有価証券報告書-第51期(2025/04/01-2026/03/31)
① 戦略
マテリアリティの詳細(財務的リスク・機会ならびに正負のインパクト)
ここでは、リスク・機会を「直面する財務的なリスク」「享受する財務的な機会」、またインパクトについては「(他者へ)及ぼす正または負の影響」と定義いたします。マテリアリティ特定にあたっては、当社グループの事業を取り巻く状況やその特性を踏まえ、どのような機会・リスク・正負のインパクトが顕在化しているか、あるいは潜在的に存在するかを短期・中期・長期の時間軸で広く抽出したうえで、その重要性を数値で評価いたしました。また欧州に現地法人を有することから、欧州の開示規制で指定されている欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)を参考に特定を実施しております。
特に重要な5つの項目の詳細は次のとおりです。

A. 既存・新規事業を通じた産業用印刷のデジタル化 →機会・正のインパクトの増大
当社グループは産業用印刷機器等を市場に提供し、SG・IP・TA市場のデジタル化に貢献しております。既にノウハウを蓄積しているこのビジネスにおいて、既存の製品群の改善や高度化を続け、業界の課題解決と、当社グループのさらなる成長を目指します。加えて、Mimaki Innovation 30(以下、MI30)に基づきイノベーションとそれを起こす人的資本への投資を積極的に行い、新たな市場を開拓いたします。これはデジタル化による課題解決を、より多様な分野に展開していくためであります。業界・社会に正のインパクトをもたらすこれらの戦略は、中長期的な収益源の維持・確保、すなわち財務的な機会としても重要であります。
B. イノベーションを通じたサステナビリティへの貢献 →機会・正のインパクトの増大、負のインパクトの低減
気候変動や水質汚染、人手不足など、社会が抱える問題に対し、当社グループはイノベーターとして、技術力でソリューションを提案していきたいと考えております。デジタル・オンデマンド印刷を可能にする当社の製品史には、世界初の機能を誇る発明がいくつもあります。このイノベーションの歴史を、複雑化する社会課題の解決に役立てるべく、マテリアリティを掲げ、今後も取り組んでまいります。具体的には、印刷工程で水を使わず、簡単に多様な繊維素材へ顔料転写ができるシステム「TRAPIS」や、ポリエステル生地から染料を脱色し、アップサイクルを可能にする「ネオクロマト・プロセス」(開発中)など、独自性のあるソリューションの展開です。またMI30においては、当社グループのコア技術の応用・発展により高粘度領域に進出し、Digital Paintの実現を目指しております。これらは当社グループの技術力がより広範な正のインパクトを社会に創出することを意味し、同時に当社グループの新たな収益源となる可能性を秘めております。
C. グループ人財の活躍と地域社会の活性化 →正のインパクトの増大、リスクの予防・低減
それぞれのマテリアリティに取り組むうえで、長期的な成長及び継続的な価値の提供のため、グループ従業員のさらなる成長・活躍と、地域社会の維持・発展を推進することが重要になると考えております。MI30の達成に向けては、オープンイノベーションを含めた多様な連携を展開し、技術開発から営業力強化に至るまで、全社的な専門教育の深化を通じて、「新しさと違い」を提供するイノベーターを創出してまいります。同時に、地域との連携を強化し、その活性化においてリーダーシップを発揮していく必要があります。雇用創出の側面では、従業員が長く安心して就業を継続できるよう、借上げ社宅制度や帰省手当の支給など、勤務地域外に生活の本拠地がある社員にも配慮した取組みを行っております。また、地域のスポーツクラブや美術館等の事業を通じた文化振興、観光資源でもある季節の催事等への支援や参加を通じて、地元企業として、活気あるまちづくりへの貢献を目指しております。こうした取組みを通じて、当社グループ内外のステークホルダーに正のインパクトを提供してまいります。人的資本への投資が採用競争力を高め、人財の定着に繋がり、そして競争力の源となるイノベーションを促進する点、それから当社グループの人財獲得や地域支援が直接的・間接的に地域の都市機能の維持に貢献するという点では、これらの分野に取り組まないことが財務的なリスクになりうると考えております。
D. 責任あるサプライチェーンの実現 →リスク・負のインパクトの予防・低減
事業の継続と成長に伴い、グローバルにビジネスを行う当社グループのサプライチェーンは今後も拡大が予想されます。このサプライチェーンにおいて人権侵害、森林破壊等、当社グループのステークホルダーに対する脅威となりうる事項の把握、予防、低減に努めることは、企業としての責任であります。同時に世界規模の課題である気候変動等に対しても、対応の緊急性をグループ全体で認識し、GHG排出量の削減や再生可能エネルギーの導入等の取組みを積極的に行う必要があります。これらの対応も含めて、安定した製品供給とそのレジリエンスを確保するための事業継続計画の重要性の高まりを認識し、平時の準備を進めてまいります。こうした負のインパクトの予防・低減に適切に対処できない場合には、当社グループの事業に対する財務的なリスクが発生する可能性があります。
E. 企業成長に応じたガバナンスの徹底 →リスク・負のインパクトの予防・低減
当社グループにおいては、MI30で定めた目標の達成に向け、ガバナンスの実効性を一層高めるとともに経営管理体制を強化し、VUCAの時代において顕在化し得る財務リスクの低減を図ることが重要と考えます。リスク予防・低減を適切に実施できない場合、具体的には法令違反や経営管理上の過誤等により、当社グループならびにそのステークホルダーへ負のインパクトが及ぶ可能性があります。そうした事態を防ぐべく、AIをはじめとするテクノロジーを最大限に活用し、従業員一人ひとりの業務効率・品質の向上や、DXによる内部統制の強化など、当社グループの成長速度と時代の流れに則したガバナンス体制・経営管理体制を維持してまいります。
戦略の実践として、当期に取り組んだサステナビリティ関連施策の一部を抜粋して記載いたします。
既存・新規事業を通じた産業用印刷のデジタル化
IP市場向け製品として、従来機と比較してさらに「厚く盛る」「深く打つ」機能を充足し生産性・ランニングコスト削減を追求した「UJF-7151 plusII e」を発表しました。また、SG市場向け製品としては「高画質と誰でも使える簡単さ」のエントリーモデル「JV200-160/-130」や、プリント形状の課題を解決し高付加価値のプリントビジネスを創出する当社初のUV-DTF(UV硬化式-Direct To Film)プリンタ「UJV300DTF-75」を発売しました。さらに、グラフィック製作用の大判インクジェットプリンタ「330 シリーズ」の新製品として、ハイブリッドUVインクジェットプリンタ 「UJ330H-160」を発表しました。本製品はロール素材への出力に加え、リジット(ボード)素材のダイレクトプリントにも対応しています。TA市場向け製品としては、最大1,940mm幅のテキスタイルをシームレスに出力可能な「TS330-1800」や、初めて昇華転写プリンタを扱う方でも簡単に高品質な印刷ができる「TS200-1600」をラインナップに追加しました。今後も、顧客のニーズを捉え、「新しさと違い」を提供する新製品を継続して投入してまいります。詳しくは、4(1)経営成績等の状況の概要をご参照ください。
イノベーションを通じたサステナビリティへの貢献
2025年5月、人の健康及び環境への配慮を重視した次世代のUV硬化型インクを当社のUVインク製品ラインナップに新たに加えました。本製品は、欧州をはじめとするグローバル市場における環境規制への対応を目的としたものであり、SVHC*1に該当する物質を含まないインクです。
*1 欧州のREACH規制で定められる、特に人の健康や環境に重大な影響を与える恐れのある懸念物質
2025年9月に幕張メッセで開催された「サステナブル経営WEEK」では、宣伝用タペストリーやのぼり旗を脱色して再印刷することで、CO₂削減や資源循環に貢献する新たなアプローチ「ネオクロマト・プロセス」を来場者の皆様に提案しました。会場では、世界で初めて実機の参考展示を行い、大手小売業者、宣伝アイテム製造業者、行政機関等に向けて「再利用」を軸とした新たな付加価値モデルを紹介しました。2026年2月には、当社の高画質大判プリンタ「UCJV330シリーズ」と、それに搭載されるUV硬化型インク「LUS-200」及び「LUS-170」が3M™ MCS™ 保証プログラムに認定されました。3M™ MCS™ 保証プログラムは、お客様へ高品質なグラフィックスを届ける仕組みです。指定の材料を用いて本プログラムの認定店が製作したグラフィックスについて、最長6年の耐候性保証を提供します。看板をはじめとする各種グラフィック制作におけるタイムパフォーマンス・施工性に加え、長期間の耐候性保証という価値をお客様へ提供可能となりました。
当社はこれまで、デジタル・オンデマンド技術や、環境に配慮した製品展開の提供を通じて、CO₂排出量や廃棄物の削減、水使用量の抑制など、環境への負荷低減に取り組んできました。こうした取組みを進める中、近年、原材料調達から廃棄に至るサプライチェーン全体にわたる環境影響を把握・管理する重要性が高まってきており、環境負荷を体系的に管理するための社内体制構築を進めております。これにより、当社製品の使用を通じて得られる環境負荷削減効果を、より定量的で分かりやすい形でお客様に示していくことを目指してまいります。
グループ人財の活躍と地域社会の活性化に資する取組
少子高齢化の進展による人手不足や、業務の高度化・複雑化が進む中、限りある当社の人財が付加価値の高い業務に集中できるよう、基幹業務システム(ERP)周辺に存在する個別ツールや業務の整理・統合を進めるとともに、生成AIやローコードツール活用を業務支援の手段として活用し、業務プロセスの標準化・簡素化に取り組んでおります。これにより、従業員の業務負担の軽減や生産性の向上を図るとともに、組織全体の働き方改革につなげてまいります。また、国内グループ従業員を対象に、サステナビリティに関する教育動画の定期配信を開始しました。従業員が、多様性・包摂性への理解を深め、多様な人財が活躍できる職場づくりを推進してまいります。さらに、当期において当社は創立50周年という節目を迎えました。当社の歩みや価値観を、社内外関係者に共有することを目的に、社史を発行しました。
地域社会の活性化に資する取組みとしては、本社地区において、2026年度マイクロバスの運行開始に向けた準備を進めました。マイクロバスは、最寄り駅である滋野駅と加沢工場、牧家工場を結ぶルートで運行を予定しています。今後の安定的な運行を通じて従業員の利便性向上を図るとともに、当社従業員による公共交通の利用促進を通じ、地域交通インフラの維持・向上にも貢献してまいります。国内グループ会社においては、地域住民や関係者を対象とした「ミマキまつり」での工場見学会の実施、地域イベントへの参加・協賛等を通じ、地域社会との関係構築及びその維持・発展に取り組んでおります。また、地域スポーツチームや子育て支援団体へ協賛することより、地域コミュニティ活動の継続的な運営を支援しております。さらに、国内外においては、インターンシップの受入れや学生向けの職業体験、教育機関と連携したショールーム見学会・特別授業の実施により、人財育成及び地域における教育機会の提供を行っております。このほか海外拠点においては、地域イベントにて当社製品によるバナー印刷協力、社会貢献活動(寄付、教育支援等)を実施しております。グローバル社会への貢献としては、当社グループ会社協力のもと、国際医療NGOである認定特定非営利活動法人ジャパンハートがカンボジアで展開する医療活動を支援しました。新病院で着用されるユニフォームに、当社の印刷技術を活用した企業ロゴプリントを無償で提供しました。
責任あるサプライチェーンの実現に向けた取組
本社・加沢工場では、オンサイトPPA契約による再生可能エネルギー電力の利用を2025年6月より開始しました。工場の屋上に設置した太陽光発電設備により、年間電力使用量の約16%にあたる843MWhを賄う見込みです。外部からの電力供給依存度を低減し、エネルギー自給率を改善するとともに、事業継続性の向上に貢献します。また、同工場では、従来廃棄していた気泡緩衝材、ストレッチフィルムについて、回収業者と連携した資源回収を行い、再び製品化して再生・再利用する、ループリサイクルの運用を開始しました。あわせて、同工場から出荷されるインク集合梱包箱についても、管理された森林由来の原材料を使用したFSC®認証取得済み段ボールへ切り替えを進めています。さらに、装置の洗浄に使用する洗浄液について、段階的に蒸留設備を導入し蒸留再生を行うことで、資源の循環利用を推進しております。加えて当期は、導入から20年以上が経過していた社服を刷新しました。あわせて、外部のリサイクルスキームを活用し、旧社服を資源として回収し再資源化する取組みを実施しました。今後も、本スキームを活用した社服リサイクルを継続していく予定です。さらに、取引先との共存共栄を図る取組みとして、「パートナーシップ構築宣言」を行いました。本宣言に基づき取引先との適切な取引慣行の遵守やサプライチェーン全体での付加価値向上に向けた連携を進めてまいります。今後も関係者との対話を通じて、ともに持続可能な事業活動の実現に取り組んでまいります。
リスク管理の面では、事業継続体制の強化とレジリエンス向上を目的として、事業継続計画(BCP)策定に向け、非常時における製品供給・事業活動の継続性確保に向けた体制整備を進めています。当期は、サイバー攻撃や情報漏洩等のセキュリティリスクについてリスクアセスメントを実施し、情報セキュリティ管理規程等の見直しにより社内体制を強化しました。地震・風水害等の自然災害や、地政学的リスクを含む社会情勢の変化を踏まえた調達・物流に関するリスクについても、リスク評価及び対応整備を進めております。人権については、国内外のグループ会社を対象に人権リスクの調査を行うとともに、対応優先度の高いリスクを特定し、人権侵害リスクの把握・予防・低減に向けた体制整備を進める予定です。
企業成長に応じたガバナンスの徹底
ガバナンス機能の補強を目的に、グローバル管理室を中心に、グループ全体の社内規程等の見直しを進め、内部統制システムの実効性向上に取り組んでいます。あわせて、仕組みの整備、社内教育や運用状況の確認などを通じて、規程等ルールの定着を進めております。また、グループ各社内の各種申請手続きの電子化を進め、業務効率・品質の向上と相互牽制の強化に取り組んでおります。
なお、SDGsに関する取組みについては、当社ウェブサイトの「サステナビリティ」ページで開示している、「長野県SDGs推進登録 具体的な取り組み(要件2)(様式第3号).pdf」をご参照ください(https://ir.mimaki.com/about/sustainability/)。
マテリアリティの詳細(財務的リスク・機会ならびに正負のインパクト)
ここでは、リスク・機会を「直面する財務的なリスク」「享受する財務的な機会」、またインパクトについては「(他者へ)及ぼす正または負の影響」と定義いたします。マテリアリティ特定にあたっては、当社グループの事業を取り巻く状況やその特性を踏まえ、どのような機会・リスク・正負のインパクトが顕在化しているか、あるいは潜在的に存在するかを短期・中期・長期の時間軸で広く抽出したうえで、その重要性を数値で評価いたしました。また欧州に現地法人を有することから、欧州の開示規制で指定されている欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)を参考に特定を実施しております。
特に重要な5つの項目の詳細は次のとおりです。

A. 既存・新規事業を通じた産業用印刷のデジタル化 →機会・正のインパクトの増大
当社グループは産業用印刷機器等を市場に提供し、SG・IP・TA市場のデジタル化に貢献しております。既にノウハウを蓄積しているこのビジネスにおいて、既存の製品群の改善や高度化を続け、業界の課題解決と、当社グループのさらなる成長を目指します。加えて、Mimaki Innovation 30(以下、MI30)に基づきイノベーションとそれを起こす人的資本への投資を積極的に行い、新たな市場を開拓いたします。これはデジタル化による課題解決を、より多様な分野に展開していくためであります。業界・社会に正のインパクトをもたらすこれらの戦略は、中長期的な収益源の維持・確保、すなわち財務的な機会としても重要であります。
B. イノベーションを通じたサステナビリティへの貢献 →機会・正のインパクトの増大、負のインパクトの低減
気候変動や水質汚染、人手不足など、社会が抱える問題に対し、当社グループはイノベーターとして、技術力でソリューションを提案していきたいと考えております。デジタル・オンデマンド印刷を可能にする当社の製品史には、世界初の機能を誇る発明がいくつもあります。このイノベーションの歴史を、複雑化する社会課題の解決に役立てるべく、マテリアリティを掲げ、今後も取り組んでまいります。具体的には、印刷工程で水を使わず、簡単に多様な繊維素材へ顔料転写ができるシステム「TRAPIS」や、ポリエステル生地から染料を脱色し、アップサイクルを可能にする「ネオクロマト・プロセス」(開発中)など、独自性のあるソリューションの展開です。またMI30においては、当社グループのコア技術の応用・発展により高粘度領域に進出し、Digital Paintの実現を目指しております。これらは当社グループの技術力がより広範な正のインパクトを社会に創出することを意味し、同時に当社グループの新たな収益源となる可能性を秘めております。
C. グループ人財の活躍と地域社会の活性化 →正のインパクトの増大、リスクの予防・低減
それぞれのマテリアリティに取り組むうえで、長期的な成長及び継続的な価値の提供のため、グループ従業員のさらなる成長・活躍と、地域社会の維持・発展を推進することが重要になると考えております。MI30の達成に向けては、オープンイノベーションを含めた多様な連携を展開し、技術開発から営業力強化に至るまで、全社的な専門教育の深化を通じて、「新しさと違い」を提供するイノベーターを創出してまいります。同時に、地域との連携を強化し、その活性化においてリーダーシップを発揮していく必要があります。雇用創出の側面では、従業員が長く安心して就業を継続できるよう、借上げ社宅制度や帰省手当の支給など、勤務地域外に生活の本拠地がある社員にも配慮した取組みを行っております。また、地域のスポーツクラブや美術館等の事業を通じた文化振興、観光資源でもある季節の催事等への支援や参加を通じて、地元企業として、活気あるまちづくりへの貢献を目指しております。こうした取組みを通じて、当社グループ内外のステークホルダーに正のインパクトを提供してまいります。人的資本への投資が採用競争力を高め、人財の定着に繋がり、そして競争力の源となるイノベーションを促進する点、それから当社グループの人財獲得や地域支援が直接的・間接的に地域の都市機能の維持に貢献するという点では、これらの分野に取り組まないことが財務的なリスクになりうると考えております。
D. 責任あるサプライチェーンの実現 →リスク・負のインパクトの予防・低減
事業の継続と成長に伴い、グローバルにビジネスを行う当社グループのサプライチェーンは今後も拡大が予想されます。このサプライチェーンにおいて人権侵害、森林破壊等、当社グループのステークホルダーに対する脅威となりうる事項の把握、予防、低減に努めることは、企業としての責任であります。同時に世界規模の課題である気候変動等に対しても、対応の緊急性をグループ全体で認識し、GHG排出量の削減や再生可能エネルギーの導入等の取組みを積極的に行う必要があります。これらの対応も含めて、安定した製品供給とそのレジリエンスを確保するための事業継続計画の重要性の高まりを認識し、平時の準備を進めてまいります。こうした負のインパクトの予防・低減に適切に対処できない場合には、当社グループの事業に対する財務的なリスクが発生する可能性があります。
E. 企業成長に応じたガバナンスの徹底 →リスク・負のインパクトの予防・低減
当社グループにおいては、MI30で定めた目標の達成に向け、ガバナンスの実効性を一層高めるとともに経営管理体制を強化し、VUCAの時代において顕在化し得る財務リスクの低減を図ることが重要と考えます。リスク予防・低減を適切に実施できない場合、具体的には法令違反や経営管理上の過誤等により、当社グループならびにそのステークホルダーへ負のインパクトが及ぶ可能性があります。そうした事態を防ぐべく、AIをはじめとするテクノロジーを最大限に活用し、従業員一人ひとりの業務効率・品質の向上や、DXによる内部統制の強化など、当社グループの成長速度と時代の流れに則したガバナンス体制・経営管理体制を維持してまいります。
戦略の実践として、当期に取り組んだサステナビリティ関連施策の一部を抜粋して記載いたします。
既存・新規事業を通じた産業用印刷のデジタル化
IP市場向け製品として、従来機と比較してさらに「厚く盛る」「深く打つ」機能を充足し生産性・ランニングコスト削減を追求した「UJF-7151 plusII e」を発表しました。また、SG市場向け製品としては「高画質と誰でも使える簡単さ」のエントリーモデル「JV200-160/-130」や、プリント形状の課題を解決し高付加価値のプリントビジネスを創出する当社初のUV-DTF(UV硬化式-Direct To Film)プリンタ「UJV300DTF-75」を発売しました。さらに、グラフィック製作用の大判インクジェットプリンタ「330 シリーズ」の新製品として、ハイブリッドUVインクジェットプリンタ 「UJ330H-160」を発表しました。本製品はロール素材への出力に加え、リジット(ボード)素材のダイレクトプリントにも対応しています。TA市場向け製品としては、最大1,940mm幅のテキスタイルをシームレスに出力可能な「TS330-1800」や、初めて昇華転写プリンタを扱う方でも簡単に高品質な印刷ができる「TS200-1600」をラインナップに追加しました。今後も、顧客のニーズを捉え、「新しさと違い」を提供する新製品を継続して投入してまいります。詳しくは、4(1)経営成績等の状況の概要をご参照ください。
イノベーションを通じたサステナビリティへの貢献
2025年5月、人の健康及び環境への配慮を重視した次世代のUV硬化型インクを当社のUVインク製品ラインナップに新たに加えました。本製品は、欧州をはじめとするグローバル市場における環境規制への対応を目的としたものであり、SVHC*1に該当する物質を含まないインクです。
*1 欧州のREACH規制で定められる、特に人の健康や環境に重大な影響を与える恐れのある懸念物質
2025年9月に幕張メッセで開催された「サステナブル経営WEEK」では、宣伝用タペストリーやのぼり旗を脱色して再印刷することで、CO₂削減や資源循環に貢献する新たなアプローチ「ネオクロマト・プロセス」を来場者の皆様に提案しました。会場では、世界で初めて実機の参考展示を行い、大手小売業者、宣伝アイテム製造業者、行政機関等に向けて「再利用」を軸とした新たな付加価値モデルを紹介しました。2026年2月には、当社の高画質大判プリンタ「UCJV330シリーズ」と、それに搭載されるUV硬化型インク「LUS-200」及び「LUS-170」が3M™ MCS™ 保証プログラムに認定されました。3M™ MCS™ 保証プログラムは、お客様へ高品質なグラフィックスを届ける仕組みです。指定の材料を用いて本プログラムの認定店が製作したグラフィックスについて、最長6年の耐候性保証を提供します。看板をはじめとする各種グラフィック制作におけるタイムパフォーマンス・施工性に加え、長期間の耐候性保証という価値をお客様へ提供可能となりました。
当社はこれまで、デジタル・オンデマンド技術や、環境に配慮した製品展開の提供を通じて、CO₂排出量や廃棄物の削減、水使用量の抑制など、環境への負荷低減に取り組んできました。こうした取組みを進める中、近年、原材料調達から廃棄に至るサプライチェーン全体にわたる環境影響を把握・管理する重要性が高まってきており、環境負荷を体系的に管理するための社内体制構築を進めております。これにより、当社製品の使用を通じて得られる環境負荷削減効果を、より定量的で分かりやすい形でお客様に示していくことを目指してまいります。
グループ人財の活躍と地域社会の活性化に資する取組
少子高齢化の進展による人手不足や、業務の高度化・複雑化が進む中、限りある当社の人財が付加価値の高い業務に集中できるよう、基幹業務システム(ERP)周辺に存在する個別ツールや業務の整理・統合を進めるとともに、生成AIやローコードツール活用を業務支援の手段として活用し、業務プロセスの標準化・簡素化に取り組んでおります。これにより、従業員の業務負担の軽減や生産性の向上を図るとともに、組織全体の働き方改革につなげてまいります。また、国内グループ従業員を対象に、サステナビリティに関する教育動画の定期配信を開始しました。従業員が、多様性・包摂性への理解を深め、多様な人財が活躍できる職場づくりを推進してまいります。さらに、当期において当社は創立50周年という節目を迎えました。当社の歩みや価値観を、社内外関係者に共有することを目的に、社史を発行しました。
地域社会の活性化に資する取組みとしては、本社地区において、2026年度マイクロバスの運行開始に向けた準備を進めました。マイクロバスは、最寄り駅である滋野駅と加沢工場、牧家工場を結ぶルートで運行を予定しています。今後の安定的な運行を通じて従業員の利便性向上を図るとともに、当社従業員による公共交通の利用促進を通じ、地域交通インフラの維持・向上にも貢献してまいります。国内グループ会社においては、地域住民や関係者を対象とした「ミマキまつり」での工場見学会の実施、地域イベントへの参加・協賛等を通じ、地域社会との関係構築及びその維持・発展に取り組んでおります。また、地域スポーツチームや子育て支援団体へ協賛することより、地域コミュニティ活動の継続的な運営を支援しております。さらに、国内外においては、インターンシップの受入れや学生向けの職業体験、教育機関と連携したショールーム見学会・特別授業の実施により、人財育成及び地域における教育機会の提供を行っております。このほか海外拠点においては、地域イベントにて当社製品によるバナー印刷協力、社会貢献活動(寄付、教育支援等)を実施しております。グローバル社会への貢献としては、当社グループ会社協力のもと、国際医療NGOである認定特定非営利活動法人ジャパンハートがカンボジアで展開する医療活動を支援しました。新病院で着用されるユニフォームに、当社の印刷技術を活用した企業ロゴプリントを無償で提供しました。
責任あるサプライチェーンの実現に向けた取組
本社・加沢工場では、オンサイトPPA契約による再生可能エネルギー電力の利用を2025年6月より開始しました。工場の屋上に設置した太陽光発電設備により、年間電力使用量の約16%にあたる843MWhを賄う見込みです。外部からの電力供給依存度を低減し、エネルギー自給率を改善するとともに、事業継続性の向上に貢献します。また、同工場では、従来廃棄していた気泡緩衝材、ストレッチフィルムについて、回収業者と連携した資源回収を行い、再び製品化して再生・再利用する、ループリサイクルの運用を開始しました。あわせて、同工場から出荷されるインク集合梱包箱についても、管理された森林由来の原材料を使用したFSC®認証取得済み段ボールへ切り替えを進めています。さらに、装置の洗浄に使用する洗浄液について、段階的に蒸留設備を導入し蒸留再生を行うことで、資源の循環利用を推進しております。加えて当期は、導入から20年以上が経過していた社服を刷新しました。あわせて、外部のリサイクルスキームを活用し、旧社服を資源として回収し再資源化する取組みを実施しました。今後も、本スキームを活用した社服リサイクルを継続していく予定です。さらに、取引先との共存共栄を図る取組みとして、「パートナーシップ構築宣言」を行いました。本宣言に基づき取引先との適切な取引慣行の遵守やサプライチェーン全体での付加価値向上に向けた連携を進めてまいります。今後も関係者との対話を通じて、ともに持続可能な事業活動の実現に取り組んでまいります。
リスク管理の面では、事業継続体制の強化とレジリエンス向上を目的として、事業継続計画(BCP)策定に向け、非常時における製品供給・事業活動の継続性確保に向けた体制整備を進めています。当期は、サイバー攻撃や情報漏洩等のセキュリティリスクについてリスクアセスメントを実施し、情報セキュリティ管理規程等の見直しにより社内体制を強化しました。地震・風水害等の自然災害や、地政学的リスクを含む社会情勢の変化を踏まえた調達・物流に関するリスクについても、リスク評価及び対応整備を進めております。人権については、国内外のグループ会社を対象に人権リスクの調査を行うとともに、対応優先度の高いリスクを特定し、人権侵害リスクの把握・予防・低減に向けた体制整備を進める予定です。
企業成長に応じたガバナンスの徹底
ガバナンス機能の補強を目的に、グローバル管理室を中心に、グループ全体の社内規程等の見直しを進め、内部統制システムの実効性向上に取り組んでいます。あわせて、仕組みの整備、社内教育や運用状況の確認などを通じて、規程等ルールの定着を進めております。また、グループ各社内の各種申請手続きの電子化を進め、業務効率・品質の向上と相互牽制の強化に取り組んでおります。
なお、SDGsに関する取組みについては、当社ウェブサイトの「サステナビリティ」ページで開示している、「長野県SDGs推進登録 具体的な取り組み(要件2)(様式第3号).pdf」をご参照ください(https://ir.mimaki.com/about/sustainability/)。