有価証券報告書-第99期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/23 15:00
【資料】
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【項目】
141項目
(2) 重要な戦略並びに指標及び目標
① 戦略
世の中に「存在を期待される企業」であり続けるため、当社グループは「すべての人に、“生活の可能性が拡がる喜び”を提供する」ことを2030年ビジョンとして掲げ、これまでのビジネスに加え、新たな価値創造に向けて全社一丸となって取り組んでいきます。
その中でも、年間3,000万人規模の製品を供給する世界一のパワーユニットメーカーとして「環境」と「安全」に徹底的に取り組んでいます。
<環境戦略>Triple Action to ZERO (環境負荷ゼロの循環型社会の実現に向けた取り組み)
当社グループは2050年に、製品だけでなく企業活動を含めたライフサイクルでの環境負荷ゼロをめざします。その柱となるのが、「カーボンニュートラル」「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション」の3つです(Triple Action to ZERO)。この取り組みによって、可能な限り地球資源の消費を抑制し、環境負荷ゼロの循環型社会の実現をめざします。
カーボンニュートラル(二酸化炭素排出量実質ゼロ)
「気候変動問題」への対応として、企業活動、および、製品ライフサイクル観点から排出されるCO2に対し、産業革命以前と比較した地球の平均気温上昇を1.5℃に抑える目標の達成をめざします。企業活動からのCO2排出量低減に向けて、生産効率向上、省エネルギー施策の導入、低炭素エネルギーへの転換、再生可能エネルギーの活用を推進していきます。製品使用時のCO2排出量低減に向けて、電動化をはじめとした環境革新技術の投入やエネルギーの多様化対応、トータルエネルギーマネジメントといった取り組みを推進していきます。
クリーンエネルギー(カーボンフリーエネルギー活用率 100%)
「エネルギー問題」への対応として、これまでのエネルギーのリスクを減らす取り組みを超えて、企業活動、および、製品使用において使用されるエネルギーをすべてクリーンなエネルギーにすることをめざします。企業活動における再生可能エネルギーの活用において、地域社会のCO2低減に直接的に貢献できる方法を優先して採用していきます。具体的には新たに再生エネルギーを活用した発電設備を設置することに重点を置き、自社敷地内への設置から検討を始め、順次敷地外まで範囲を広げて活用拡大に取り組んでいます。
リソースサーキュレーション(サステナブルマテリアル使用率 100%)
「資源の効率利用」への対応として、バッテリーのリユースやリサイクルをはじめとした、マテリアル・リサイクルに関する研究を進めます。これまでの、資源と廃棄におけるリスクを減らす取り組みを超えて、環境負荷のない持続可能な資源を使用した製品開発に挑戦します。
<安全戦略>先進国の交通事故ゼロに向けた対応
先進国においては2030年までに、全方位安全運転支援システム「Honda SENSING 360」や、歩行者保護・衝突性能の強化・先進事故自動通報(歩行者事故を含む)などの死亡事故シーンを100%カバーする技術を、四輪車全機種へ適用することをめざします。
新興国の交通事故死者ゼロに向けた対応
新興国においては2030年までに、二輪車・四輪車双方への安全技術をすべての機種へ展開するとともに、すべての人に安全教育の機会を提供することをめざします。二輪車の安全技術については、先進ブレーキ、視認性・被視認性を備えた灯火器を、より多くの二輪車に搭載していきます。また二輪車と四輪車の双方を担う当社グループの特長を活かした共存技術である、二輪検知機能付き「Honda SENSING」を、2021年の「VEZEL」以降の四輪車の新型モデルに順次投入しております。
全世界の交通事故死者ゼロに向けた対応
一人ひとりの能力や状態に合わせ、運転ミスやリスクを減らし安全・安心な運転へと誘導できる世界初(注1)のAI活用による「知能化運転支援技術」(注2)と、すべての交通参加者である人とモビリティが通信でつながることで、事故が起きる手前でリスクの予兆・回避をサポートする「安全・安心ネットワーク技術」により、当社グループが目標に掲げる「2050年に全世界で当社グループの二輪車・四輪車が関与する交通事故死者ゼロ」の実現をめざします。
(注) 1 当社調べ
2 AIを活用したリスクとの因果関係を視点の特徴量から求めた独自の注意推定モデル