有価証券報告書-第22期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/25 15:12
【資料】
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【項目】
152項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「お客様と株主の期待に応え、従業員に幸せを与え、社会に貢献する、常に世界一のシリコンウェーハメーカーを目指す」という経営理念のもと、半導体デバイスに使用される高品質のシリコンウェーハ製造において、大口径から小口径までカバーする幅広い製品展開力と技術力を有し、これらを最大限に活用し安定的な供給体制を構築することにより、社会の発展に貢献してまいります。特に、顧客からの極めて厳しい品質・コスト要求に応える技術力の向上に傾注し、シリコンウェーハ業界における地位の維持・向上を図ってまいります。
当社グループは、この基本方針のもと、事業基盤を更に強化し、事業の持続的成長を目指し、ステークホルダーの負託に応えてまいる所存であります。
(2)目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略
半導体シリコンウェーハは、短期的な変動要因はあるものの中長期的には半導体市場の成長とともに拡大していく見通しであります。最先端の微細化対応した300mmウェーハが成長を牽引します。一方、200mmウェーハは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による世界経済の減速が見られましたが、車載向けを中心に急回復しており、今後民生・産業の需要次第では、2021年以降本格的な需要回復が期待されるものと予想しております。
このような環境の中、主力製品である300mmウェーハについては、微細化技術の進展とともにますます厳しくなる高精度化の品質要求に対応する技術開発・投資による更なる差別化を図ってまいります。また、生産能力を上回る需要の対応については、経済合理性を充分に検討のうえ規律ある設備投資を随時個別に実施する所存であります。200mm以下のウェーハについては、市場環境に見合った適正な生産体制の充実を図ってまいります。また、コスト競争力の強化に加え、IoTや次世代通信規格(5G)向け等今後の需要拡大が期待される分野へ経営資源を集中し差別化を図ります。
なお、半導体シリコンウェーハは、市場環境の変化が大きい事業分野に位置しているため、引き続き収益の改善に努めるとともに、需要環境の変化に迅速かつ的確に対応できる企業体質の構築を図ってまいります。
また、当社グループは、財務体質の改善により、2015年の公募増資時に掲げた自己資本比率50%以上、グロスD/Eレシオ0.5倍以下とする中期財務目標を2019年末に達成いたしましたので、株主還元策を見直し、従前からの配当性向30%に加え、自己株式の取得により更に10%の株主還元を実施しております。
(3)経営環境及び対処すべき課題
足許の半導体用300mmシリコンウェーハ市場については、5G・スマートフォン・データセンター向け需要に牽引され、ロジック向けは需給のタイト感が更に強くなると予想しております。また、200mmウェーハについても車載・民生向け需要が急回復し、旺盛な需要が続くと見込んでおります。
このような環境のもと、当社グループでは、引き続き「SUMCOビジョン」に基づき、顧客の高精度化要求や製品の差別化に対応した技術開発により顧客での高いプレゼンスを維持するとともに、生産性の向上、価格適正化、及びコスト削減による損益の改善に努めてまいります。また、コロナ禍や米中貿易摩擦等の影響が懸念されるなか、市場環境の動きを慎重に注視してまいります。
設備投資につきましては、顧客に対する供給責任を果たし、その時々におけるウェーハ市場の需給予測や生産設備の新設・増強に要する時間等を考慮しながら、当社シェアに見合った規律ある設備投資を適宜実施してまいります。
シリコンウェーハの主要原材料である多結晶シリコンにつきましては、市場の急激な変化に伴い、長期購入契約締結時の需要予測と消費見通しに乖離が生じたことにより、現在余剰在庫を保有しております。その残高は、2016年度末をピークに減少に転じており、中長期的には適正水準に回復する見込みであります。なお、原材料在庫を含む「原材料及び貯蔵品」の残高は、対前年度末比73億円減の1,421億円となっております。
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