有価証券報告書-第77期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/30 9:10
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【項目】
111項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(平成27年1月1日から平成27年12月31日まで)の世界経済は、米国では個人消費の増加や設備投資の持ち直しなどにより景気の回復が続き、欧州の景気も英国やドイツなどの西欧諸国を中心に緩やかに回復しました。一方、アジア地域においては、中国では景気は緩やかに減速し、その他一部の地域でも伸び悩みがみられるなど、厳しい状況が続きました。
日本経済は生産や輸出に弱さがみられたものの、企業収益や雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続きました。為替は、前年同期に比べ米ドルは円安、ユーロは円高傾向で推移しました。
当社グループ関連市場におきましては、デジタルカメラ市場では、レンズ交換式タイプおよびコンパクトタイプとも、スマートフォンの普及等の影響により市場の縮小が続きました。ドキュメントスキャナー市場では、低・中速機を中心に参入メーカーが増加し、市場が活性化しました。また、アジア・オセアニア地域、中東地域などの新興国市場における需要増などにより市場が拡大しました。情報関連市場は、企業の投資意欲に持ち直しの動きが見られるものの、業界内における競争激化が続きました。
このような状況の中、当社グループは既存製品の積極的な拡販活動とともに、以下の新製品を発売しました。優れたコストパフォーマンスと高速スキャンを両立し、様々な紙文書はもちろん、パスポートのスキャンにも対応したA4サイズのドキュメントスキャナー「DR-C240」、堅牢性と耐久性に優れ、検針業務等、屋外作業で活用されるPDA型ハンディターミナル「プレアGT-3」、設置スペースや金型交換時間、仕掛りなどを削減でき、部品の内製化や多品種少量生産に柔軟に対応できる小型電動射出成形機「LS-715シリーズ」、ハッカーによる標的型攻撃から企業の情報資産を守るWindows用のセキュリティソフト「SML マルウェア サーバトレース機能」等をラインナップに加え、受注活動を強力に推し進めました。
また、当社グループは世界トップレベルの高収益企業を目指し、全社を挙げた生産性向上活動、3R(リデュース・リユース・リサイクル)環境活動を積極的に進めました。そして、経営全般にわたりムダ排除に徹底して取り組み、利益体質の維持向上に注力してまいりました。加えて、コンプライアンスを徹底するとともに、内部統制システムの更なる強化に取り組みました。
これらの結果、当期の連結売上高は893億73百万円(前年同期比6.4%減)、連結経常利益は106億77百万円(前年同期比1.5%増)、連結当期純利益は69億51百万円(前年同期比5.8%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
①コンポーネント
コンポーネント部門では、デジタルカメラ市場は、レンズ交換式タイプ、コンパクトタイプとも、スマートフォンの普及等の影響により、厳しい市場環境が続いています。このような中で当社は、主力商品であるデジタルカメラ用シャッターユニットや絞りユニット、防振ユニットなどの積極的な受注活動を展開してまいりました。このような取り組みの結果、関連市場がマイナス成長の状況下ではありましたが、業績は堅調に推移しました。
レーザープリンターおよびデジタル複合機用のレーザースキャナーユニットは、生産性の向上、構成部品の内製化等、生産体制の強化等を積極的に推し進め、引き続き原価低減に取り組みましたが、販売数の減少に伴い、売上は減少しました。
これらの結果、当部門の売上高は485億64百万円(前年同期比5.8%減)、営業利益は80億13百万円(前年同期比19.4%増)となりました。
②電子情報機器
電子情報機器部門では、ドキュメントスキャナー市場は、中東・中南米地域やアジア地域等の新興国市場における文書の電子化需要の増加により引き続き拡大傾向にあり、低価格・コンパクトタイプを中心に需要が増加しています。このような中で、ドキュメントスキャナーimageFORMULA(イメージフォーミュラ)シリーズは、主力製品「DR-C225/225W」に加え、新製品「DR-C240」を発売するなど、ラインアップをより充実させて一層の販売強化に努めました。地域別では、ドイツ・フランスなど欧州市場にて積極的な拡販を行い、トルコやロシアといった新興市場において大型商談を多数獲得し、売上が増加しました。アジア・オセアニア地域も前年を上回る売上となりましたが、最大市場である米国向けの販売が参入メーカーの増加により売上が減少し、業績は前年並みとなりました。
ハンディターミナルは、スマートフォンやタブレット端末の業務用途での使用増加により、新たなビジネスチャンスが広がりつつあります。このような中、新製品であるPDA型端末「プレアGT-3」を金融・飲料・検針市場へ拡販しました。また、プリンター一体型端末「プレアGT-30」を製造業界に拡販し大型商談を受注しました。他、グリップ型端末やプリンター一体型大画面端末など、ラインアップを充実させ積極的な拡販活動を展開した結果、売上が増加しました。今後は自動認識技術や決済機能を搭載する端末を開発するなど、スマートフォンやタブレット端末との差別化を図り、魅力ある製品の開発を追求していきます。
レーザープリンターは、新製品の量産立ち上げ、効率的な部品調達や生産性の向上、市場の動向に応じた対応等、生産体制の更なる拡充に取り組みましたが、販売数の減少により厳しい状況で推移しました。
これらの結果、当部門の売上高は319億32百万円(前年同期比6.2%減)、営業利益は40億33百万円(前年同期比13.6%増)となりました。
③その他
その他の部門では、情報関連事業は、情報セキュリティ対策ソフト(SML)、業務分析サービス(ログマネジメント)、名刺管理サービス(アルテマブルー)、医療機関向けパッケージソフト(医用辞書)等の受注活動を積極的に展開しました。ハッカーによる標的型攻撃から企業の情報資産を守るWindows用のセキュリティソフト「SML マルウェア サーバトレース機能」の拡販に努めた結果、新規商談が増加しました。
また、サーバーやネットワークの構築等、インフラ関連やシステム開発・保守・運用案件の獲得に努めるとともに、自治体向けコンテンツマネジメントシステム「じち丸」等の新製品の販売にも注力しました。しかし、業界内競争の激化に伴い、売上は減少しました。
環境機器事業は、小型三次元加工機「MF-150A」および業務用生ごみ処理機「Land care16Ⅱ」、新製品の小型電動射出成形機「LS-715シリーズ」を主力商品として、積極的な販売活動を展開しました。特に、防水・防塵加工を可能にした小型電動射出成形機は、自動車業界において新規引き合いが増加し、走行安全に関係する部品成形において採用されるなど、順調に推移しています。
これらの結果、当部門の売上高は88億76百万円(前年同期比10.4%減)、営業利益は2億56百万円(前年同期比197.1%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度においては、主に税金等調整前当期純利益と減価償却費により、営業活動によるキャッシュ・フローは105億47百万円の収入(前年同期比3億88百万円増)となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは新製品投資及び生産能力増強のための設備投資、貸付けによる支出により181億21百万円の支出(前年同期比139億4百万円増)となり、フリーキャッシュ・フローは75億73百万円の支出(前年同期比135億15百万円増)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払により24億50百万円の支出(前年同期比15億38百万円減)となり、これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は191億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ102億87百万円減少しました。