有価証券報告書-第67期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/30 9:09
【資料】
PDFをみる
【項目】
86項目

研究開発活動

当社グループは、常に世界の変化に先がけて、お客様と社会のニーズに応え、環境と安全に貢献する商品群を創出すべく研究開発活動を行っています。
二輪・四輪車用ブレーキシステム及びアルミ製品を軸として、低炭素社会実現に応えるべく、軽量化や燃費向上技術及び、安全・快適性向上に貢献する商品、材料、製造工法等の開発をグローバルな視野に立って推進しています。
二輪車においては、先進ブレーキの装着義務化が世界的な広がりを見せる中、廉価で軽量な前後輪連動ブレーキ(CBS)や最適なアンチロックブレーキシステム(ABS)制御により完成車の扱い易さを向上させ搭載機種が拡大してきています。
四輪車においては、軽量で引き摺りトルクの低いブレーキキャリパーや銅規制対応パッドの適用拡大など環境負荷低減に貢献し、また自動車の電動化に伴い、エレクトロニックパーキングブレーキ(EPB)及び回生協調ブレーキシステム(ESB)の適用機種が拡大してきています。
これらの開発スピードを上げて、推進すべく研究開発投資と体制の充実を図っています。具体的には、コンピューターを用いた評価として、CAE解析による強度・挙動の確認、鋳造欠陥予測、ブレーキ鳴き対策、HILSによるABSシステムの制御シミュレーション、車体挙動解析などによる開発効率最大化に向けた取組を進めています。
当社グループの研究開発は主として当社の開発部門において推進されています。当連結会計年度の研究開発費は、5,246百万円であり、セグメントごとの金額は、日本5,086百万円、北米160百万円です。
当連結会計年度における主な研究開発の成果は次のとおりです。
(1)四輪車用部品
(基本ブレーキシステム開発)
ブレーキキャリパーにおいては低燃費化の要望に応えるため、引き摺りトルク低減、アルミ技術の活用および形状最適化による軽量化を図っています。特に中国市場においては、引き摺りトルク低減キャリパーについてローカルメーカーから高い評価を得て多くの引合いをいただいています。
また自動車の電動化に伴い、電動パーキングブレーキ(EPB)の適用機種が拡大してきています。更に、各製品のコスト低減とグローバル化に伴い現地生産化を推進しています。
(軽量化技術開発)
低燃費・軽量化の要望に応える為、当社では、高い強度と優れた伸び特性を有するアルミ材料と高品質な鋳造技術の活用により、鉄製のサスペンション部品やブラケット部品に比べ約30%~40%の軽量化を実現しました。
今後は、入力荷重が高く、一般的に鋳鉄製が採用されているフロントナックルにも、当社のアルミ材料と鋳造技術を活用し適用拡大を図っていきます。
(メカトロ系自動制御システム開発:NBS開発)
安全・安心に寄与する四輪車用ESC(横滑り防止装置)、ESB(回生協調ブレーキシステム)の開発を行い多くの機種に採用いただいています。特にESBは、ハイブリッド車、電気自動車の回生ブレーキとの協調制御により燃費向上に貢献しており、将来的にも近年注目されている運転支援システムや自動運転にもシナジーが期待できる製品と位置付けています。今後の車両電動化や自動運転の拡大とともに、ESBのニーズは高まると予想しており、更なる高性能・小型軽量化・低コスト製品の開発を行っています。
(2)二輪車用部品
(メカトロ系自動制御システム開発)
安心・安全に寄与する二輪車用ABSが国内メーカー、海外メーカーに採用されています。
安全法規の施行により軽量、コンパクトなABSシステムが客先に支持され、小型車から大型車まで幅広く当期12機種に採用されました。
(基本ブレーキシステム開発)
新規研究開発の結果として、国内メーカー、海外メーカーの18機種に、当社の新しいブレーキ製品が採用され、量産を開始しています。
(二輪レース用ブレーキシステム開発)
スーパーバイク世界選手権、世界耐久選手権、鈴鹿8耐、全日本ロードレース選手権に参画し、限界領域でも安定した制動力を発揮できるブレーキシステムを開発・供給しています。