有価証券報告書-第122期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/14 15:29
【資料】
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【項目】
153項目
≪人財の育成および社内環境整備に関する方針、戦略≫
当社は、『「自律的に学び、考え、果敢に挑戦する」人財が、「認め合い、活かしあい」ながら、ともに成長し続けるチーム・組織をめざす』をスローガンに風土改革、人財変革、多様な人財活躍の3本柱で人財基盤を強化する取り組みを推進しています。
(1) 風土改革
当社では、経営理念の中に「人を大切にする明るい職場を築く」ことを掲げ、従業員1人ひとりが高い志とやりがいを持ち、イキイキと仕事することを通じて個人も会社も成長を実感できる風土づくり、職場づくりに取り組んでいます。
VUCAといわれる環境下において、企業が健全に成長するためには従業員エンゲージメントを向上させることが重要であるとの認識に立ち、2022年より半期ごとにサーベイを実施し、組織・従業員の状態を可視化しています。
調査結果を踏まえ、2023年には会社・経営陣が本気で会社風土を変えるための意思を示すための全社アクション「働きがい改革」の一環として、役員・幹部と従業員の対話会「愛三カタリバ」を開催し、延べ150回以上、1,600名以上の従業員が参加しました。
その他、各部門でエンゲージメント結果を踏まえた独自取り組みを進めてきた効果もあり、2023年の従業員エンゲージメントは全社で3Pts.上昇しました。また、設問項目別に見ると「自社への将来性」が15Pts.、「経営陣への信頼」が12Pts.増加しました。
今後は、対話文化を根付かせていくための「愛三カタリバ」の継続・深化に加え、調査結果から把握した課題を解決すべく、その他全社施策を展開予定です。
(2) 人財変革
現在の自動車業界は、CASE、MaaS、カーボンニュートラルへの対応など、変化が速く、大きく、激しい環境にあります。
他方、当社としては既存のパワートレイン製品事業の競争力強化による更なる成長、保有技術と強みを生かした脱炭素に資する新規領域の事業育成の両面に取り組んでいます。
当社が持続的に成長するためには、その屋台骨である人財の育成が重要なテーマの一つであり、とりわけ、イノベーションに挑戦し続ける人づくりに向け、ソフトウェア教育やDX教育、企業内訓練校(愛三学園)での電子テクノロジー講座の開設等、従業員のリスキリング、アップスキリングに対して積極的な投資を行なっています。2023年にはオンデマンド型学習ツールや学習管理システム「愛三マナビバ」を導入し、今後計画している「選抜型から自律型への教育体系の全面改訂」に向けて着々と準備を進めています。
従業員1人ひとりの成長を支えるマネジメントの在り方についても、管理型から支援型への変革を進めるべく、コーチング研修の強化や1on1ミーティングのトライアル導入にも取り組んでいます。
また、変革に向けてチャレンジする従業員を適正に評価・育成していくため2020年度から新人事制度を段階的に導入しています。2024年4月からは経営体制の構築・強化のため、業務執行における意思決定の迅速化を図るべく、執行役員と幹部職の間に新資格として「執行職」を新設いたしました。
今後は退職金制度の全面改訂と非管理職の賃金制度の見直しを実施予定です。
(3) 多様な人財活躍
取り巻く環境が激しく、価値観が多様化している現在において、新たな価値を生み出し社会に貢献していくためには、これまでの意識や働き方を変える必要性があります。
とりわけ、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)推進は当社の持続的成長に欠かせない経営戦略であるとのダイバーシティ宣言を発出以後、「認め合い、活かし合う」をキーメッセージに、年齢・性別・国籍・障がいの有無・時間的制約の有無に関係なく、多様な価値観を持つ人財が個性や能力を最大限発揮できるフィールドを整備しています。
当社では、女性活躍を重点課題と位置づけ、女性を対象とした研修会や座談会、外部有識者を招聘した健康推進セミナー、不妊治療セミナー、育児休業取得者を対象とした愛三パパママサロン(育児交流会)など、継続的に取り組んできました。
こうした活動が評価され、2022年7月には女性の活躍に関する取り組みの実施状況が優秀な企業に与えられる「えるぼし(2つ星)」に認定されました。また、2023年7月には仕事と育児の両立サポート企業として「くるみん」に認定されました。
2023年4月からはDEI推進における行動改革期の活動として、職場課題の解決に向けてワンチームとなる”イキイキ職場活動”をスタートしました。
2024年2月には部門長を対象にDEI推進ロードマップの中間報告会を実施し、結実期に向けた今後の取り組みと”全員活躍”への想いを共有しました。
なお、男性育児休業取得の理解度向上をねらいとしたマネジメント勉強会などの取り組みを継続した結果、2023年度の男性育児休業取得率は81.9%となり、前年比7.6%増となりました。
また、今後も海外売り上げの拡大が進んでいく中、海外現地でパフォーマンスを発揮できる駐在員や、日本から現地をサポートすることができる人財の需要が拡大していることから、当社グループとしてグローバル人財の育成が急務であるとの認識のもと、言語力・異文化理解・関係構築・グローバルビジネス意識の4要素の向上を目指し、意欲・素養のある人財に短期間の海外勤務機会を提供する海外トレーニー制度を立上げ、2024年度中にトライアル実施を計画しています。
また一方で、海外拠点が自立的に施策を実行できる体制を目指し、グループ全体で強固な人財基盤の構築に取り組んでいます。海外拠点のナショナルスタッフの幹部職人数の目標値を設定し、幹部候補の明確化と日本への短期留学制度や指導者による出前教育制度の構築、拠点毎のニーズに合わせた受入れ教育などを推進しています。
2022年8月には人権尊重の取り組みを推進するための「人権方針」を策定・発表しました。今後は、サプライヤーを含むすべてのビジネスパートナーにも同方針に基づく人権尊重の働きかけを実施し、サプライチェーン全体での人権尊重の取り組みを進めてまいります。