有価証券報告書-第23期(令和3年1月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/03/29 15:01
【資料】
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【項目】
143項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「お客様と株主の期待に応え、従業員に幸せを与え、社会に貢献する、常に世界一のシリコンウェーハメーカーを目指す」という経営理念のもと、半導体デバイスに使用される高品質のシリコンウェーハ製造において、大口径から小口径までカバーする幅広い製品展開力と世界をリードする高い技術力を有し、これらを最大限に活用し安定的な供給体制を構築することにより、社会の発展に貢献してまいります。特に、顧客からの極めて厳しい品質・コスト要求に応える技術力の向上に傾注し、シリコンウェーハの高精度化を進め、各種の半導体の進化をサポートすることで、シリコンウェーハ業界における地位の維持・向上を図るとともに、イノベーションの創出、スマートシティーの実現、省エネとクリーンエネルギーの普及、地球温暖化の防止など産業の発展と人々の生活の質の向上へ貢献してまいります。
当社グループは、この基本方針のもと、事業基盤をさらに強化し、事業の持続的成長を目指し、ステークホルダーの負託に応えてまいる所存であります。
(2) 目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略
半導体シリコンウェーハは、短期的な変動要因はあるものの中長期的には、データ通信量の増加、5Gスマートフォンの普及、HEV・EVの普及、自動運転の進展、テレワークの定着、デジタルトランスフォーメーション(DX)などの技術革新による半導体市場の成長とともに拡大していく見通しであります。とりわけ、当社が強みを持つ300mm半導体用最先端シリコンウェーハの需要は高水準かつ安定的に成長してきており、今後急速に拡大することが見込まれています。一方、200mmウェーハは、一時的に新型コロナウイルス感染症の影響による需要の低迷が見られましたが、車載・民生・産業向け需要の急速な回復により需給タイトな状況が継続するものと予想しております。このような環境の中、主力製品である300mmウェーハについては、微細化技術の進展とともにますます厳しくなる高精度化の品質要求に対応する技術開発・投資による更なる差別化を図ってまいります。また、生産能力を上回る需要の対応については、経済合理性を充分に検討のうえ規律ある設備投資を実施する所存であります。200mm以下のウェーハについては、市場環境に見合った適正な生産体制の充実を図ってまいります。また、コスト競争力の強化に加え、データ通信量の増加、自動運転の進展、デジタルトランスフォーメーション(DX)等、今後の需要拡大が期待される分野へ経営資源を集中し差別化を図ります。
なお、半導体シリコンウェーハは、市場環境の変化が大きい事業分野に位置しているため、引き続き収益の改善に努めるとともに、需要環境の変化に迅速かつ的確に対応できる企業体質の構築を図ってまいります。
また、当社グループは、社会課題の解決と持続的な企業価値の向上に向けて重点課題に取り組んでおります。当社はこれまでもCO2排出量、エネルギー使用量、化学物質使用量、産業廃棄物排出量、用水使用量等について削減目標を設けて取り組むほか、障がい者の積極的な採用を図ってまいりましたが、今後、新たにカーボンニュートラル及び女性活躍推進についての中長期的な目標を掲げ、活動を加速化してまいります。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
足許の半導体用300mmシリコンウェーハ市場については、5Gの普及、データ通信量の増加、テレワークの定着、デジタルトランスフォーメーション(DX)をはじめとする技術革新による半導体市場の成長等により需給が逼迫し、顧客の要請に応え切れない状況が継続すると想定しております。200mmウェーハについても、車載・民生・産業向けに旺盛な需要が続くと見込んでおります。
このような環境のもと、当社グループでは、引き続き「SUMCOビジョン」に基づき、顧客の高精度化要求や製品の差別化に対応した技術開発により、顧客での高いプレゼンスを維持するとともに、AI導入による生産性向上、価格適正化、及びコスト削減による損益の改善に努めてまいります。また、コロナ禍や米中貿易摩擦等の影響が懸念される中、市場環境の動きを注視し、リスクの最小化に努めてまいります。
設備投資につきましては、市場の成長に合わせた継続的な逐次増産を行ってまいりましたが、堅調な需要拡大を背景に、当社グループの製造設備では供給が需要に追い付かない状況となり、2021年9月、300mm半導体用最先端シリコンウェーハの段階的な増産を可能とするため、新たな建屋、ユーティリティ設備及び製造設備に係る2,287億円の設備投資の実施を決定いたしました。今後も顧客に対する供給責任を果たし、その時々におけるウェーハ市場の需給予測や製造設備の新設・増強に要する時間等を考慮しながら、規律ある設備投資を適宜実施してまいります。なお、増産に際しては、経済合理性のある価格と従来の長期販売契約(2~3年程度)よりも長期間の契約に応じていただける顧客に対する供給を優先して実施してまいります。
シリコンウェーハの主要原材料である多結晶シリコンにつきましては、市場の急激な変化に伴い、長期購入契約締結時の需要予測と消費見通しに乖離が生じたことにより、現在余剰在庫を保有しております。その残高は、2016年度末をピークに減少に転じており、今後5年程度で適正水準に回復する見込みとなっております。なお、原材料在庫を含む「原材料及び貯蔵品」の残高は、対前年度末比72億円減の1,349億円となっております。
また、当社グループは、社会課題の解決と持続的な企業価値の向上に向けて重点的に取り組む課題をマテリアリティ(重要課題)として特定し、ESG(環境・社会・ガバナンス)・SDGsに関する取組みを進めております。2021年9月に、カーボンニュートラル及び女性活躍推進についての中長期的な目標を新たに掲げており、さらに活動を加速してまいります。
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