有価証券報告書-第153期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、事業活動を通じて、健康・安心・心の豊かさといった世界の人々、社会の根源的な要請に応え、広く社会に貢献するという考え方を経営理念の「私たちの存在意義」として「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」と示し、すべての活動の基本思想としています。
この基本思想のもと、当社グループはこれからも、経営理念実現のために、革新的な製品やサービスを社会に提供し、事業の持続的成長と企業価値向上に努めていきます。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2019年11月に発表した中長期の経営戦略において、目標とする業績指標・財務ガイダンス参考指標を以下のとおり定めており、2023年3月期に営業利益率を20%超に改善することを目指しています。
・目標とする業績指標・財務ガイダンス参考指標
業績指標
財務ガイダンス参考指標
※特殊要因調整後の水準
(3) 経営環境及び対処すべき課題
今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、経済活動は段階的に再開し、ワクチン接種も徐々に進んでいるものの、地域によっては感染再拡大の傾向が見られるなど、全体として当面は不確実性の高い状況が見込まれています。加えて、長引く米中貿易摩擦や金融資本市場の変動等により、依然として景気の下振れリスクが残ります。また、わが国経済においても、世界経済と同様に、当面は厳しい状況が続くと想定されます。
このような状況のもと、当社は、2019年1月に公表しましたとおり、創立100周年の節目を迎える中で、真のグローバル・メドテックカンパニーへの飛躍を目指し、企業変革プラン「Transform Olympus」を策定し、1.グローバル・グループ経営執行体制の構築、2.人事マネジメントのグローバル統一、3.医療事業の再編成(「Transform Medical」)4.取締役会メンバーの多様化、5.指名委員会等設置会社への移行など、真のグローバル・メドテックカンパニーとして、当社グループの持続的な成長を可能とする基盤整備に取り組んでまいりました。2019年11月には、真のグローバル・メドテックカンパニーとしての飛躍を遂げる第一歩として、また、当社の企業理念である「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」のもと、より競争力のある、ハイパフォーマンスな企業文化の醸成や、顧客価値の創造を目指し、中長期の経営戦略を発表しました。
当社は、「世界をリードするメドテックカンパニーへと成長し、革新的な価値によって患者様や医療従事者などの顧客、医療機関、医療経済にベネフィットをもたらし、世界の人々の健康に貢献する」ことを本経営戦略における戦略的目標とし、事業の成長・収益性向上のためのコア要素を、以下のとおり定めています。
(事業の成長・収益性向上のためのコア要素)
① 事業ポートフォリオの選択と集中
当社の主要な事業は、(i)内視鏡事業、(ii)治療機器事業及び(iii)科学事業になりますが、(i)内視鏡事業や(ii)治療機器事業が属する医療市場は、全体として高い成長性や収益性を有することに加えて、当社の事業としても持続的な成長及び高い収益性を示しています。この点を踏まえ、定期的に全社の事業ポートフォリオを見直す中で、更なる成長が見込まれる、(i)内視鏡事業及び(ii)治療機器事業に対して、今後も積極的に経営資源を投入していきます。
なお、当社の映像事業については、2020年9月30日に、当社が新たに設立する当社の完全子会社(以下、「映像新会社」)に対して、吸収分割により承継させたうえで、その映像新会社の株式の95%を日本産業パートナーズ株式会社が設立した特別目的会社であるOJホールディングス株式会社に譲渡する最終契約を同社と締結し、本契約に基づき、当社は2021年1月1日に当該株式の譲渡を完了しました。
② 内視鏡事業における圧倒的ポジションの強化
継続的な技術革新と強固な販売力により、リユース内視鏡の競争優位性をさらに高めるとともに、アンメットニーズへの対応も図り、市場全体として高い成長が期待できるシングルユース内視鏡分野における製品を拡充していきます。また、今後予想される医療機器に係るビジネスモデルの転換に適切に対応することで、内視鏡市場における現在の主導的な地位をより一層強固なものにしていきます。
具体的には、以下の施策等を実施していくことで、内視鏡事業において2021年3月期から2023年3月期の3年間で年平均6%の成長を目指します。
(i) リユース内視鏡における競争優位性の堅持
・AI搭載CAD(Computer-aided Diagnosis)機能等を実装した新消化器内視鏡システムの導入
・病変の発見、分類、ステージング、処置のそれぞれのシーンにおいて術者を支援する新技術の投入による内視鏡診断・処置の質的な向上
・新機能の投入による内視鏡診断の質の向上を示すクリニカルエビデンスの確立
・今後大きな成長が期待出来る新興国市場におけるドクタートレーニング支援とその継続
(ii) シングルユース内視鏡によるポートフォリオ拡充
・豊富なリユース内視鏡のラインアップにシングルユース内視鏡を加えることで、内視鏡医療のあらゆるシーンに対応する圧倒的な製品ポートフォリオを構築
(iii) 内視鏡の販売・サービスモデルの強化
・エビデンスベース、症例ベース課金モデルを試験的に導入
・包括的な保守サービスプログラムの試行拡大
なお、消化器内視鏡の領域においては、2020年4月には欧州と一部アジア地域、7月に日本で、主力の内視鏡システム新製品「EVIS X1(イーヴィス・エックスワン)」を導入しました。また、2020年10月には欧州と一部アジア地域にてAIを活用した内視鏡CADプラットフォーム「ENDO-AID」を発売しました。今後も世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現に向けて製品の普及に取り組んでいきます。
③ 治療機器事業への注力と拡大
当社が高い競争力を有する、消化器科関連処置具、泌尿器科、呼吸器科関連処置具の3つの領域を中心として、製品の拡充や手技の普及、販売体制の強化によって成長の拡大を図っていきます。
具体的には、2021年3月期から2023年3月期の3年間、以下の施策等を実施していくことにより、治療機器事業において年平均8%の成長を目指します。
(i)消化器科関連処置具
・ERCP、消化器ステント、止血デバイスなどの主要カテゴリーにおける付加価値の高い製品の拡充
(ii)泌尿器科
・泌尿器科クリニックに対する前立腺肥大処置に係るソリューションの提供
・ファイバーレーザー技術を用いた結石処置デバイスの導入と泌尿器内視鏡処置デバイスの導入によるラインアップ拡充
(iii)呼吸器科関連処置具
・気管支内バルブシステムの普及
・穿刺針の製品開発によるEBUS分野のポートフォリオ拡充
なお、治療機器事業においては、世界最大の治療機器市場である米国における事業展開を促進するため、事業のグローバル統括機能を米国に配置していますが、事業開発機能の強化を通して社外パートナーとの協働やライセンシング、M&Aを推し進め、製品ポートフォリオの拡充や補完を図るとともに、法規制対応やクリニカルアフェアーズなどの機能の強化、製品や手技に対するバリュー・プロポジションの追求もあわせて推進していきます。
当社は上記の3つの注力領域において自社開発による製品投入を行う他、M&Aにも積極的に取り組んでおり、2021年3月期以降、消化器科関連処置具の領域でArc Medical Design Limitedを、泌尿器科の領域でMedi-Tate Ltd.を、また呼吸器科関連処置具の領域でVeran Medical Technologies, Inc.を、それぞれ買収しました。
④ 次世代低侵襲手術市場のリード
当社は、患者様の術後のQOL(生活の質)維持といった観点で期待を集める低侵襲手術の分野を中長期の成長に向けた戦略分野と位置付けています。今後、手技の革新、機器の改善、低侵襲なロボティックスの開発を通じて、低侵襲手術の発展に貢献するとともに市場全体を牽引すべく、以下の施策を実施していきます。
・技術革新を目標とした病院や学会とのパートナーシップの確立
・技術的な優位性を確立することを主眼に置いたM&Aの実施
・持続可能なものづくりを実現する社内機能の強化
・低侵襲な内視鏡による治療技術(エンドルミナルマニピュレータープラットフォーム)の開発
(2022年3月期の経営方針)
新型コロナウイルスの感染拡大は、大きな価値観の転換をもたらすと認識している一方、世界的な高齢化と新興国の成長を背景に、長期的な医療需要の拡大は不変であると考えています。2022年3月期は、グローバル・メドテックカンパニーへの「転換」から、「深化」を図るフェーズに入っていると捉え、以下の取り組みを推し進め、2019年11月に公表した経営戦略における目標水準の達成に向けて企業変革を実行していきます。
(2022年3月期に取り組む予定の施策)
・医療ビジネスにおける収益性の高い成⻑戦略の深化
・Transform Olympusによる企業体質の更なる改善および基盤強化
・今後の成⻑を牽引する製品開発への着実な投資継続
・サステナブルな社会に資するESGへの取り組み
当社グループは、事業活動を通じて、健康・安心・心の豊かさといった世界の人々、社会の根源的な要請に応え、広く社会に貢献するという考え方を経営理念の「私たちの存在意義」として「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」と示し、すべての活動の基本思想としています。
この基本思想のもと、当社グループはこれからも、経営理念実現のために、革新的な製品やサービスを社会に提供し、事業の持続的成長と企業価値向上に努めていきます。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2019年11月に発表した中長期の経営戦略において、目標とする業績指標・財務ガイダンス参考指標を以下のとおり定めており、2023年3月期に営業利益率を20%超に改善することを目指しています。
・目標とする業績指標・財務ガイダンス参考指標
業績指標
| 2023年3月期 | |
| 営業利益率※ | 20%~ |
財務ガイダンス参考指標
| 2023年3月期 | |
| フリーキャッシュフロー成長率※ | 20%~ (2020年3月期以降の年平均成長率) |
| ROIC※ | 20%~ |
| EPS成長率※ | 25%~ (2020年3月期以降の年平均成長率) |
※特殊要因調整後の水準
(3) 経営環境及び対処すべき課題
今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、経済活動は段階的に再開し、ワクチン接種も徐々に進んでいるものの、地域によっては感染再拡大の傾向が見られるなど、全体として当面は不確実性の高い状況が見込まれています。加えて、長引く米中貿易摩擦や金融資本市場の変動等により、依然として景気の下振れリスクが残ります。また、わが国経済においても、世界経済と同様に、当面は厳しい状況が続くと想定されます。
このような状況のもと、当社は、2019年1月に公表しましたとおり、創立100周年の節目を迎える中で、真のグローバル・メドテックカンパニーへの飛躍を目指し、企業変革プラン「Transform Olympus」を策定し、1.グローバル・グループ経営執行体制の構築、2.人事マネジメントのグローバル統一、3.医療事業の再編成(「Transform Medical」)4.取締役会メンバーの多様化、5.指名委員会等設置会社への移行など、真のグローバル・メドテックカンパニーとして、当社グループの持続的な成長を可能とする基盤整備に取り組んでまいりました。2019年11月には、真のグローバル・メドテックカンパニーとしての飛躍を遂げる第一歩として、また、当社の企業理念である「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」のもと、より競争力のある、ハイパフォーマンスな企業文化の醸成や、顧客価値の創造を目指し、中長期の経営戦略を発表しました。
当社は、「世界をリードするメドテックカンパニーへと成長し、革新的な価値によって患者様や医療従事者などの顧客、医療機関、医療経済にベネフィットをもたらし、世界の人々の健康に貢献する」ことを本経営戦略における戦略的目標とし、事業の成長・収益性向上のためのコア要素を、以下のとおり定めています。
(事業の成長・収益性向上のためのコア要素)
① 事業ポートフォリオの選択と集中
当社の主要な事業は、(i)内視鏡事業、(ii)治療機器事業及び(iii)科学事業になりますが、(i)内視鏡事業や(ii)治療機器事業が属する医療市場は、全体として高い成長性や収益性を有することに加えて、当社の事業としても持続的な成長及び高い収益性を示しています。この点を踏まえ、定期的に全社の事業ポートフォリオを見直す中で、更なる成長が見込まれる、(i)内視鏡事業及び(ii)治療機器事業に対して、今後も積極的に経営資源を投入していきます。
なお、当社の映像事業については、2020年9月30日に、当社が新たに設立する当社の完全子会社(以下、「映像新会社」)に対して、吸収分割により承継させたうえで、その映像新会社の株式の95%を日本産業パートナーズ株式会社が設立した特別目的会社であるOJホールディングス株式会社に譲渡する最終契約を同社と締結し、本契約に基づき、当社は2021年1月1日に当該株式の譲渡を完了しました。
② 内視鏡事業における圧倒的ポジションの強化
継続的な技術革新と強固な販売力により、リユース内視鏡の競争優位性をさらに高めるとともに、アンメットニーズへの対応も図り、市場全体として高い成長が期待できるシングルユース内視鏡分野における製品を拡充していきます。また、今後予想される医療機器に係るビジネスモデルの転換に適切に対応することで、内視鏡市場における現在の主導的な地位をより一層強固なものにしていきます。
具体的には、以下の施策等を実施していくことで、内視鏡事業において2021年3月期から2023年3月期の3年間で年平均6%の成長を目指します。
(i) リユース内視鏡における競争優位性の堅持
・AI搭載CAD(Computer-aided Diagnosis)機能等を実装した新消化器内視鏡システムの導入
・病変の発見、分類、ステージング、処置のそれぞれのシーンにおいて術者を支援する新技術の投入による内視鏡診断・処置の質的な向上
・新機能の投入による内視鏡診断の質の向上を示すクリニカルエビデンスの確立
・今後大きな成長が期待出来る新興国市場におけるドクタートレーニング支援とその継続
(ii) シングルユース内視鏡によるポートフォリオ拡充
・豊富なリユース内視鏡のラインアップにシングルユース内視鏡を加えることで、内視鏡医療のあらゆるシーンに対応する圧倒的な製品ポートフォリオを構築
(iii) 内視鏡の販売・サービスモデルの強化
・エビデンスベース、症例ベース課金モデルを試験的に導入
・包括的な保守サービスプログラムの試行拡大
なお、消化器内視鏡の領域においては、2020年4月には欧州と一部アジア地域、7月に日本で、主力の内視鏡システム新製品「EVIS X1(イーヴィス・エックスワン)」を導入しました。また、2020年10月には欧州と一部アジア地域にてAIを活用した内視鏡CADプラットフォーム「ENDO-AID」を発売しました。今後も世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現に向けて製品の普及に取り組んでいきます。
③ 治療機器事業への注力と拡大
当社が高い競争力を有する、消化器科関連処置具、泌尿器科、呼吸器科関連処置具の3つの領域を中心として、製品の拡充や手技の普及、販売体制の強化によって成長の拡大を図っていきます。
具体的には、2021年3月期から2023年3月期の3年間、以下の施策等を実施していくことにより、治療機器事業において年平均8%の成長を目指します。
(i)消化器科関連処置具
・ERCP、消化器ステント、止血デバイスなどの主要カテゴリーにおける付加価値の高い製品の拡充
(ii)泌尿器科
・泌尿器科クリニックに対する前立腺肥大処置に係るソリューションの提供
・ファイバーレーザー技術を用いた結石処置デバイスの導入と泌尿器内視鏡処置デバイスの導入によるラインアップ拡充
(iii)呼吸器科関連処置具
・気管支内バルブシステムの普及
・穿刺針の製品開発によるEBUS分野のポートフォリオ拡充
なお、治療機器事業においては、世界最大の治療機器市場である米国における事業展開を促進するため、事業のグローバル統括機能を米国に配置していますが、事業開発機能の強化を通して社外パートナーとの協働やライセンシング、M&Aを推し進め、製品ポートフォリオの拡充や補完を図るとともに、法規制対応やクリニカルアフェアーズなどの機能の強化、製品や手技に対するバリュー・プロポジションの追求もあわせて推進していきます。
当社は上記の3つの注力領域において自社開発による製品投入を行う他、M&Aにも積極的に取り組んでおり、2021年3月期以降、消化器科関連処置具の領域でArc Medical Design Limitedを、泌尿器科の領域でMedi-Tate Ltd.を、また呼吸器科関連処置具の領域でVeran Medical Technologies, Inc.を、それぞれ買収しました。
④ 次世代低侵襲手術市場のリード
当社は、患者様の術後のQOL(生活の質)維持といった観点で期待を集める低侵襲手術の分野を中長期の成長に向けた戦略分野と位置付けています。今後、手技の革新、機器の改善、低侵襲なロボティックスの開発を通じて、低侵襲手術の発展に貢献するとともに市場全体を牽引すべく、以下の施策を実施していきます。
・技術革新を目標とした病院や学会とのパートナーシップの確立
・技術的な優位性を確立することを主眼に置いたM&Aの実施
・持続可能なものづくりを実現する社内機能の強化
・低侵襲な内視鏡による治療技術(エンドルミナルマニピュレータープラットフォーム)の開発
(2022年3月期の経営方針)
新型コロナウイルスの感染拡大は、大きな価値観の転換をもたらすと認識している一方、世界的な高齢化と新興国の成長を背景に、長期的な医療需要の拡大は不変であると考えています。2022年3月期は、グローバル・メドテックカンパニーへの「転換」から、「深化」を図るフェーズに入っていると捉え、以下の取り組みを推し進め、2019年11月に公表した経営戦略における目標水準の達成に向けて企業変革を実行していきます。
(2022年3月期に取り組む予定の施策)
・医療ビジネスにおける収益性の高い成⻑戦略の深化
・Transform Olympusによる企業体質の更なる改善および基盤強化
・今後の成⻑を牽引する製品開発への着実な投資継続
・サステナブルな社会に資するESGへの取り組み