有価証券報告書-第116期(平成28年12月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/29 15:41
【資料】
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【項目】
141項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、創業以来92年にわたり、日本の自動車産業の近代化の歴史と共に歩んでまいりました。また、自動車のみならず、産業機械、住宅機器の分野においても、安全性・快適性・信頼性・省エネ・耐環境性に関して独創的な機能を発揮する「電子・電装・機構・システム」商品を提供することにより、社会の発展に貢献することを目指しています。今後も更なるグローバルプレイヤーとしての地位を確固たるものとするため、グループの経営資源を有効活用し、収益力・経営基盤の強化を図ってまいります。
モノづくりのあくなき挑戦
当社は、1926年創業の長い歴史を持つ会社です。1986年のインドを皮切りに積極的に海外展開を進め、2013年フランスValeo社のアクセスメカニズム事業を買収し、大きく飛躍を遂げました。2016年は創立90周年を迎え、日本のモノづくりの精神をグローバルに発信し続けています。当社が作った製品は生活の中で皆様の身近なところにあり、自動車部品の鍵、ドアハンドル、操作パネル、他にも農業機械や産業機械の部品、住宅やホテルの鍵、ドアノブなど毎日の暮らしの中で、さまざまなユーシンの製品が活きています。今後も常に新しい価値を提供し続けてまいります。
ユーシンの対応力
頼れるサプライヤーに求められる柔軟な対応力。これもユーシンが誇る強みの一つです。メカニカルな機構設計から電子技術、そしてソフトウェアまで、さまざまなシステムを開発・設計し、生産まで一貫して手掛けています。グローバルな開発・生産拠点をもつ当社は、垣根を越えたチームワークで難しい案件にも意欲的にチャレンジします。そして、全世界の顧客の幅広いニーズに合わせた国際競争力のある製品を迅速に提供してまいります。
ユーシンプライド
国境を越えた日本品質の「モノづくりプライド」、それが当社の強みです。それはモノづくりにおいて何よりも大切で、普遍的なものです。例えば、それは粘り強く決してあきらめない「研究開発力」。広範な要素技術を生かした卓越した「技術力」。低コストで高品質な製品を造る「製造力」。自発的に真摯に取り組む「改善活動」。そして何より、プロフェッショナルとしての社員一人ひとりの「責任感と向上心」。私たちユーシン社員には、絶対に良い製品を作るという信念とプライドがあります。
ユーシンのダイバーシティ・マインド
「多様な視点を活かす組織は強い。」ユーシンはそう考えます。
ユーシンは性別、国籍、年齢を問わず優秀な人材を積極的に登用し、適材適所に配置することで、全世界の顧客の求める多様なニーズに対応しております。今後もダイバーシティを促進し、ステークホルダーと共に新しい価値を創造してまいります。
真のグローバルサプライヤー
ユーシンは、世界の名だたる自動車メーカーと取引関係を有し、商品ラインナップにおいても世界トップクラスのグローバルシェアを維持しております。今後も真のグローバルサプライヤーとして、更に飛躍してまいります。
(2) 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略等
当社グループは、中長期計画における経営スローガンを「飛躍へのターンアラウンド」、経営指標を「連結営業利益率5%以上の達成」とし、達成に向けて下記に掲載する6項目になる基本方針を掲げて活動しております。
成長の為
の活動
1.拡販による市場シェアの拡大と得意先別製品網羅率の拡大
2.競争力のある製品の確立
損益改善の為
の活動
3.コスト競争力の強化
4.品質ロスの低減、クレーム費の撲滅
5.間接費の低減
法令遵守6.法令の遵守とガバナンスの強化


(3) 経営環境及び対処すべき課題
① 自動車部門
当社は、既に世界15ヶ国に生産、営業及び開発拠点(日本、中国、タイ、マレーシア、インド、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ハンガリー、スロバキア、ロシア、アメリカ、メキシコ、ブラジル)を有し、顧客関係においても世界で名だたる自動車メーカー全社と取引をしております。また、商品ラインアップにおいてもキーセット、ハンドル、電動ステアリングロック等の分野においてグローバルに高いシェアを獲得する等大きく飛躍を遂げてきました。更に世界自動車市場も成長を続けており、中長期の生産台数予測でも成長が見込まれておりますので、当社としても業績拡大を図る大きなチャンスとなっております。
特に世界最大市場である中国においては、中国江蘇省無錫市において新工場建設を完成させ、2018年には本格稼働させていく計画となっております。更に、2018年に広東省中山市で現在保有する工場の拡張を計画しております。ヨーロッパ拠点へは、生産設備増強や生産の自動化を計画しております。ブラジルへは、市場動向を見極めながら適切に対処してまいります。今後も引き続き、現在保有する経営資源の有効活用と成長のための有効な投資、新製品開発による商品ラインアップの拡充を続け、グローバルで自動車市場を獲得し、更なる業績の拡大を図ってまいります。
② 産業機械及び住宅機器部門
産業機械部門は自動車部門同様、世界の農機、建機、工作機械のこの先5年の市場は成長傾向にあり当社にとって業績拡大を図る大きなチャンスとなっております。ただし、シェアを大きく獲得している国内の市場については横ばいの予測となっており、海外、特に今後伸びの大きな中国市場やASEAN市場、依然として大きな市場であるが、まだシェアを大きく取れていないアメリカ市場の獲得が業績拡大の鍵となっております。現在、その課題に対処すべく中国、タイ、アメリカに営業所又は営業機能を配置し、海外での業績拡大に注力し、産機部門の業績拡大を図っております。また、農業機械のIoT、ICT化に対応した新製品の拡販や新技術の提案も行っており、製品ラインアップ拡充による業績拡大も図ってまいります。
住宅機器部門は自動車部品技術との融合・応用により高品質、高機能な新製品を開発し、現在取引先へ拡販活動を行っており、将来に向けた業績拡大を図っております。
③ 法令の遵守とガバナンスの強化
当社は、ガバナンスの強化を図るべく、役員報酬決定に係るプロセスの客観性及び透明性を確保することを目的として2017年2月に報酬委員会の設置を行いました。また、経営の意思決定及び業務執行機能を分断・強化して経営の合理化と効率化を図ることを目的として2018年1月より執行役員制度の導入を行いました。更に、専門的な知見に基づく客観的かつ適切な監督又は監査といった機能及び役割を発揮し、一般株主様と利益相反が生じる恐れが無いことをより明確にすることを目的として2018年2月に社外取締役の独立性基準の策定を行いました。そして、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会の構成員とすることにより、取締役会の監査・監督機能を強化し、コーポレートガバナンスを一層充実させるとともに、業務執行を行う取締役及び執行役員への権限委譲により迅速な意思決定を行い、経営の効率化を高めることを目的とし、2018年3月28日開催の第116回定時株主総会において、必要な定款変更についてご承認をいただき、監査等委員会設置会社に移行しました。
これからも、風通しの良い組織を目指してグループ全体の更なる改革を推進してまいります。
生産現場では、良いものをお客様に届けること、利益を出すことが基準となります。良いものを造り、適正価格で販売し、生産の無駄を省き、経費の最小化が不可欠であります。「飛躍へのターンアラウンド」を目指し、邁進してまいります。