有価証券報告書-第116期(平成28年12月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/29 15:41
【資料】
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【項目】
141項目

研究開発活動

当社グループでは市場環境の変化と多様化するお客様のニーズに応えることを第一に、独創的で競争力のある製品を提供できるよう研究開発に取り組んでおります。
世界市場においては、新たな価値を付加した新型車の開発が活発に行われると同時に、低価格化、小型化、軽量化のニーズも継続されています。このような環境下、開発部門におきましては、平成25年に取得したValeo社のUAM事業部との機能統合を推進し、グローバルな組織体制の下、最新のトレンドを低価格でお客様に提供できるよう研究開発を推進しています。
これらの研究開発活動は当社開発本部を中核として進められていますが、自動車分野で生まれた技術を基に産業機械、住宅機器に応用した商品開発も同時に進めています。研究開発スタッフは連結会社を含む当社グループ全体で467名(従業員全体の6.9%)であります。当連結会計年度研究開発費は5,634百万円(売上高比3.3%)を支出していますが、何れも互いに技術を共用していますので、セグメント別実績は区分しておりません。
主な研究開発成果等は以下のとおりです。
(1) 自動車部門
現在生産しているキーセット、ドアラッチ、電動ステアリングロック、ドアハンドル、スイッチ、ヒーターコントロールなどの主力製品を更に改良し、グローバルに事業拡大していくとともに、新技術開発により新たな製品群を創出すべく研究開発活動を続けております。以下に新規開発製品(提案品)をご紹介します。
パワークロージャーシステム
リヤゲートを自動開閉させるパワークロージャーシステムにおきましては、静音化と小型軽量化を狙った新型CSD(Compact Spindle Drive)及びその駆動制御用ECUを同時開発し、お客様へはフルシステムで提案させていただいております。
ジェスチャーセンサー
手の動きだけでリヤゲートを開閉させるジェスチャーセンサーを開発しました。これは、手の動きを検出するセンサーをリヤガーニッシュに組み込み、センサーの前で手を下から上に振り上げる動作によりリヤゲートを開けるものです。汚れた車体に触れることなく且つリモコン操作も必要なく、感覚的にジェスチャーで操作ができる新しいシステムです。
StepGate
StepGateは、ユーザーが車両に近づくと路面にスポットライトを照射し、それを踏むことによりリヤゲートの開閉操作を可能にするハンズフリー機能です。この技術を確立し、お客様のニーズに細かく応えた更なる利便性の向上を実現しました。現在多くのお客様からお問い合わせをいただいております。
フラッシュハンドル及びE-Latch
ドア表面と同一面に配置されているフラッシュハンドルと、ドアと車体の噛み合い解放を電気的に行うE-Latchを開発しました。フラッシュハンドルは、ロック時や走行時はドア表面と一体になっているため、美しいスタイルが実現でき、空力特性にも貢献するものです。リモコンを持って近づくとドアからハンドルがドアから飛び出し、操作可能になります。ハンドルを握るとセンサーによりE-Latchを駆動させ、軽い力でドアを開けることが出来ます。ドアは半ドア状態まで軽く閉めると、クロージャーにより、完全閉状態まで引き込みます。ハンドル表面に触れることにより、ハンドルをドアから飛び出させたり引き込んだりさせることも可能な新時代ドアシステムです。
ドアエッジプロテクター
サイドドアを開くと内側からプロテクターが飛び出して、ドアの端面を保護すると同時に、隣に駐車した車両への傷つけなどを防止するドアエッジプロテクターにおいては、改良により更なる小型化を実現しました。
エレキシフター
エレキシフターとは、従来機械的にトランスミッションを操作していたものを、すべて電子制御に置き換えたシフト装置です。現在急激に進んでいる車両のエレクトロニクス化とEVやHEV市場を狙った製品です。
ミリ波レーダー
近年急激に成長しているADAS分野における二次元ミリ波レーダーの将来性に着目し、その分解能を従来技術の8倍~10倍程度に拡大可能なソフトウエアを開発しました。これにより高い精度での物体検出を実現しました。
これらの新技術は平成29年の東京モーターショー2017に出展し、多くのお問い合わせをいただいております。
(2) 産業機械部門
農業機械並びに産業機械用の各種スイッチ、センサー及びコントロールを開発し、産業機械部品の電子・電装化に貢献できる幅広い商品を供給しております。また、農業の作業管理・機械管理サポートなど次世代のスマート農業の一役を担うべく、開発を進めております。
主な開発商品は次のとおりであります。
・コンバイン用として :主変速レバー、ズームオーガユニット、油圧制御コントロール、メーター
・トラクタ用として :OPCリレーユニット、フラッシャーランプ、ヘッドランプ、メーター、水平制御コントロール、メインコントロール、ホーンスイッチ、コンビスイッチ、エンジン停止ソレノイド、座席シート
・田植機用として :施肥コントロール、クーリングユニット、ヘッドランプ、照光スイッチ、
メーター
・フォークリフト用として :燃料センサー、電気車用コンビスイッチ、メーター
・建設機械用として :ワークランプ、LEDストップランプ、ヘッドランプ、コンビスイッチ、ダイヤルスイッチ、ボディコントロールユニット、メーター、座席シート
(3) 住宅機器部門
『安全』『安心』『豊かな生活』をコンセプトに未来社会につながる製品開発を進めています。
日本での窃盗犯罪は年々減少傾向にありますが、鍵の防犯性能に対する意識は未だ高いとは言えません。これはCP錠という防犯性の高い認定品の普及が進んでいないことからも明らかです。
このような国内の状況を受けて、当部門では自動車部品開発で培った通信技術、高精度/高品質な製品を製造する生産技術、最適コストを実現するサプライチェーンを駆使し低コストで利便性の高い電気錠(スマートエントリーシステム)を20年前より市場供給し、人の意識に頼らない防犯性能の高い製品の開発を展開しております。
前期は既存メカ錠に取り換え可能な電池式電気錠を量産化、ホテル用カード錠のモデルチェンジ、省エネSWのバリエーション追加を行い市場から好評価を得ています。また家庭用電動シャッターのロック装置も基幹部品の樹脂化を行い低価格でのOEM供給を開始致しました。
今期は電気錠システムの更なる低コスト高機能化、キーシリンダーのモデル変更、新しい業界へのチャレンジとして宅配ロッカー用電気錠などの開発を計画しており、市場ニーズを先取りした製品開発を図ってまいります。