となりました。
これは主に、投資有価証券の売却による収入が4億97百万円であったことに対し、有形固定資産の取得による支出が6億1百万円、投資有価証券の取得による支出が4億3百万円であったことによるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、5億21百万円(前期は78百万円の獲得)となりました。
これは主に、配当金の支払額が4億49百万円、子会社の自己株式の取得による支出が2億56百万円であったことによるものであります。