訂正有価証券報告書-第117期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/06/17 16:30
【資料】
PDFをみる
【項目】
138項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、創業以来93年にわたり、日本の自動車産業の近代化の歴史と共に歩んでまいりました。また、自動車のみならず、産業機械、住宅機器の分野においても、安全性・快適性・信頼性・省エネ・耐環境性に関して独創的な機能を発揮する「電子・電装・機構・システム」商品を提供することにより、社会の発展に貢献することを目指しています。今後も更なるグローバルプレイヤーとしての地位を確固たるものとするため、グループの経営資源を有効活用し、収益力・経営基盤の強化を図ってまいります。
モノづくりのあくなき挑戦
当社は、1926年創業の長い歴史を持つ会社です。1986年のインドを皮切りに積極的に海外展開を進め、2013年フランスValeo社のアクセスメカニズム事業を買収し、大きく飛躍を遂げ、日本のモノづくりの精神をグローバルに発信し続けています。当社が作った製品は生活の中で皆様の身近なところにあり、自動車部品の鍵、ドアハンドル、操作パネル、他にも農業機械や産業機械の部品、住宅やホテルの鍵、ドアノブなど毎日の暮らしの中で、さまざまなユーシンの製品が活きています。今後も常に新しい価値を提供し続けてまいります。
ユーシンの対応力
頼れるサプライヤーに求められる柔軟な対応力。これもユーシンが誇る強みの一つです。メカニカルな機構設計から電子技術、そしてソフトウェアまで、さまざまなシステムを開発・設計し、生産まで一貫して手掛けています。グローバルな開発・生産拠点をもつ当社は、垣根を越えたチームワークで難しい案件にも意欲的にチャレンジします。そして、全世界の顧客の幅広いニーズに合わせた国際競争力のある製品を迅速に提供してまいります。
ユーシンプライド
国境を越えた日本品質の「モノづくりプライド」、それが当社の強みです。それはモノづくりにおいて何よりも大切で、普遍的なものです。例えば、それは粘り強く決してあきらめない「研究開発力」。広範な要素技術を生かした卓越した「技術力」。低コストで高品質な製品を造る「製造力」。自発的に真摯に取り組む「改善活動」。そして何より、プロフェッショナルとしての社員一人ひとりの「責任感と向上心」。私たちユーシン社員には、絶対に良い製品を作るという信念とプライドがあります。
ユーシンのダイバーシティ・マインド
「多様な視点を活かす組織は強い。」ユーシンはそう考えます。
ユーシンは性別、国籍、年齢を問わず優秀な人材を積極的に登用し、適材適所に配置することで、全世界の顧客の求める多様なニーズに対応しております。今後もダイバーシティを促進し、ステークホルダーと共に新しい価値を創造してまいります。
真のグローバルサプライヤー
ユーシンは、世界の名だたる自動車メーカーと取引関係を有し、商品ラインナップにおいても世界トップクラスのグローバルシェアを維持しております。今後も真のグローバルサプライヤーとして、更に飛躍してまいります。
(2) 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略等
当社グループは、2017年12月期に策定した中長期計画における経営スローガンを「飛躍へのターンアラウンド」、経営指標を「連結営業利益率5%以上の達成」とし、達成に向けて下記に掲載する6項目になる基本方針を掲げて活動しております。
成長の為
の活動
1.拡販による市場シェアの拡大と得意先別製品網羅率の拡大
2.競争力のある製品の確立
損益改善の為
の活動
3.コスト競争力の強化
4.品質ロスの低減、クレーム費の撲滅
5.間接費の低減
法令遵守6.法令の遵守とガバナンスの強化

(3) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、当連結会計年度末現在、当社、子会社28社及び関連会社2社の合計31社で構成され、自動車部品、産業機械用部品及び住宅機器用部品(ビル・住宅用錠前その他)の開発・生産・販売事業を主たる事業としております。
当社グループの最大の事業部門である自動車部門においては、近年、IT化、高機能化及び電動化等に伴う技術革新が急速に進んでおり、そのような事業環境下で、当社は、従来型の鍵を代替する製品として自動車メーカーの信頼に足りる高いセキュリティレベルを確保した電子錠等、電装・機構・電子・システム等の分野における最新技術を開発し、顧客である自動車メーカーの要望に応えてまいりました。その結果、当社はメカニカルな設計機構から電子技術、ソフトウェアに至るまで、多様な自動車部品に関して開発設計から生産まで一貫して行っており、近年ではパワークロージャーシステム(リアゲートの自動開閉システム)、フラッシュハンドル(ドアハンドルの自動格納システム)等のシステム商品を開発し、顧客に提案を続けております。自動車部門で培ったセキュリティ技術は、産業機械部門及び住宅機器部門の分野においても応用し、製品化しており、それらの事業部門においても、刻々と変化する市場ニーズに応え発展してまいりました。
また、国内外に生産拠点を持つ国内自動車メーカー等に対して機動的なサポートを提供するために積極的な海外展開も継続して行っており、現在では世界15か国(日本、中国、タイ、マレーシア、インド、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ハンガリー、スロバキア、ロシア、アメリカ、メキシコ、ブラジル)に生産、営業及び開発の拠点を有しております。
以上のように、主要セグメントである自動車部門において、当社グループは、これまで積極的な海外展開を行ってまいりました。しかし、グローバルな自動車市場においては、新興国市場で引き続き需要が拡大していくことが予想される一方で、アメリカや日本の市場における需要減少、中国市場の成長鈍化等の傾向が見られ、今後の自動車市場の先行きは予断を許しません。
また、自動車産業におけるIT化、高機能化、電動化等に伴う急速な技術革新の中、(i)一層高度な電子技術やシステム開発等を伴う製品や、(ii)これまでに自動車部品として用いられていなかったセンサーや通信等の新技術を用いた製品への需要が急速に高まっており、そのような自動車メーカーからの要望に応えるためには、自動車部品メーカーにおいてそれらの新技術の開発・拡大等を継続的に行い得る体制を整備し、技術開発等への投資を実施し続けることが必要不可欠となっております。
そのような自動車市場の厳しい事業環境を反映して、自動車メーカーは自動車部品メーカーの選定を一層強化しております。自動車部品メーカーにおいては、特に欧州系大手メーカーを中心として、積極的なM&Aを通して事業の選択と集中が行われる等、自動車部品メーカーにおける競争環境もまた、激化の一途を辿っております。
このような厳しい経営環境の中、当社グループは、2017年1月には、新たに2017年12月期から2021年12月期までの中期経営計画を策定し、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指して、「飛躍へのターンアラウンド」をスローガンに、(i)新たな技術開発を伴う競争力ある製品の確立及び(ii)品質改善、生産性の向上や経営管理体制の強化による欧州事業の抜本的な立て直し等に重点的に取り組んでまいりました。特に、急速な技術革新による大きな変革期を迎えている自動車市場において、今後も、当社グループが生き残っていくためには、欧州系大手自動車メーカーを中心として、自動車メーカー各社との間においてグローバルに新技術に関する交流を行うことが不可欠であり、かかる観点から欧州事業は当社グループの今後の成長のために極めて重要な事業拠点であると当社グループは考えております。そのため、欧州事業を立て直し、成長させていくことを、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために特に重要な課題と位置づけ、取り組んでまいります。
生産現場では、良いものをお客様に届けること、利益を出すことが基準となります。これからも引き続き、良いものを造り、適正価格で販売し、生産の無駄を省き、経費の最小化を行い、「飛躍へのターンアラウンド」をスローガンに、企業価値の最大化を図ってまいります。