有価証券報告書-第127期(2025/04/01-2026/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略・経営指標等
当社グループは、新造船事業など既存事業のさらなる「深化」と、長期的な成長に向け新たな事業展開による「進化」を基本戦略とし、グループの拡大・発展を目指した成長投資を加速させてまいります。
当社および函館どつく株式会社の新造船事業におきましては、政府のグリーントランスフォーメーション(GX)経済移行債を活用したゼロエミッション船等の生産設備整備・導入支援を受けた大型設備投資を開始しました。当社グループとしては、ゼロエミッション船等の国内建造シェアの拡大を図るとともに、IMO(国際海事機関)のGHG(温室効果ガス)削減戦略に掲げられた2050年頃までの排出ゼロに向け、2040年より前にゼロエミッション船建造比率100%体制の構築を目標としております。
修繕船事業におきましては、佐世保や函館・室蘭という地政学的な重要性を生かし、今後の経済安全保障政策に沿って設備と技術の強化を目指してまいります。
鉄構・機械事業につきましては、安定収益体制の確立に向け、建造技術力の強化によるシェアの拡大に取り組んでまいります。
財務面においては、今後の成長投資と造船業にとっては不可避とも言える不況期に備えた長期資金を、自己資金と金融機関や資本市場からの調達とのバランスが取れた最適な資本構成となるよう検討してまいります。
(2) 経営環境および対処すべき課題
① 新造船事業
2010年前後の大量竣工船の省燃費船やクリーンエネルギー船、ゼロエミッション船への代替により今後も需要が増加するものと予測されております。当社および函館どつく株式会社は技術開発力を強化するとともに、建造量拡大に向けた設備の増強とスマートファクトリー化を推進してまいります。
昨年10月、IMO(国際海事機関)におけるGHG(温室効果ガス)削減に向けた新たな規則の採択が米国などの反対により1年延期されたにも拘らず、荷主や国際社会の環境重視の姿勢は変わらず、日本国内の造船所・舶用メーカーとも新燃料船や関連技術の開発・対応は従来通り進める方針とされています。
昨年の中国の新造船受注量は記録的な高水準であり、操業度の大幅引上げに加えて休止工場の再稼働や新設・増設などにより建造能力を急拡大させ、大量一括受注を進めております。また、本年2月に中国商務省は、日本の重工系の造船所・舶用メーカーなどの現地工場に対する軍民両用品輸出を禁止し、当社グループにはこの輸出禁止措置による影響は現在のところ生じておりませんが、海事産業のさまざまな分野における中国の市場寡占化が進み、世界各国が懸念しております。
昨年12月に日本政府が公表した「造船業再生ロードマップ」では、我が国の安定的な海上輸送の確保のための造船業の再生がテーマとされており、2035年時点での目標として「日本の船は日本で造り日本で持つ」との考えのもと、「船舶建造体制の強靭化」などの課題に対し、「施設・設備整備による建造能力拡大」や「デジタルトランスフォーメーション(DX)やロボット・AI技術を駆使した建造プロセス全体の生産性向上」などの具体策が掲げられております。
当社グループも、我が国の安全保障体制の一翼を担う主要造船事業者として日本の海事産業群の中核となり、国の安全と地方経済を支えるために、今後も主要顧客の動向を注視し、高評価をいただいている主力商品においては完成度を高めて、競合他社との差別化を図るとともに調達網を再整備し、開発段階から調達、製造の現場まで一貫したコスト削減を徹底させ、スマートファクトリー化による生産性向上と効率改善を推進してまいります。
② 修繕船事業
当社グループにおきましては、夫々が地政学的に重要な地に位置する佐世保重工業株式会社、函館どつく株式会社函館造船所および室蘭製作所の3拠点が連携し、国内艦艇や巡視船などの修繕工事において実績を重ね、我が国の安全保障体制の維持・発展に貢献しております。
修繕船事業の主力事業である国内艦艇の修繕工事においては、「国家安全保障戦略」に基づく防衛・海上保安体制の拡充・整備による配備隻数と防衛予算の増加や地政学リスクの高まりによる海上自衛隊艦艇と海上保安庁巡視船の修繕ニーズが拡大しております。また、昨年10月には「日米造船協力に関する覚書」が締結されるなど造船・修繕分野での日米協力などの議論も進んでおり、米軍艦艇においても日本国内での修理の検討が本格的に進められております。さらに経済安全保障の観点から、民間船舶の国内修繕体制強化が重要視されており、客船、LNG運搬船、特殊船、RORO船、漁船などの技術難易度が高い民間案件にも積極的に取り組んでおります。
両社は、技術力の強化と設備の新設・更新による稼働率の改善により、規模の拡大と収益力の向上を目指します。佐世保重工業株式会社は新造船ドックの修繕船併用ドックへの改修工事を経て大型ドック2基を含む5基体制となり、設備的に国内最大級の修繕ヤードとして海上自衛隊基地や米海軍基地に隣接するという立地条件を活かした受け入れ態勢の強化を進めております。函館どつく株式会社におきましても、関東以北で唯一の大型船の修繕拠点として、地理的優位性を生かした需要を捉えてまいります。ただ3拠点とも設備の老朽化が激しく、近代化と能力増強が急がれます。
③ 鉄構・機械事業
国内鋼道路橋の発注量は重量ベースでは歴史的な低水準で推移しており、非常に厳しい受注環境となっております。
当社および函館どつく株式会社が担う鉄構橋梁部門におきましては、2025年度には複数の大型工事を受注し、一定の受注残高を確保しておりますが、グループ内の協力体制を構築し受注力を強化するため、2026年4月に室蘭営業所と佐世保営業所を、5月に熊本営業所を開設いたしました。営業力の強化と技術者の確保育成により、事業拡大と安定収益体制の構築を推進してまいります。
佐世保重工業株式会社が担う舶用機器部門は、新造船の需要増に伴って主力製品である舶用エンジン向けクランクシャフトの需要拡大が期待されております。生産効率の改善や設備の近代化による生産能力の増強により、販売シェアを拡大し、安定収益体制の構築に努めてまいります。
④ その他事業
当社グループにおきましては、市場環境の変化に応じた事業ポートフォリオの最適化を重視しており、中核事業以外のその他事業を担当するグループ各社におきましても収益体制を強化し、グループ収益基盤の強化・発展に貢献してまいります。
(1) 経営方針・経営戦略・経営指標等
当社グループは、新造船事業など既存事業のさらなる「深化」と、長期的な成長に向け新たな事業展開による「進化」を基本戦略とし、グループの拡大・発展を目指した成長投資を加速させてまいります。
当社および函館どつく株式会社の新造船事業におきましては、政府のグリーントランスフォーメーション(GX)経済移行債を活用したゼロエミッション船等の生産設備整備・導入支援を受けた大型設備投資を開始しました。当社グループとしては、ゼロエミッション船等の国内建造シェアの拡大を図るとともに、IMO(国際海事機関)のGHG(温室効果ガス)削減戦略に掲げられた2050年頃までの排出ゼロに向け、2040年より前にゼロエミッション船建造比率100%体制の構築を目標としております。
修繕船事業におきましては、佐世保や函館・室蘭という地政学的な重要性を生かし、今後の経済安全保障政策に沿って設備と技術の強化を目指してまいります。
鉄構・機械事業につきましては、安定収益体制の確立に向け、建造技術力の強化によるシェアの拡大に取り組んでまいります。
財務面においては、今後の成長投資と造船業にとっては不可避とも言える不況期に備えた長期資金を、自己資金と金融機関や資本市場からの調達とのバランスが取れた最適な資本構成となるよう検討してまいります。
(2) 経営環境および対処すべき課題
① 新造船事業
2010年前後の大量竣工船の省燃費船やクリーンエネルギー船、ゼロエミッション船への代替により今後も需要が増加するものと予測されております。当社および函館どつく株式会社は技術開発力を強化するとともに、建造量拡大に向けた設備の増強とスマートファクトリー化を推進してまいります。
昨年10月、IMO(国際海事機関)におけるGHG(温室効果ガス)削減に向けた新たな規則の採択が米国などの反対により1年延期されたにも拘らず、荷主や国際社会の環境重視の姿勢は変わらず、日本国内の造船所・舶用メーカーとも新燃料船や関連技術の開発・対応は従来通り進める方針とされています。
昨年の中国の新造船受注量は記録的な高水準であり、操業度の大幅引上げに加えて休止工場の再稼働や新設・増設などにより建造能力を急拡大させ、大量一括受注を進めております。また、本年2月に中国商務省は、日本の重工系の造船所・舶用メーカーなどの現地工場に対する軍民両用品輸出を禁止し、当社グループにはこの輸出禁止措置による影響は現在のところ生じておりませんが、海事産業のさまざまな分野における中国の市場寡占化が進み、世界各国が懸念しております。
昨年12月に日本政府が公表した「造船業再生ロードマップ」では、我が国の安定的な海上輸送の確保のための造船業の再生がテーマとされており、2035年時点での目標として「日本の船は日本で造り日本で持つ」との考えのもと、「船舶建造体制の強靭化」などの課題に対し、「施設・設備整備による建造能力拡大」や「デジタルトランスフォーメーション(DX)やロボット・AI技術を駆使した建造プロセス全体の生産性向上」などの具体策が掲げられております。
当社グループも、我が国の安全保障体制の一翼を担う主要造船事業者として日本の海事産業群の中核となり、国の安全と地方経済を支えるために、今後も主要顧客の動向を注視し、高評価をいただいている主力商品においては完成度を高めて、競合他社との差別化を図るとともに調達網を再整備し、開発段階から調達、製造の現場まで一貫したコスト削減を徹底させ、スマートファクトリー化による生産性向上と効率改善を推進してまいります。
② 修繕船事業
当社グループにおきましては、夫々が地政学的に重要な地に位置する佐世保重工業株式会社、函館どつく株式会社函館造船所および室蘭製作所の3拠点が連携し、国内艦艇や巡視船などの修繕工事において実績を重ね、我が国の安全保障体制の維持・発展に貢献しております。
修繕船事業の主力事業である国内艦艇の修繕工事においては、「国家安全保障戦略」に基づく防衛・海上保安体制の拡充・整備による配備隻数と防衛予算の増加や地政学リスクの高まりによる海上自衛隊艦艇と海上保安庁巡視船の修繕ニーズが拡大しております。また、昨年10月には「日米造船協力に関する覚書」が締結されるなど造船・修繕分野での日米協力などの議論も進んでおり、米軍艦艇においても日本国内での修理の検討が本格的に進められております。さらに経済安全保障の観点から、民間船舶の国内修繕体制強化が重要視されており、客船、LNG運搬船、特殊船、RORO船、漁船などの技術難易度が高い民間案件にも積極的に取り組んでおります。
両社は、技術力の強化と設備の新設・更新による稼働率の改善により、規模の拡大と収益力の向上を目指します。佐世保重工業株式会社は新造船ドックの修繕船併用ドックへの改修工事を経て大型ドック2基を含む5基体制となり、設備的に国内最大級の修繕ヤードとして海上自衛隊基地や米海軍基地に隣接するという立地条件を活かした受け入れ態勢の強化を進めております。函館どつく株式会社におきましても、関東以北で唯一の大型船の修繕拠点として、地理的優位性を生かした需要を捉えてまいります。ただ3拠点とも設備の老朽化が激しく、近代化と能力増強が急がれます。
③ 鉄構・機械事業
国内鋼道路橋の発注量は重量ベースでは歴史的な低水準で推移しており、非常に厳しい受注環境となっております。
当社および函館どつく株式会社が担う鉄構橋梁部門におきましては、2025年度には複数の大型工事を受注し、一定の受注残高を確保しておりますが、グループ内の協力体制を構築し受注力を強化するため、2026年4月に室蘭営業所と佐世保営業所を、5月に熊本営業所を開設いたしました。営業力の強化と技術者の確保育成により、事業拡大と安定収益体制の構築を推進してまいります。
佐世保重工業株式会社が担う舶用機器部門は、新造船の需要増に伴って主力製品である舶用エンジン向けクランクシャフトの需要拡大が期待されております。生産効率の改善や設備の近代化による生産能力の増強により、販売シェアを拡大し、安定収益体制の構築に努めてまいります。
④ その他事業
当社グループにおきましては、市場環境の変化に応じた事業ポートフォリオの最適化を重視しており、中核事業以外のその他事業を担当するグループ各社におきましても収益体制を強化し、グループ収益基盤の強化・発展に貢献してまいります。