有価証券報告書-第26期(平成30年8月1日-令和1年7月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
1.経営方針
(1) 会社の経営の基本方針
人の五感に関るイメージセンサ、ディスプレイ及び半導体デバイスの自動検査並びにIoT関連ビジネスと新エネルギー分野における技術でイノベーションを起こし、人と社会に貢献します。
「環境と人に優しい開発・設計への挑戦」を掲げ、努力の結晶を環境と人へと恩返しをします。
当社は、この経営理念を具体化するために、以下の経営方針のもとに安定かつ効率的な経営を継続していくことにより、収益性を向上し、会社の発展と社会への還元を図り、株主、顧客、従業員の期待に応えることを経営の基本としております。
企業目的: バイタリティ(生命力)、知恵、創造
行動指針: 量より質、プロセス重視、ゼロから考え直して
計画 : コンセプトデザイン重視
課題解決: 全員で寄って集って課題解決、ベストウエイソリューション、PDCAスパイラルアップ
風土 : 分かち合う。Wind(さわやかな風の吹く)Test → Wintest
利益処分: フェア(投資家、従業員、顧客、役員、社内留保)
人事 : 一流のもの、出る杭には油を、加点主義、将来を見据えたマネージメント
(2) 目標とする経営指標
「売上高経常利益率20%以上の確保、配当性向の30%の回復」を目標としております。このため当社は、ディスプレイ・ドライバIC向け検査装置を主軸とし、従来のイメージセンサーとディスプレイ分野向け検査装置、並びにその他検査装置の開発販売を継続、メインマーケットを日本国内から中国、台湾に移し事業の拡大を図るとともに、あらたな事業の柱とするべく、新エネルギー事業を始めとするIoT関連分野、福祉やヘルスケア分野へ進出することにより、売上の増大を図ってまいります。また徹底したコスト管理を行うことにより、目標とする利益率の確保に努めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社の検査装置の対象のひとつであるイメージセンサーの分野は、スマートフォン等の市場拡大と3眼化に伴い継続的な拡大が見込まれております。また、ディスプレイ分野もそれにつれ拡大、またそれらに使われる周辺部品も同様に量の増大が見込まれております。加えて、各製品の高画素化、高速化、高精細化がますます進んできており、それに伴い検査装置に対する技術的ニーズは高度化しておりますが、当社はこれらのニーズに対応すべく、製品開発、営業力の強化、顧客サポートの充実を一層推し進めてまいります。
さらに、ディスプレイの伸長(IHS調べ:年平均成長率CAGR4%)に合わせて需要増が見込まれる、ディスプレイ・ドライバIC分野並びにTDDR(タッチパネルIC)など、その周辺分野の検査装置の開発販売に注力し、コストパフォーマンスの非常に高い、当社独自の製品をマーケットに提供することにより、収益力の高い経営成績の安定した会社を目指す考えです。
2.経営環境
当連結会計年度におけるわが国の経済は、個人消費が持ち直し、企業収益も底固く推移するなど、緩やかな回復基調が続きました。今後も雇用・所得環境の改善により、景気の回復基調が続くと見込んでおりますが、米中貿易摩擦の長期化に伴う中国経済の減速や、海外経済の動向と政策に関する不確実性などもありその先行きに不透明な状況が続いております。
当社グループが属する半導体並びにフラットパネルディスプレイ業界におきましては、スマートフォン市場の成熟に伴い、需要は横ばい傾向と予測されていますが、通信の5G化技術が先導役となり4K、8Kなど画面の高精細化、また大型液晶テレビ関連デバイスや、車載パネル等に代表される「表示デバイス市場」は、スマートホンの2 画面化や拡大を受け、年平均成長率(CAGR)4%(IHI予測グラフによる)で安定的に成長しています。また物のIoT 化の進展により「半導体市場全般」は引き続き成長していますが、その需給バランスは米中問題も絡み、依然不安定であります。
3.対処すべき課題
当社グループの主要事業である半導体検査装置事業では、高度化、多様化するお客様の検査ニーズにお応えするため、検査技術の革新を進めるとともに、検査対象の拡充による事業の成長継続と、新たな成長分野での業粋拡大による更なる成長を目的として、以下の課題に取り組んでまいります。
(1)既存事業の拡充
① 検査装置機能の高速化及び機能性向上
当該分野は「日進月歩」ならぬ「分進秒歩」と揶揄される程、機能面での変化が速いことで知られる分野であり、その技術レベルが上がるごとにタイムリーな開発が必須となります。特に当社が「主力装置」と位置付けるLCDドライバIC検査装置はスマートフォンに代表される、進化の早い情報端末に多く使われ、かつ5G通信規格の実現とともにより早い技術革新が当該検査装置にも求められております。また、LCDドライバIC、CCD、CMOSイ
メージセンサー分野においては高品位、低コスト、高速化に加え、更にユーザーフレンドリーなGUI機能強化をそれぞれ推し進め、フラットパネルディスプレイ分野においては、新たな検査ニーズに対応する検査技術や手法
の開発を継続するとともに、随時開発体制の見直しと強化を行ってまいります。イメージセンサー分野においてはアジア方面をメインマーケットと捉え、低コスト、高品位、高速化をそれぞれ推し進め、ディスプレイ及び周辺IC分野においては、TDDI(タッチパネル一体型製品)への対応など、新たな検査ニーズに対応する検査技術や手法の開発を継続いたします。
② 営業力強化・顧客サポートの充実
当社は、中国・台湾のマーケットに参入するため、トップ営業戦略を推し進めており、現地中国代理店及び台湾代理店の協力を得ながら、検査装置の事業再生に取り組んでおりますが、中国の内製化政策の影響もあり、中国国内の顧客からは、一日も早い「拠点」の設立と立ち上げを求められています。メイドインジャパンのブランドを維持しつつ、優秀な人員を確保、拠点を整備し、顧客とのリレーションの構築、受注体制の拡充とスピードアップ、また、拠点からの直接サポート、納入ができる体制を整備することが、今後の中国マーケット攻略の大きな課題と考えております。
これまでの当社の中国市場攻略の成果として、中国の半導体メーカーから2018年11月にWTS-577LCDドライバIC検査装置の第1号機、続いて2019年1月には第2号機を受注し、いずれも納入を完了し、売上を計上しております。しかし、中国市場において事業を大きく展開していくためには、中国本土に拠点を設置し、中国顧客向けの装置のハード面とソフト面でのサポートの充実はもとより、数年後を目処に、基本部材や各種主要部品を日本から輸出し、最終組立工程を中国国産化するなどの戦略を進め、メイドインジャパンのブランドを守りつつ、コストの削減と顧客対応力の両方を強化、さらに最終組立工程のローカライズについては中国の国策である「内製化」政策に合致させる戦略を取り、中国国内マーケットへの深耕を図る予定です。具体的な戦略として、中国本土に組立工場を含む複数の拠点(営業とアフターサポート)を築くことが必要であり、その前提条件として、日本国内における開発力、製造組立技術の強化が必要であると考えます。
当社は、今後大きな成長を遂げるとされる中国マーケットに進出するため、2019年3月、大阪に開発・製造拠点を開設し、開発力・製造力の増強を行うと共に、新たなファイナンスをバックとして、中国で製造・組立拠点を整備し、営業・サポートのローカライズを推し進め、中国マーケットからの大量受注が可能な体制づくりに努めてまいります。
③ 大阪事業所の拡充・整備
当社は、2019年3月に山田電音株式会社から音響関連機器及び半導体検査装置の開発・製造・販売、ROM書込み事業を譲り受けました。それぞれの事業分野で高い技術と営業部門を継承いたしましたので、開発中の検査装置の開発力及び販売力を強化することができ、今後の既存事業の展開に有益であるとともに、当社グループの指向する新規事業分野において、ハード・ソフトのトータルシステム設計製造技術にも活用できることから、高いシナジー効果が見込まれます。また、山田電音株式会社から譲り受けた事業部門は、検査装置事業における組立工程において十分な技術力を有し、今後の新規事業推進に不可欠な設計力、組立て製造力をも備えた機動的な工場として、現在は、当社大阪事業所として事業活動を継続しておりますが、中長期的な安定供給体制を構築するための環境整備及び最新設備への更新が急務となります。
さらに、今回の事業譲り受けにより、よりスピーディーで顧客満足度の高いサービスの提供ができるとともに、コスト削減、品質管理及び海外からの大量受注の際の迅速な対応並びに納期の短縮などが見込まれます。今後、開発ツール等の更新、人材育成及び増員など組織の拡充を行い、より機動的にかつ最新の環境で、既存事業、新規事業における設計、開発そして組立て製造能力を強化するとともに、製造コストの削減、納期の短縮と品質の向上を目指し、顧客満足度を上げることで受注増を図ってまいります。
(2)新規事業による事業の多角化への取り組み
当社は、未来技術の獲得を目的に、産学連携を積極的に進め、それら市場への新規参入を計画、事業の多角化展開により、抜本的な事業構造の改革と収益基盤の拡充に取り組んでおります。
① 検査装置向け工場FA化機器技術「自重補償機構技術」(注)
当該技術については、学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、2019年3月には、重量キャンセル型アームの試作機を3号機まで完成させております。現在、特許等の対策につ
いて大学側と調整中です。将来の介護現場や農業、加えて被災地でのパワーアシスト機器等、数兆円規模にも及ぶ幅広いマーケットの存在を見据え、安全面の問題を解決した上で、当該技術は当社の検査装置の「マニピュレ
ータ」や、応用製品として「半導体製造工場内FA化システム」、「半導体工場内物流搬送システム」の他、完成品の「出荷倉庫」での「種まき方式荷物搬送システム」(棚から棚へ物流製品を移動、仕分けするシステム)
への応用が可能であることから、搬送重量300㎏程度までの重量物を移載することができる機器の製品化を目指します。
② 半導体IoTセンサー
当該分野では、幅広いマーケットへの応用が考えられるトータルソリューションを計画しています。茨城大学との部分影補償機能(太陽光パネルの効率向上)一体型コンバータの開発が完了し、2019年3月にはモニタリングソフトウエア(GUI)とともに、試作機を完成させました。2018年10月には、その技術の先進性を認められ、横浜市経済産業局からの「もの作り助成金」の対象に選ばれました。IoTセンサー技術並びにデータサーバー(ビッグデータ)ソフトウエア技術は、検査装置分野で必要とされる様々な方面へも幅広く、応用が可能であることから、2019年度中に「IoTセンサー」(センサーによる「センシング」と「通信部分」(データ転送に係る通信))の改善を含む最終製品化に向けてプロジェクトを進めております。 また、富山大学とアナログ位相再構成技術に関する共同研究を行っており、当社で研究中のDAコンバータ(デジタルメモリーに記録されているデジタル信号をアナログ信号に変換する技術)の技術と上記IoTセンサー技術を組み合わせることでより精度の高い信号の発生が可能となり、幅広い分野への応用が可能であるとことから、新たなシーズ技術の開発を行っております。
このように、当社が有する基礎技術は、IoTセンサーに不可欠となる信号の発生とセンシング(低周波から超音波などの広帯域波形の発生と計測、加えてノイズ低減技術)等幅広い分野への応用が可能であるため、今後の検査装置及びIoTセンサービジネスマーケットにおいて新たなシーズ技術の開発に活かしてまいります。
③ 新エネルギー事業の展開
新エネルギー事業では、太陽光発電システムの保守点検・整備・保証管理領域の案件獲得に加え、当年度からは新たにEPC(新規設置工事)も積極的に受注する戦略を取り、また、太陽光発電所に付帯する様々な機器の販売権を獲得、推進するとともに、産学連携による事業の多角化への取り組みとして、茨城大学と開発継続中の太陽光発電の効率改善機能「部分影補償機能」を併せ持つモニタリングシステムと他社にないユーザーフレンドリーな制御画面(GUI)の開発を進め、顧客の要望に高いレベルで応えるサービスを提供する計画です。
(注)検査装置向け工場FA化機器技術に使われる「自重補償機構技術」とは
一般的な「重量物搬送装置」は、電気モーターやエンジン等の動力源を持ち、かつ、重いカウンターウエイトや油圧・圧縮空気の出力を借りることで、数十キロから数百キロの重量物の移動をアシストしますが、装置が大掛りで重量が重くなることや、重量物に見合う外部動力が必要となるといった課題を有しています。これらの課題克服のため、当社と慶應義塾先端科学技術研究センターは、いかなる動力や重いカウンターウエイト、そして油圧・空圧機器をも使用しない「自重補償機構」の開発を進め、バネの弾性力を応用した軽量かつシンプルな構造を内蔵したロボットアームの継続開発を行っております。今般開発した試作機は、被搬送物の重量が変化した場合でもその重さに見合った自重補償ができる構造となっており、回転軸を除く各軸にて搬送する重量物の自重補償を達成し、自身の腕部分の自重をも含め、より安全な自重補償を成立させています。
1.経営方針
(1) 会社の経営の基本方針
人の五感に関るイメージセンサ、ディスプレイ及び半導体デバイスの自動検査並びにIoT関連ビジネスと新エネルギー分野における技術でイノベーションを起こし、人と社会に貢献します。
「環境と人に優しい開発・設計への挑戦」を掲げ、努力の結晶を環境と人へと恩返しをします。
当社は、この経営理念を具体化するために、以下の経営方針のもとに安定かつ効率的な経営を継続していくことにより、収益性を向上し、会社の発展と社会への還元を図り、株主、顧客、従業員の期待に応えることを経営の基本としております。
企業目的: バイタリティ(生命力)、知恵、創造
行動指針: 量より質、プロセス重視、ゼロから考え直して
計画 : コンセプトデザイン重視
課題解決: 全員で寄って集って課題解決、ベストウエイソリューション、PDCAスパイラルアップ
風土 : 分かち合う。Wind(さわやかな風の吹く)Test → Wintest
利益処分: フェア(投資家、従業員、顧客、役員、社内留保)
人事 : 一流のもの、出る杭には油を、加点主義、将来を見据えたマネージメント
(2) 目標とする経営指標
「売上高経常利益率20%以上の確保、配当性向の30%の回復」を目標としております。このため当社は、ディスプレイ・ドライバIC向け検査装置を主軸とし、従来のイメージセンサーとディスプレイ分野向け検査装置、並びにその他検査装置の開発販売を継続、メインマーケットを日本国内から中国、台湾に移し事業の拡大を図るとともに、あらたな事業の柱とするべく、新エネルギー事業を始めとするIoT関連分野、福祉やヘルスケア分野へ進出することにより、売上の増大を図ってまいります。また徹底したコスト管理を行うことにより、目標とする利益率の確保に努めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社の検査装置の対象のひとつであるイメージセンサーの分野は、スマートフォン等の市場拡大と3眼化に伴い継続的な拡大が見込まれております。また、ディスプレイ分野もそれにつれ拡大、またそれらに使われる周辺部品も同様に量の増大が見込まれております。加えて、各製品の高画素化、高速化、高精細化がますます進んできており、それに伴い検査装置に対する技術的ニーズは高度化しておりますが、当社はこれらのニーズに対応すべく、製品開発、営業力の強化、顧客サポートの充実を一層推し進めてまいります。
さらに、ディスプレイの伸長(IHS調べ:年平均成長率CAGR4%)に合わせて需要増が見込まれる、ディスプレイ・ドライバIC分野並びにTDDR(タッチパネルIC)など、その周辺分野の検査装置の開発販売に注力し、コストパフォーマンスの非常に高い、当社独自の製品をマーケットに提供することにより、収益力の高い経営成績の安定した会社を目指す考えです。
2.経営環境
当連結会計年度におけるわが国の経済は、個人消費が持ち直し、企業収益も底固く推移するなど、緩やかな回復基調が続きました。今後も雇用・所得環境の改善により、景気の回復基調が続くと見込んでおりますが、米中貿易摩擦の長期化に伴う中国経済の減速や、海外経済の動向と政策に関する不確実性などもありその先行きに不透明な状況が続いております。
当社グループが属する半導体並びにフラットパネルディスプレイ業界におきましては、スマートフォン市場の成熟に伴い、需要は横ばい傾向と予測されていますが、通信の5G化技術が先導役となり4K、8Kなど画面の高精細化、また大型液晶テレビ関連デバイスや、車載パネル等に代表される「表示デバイス市場」は、スマートホンの2 画面化や拡大を受け、年平均成長率(CAGR)4%(IHI予測グラフによる)で安定的に成長しています。また物のIoT 化の進展により「半導体市場全般」は引き続き成長していますが、その需給バランスは米中問題も絡み、依然不安定であります。
3.対処すべき課題
当社グループの主要事業である半導体検査装置事業では、高度化、多様化するお客様の検査ニーズにお応えするため、検査技術の革新を進めるとともに、検査対象の拡充による事業の成長継続と、新たな成長分野での業粋拡大による更なる成長を目的として、以下の課題に取り組んでまいります。
(1)既存事業の拡充
① 検査装置機能の高速化及び機能性向上
当該分野は「日進月歩」ならぬ「分進秒歩」と揶揄される程、機能面での変化が速いことで知られる分野であり、その技術レベルが上がるごとにタイムリーな開発が必須となります。特に当社が「主力装置」と位置付けるLCDドライバIC検査装置はスマートフォンに代表される、進化の早い情報端末に多く使われ、かつ5G通信規格の実現とともにより早い技術革新が当該検査装置にも求められております。また、LCDドライバIC、CCD、CMOSイ
メージセンサー分野においては高品位、低コスト、高速化に加え、更にユーザーフレンドリーなGUI機能強化をそれぞれ推し進め、フラットパネルディスプレイ分野においては、新たな検査ニーズに対応する検査技術や手法
の開発を継続するとともに、随時開発体制の見直しと強化を行ってまいります。イメージセンサー分野においてはアジア方面をメインマーケットと捉え、低コスト、高品位、高速化をそれぞれ推し進め、ディスプレイ及び周辺IC分野においては、TDDI(タッチパネル一体型製品)への対応など、新たな検査ニーズに対応する検査技術や手法の開発を継続いたします。
② 営業力強化・顧客サポートの充実
当社は、中国・台湾のマーケットに参入するため、トップ営業戦略を推し進めており、現地中国代理店及び台湾代理店の協力を得ながら、検査装置の事業再生に取り組んでおりますが、中国の内製化政策の影響もあり、中国国内の顧客からは、一日も早い「拠点」の設立と立ち上げを求められています。メイドインジャパンのブランドを維持しつつ、優秀な人員を確保、拠点を整備し、顧客とのリレーションの構築、受注体制の拡充とスピードアップ、また、拠点からの直接サポート、納入ができる体制を整備することが、今後の中国マーケット攻略の大きな課題と考えております。
これまでの当社の中国市場攻略の成果として、中国の半導体メーカーから2018年11月にWTS-577LCDドライバIC検査装置の第1号機、続いて2019年1月には第2号機を受注し、いずれも納入を完了し、売上を計上しております。しかし、中国市場において事業を大きく展開していくためには、中国本土に拠点を設置し、中国顧客向けの装置のハード面とソフト面でのサポートの充実はもとより、数年後を目処に、基本部材や各種主要部品を日本から輸出し、最終組立工程を中国国産化するなどの戦略を進め、メイドインジャパンのブランドを守りつつ、コストの削減と顧客対応力の両方を強化、さらに最終組立工程のローカライズについては中国の国策である「内製化」政策に合致させる戦略を取り、中国国内マーケットへの深耕を図る予定です。具体的な戦略として、中国本土に組立工場を含む複数の拠点(営業とアフターサポート)を築くことが必要であり、その前提条件として、日本国内における開発力、製造組立技術の強化が必要であると考えます。
当社は、今後大きな成長を遂げるとされる中国マーケットに進出するため、2019年3月、大阪に開発・製造拠点を開設し、開発力・製造力の増強を行うと共に、新たなファイナンスをバックとして、中国で製造・組立拠点を整備し、営業・サポートのローカライズを推し進め、中国マーケットからの大量受注が可能な体制づくりに努めてまいります。
③ 大阪事業所の拡充・整備
当社は、2019年3月に山田電音株式会社から音響関連機器及び半導体検査装置の開発・製造・販売、ROM書込み事業を譲り受けました。それぞれの事業分野で高い技術と営業部門を継承いたしましたので、開発中の検査装置の開発力及び販売力を強化することができ、今後の既存事業の展開に有益であるとともに、当社グループの指向する新規事業分野において、ハード・ソフトのトータルシステム設計製造技術にも活用できることから、高いシナジー効果が見込まれます。また、山田電音株式会社から譲り受けた事業部門は、検査装置事業における組立工程において十分な技術力を有し、今後の新規事業推進に不可欠な設計力、組立て製造力をも備えた機動的な工場として、現在は、当社大阪事業所として事業活動を継続しておりますが、中長期的な安定供給体制を構築するための環境整備及び最新設備への更新が急務となります。
さらに、今回の事業譲り受けにより、よりスピーディーで顧客満足度の高いサービスの提供ができるとともに、コスト削減、品質管理及び海外からの大量受注の際の迅速な対応並びに納期の短縮などが見込まれます。今後、開発ツール等の更新、人材育成及び増員など組織の拡充を行い、より機動的にかつ最新の環境で、既存事業、新規事業における設計、開発そして組立て製造能力を強化するとともに、製造コストの削減、納期の短縮と品質の向上を目指し、顧客満足度を上げることで受注増を図ってまいります。
(2)新規事業による事業の多角化への取り組み
当社は、未来技術の獲得を目的に、産学連携を積極的に進め、それら市場への新規参入を計画、事業の多角化展開により、抜本的な事業構造の改革と収益基盤の拡充に取り組んでおります。
① 検査装置向け工場FA化機器技術「自重補償機構技術」(注)
当該技術については、学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、2019年3月には、重量キャンセル型アームの試作機を3号機まで完成させております。現在、特許等の対策につ
いて大学側と調整中です。将来の介護現場や農業、加えて被災地でのパワーアシスト機器等、数兆円規模にも及ぶ幅広いマーケットの存在を見据え、安全面の問題を解決した上で、当該技術は当社の検査装置の「マニピュレ
ータ」や、応用製品として「半導体製造工場内FA化システム」、「半導体工場内物流搬送システム」の他、完成品の「出荷倉庫」での「種まき方式荷物搬送システム」(棚から棚へ物流製品を移動、仕分けするシステム)
への応用が可能であることから、搬送重量300㎏程度までの重量物を移載することができる機器の製品化を目指します。
② 半導体IoTセンサー
当該分野では、幅広いマーケットへの応用が考えられるトータルソリューションを計画しています。茨城大学との部分影補償機能(太陽光パネルの効率向上)一体型コンバータの開発が完了し、2019年3月にはモニタリングソフトウエア(GUI)とともに、試作機を完成させました。2018年10月には、その技術の先進性を認められ、横浜市経済産業局からの「もの作り助成金」の対象に選ばれました。IoTセンサー技術並びにデータサーバー(ビッグデータ)ソフトウエア技術は、検査装置分野で必要とされる様々な方面へも幅広く、応用が可能であることから、2019年度中に「IoTセンサー」(センサーによる「センシング」と「通信部分」(データ転送に係る通信))の改善を含む最終製品化に向けてプロジェクトを進めております。 また、富山大学とアナログ位相再構成技術に関する共同研究を行っており、当社で研究中のDAコンバータ(デジタルメモリーに記録されているデジタル信号をアナログ信号に変換する技術)の技術と上記IoTセンサー技術を組み合わせることでより精度の高い信号の発生が可能となり、幅広い分野への応用が可能であるとことから、新たなシーズ技術の開発を行っております。
このように、当社が有する基礎技術は、IoTセンサーに不可欠となる信号の発生とセンシング(低周波から超音波などの広帯域波形の発生と計測、加えてノイズ低減技術)等幅広い分野への応用が可能であるため、今後の検査装置及びIoTセンサービジネスマーケットにおいて新たなシーズ技術の開発に活かしてまいります。
③ 新エネルギー事業の展開
新エネルギー事業では、太陽光発電システムの保守点検・整備・保証管理領域の案件獲得に加え、当年度からは新たにEPC(新規設置工事)も積極的に受注する戦略を取り、また、太陽光発電所に付帯する様々な機器の販売権を獲得、推進するとともに、産学連携による事業の多角化への取り組みとして、茨城大学と開発継続中の太陽光発電の効率改善機能「部分影補償機能」を併せ持つモニタリングシステムと他社にないユーザーフレンドリーな制御画面(GUI)の開発を進め、顧客の要望に高いレベルで応えるサービスを提供する計画です。
(注)検査装置向け工場FA化機器技術に使われる「自重補償機構技術」とは
一般的な「重量物搬送装置」は、電気モーターやエンジン等の動力源を持ち、かつ、重いカウンターウエイトや油圧・圧縮空気の出力を借りることで、数十キロから数百キロの重量物の移動をアシストしますが、装置が大掛りで重量が重くなることや、重量物に見合う外部動力が必要となるといった課題を有しています。これらの課題克服のため、当社と慶應義塾先端科学技術研究センターは、いかなる動力や重いカウンターウエイト、そして油圧・空圧機器をも使用しない「自重補償機構」の開発を進め、バネの弾性力を応用した軽量かつシンプルな構造を内蔵したロボットアームの継続開発を行っております。今般開発した試作機は、被搬送物の重量が変化した場合でもその重さに見合った自重補償ができる構造となっており、回転軸を除く各軸にて搬送する重量物の自重補償を達成し、自身の腕部分の自重をも含め、より安全な自重補償を成立させています。