有価証券報告書-第99期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 13:00
【資料】
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【項目】
132項目
4.重要な会計上の見積り及び判断
当社グループの連結財務諸表は、経営者の見積り及び仮定を含みます。これらの見積り及び仮定は過去の実績及び決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づきますが、将来において、これらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。
見積り及び仮定のうち、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある、主な見積り及び仮定は以下のとおりです。
(1) 非金融資産の減損
当社グループは、有形固定資産、のれん及び無形資産について、注記3(10)の会計方針に従って、減損テストを実施します。減損テストにおける回収可能価額の算定において、将来のキャッシュ・フロー、割引率等について仮定を設定します。これらの仮定については、経営者の最善の見積りと判断により決定しますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当連結会計年度は、AC事業に属する岐阜北工場については継続して営業損失が計上されていることから、減損の兆候があると判断し、減損テストを行いました。その結果、当該工場について、使用価値が固定資産の帳簿価額15,674百万円(有形固定資産14,786百万円、無形資産889百万円)を超えると判断したため、減損損失は計上しておりません。
岐阜北工場の回収可能価額は使用価値により測定しており、使用価値の算定は取締役会で承認された最新の事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローの見込み額、及び耐用年数終了時において資産の処分により受け取る正味キャッシュ・フローを、税引前加重平均資本コスト8.6%で割引いて算定しております。また、事業計画には新規製品の販売見込みや外部機関による市場の成長率の予測を加味しており、新型コロナウイルスの影響については、感染拡大による売上高の減少等の影響が翌連結会計年度まで継続するものと仮定しています。ただし、当社製品の主要な需要先の市場環境には高い不確実性を伴うため、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する固定資産の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 法人所得税
当社グループは、複数の租税区域の法人所得税の影響を受けます。世界各地における法人所得税の見積額を決定する際には、重要な判断が必要です。取引及び計算方法によっては、最終的な税額に不確実性を含むものも多くあります。当社グループは追加徴収が求められるかどうかの見積りに基づいて、予想される税務調査上の問題について負債を認識します。これらの問題に係る最終税額が当初に認識した金額と異なる場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
また、繰延税金資産は、将来減算一時差異を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識します。繰延税金資産の認識に際しては、課税所得が生じる可能性の判断において、将来獲得しうる課税所得の時期及び金額を合理的に見積り、金額を算定します。将来獲得しうる課税所得は、取締役会で承認された最新の事業計画を基に見積りを行っております。なお、当連結会計年度の繰延税金資産に計上した金額は7,657百万円です。
当連結会計年度において、事業計画は顧客の生産計画を基礎として作成しており、新規製品の販売見込みや外部機関による市場の成長率の予測を加味しています。また、新型コロナウイルスの影響については、感染拡大による売上高の減少等の影響が翌連結会計年度まで継続するものと仮定しています。
ただし、課税所得が生じる時期および金額は、当社製品の主要な需要先の市場環境には高い不確実性を伴うため、見直しが必要になった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 引当金及び偶発負債
当社グループは、製品保証引当金等、種々の引当金を連結財政状態計算書に計上しています。これらの引当金は、決算日における債務に関するリスク及び不確実性を考慮に入れた、債務の決済に要する支出の最善の見積りに基づいて計上されます。
債務の決済に要する支出額は、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しますが、予想しえない事象の発生や状況の変化によって影響を受ける可能性があり、実際の支払額が見積りと異なった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
また、偶発負債については、決算日におけるすべての利用可能な証拠を勘案し、その発生可能性及び金額的影響を考慮した上で開示します。
免震・制振用オイルダンパーの不適切行為に係る製品保証引当金に関しては、当社グループは、現時点において収集可能な情報、及びその情報が合理的な事実に基づくものであると判断された免震・制振用オイルダンパーの製作費用、交換工事に要する費用、構造再計算費用、及び補償等について製品保証引当金を計上しております。本件に関する当連結会計年度の製品保証引当金の残高は22,331百万円です。
当連結会計年度末において、状況が進捗したことから免震・制振用オイルダンパーの製作費用、交換工事に要する費用、構造再計算費用、及び補償等の製品保証引当金について繰入及び取崩を行っております。
当連結会計年度においては、2021年3月31日時点で交換が未完了の不適合品及び不明の対象製品全数(免震用オイルダンパー626本、制振用オイルダンパー1,715本の合計2,341本)、並びに台湾輸出品のうち交換が未完了の不適合品及び不明の対象製品全数を製品保証引当金の対象としております。
また、本件に関する製品保証引当金の計上にあたっては、引当対象となる免震・制振用オイルダンパーの交換本数及び交換工事を行う建築物の物件数、それぞれの構造ごとに過去実績や見積書を基に算出した工事単価、交換工事の実施に伴って発生する顧客や施主に対する補償費等の付随費用の見込額を織り込んでおります。
ただし、今後の交換工事の進捗等の状況により、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。