有価証券報告書-第50期(2024/04/01-2025/03/31)
① 戦略
サステナビリティ向上のための取組を加速させるにあたり、今一度その範囲と優先順位を見直し、マテリアリティーを特定いたしました。今後はこのマテリアリティーに優先的に取り組むとともに、変化する外部情勢に柔軟に対応することで、サステナビリティ方針の実現を目指してまいります。
マテリアリティーの詳細(財務的リスク・機会ならびに正負のインパクト)
ここでは、リスク・機会を「直面する財務的なリスク」 「享受する財務的な機会」、インパクトについては「(他者へ)及ぼす正または負の影響」と定義いたします。当社グループのサステナビリティに関する取組は、産業印刷業界と当社グループの財務的な機会に繋がり、そして業界・社会・当社グループに正のインパクトをもたらすと言えます。同時に、当社グループの財務的リスク、ならびにステークホルダーへの負のインパクトの予防・低減も目指しております。マテリアリティー特定にあたっては、事業を取り巻く状況やその特性をふまえ、どのような機会・リスク・正負のインパクトが顕在化しているか、あるいは潜在的に存在するかを短期・中期・長期の時間軸で広く抽出したうえで、その重要性を数値で評価いたしました。また欧州に現地法人を有することから、欧州の開示規制で指定されている欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)を参考に特定を実施いたしました。
1. 評価バリューチェーン、ステークホルダー、時間軸の整理、評価トピックの決定
2. インパクト・リスク・機会(以下、IRO)特定、閾値の整理
3. 閾値に基づいたIROの評価
4. IROに関するステークホルダーエンゲージメントの実施(一部項目では未実施)
5. 重要なIROの決定、Mimaki Innovation 30に整合したマテリアリティーへの集約、サステナビリティ方針の策定
1~5においては、SDGs推進室が主導して各本部の意見を集約いたしました。最終的なマテリアリティー案とサステナビリティ方針案は、SDGs推進会議において各本部長と経営層による協議を経て社内の合意を形成の上、取締役会で社外取締役へ報告し、最終化としております。
上記の手順を経て特定した、特に重要な5つの項目の詳細は次の通りです。

A. 既存・新規事業を通じた産業用印刷のデジタル化 →機会・正のインパクトの増大
当社グループは産業用印刷機器等を市場に提供し、SG・IP・TA市場のデジタル化に貢献しております。既にノウハウを蓄積しているこのビジネスにおいて、既存の製品群の改善や高度化を続け、業界の課題解決と、当社グループのさらなる成長を目指します。加えて、Mimaki Innovation 30に基づきイノベーションとそれを起こす人的資本への投資を積極的に行い、新たな市場を開拓いたします。これはデジタル化による課題解決を、より多様な分野に展開していくためであります。業界・社会に正のインパクトをもたらすこれらの戦略は、中長期的な収益源の維持・確保、すなわち財務的な機会としても重要であります。
B. イノベーションを通じたサステナビリティへの貢献 →機会・正のインパクトの増大、負のインパクトの低減
気候変動や水質汚染、人手不足など、社会が抱える問題に対し、当社グループはイノベーターとして、技術力でソリューションを提案していきたいと考えております。デジタル・オンデマンド印刷を可能にする当社の製品史には、世界初の機能を誇る発明がいくつもあります。このイノベーションの歴史を、複雑化する社会課題の解決に役立てるべく、マテリアリティーとして今後も取り組んでまいります。具体的には、印刷工程で水を使わず、しかも簡単に多様な繊維素材へ顔料転写ができるシステム「TRAPIS」や、ポリエステル製広告アイテムから染料を脱色し、アップサイクルを可能にする「ネオクロマト・プロセス」(開発中)など、独自性のあるソリューションを展開しております。またMimaki Innovation 30においては、当社グループのコア技術の応用・発展により高粘度領域に進出し、Digital Paintの実現を目指しております。これらは当社グループの技術力がより広範な正のインパクトを社会に創出することを意味し、同時に当社グループの新たな収益源となる可能性を秘めております。
C. グループ人財の活躍と地域社会の活性化 →正のインパクトの増大、リスクの予防・低減
それぞれのマテリアリティーに取り組むうえで、長期的な成長および継続的な価値の提供のため、グループ従業員のさらなる成長・活躍と、地域社会の維持・発展を推進することが重要になると考えております。Mimaki Innovation 30の達成に向けては、オープンイノベーションを含めた多様な連携を展開し、技術開発から営業力強化に至るまで、全社的な専門教育の深化を通じて、新しさと違いを提供するイノベーターを創出してまいります。同時に、地域との連携を強化し、その活性化においてリーダーシップを発揮していく必要があります。雇用の創出による貢献という面では、借上社宅制度や帰省手当等の支給、地域の暮らし情報発信等により、勤務地域外に生活の本拠地がある社員にも働きやすい環境の整備に取り組んでおります。また、地域のスポーツクラブや美術館等の事業による文化振興、観光資源でもある季節の催事等への支援や参加を通じて、地元企業として微力ながら、活気あるまちづくりへの貢献を目指しております。こうした取組を通じて、当社グループ内外のステークホルダーに正のインパクトを提供してまいります。人的資本への投資が採用競争力を高め、人財の定着に繋がり、そして競争力の源となるイノベーションを促進する点、それから当社グループの人財獲得や地域支援が直接的・間接的に地域の都市機能の維持に貢献するという点では、これらの分野に取り組まないことが財務的なリスクになり得ると考えております。
D. 責任あるサプライチェーンの実現 →リスク・負のインパクトの予防・低減
事業の継続と成長に伴い、グローバルにビジネスを行う当社グループのサプライチェーンは今後も拡大が予想されます。このサプライチェーンにおいて人権侵害、森林破壊等、当社グループのステークホルダーに対する脅威となりうる事項の把握、予防、低減に努めることは、企業としての責任であります。同時に世界規模の課題である気候変動等に対しても、対応の緊急性をグループ全体で認識し、GHG排出量の削減や再生可能エネルギーの導入等の取組を積極的に行う必要があります。これらの対応も含めて、安定した製品供給とそのレジリエンスを確保するための事業継続計画の重要性の高まりを認識し、平時の準備を進めてまいります。こうした負のインパクトの予防・低減に適切に対処できない場合には、当社グループの事業に対する財務的なリスクが発生する可能性があります。
E. 企業成長に応じたガバナンスの徹底 →リスク・負のインパクトの予防・低減
当社グループにおいては、2020年に策定した中長期成長戦略「Mimaki V10」における、営業利益率10%の目標を1年前倒しで達成するなど、コロナ禍を経て成長を続けております。今後、新・中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」で定めた目標に向かうためには、ガバナンスの実効力をさらに高め、経営管理体制を強化することで、いわゆるVUCAの時代に生じる財務的なリスクを低減することが重要です。リスク予防・低減を適切に実施できない場合、具体的には法令違反や経営管理上の過誤等により、当社グループならびにそのステークホルダーへ負のインパクトが及ぶ可能性があります。そうした事態を防ぐべく、AIをはじめとするテクノロジーを最大限に活用し、従業員一人ひとりの業務効率・品質の向上や、DXによる内部統制の強化など、当社グループの成長速度と時代の流れに則したガバナンス体制・経営管理体制を維持できるよう、アップデートを継続してまいります。
戦略の実践として、当期に取り組んだサステナビリティ関連施策の一部を抜粋して記載いたします。
既存・新規事業を通じた産業用印刷のデジタル化
IP市場向け製品ラインナップへの「ちょうどいいサイズ-Just In Size」のJFX200-1213EX追加や、各地のTA市場で好評を博したDTFプリンタの、生産性を大幅に向上させた1600mm幅モデルの追加、同じくTA市場において「無水」のオンデマンド捺染を牽引するTx330-1800/1800Bの発表など、顧客のニーズを捉え、新しさと違いを提供する新製品を当期も多数投入いたしました。詳しくは、4(1)経営成績等の状況の概要をご参照ください。
イノベーションを通じたサステナビリティへの貢献
印刷済の生地から染料を脱色し、その再利用を可能とする「ネオクロマト・プロセス」の実用化に向け、株式会社ロフトの「ロフト グリーンプロジェクト」に全面協力いたしました。株式会社BP Labの運営する繊維循環プラットフォーム「BIOLOGIC LOOP」の協力のもと、ロフトの各店頭で使用された装飾用タペストリーの循環利用トライアルを行うことで、ポリエステル製広告表示物の廃棄削減の普及に向けた新たな歩みを進めました。また当期末には、日華化学株式会社・エレファンテック株式会社および当社の3社合同にて、「ネオクロマト加工」の開発と実用の展開で2024年度繊研合繊賞・サステイナブル部門賞を受賞いたしました。一方、当期に発表したSG市場向けのCJV200シリーズに搭載される新エコソルベントインク「SS22」は近年、世界的に使用規制が強化されているGBLという有機溶剤を含有せず、これまで以上に作業者の安全に配慮した製品であります。グループ会社においては、アルファーデザイン株式会社が半導体後工程自動化・標準化技術研究組合(SATAS)への加盟を発表いたしました。同社のコア技術であるフリップチップ搭載技術により、半導体製造の後工程の自動化・標準化への貢献を目指します。
グループ人財の活躍と地域社会の活性化に資する取組
国内外のグループ会社においても、各社が拠点を構える地域のイベント・事業の支援や、教育振興、多様な雇用の創出に貢献いたしました。各地域でのイベントが行われる際には、当社製品の貸し出しや、当社製品で出力した印刷物の提供を行いました。また、日本や欧米におけるインターン生の受入、オーストラリア等での学生の見学受入・就業体験の実施等を通じて、次世代の人財育成や当社グループ事業への理解促進に努めております。またトルコでは、これまで従業員やその家族へ提供していたホリデーギフトの一部を、慈善団体への寄付に変更いたしました。当社においては人事部内にオフィスサービスグループを新設し、障がいのある従業員が適性に応じた業務を行えるよう環境を整備し、積極的な雇用に取り組みました。
グループ人財に対しては、福利厚生制度の拡充、労働環境の改善、教育の実施などを行い、安心して成長・挑戦できる職場環境の整備に取り組みました。制度面では不妊治療に対する助成金の創設と特別休暇制度の拡充、人間ドック受診費用の補助や、全社的な年収水準の底上げ等、各社・各地の情勢等を鑑みて、安心して働ける環境の醸成に努めました。また製品入出荷時の従業員負担を軽減すべく省力化設備を導入したり、事務所の改装を行ったりと、安全な職場づくりに注力いたしました。教育面では、イノベーションの創出に向けて従業員の積極的な挑戦を促すべく、信州大学リスキリング教育短期プログラムによる専門教育を継続したほか、ブラジルやインドネシア、台湾をはじめとする子会社においても、社内教育を実施しました。さらに、ドイツや中国で従業員向けのイベントや満足度向上のためのワークショップを開く等、チームとしての成長や団結に資する施策も行っております。
責任あるサプライチェーンの実現に向けた取組
温室効果ガス排出量の削減に向けた第一歩である省エネ施策として、ガソリンの使用量を減らすべく、ブラジルでは社有車におけるバイオアルコール燃料の使用率を上昇させました。国内においては、社有車の一部を電気自動車に切り替え、その充電にはCO2フリー電力を用いることで、CO2排出量のさらなる削減に努めております。また海外子会社においては、保守パーツの管理方法改善を通じて環境負荷の高い輸送方法の使用低減や、ペットボトル使用量の削減を目指し、ウォーターサーバーの導入や個人の水筒等の使用推進を行っております。一方、森林の保全につながる新たなアプローチとして、適切な森林管理と温室効果ガスの吸収量増加につながる事業を応援すべく、「J-クレジット預金」への預入も実施いたしました。さらに、プラスチック使用量の低減によるCO2排出量の削減を特長とし、国内で先行販売していた紙製インクカートリッジを、当期より全世界に向け出荷開始いたしました。同製品は、2023 日本パッケージングコンテスト「工業包装部門賞」の受賞に続き、当期では、イギリスで開催されたthe Sign Industry Awards 2025において、当社販売代理店のHybrid Servicesを通じて”the Sustainable Product award”を受賞いたしました。
企業成長に応じたガバナンスの徹底
当期より、ガバナンス機能の補強を目的にグローバル管理プロジェクトを新設したこともあり、ワールドワイドで社内規程の見直しや強化が進められ、内部統制システムの実効性のさらなる向上を目指しました。また既存あるいは新たに策定した規程が適切に運用されるよう、社内教育を通じた落とし込みと運用開始後のチェックについても、確実な実施のための仕組み化を進めております。また、グループ各社内の各種申請手続きの電子化を引き続き進め、業務効率・品質の向上と相互牽制の両立にも取り組んでおります。
なお、これまでの取組全般に関しては、当社ウェブサイトの「サステナビリティ」ページで開示している、「長野県SDGs推進登録 具体的な取り組み(要件2)(様式第3号).pdf」 をご参照ください(https://ir.mimaki.com/about/sustainability/)。
サステナビリティ向上のための取組を加速させるにあたり、今一度その範囲と優先順位を見直し、マテリアリティーを特定いたしました。今後はこのマテリアリティーに優先的に取り組むとともに、変化する外部情勢に柔軟に対応することで、サステナビリティ方針の実現を目指してまいります。
マテリアリティーの詳細(財務的リスク・機会ならびに正負のインパクト)
ここでは、リスク・機会を「直面する財務的なリスク」 「享受する財務的な機会」、インパクトについては「(他者へ)及ぼす正または負の影響」と定義いたします。当社グループのサステナビリティに関する取組は、産業印刷業界と当社グループの財務的な機会に繋がり、そして業界・社会・当社グループに正のインパクトをもたらすと言えます。同時に、当社グループの財務的リスク、ならびにステークホルダーへの負のインパクトの予防・低減も目指しております。マテリアリティー特定にあたっては、事業を取り巻く状況やその特性をふまえ、どのような機会・リスク・正負のインパクトが顕在化しているか、あるいは潜在的に存在するかを短期・中期・長期の時間軸で広く抽出したうえで、その重要性を数値で評価いたしました。また欧州に現地法人を有することから、欧州の開示規制で指定されている欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)を参考に特定を実施いたしました。
1. 評価バリューチェーン、ステークホルダー、時間軸の整理、評価トピックの決定
2. インパクト・リスク・機会(以下、IRO)特定、閾値の整理
3. 閾値に基づいたIROの評価
4. IROに関するステークホルダーエンゲージメントの実施(一部項目では未実施)
5. 重要なIROの決定、Mimaki Innovation 30に整合したマテリアリティーへの集約、サステナビリティ方針の策定
1~5においては、SDGs推進室が主導して各本部の意見を集約いたしました。最終的なマテリアリティー案とサステナビリティ方針案は、SDGs推進会議において各本部長と経営層による協議を経て社内の合意を形成の上、取締役会で社外取締役へ報告し、最終化としております。
上記の手順を経て特定した、特に重要な5つの項目の詳細は次の通りです。

A. 既存・新規事業を通じた産業用印刷のデジタル化 →機会・正のインパクトの増大
当社グループは産業用印刷機器等を市場に提供し、SG・IP・TA市場のデジタル化に貢献しております。既にノウハウを蓄積しているこのビジネスにおいて、既存の製品群の改善や高度化を続け、業界の課題解決と、当社グループのさらなる成長を目指します。加えて、Mimaki Innovation 30に基づきイノベーションとそれを起こす人的資本への投資を積極的に行い、新たな市場を開拓いたします。これはデジタル化による課題解決を、より多様な分野に展開していくためであります。業界・社会に正のインパクトをもたらすこれらの戦略は、中長期的な収益源の維持・確保、すなわち財務的な機会としても重要であります。
B. イノベーションを通じたサステナビリティへの貢献 →機会・正のインパクトの増大、負のインパクトの低減
気候変動や水質汚染、人手不足など、社会が抱える問題に対し、当社グループはイノベーターとして、技術力でソリューションを提案していきたいと考えております。デジタル・オンデマンド印刷を可能にする当社の製品史には、世界初の機能を誇る発明がいくつもあります。このイノベーションの歴史を、複雑化する社会課題の解決に役立てるべく、マテリアリティーとして今後も取り組んでまいります。具体的には、印刷工程で水を使わず、しかも簡単に多様な繊維素材へ顔料転写ができるシステム「TRAPIS」や、ポリエステル製広告アイテムから染料を脱色し、アップサイクルを可能にする「ネオクロマト・プロセス」(開発中)など、独自性のあるソリューションを展開しております。またMimaki Innovation 30においては、当社グループのコア技術の応用・発展により高粘度領域に進出し、Digital Paintの実現を目指しております。これらは当社グループの技術力がより広範な正のインパクトを社会に創出することを意味し、同時に当社グループの新たな収益源となる可能性を秘めております。
C. グループ人財の活躍と地域社会の活性化 →正のインパクトの増大、リスクの予防・低減
それぞれのマテリアリティーに取り組むうえで、長期的な成長および継続的な価値の提供のため、グループ従業員のさらなる成長・活躍と、地域社会の維持・発展を推進することが重要になると考えております。Mimaki Innovation 30の達成に向けては、オープンイノベーションを含めた多様な連携を展開し、技術開発から営業力強化に至るまで、全社的な専門教育の深化を通じて、新しさと違いを提供するイノベーターを創出してまいります。同時に、地域との連携を強化し、その活性化においてリーダーシップを発揮していく必要があります。雇用の創出による貢献という面では、借上社宅制度や帰省手当等の支給、地域の暮らし情報発信等により、勤務地域外に生活の本拠地がある社員にも働きやすい環境の整備に取り組んでおります。また、地域のスポーツクラブや美術館等の事業による文化振興、観光資源でもある季節の催事等への支援や参加を通じて、地元企業として微力ながら、活気あるまちづくりへの貢献を目指しております。こうした取組を通じて、当社グループ内外のステークホルダーに正のインパクトを提供してまいります。人的資本への投資が採用競争力を高め、人財の定着に繋がり、そして競争力の源となるイノベーションを促進する点、それから当社グループの人財獲得や地域支援が直接的・間接的に地域の都市機能の維持に貢献するという点では、これらの分野に取り組まないことが財務的なリスクになり得ると考えております。
D. 責任あるサプライチェーンの実現 →リスク・負のインパクトの予防・低減
事業の継続と成長に伴い、グローバルにビジネスを行う当社グループのサプライチェーンは今後も拡大が予想されます。このサプライチェーンにおいて人権侵害、森林破壊等、当社グループのステークホルダーに対する脅威となりうる事項の把握、予防、低減に努めることは、企業としての責任であります。同時に世界規模の課題である気候変動等に対しても、対応の緊急性をグループ全体で認識し、GHG排出量の削減や再生可能エネルギーの導入等の取組を積極的に行う必要があります。これらの対応も含めて、安定した製品供給とそのレジリエンスを確保するための事業継続計画の重要性の高まりを認識し、平時の準備を進めてまいります。こうした負のインパクトの予防・低減に適切に対処できない場合には、当社グループの事業に対する財務的なリスクが発生する可能性があります。
E. 企業成長に応じたガバナンスの徹底 →リスク・負のインパクトの予防・低減
当社グループにおいては、2020年に策定した中長期成長戦略「Mimaki V10」における、営業利益率10%の目標を1年前倒しで達成するなど、コロナ禍を経て成長を続けております。今後、新・中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」で定めた目標に向かうためには、ガバナンスの実効力をさらに高め、経営管理体制を強化することで、いわゆるVUCAの時代に生じる財務的なリスクを低減することが重要です。リスク予防・低減を適切に実施できない場合、具体的には法令違反や経営管理上の過誤等により、当社グループならびにそのステークホルダーへ負のインパクトが及ぶ可能性があります。そうした事態を防ぐべく、AIをはじめとするテクノロジーを最大限に活用し、従業員一人ひとりの業務効率・品質の向上や、DXによる内部統制の強化など、当社グループの成長速度と時代の流れに則したガバナンス体制・経営管理体制を維持できるよう、アップデートを継続してまいります。
戦略の実践として、当期に取り組んだサステナビリティ関連施策の一部を抜粋して記載いたします。
既存・新規事業を通じた産業用印刷のデジタル化
IP市場向け製品ラインナップへの「ちょうどいいサイズ-Just In Size」のJFX200-1213EX追加や、各地のTA市場で好評を博したDTFプリンタの、生産性を大幅に向上させた1600mm幅モデルの追加、同じくTA市場において「無水」のオンデマンド捺染を牽引するTx330-1800/1800Bの発表など、顧客のニーズを捉え、新しさと違いを提供する新製品を当期も多数投入いたしました。詳しくは、4(1)経営成績等の状況の概要をご参照ください。
イノベーションを通じたサステナビリティへの貢献
印刷済の生地から染料を脱色し、その再利用を可能とする「ネオクロマト・プロセス」の実用化に向け、株式会社ロフトの「ロフト グリーンプロジェクト」に全面協力いたしました。株式会社BP Labの運営する繊維循環プラットフォーム「BIOLOGIC LOOP」の協力のもと、ロフトの各店頭で使用された装飾用タペストリーの循環利用トライアルを行うことで、ポリエステル製広告表示物の廃棄削減の普及に向けた新たな歩みを進めました。また当期末には、日華化学株式会社・エレファンテック株式会社および当社の3社合同にて、「ネオクロマト加工」の開発と実用の展開で2024年度繊研合繊賞・サステイナブル部門賞を受賞いたしました。一方、当期に発表したSG市場向けのCJV200シリーズに搭載される新エコソルベントインク「SS22」は近年、世界的に使用規制が強化されているGBLという有機溶剤を含有せず、これまで以上に作業者の安全に配慮した製品であります。グループ会社においては、アルファーデザイン株式会社が半導体後工程自動化・標準化技術研究組合(SATAS)への加盟を発表いたしました。同社のコア技術であるフリップチップ搭載技術により、半導体製造の後工程の自動化・標準化への貢献を目指します。
グループ人財の活躍と地域社会の活性化に資する取組
国内外のグループ会社においても、各社が拠点を構える地域のイベント・事業の支援や、教育振興、多様な雇用の創出に貢献いたしました。各地域でのイベントが行われる際には、当社製品の貸し出しや、当社製品で出力した印刷物の提供を行いました。また、日本や欧米におけるインターン生の受入、オーストラリア等での学生の見学受入・就業体験の実施等を通じて、次世代の人財育成や当社グループ事業への理解促進に努めております。またトルコでは、これまで従業員やその家族へ提供していたホリデーギフトの一部を、慈善団体への寄付に変更いたしました。当社においては人事部内にオフィスサービスグループを新設し、障がいのある従業員が適性に応じた業務を行えるよう環境を整備し、積極的な雇用に取り組みました。
グループ人財に対しては、福利厚生制度の拡充、労働環境の改善、教育の実施などを行い、安心して成長・挑戦できる職場環境の整備に取り組みました。制度面では不妊治療に対する助成金の創設と特別休暇制度の拡充、人間ドック受診費用の補助や、全社的な年収水準の底上げ等、各社・各地の情勢等を鑑みて、安心して働ける環境の醸成に努めました。また製品入出荷時の従業員負担を軽減すべく省力化設備を導入したり、事務所の改装を行ったりと、安全な職場づくりに注力いたしました。教育面では、イノベーションの創出に向けて従業員の積極的な挑戦を促すべく、信州大学リスキリング教育短期プログラムによる専門教育を継続したほか、ブラジルやインドネシア、台湾をはじめとする子会社においても、社内教育を実施しました。さらに、ドイツや中国で従業員向けのイベントや満足度向上のためのワークショップを開く等、チームとしての成長や団結に資する施策も行っております。
責任あるサプライチェーンの実現に向けた取組
温室効果ガス排出量の削減に向けた第一歩である省エネ施策として、ガソリンの使用量を減らすべく、ブラジルでは社有車におけるバイオアルコール燃料の使用率を上昇させました。国内においては、社有車の一部を電気自動車に切り替え、その充電にはCO2フリー電力を用いることで、CO2排出量のさらなる削減に努めております。また海外子会社においては、保守パーツの管理方法改善を通じて環境負荷の高い輸送方法の使用低減や、ペットボトル使用量の削減を目指し、ウォーターサーバーの導入や個人の水筒等の使用推進を行っております。一方、森林の保全につながる新たなアプローチとして、適切な森林管理と温室効果ガスの吸収量増加につながる事業を応援すべく、「J-クレジット預金」への預入も実施いたしました。さらに、プラスチック使用量の低減によるCO2排出量の削減を特長とし、国内で先行販売していた紙製インクカートリッジを、当期より全世界に向け出荷開始いたしました。同製品は、2023 日本パッケージングコンテスト「工業包装部門賞」の受賞に続き、当期では、イギリスで開催されたthe Sign Industry Awards 2025において、当社販売代理店のHybrid Servicesを通じて”the Sustainable Product award”を受賞いたしました。
企業成長に応じたガバナンスの徹底
当期より、ガバナンス機能の補強を目的にグローバル管理プロジェクトを新設したこともあり、ワールドワイドで社内規程の見直しや強化が進められ、内部統制システムの実効性のさらなる向上を目指しました。また既存あるいは新たに策定した規程が適切に運用されるよう、社内教育を通じた落とし込みと運用開始後のチェックについても、確実な実施のための仕組み化を進めております。また、グループ各社内の各種申請手続きの電子化を引き続き進め、業務効率・品質の向上と相互牽制の両立にも取り組んでおります。
なお、これまでの取組全般に関しては、当社ウェブサイトの「サステナビリティ」ページで開示している、「長野県SDGs推進登録 具体的な取り組み(要件2)(様式第3号).pdf」 をご参照ください(https://ir.mimaki.com/about/sustainability/)。