訂正有価証券報告書-第157期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2019/06/28 15:17
【資料】
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【項目】
133項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
なお、経営環境につきましては、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
(1) 第6次中期経営計画(平成29年3月期~平成31年3月期)
当社は平成29年3月期を初年度とする第6次中期経営計画を策定し、推進中です。その内容は次のとおりです。
1.長期ビジョン
グループスローガン「時代とハートを動かすSEIKO」を踏まえて、当社グループが10年後の将来に向け長期的に目指す姿を次のように制定しました。
常に時代をリードする先進性と革新性を備え、お客さまの期待を超える製品と品質・サービスを提供し、世界中のステークホルダーと感動を分かち合えるグローバルな企業グループを目指す

2.基本方針
ウオッチ事業を中核とする高収益グループを目指し、「収益力の強化と成長への投資」を推進するとともに、「経営基盤の強化」を徹底する。
3.収益力の強化と成長への投資
① ウオッチ事業はグループの中核事業としてさらなる成長へ(収益の拡大)
② 電子デバイス事業はコアビジネスに経営資源を重点配分し、利益を創出(収益力の向上)
③ システムソリューション事業は第3の主柱事業として事業基盤を強化(収益力の強化)
④ その他の事業は安定した収益体質を継続(収益力の安定)
4.経営基盤の強化
① コーポレートコミュニケーションの強化
② 資本・財務政策の基本方針の継続
③ コーポレートガバナンスの強化
④ 組織・グループ機能の強化、人事政策の基本方針の継続
5.第6次中期経営計画目標数値
① 連結損益計画 (金額単位:億円)
実績実績第6次中期経営計画
2017年3月期2018年3月期2019年3月期
売上高2,5712,6853,100
営業利益74108170
経常利益66109180
親会社株主に帰属
する当期純利益
53115125

② 事業別売上高 (金額単位:億円)
実績実績第6次中期経営計画
2017年3月期2018年3月期2019年3月期
ウオッチ事業1,3451,4011,900
電子デバイス事業840818750
システムソリューション事業202274250
その他270278300

連結合計2,5712,6853,100

③ 事業別営業利益 (金額単位:億円)
実績実績第6次中期経営計画
2017年3月期2018年3月期2019年3月期
ウオッチ事業7679170
電子デバイス事業385725
システムソリューション事業121615
その他3510

連結合計74108170

④ 貸借対照表項目 (金額単位:億円)
実績実績第6次中期経営計画
2017年3月期2018年3月期2019年3月期
総資産3,2883,0753,400
純資産1,0711,0511,200
自己資本比率29.8%33.8%35%
ネット有利子負債1,012791750

(2)当連結会計年度における経過
1. 収益力の強化と成長への投資
ウオッチ事業は、グループの中核事業としてさらなる成長を目指し、収益の拡大を図りました。国内は、「グランドセイコー」の独立ブランド化政策および高額品強化が順調に進み売上を拡大したほか、グローバルブランド強化戦略および市場での機械式時計の需要拡大に乗った「プレザージュ」「プロスペックス」も大きく伸長しました。海外は、グローバルブランドの販売に注力し、順調に売上を伸ばしました。特に中国では好調なEコマース販売によりセイコーの認知度・期待値が高まったほか、欧州やアジア向けの販売も堅調に推移しました。引き続き、「2020年に向けてSEIKOを真のグローバルブランドに成長させ、世界の時計市場においてリーディングカンパニーとなることを目指す」とともに、グローバルブランドを中心にブランド価値向上への投資を継続し、中期経営計画の最終年度の計画達成に向けた施策を強力に推進してまいります。
電子デバイス事業は、コアビジネスに経営資源を重点配分することで利益を創出し、収益力の向上に努めました。過去数年にわたり不採算事業の整理・改善に取り組んできた結果、半導体事業以外の事業においても収益力が向上しています。最終年度は半導体事業が持分法適用となり連結範囲から外れますが、半導体製造設備向けの高機能金属製品、POS端末用のサーマルプリンタやインクジェットプリントヘッド製品等の安定収益を確保し、計画達成を目指してまいります。
システムソリューション事業は、第3の主柱事業として事業基盤を強化しながら、収益力の強化に努めました。車載用やホームセキュリティ向けの各種モバイル無線通信機器、放送・通信を主としたネットワーク関連機器など既存事業が好調に推移したことに加え、コンピュータ性能管理ソフトウェアを展開する株式会社アイ・アイ・エムの取得により、売上が拡大しています。また機器やシステムの保守、決済中継センターや性能管理を中心としたソフトウェアサービスなど、持続的な収益が見込めるストック売上も増加し、売上高・営業利益ともに最終年度の計画を前倒しで達成することができました。
その他に含まれる事業は、安定した収益体質を継続すべく、収益力の安定化に努めました。クロック事業、和光事業および設備時計事業すべてが黒字化を達成しました。引き続き収益力の安定に努め、最終年度の計画達成に向けて課題に取り組んでまいります。
2. 経営基盤の強化
コーポレートコミュニケーションの強化については、「時代とハートを動かすSEIKO」のグループスローガンに基づき、スポーツ・音楽を通じたPR・CSR活動を継続しました。また、IR活動を充実させ、積極的に持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、株主・投資家との建設的な対話を強化しました。
資本政策については、基本方針である継続的・安定的な配当の実施を目指して、1株あたり中間配当7.5円、期末配当37.5円(株式併合前に換算すると年間15円に相当)を実施します。また、自己資本比率は33.8%と向上しましたが、計画の最終年度の目標値である35%に向けて、さらなる自己資本の改善を図ってまいります。財務政策については、有利子負債の圧縮に努めた結果、ネット有利子負債は791億円となりました。最終年度の目標値である750億円に向けて一層の削減努力を進めてまいります。
コーポレートガバナンスの強化については、社外役員が構成員の過半数を占めるコーポレートガバナンス委員会などを通じて、実効性のあるコーポレートガバナンス体制の構築を推進し、体制の強化に努めました。
組織・グループ機能の強化については、グループの経営方針の策定や戦略の実行を主導し、事業会社へのサポート強化に取り組んだ結果、課題事業に関わる収益性の改善やグループ内の構造改革などを推進することができました。また、人事政策の基本方針である多様な人財の育成については、グローバル人財や次世代を担う幹部候補生の育成とともに、全社員活躍推進へのさらなる取り組みや多様な働き方ができる労働環境の提供に向けた施策を積極的に進めています。